強盗未遂(中止未遂)で逮捕

強盗未遂中止未遂)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aは、Bと共謀して、岐阜県郡上市の民家に強盗の目的で侵入し、その家に住むVを脅したところ、「夫や子供に先立たれ、金銭的にも精神的にも苦労してきた。現金はこれしかない。」と涙を流しながら現金を差し出したため、Vを哀れに思ったAは、そのままV宅から出ていきました。
Bは、Aの行為に驚きながらも何も取らずにそのまま逃げました。
その後、岐阜県郡上警察署は、住居侵入及び強盗未遂の容疑でAとBを逮捕しました。
(フィクションです。)

未遂罪

犯罪は、法律の条文に該当し(=構成要件該当性)、社会的に許されず(=違法性)、社会的に非難される(=有責)行為です。
そのため、ある犯罪が成立するかどうかを検討するときには、①構成要件に該当しているか、②違法か、③責任があるか、といった点についてひとつづつ検討していかなければなりません。
構成要件は、刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型ないし定型のことをいうとするのが通説です。
構成要件は、違法性のある行為及び責任のある行為を条文に示したものであるから、基本的には構成要件に該当する行為は、違法性及び責任を一応有しているものと考えられます。
法律で「これこれの行為は、これこれの刑に処する。」と定められているものが犯罪とされる行為であって、条文で「これこれの行為」と決められている「これこれ」が構成要件であり、それに該当した場合に、ある犯罪の構成要件に該当することになります。

構成要件該当性において問題となるのは、
①条文に規定された「実行行為」があり、
②その行為により「結果」が発生し、
③実行行為と結果との間に「因果関係」があり、
④実行行為にはその行為を認識、認容して行動に出るという内心(=故意)がある
か否かといった点です。

事例で問題となっている強盗罪は、
①実行行為=暴行又は脅迫を用いて、
②結果=他人の財物を強取し
③暴行又は脅迫による犯行抑圧と財物奪取との間に因果関係があり、
④不法領得の意思及び故意がある
かどうかを検討し、構成要件該当性について判断します。

Aは、Vの家に侵入し、Vさんに金を出すように脅迫しました。
そのため、①実行行為を開始した(実行行為の着手)ことになります。
ただ、Vの発言に同情したAは、結局、Vの財物を奪い取ることなく、その場を後にしました。
つまり、③結果は発生していないことになります。
実行行為に基づいて結果が発生した場合には、「既遂罪」として処罰されることになりますが、実行行為は行ったが結果が発生しなかった場合や結果は発生したが実行行為と結果との間に因果関係がない場合は、「未遂」となります。
未遂については、法律上、未遂罪の処罰規定がある場合のみ未遂罪として処罰されます。
刑法には、強盗未遂罪についての処罰規定がありますので、強盗未遂罪も処罰の対象となります。

未遂犯には、「障害未遂」と「中止未遂」の2種類があります。
中止未遂」は、実行行為に着手したが、自己の意思によりやめた場合といい、「障害未遂」は、それ以外の理由により未遂に終わった場合のことです。
中止未遂」は、必要的に刑が減軽、又は免除されますが、「障害未遂」は、任意的減軽にとどまります。
そのため、いづれが認められるかにより言い渡される刑も異なる可能性が生じます。

中止未遂の要件は、
①自己の意思により
②犯罪を中止した
です。

①自己の意思により(任意性)
実行行為の途中で、外部的要因がないにもかかわらず、悔悟の気持ちなどから、実行行為をやめた場合には「自己の意思」によって中止したと言えますが、実行行為の途中に何者かに制止された場合は「自己の意思」によって中止してとは言えません。
この任意性を判断する際には、外部的事情の内容、犯行継続の難易、行為者の予測・計画、犯意の強弱、中止行為の態様、反省・悔悟の情があるといった諸要素を考慮し、一般人を基準に、通常、結果の妨害となる性質となるものにより中止したかどうかが検討されます。
つまり、一般的にその事情があれば犯行をやめるのであれば、自己の意思により中止したとは認められないことになります。

②犯罪を中止した
犯罪の完成を妨げるための中止行為によって結果の発生を阻止したことが必要となります。
この要件が満たされているか否かは、実行に着手後、その終了前に継続して行うべき実行行為を放棄した場合(=着手中止)と、すでに実行を終了した後に結果の発生を防止する場合(=実行中止)とに分けて判断されます。
着手中止の場合は、実行行為が終了していないため、その後の実行を放棄すれば結果発生の危険性は低く、結果の発生を阻止したといえますが、実行中止の場合は実行行為が終了しており、結果発生の危険性が高いため、結果の発生を阻止したといえるために積極的な結果防止努力が必要とされます。

以上の要件を満たした場合に、中止未遂となり、必要的に刑が減軽、又は免除されます。

刑事事件を起こした場合に、いかなる罪に問われるのか、未遂であっても中止未遂か障害未遂か、といった細かいことについては事件内容によりますので、刑事事件を起こしお困りの方は、一度弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

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