迷惑防止条例違反事件で逮捕

迷惑防止条例違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県大垣警察署は、岐阜県安八郡輪之内町にある会社の従業員Vさんから、何者かから嫌がらせ行為を受けているとの相談を受けました。
Vさんは、数か月に渡って会社宛てに「Vさんは既婚者と社内不倫をしている。辞めさせたほうがいい。」などといった内容の手紙が送られ続けており、つい先日には手紙に血のようなものが付着しており、怖くなったVさんは警察に相談することにしたのでした。
岐阜県大垣警察署は、県内に住むAさんを迷惑防止条例違反の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

迷惑防止条例

各都道府県は、法律により犯罪とされている行為には該当しないものの、公衆に著しい迷惑をかける暴力的不良行為を取締の対象とすることにより、市民生活の平穏を保持することを目的として、「迷惑防止条例」や「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」といった名称の条例(総称:迷惑防止条例)を定めています。
迷惑防止条例で規定されている違反行為には、ダフ屋行為、ショバ屋行為、景品買い行為、粗暴行為、押売行為、不当客引き行為、かたり行為、行楽地等の危険行為などのほかにも、痴漢行為や盗撮行為、嫌がらせ行為などがあります。
迷惑防止条例違反で検挙されるケースの中でも、痴漢行為や盗撮行為が占める割合は大きいため、迷惑防止条例違反と言えば痴漢事件や盗撮事件を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。

今回は、迷惑防止条例で規定されている違反行為のうち「嫌がらせ行為」について、どのような場合に成立するのか説明します。

岐阜県迷惑防止条例は、その第4条で、「嫌がらせ行為の禁止」と題して、ストーカー規制法で処罰できないつきまとい行為について次のように規定しています。

何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。第5号において「法」という。)第2条第1項に規定するつきまとい等を除き、第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を執ように、又は反復して行つてはならない。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等(法第2条第2項に規定する電子メールの送信等をいう。)をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法で対象となる「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て(1)~(8)の行為を行うことをいい、これらの行為を行う目的が「恋愛感情等」にあることが求められます。
そのため、恋愛感情等がなく(1)~(8)いづれかの行為が執拗・反復して行われた場合には、ストーカー規制法ではなく迷惑防止条例が適用されることになります。

AさんのVさんに対する行為が、恋愛感情等に基づくものではなく、(7)に該当する行為を複数回行ったと考えられたため、迷惑防止条例における違反行為(嫌がらせ行為)の疑いで逮捕されたと考えられます。

迷惑防止条例違反事件で逮捕されたら

迷惑防止条例違反事件で逮捕された場合、初犯であり、被害者との接触のおそれもなく、家族等による監督が期待できると判断されれば、勾留とならずに釈放される可能性はあります。
長期間の身体拘束は、懲戒解雇や退学などといった不利益を生じさせかねませんので、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うのがよいでしょう。
また、迷惑防止条例違反事件では違反行為によって被害を被った被害者がいることが多く、被害者への対応如何が最終的な処分結果に大きく影響することがあります。
被害者への対応についても、できる限り早い段階から弁護士を介して行うのがよいでしょう。

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