ひったくりで逮捕

ひったくり事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市の路上を歩いていた女性の背後から原動機付自転車で近付き、女性の持っていたカバンを追い抜きざまに掴み、そのまま強引にカバンをとったとして、県内に住むAくん(16歳)とBくん(17歳)は岐阜県岐阜中警察署逮捕されました。
AくんとBくんは、他にも同様のひったくりをしているとみられています。
逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)

ひったくり

物を持ち歩いている歩行者や自転車の前かごに荷物を入れて自転車を運転している人に近づいて、すれ違いざまや追い越し際に荷物を奪って逃げる行為を一般的に「ひったくり」といいます。
ほとんどの場合、ひったくりには「窃盗罪」が適用されますが、犯行態様によっては「強盗罪」が成立することがあります。

窃盗罪

窃盗罪が成立する要件は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
です。

①他人の財物
他人の財物は、「他人の占有する他人の財物」を意味します。
ここでは「占有」という概念がどのような意味を有するのかが問題となります。
「占有」とは、「人が財物を事実上支配し、管理する状態」をいい、物に対する現実の支配だけを意味するという点で民法上の占有とは異なります。
この「占有」という概念は、「占有の事実」と「占有の意思」という2つの要素で構成されています。
「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことを指します。
また、「占有の意思」とは、財物を事実上支配する意欲・意思をいいます。
この2つの要素を総合して占有の有無について判断されます。
ひったくり事件では、被害者が手で荷物を持っていたり、自転車のかごに入れていたりする場合がほとんどであるので、そのような場合、ひったくられた荷物は、被害者が占有する被害者の財物となります。

②不法領得の意思
この要件は条文上明記されていませんが、判例上、窃盗罪の構成要件の1つとされています。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思のことです。

③窃取
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

被害者の隙をついてカバンなどの荷物を奪う「ひったくり」は、上に述べた要件を満たし窃盗罪に当たることが多いです。
しかしながら、その態様如何によっては「強盗罪」となることがあります。

強盗罪

強盗罪が成立する要件は、
1項 ①暴行または脅迫を用いて
   ②他人の財物を
   ③強取したこと
2項 ①暴行または脅迫を用いて
   ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
です。

窃盗罪とは、被害者の占有を侵害するという点で共通しますが、暴行・脅迫を手段とする点で異なります。

①暴行・脅迫
手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のものであることが求められます。
「暴行」は、人に向けられた相手方の反抗を抑圧するにたりる有形力の行使であれば、物に対して加えられたものでも構いません。
被害者の反抗を抑圧するにたりる程度のものであるかどうかは、社会通念により客観的に判断されます。

③強取
「強取」とは、暴行・脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移す行為のことです。

窃盗罪と強盗罪は、相手方の意思に反して財物の占有を相手方から自己・第三者に移す点では同じですが、後者は、相手方の反抗を抑圧するにたりる暴行・脅迫を手段としている点で異なります。
つまり、ひったくりにおいて、窃盗罪・強盗罪どちらの罪が成立するかは、ひったくりの状況が、相手方の反抗を抑圧するにたりる暴行に至っているかどうかによります。

相手方の隙をついて、すれ違いざまや追い抜き際に、持っていたカバンを引っ張って奪うようなひったくりであれば、相手方に対して一定程度接触していますが、それが相手方の反抗を抑圧する程度の暴行であったとは言えず、窃盗罪にとどまることが多いでしょう。
しかし、相手方が財物を奪われまいとして対抗したところ、さらに財物を引っ張り続けるなどの暴行を加えた場合には、その暴行が相手方の反抗を抑圧する程度であったか否かを検討することになり、窃盗罪ではなく強盗罪が適用される可能性があるでしょう。

少年のひったくり事件

少年の場合には、成立する罪名が処分に直結することはありませんが、非行事実のほかに、要保護性について審判で審理され、最終的な処分が決められることになります。
要保護性の意義については争いがありますが、次の3つの要素で構成されているとするのが通説となっています。
①犯罪的危険性
少年の性格、環境に照らして将来再び非行に陥る危険性
②矯正可能性
保護処分により犯罪的危険性を解消できる可能性
③保護相当性
少年の処遇にとって保護処分が最も有効かつ適切な手段であること
これらの要素から構成される要保護性が解消されたと認められれば、審判で社会内処遇の保護観察処分となるでしょう。
そのため、少年事件では、要保護性解消に向けた活動(環境調整)が非常に重要となります。
ひったくり事件であれば、被害者への被害弁償を行うことを通して少年が自分の行為と向き合い内省を深める、家族関係や交友関係を改善するなど、再び過ちを繰り返すことがないよう環境を整える必要があります。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数多くの少年事件を取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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