業務上横領で事件化阻止

業務上横領で事件化阻止

業務上横領で事件化阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、岐阜県多治見市のX社で経理を担当していましたが、ギャンブル好きが高じて生活費に困っていました。
そこで、Aさんが管理している会社の金を着服することを考え付きました。
Aさんは、1回につき1万円を着服し、何十回も繰り返していました。
1年後、Aさんの不正に気付いたX社は、Aさんに対して横領した金額を返済するよう迫り、返済できない場合は岐阜県多治見警察署に被害届を出すと言っています。
(フィクションです。)

業務上横領罪について

刑法第253条は、業務上横領罪について以下のように規定しています。

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、
(1)業務上
(2)自己の占有する他人の物を
(3)横領
する罪です。

◇犯行の主体◇

業務上横領罪の主体は、「他人の物を業務上占有する者」に限られます。
「他人の物を占有する者」というのは、「委託に基づいて他人の物を占有する者」であり、委託に基づかないで自己の占有に帰した物を自己の物とする場合は、遺失物等横領罪となります。

「業務」とは、社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う事務であり、他人の物を占有保管することを内容とするものをいいます。
Aさんのように現金出納担当者は、「他人の物を業務上占有する者」に当たります。

◇犯行の対象◇

業務上横領罪の対象は、「自己の占有する他人の物」です。
「他人の占有する物」を領得した場合は、横領ではなく窃盗になります。
「占有」とは、事実上・法律上支配している状態のことです。
「他人の物」とは、他人の所有に属する財物をいいます。
つまり、「自己の占有する他人の物」というのは、自分(犯人)が事実上又は法律上支配している他人の所有する財物のことを指します。
業務上横領罪では、所有者ではない者が預かっているということが前提となっています。

◇行為◇

業務上横領罪の行為は「横領」することです。
「横領」とは、「自己の占有する他人の物などを不法に領得すること」、つまり、「他人の物などの占有者が、権限なく、その物に対し、所有者でなければできないような処分をする意思を実現する行為」をいいます。
例えば、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引出し、貸与、小切手の換金、費消、着服、拐帯、毀棄隠匿などが「横領」に当たります。

◇不法領得の意思◇

「不法領得の意思」は、
業務上横領罪を規定する条文には明記されていませんが、判例上認められた要件です。
「不法領得の意思」は、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思のことです。
横領罪における不法領得の意思は、「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。
ですので、一時使用の目的で、他人の物の占有者がその物を使用した場合、原則として、所有者でなければできないような処分を行ってはいないため、横領には当たらないことになります。
また、委託者本人のために目的物を処分する場合は、所有者でなければできないような処分を行っておらず、横領には該当しません。

業務上横領事件で事件化を阻止するには

業務上横領事件では、被害者は警察に相談する前に、横領された物を返済するよう行為者に求めることが多いです。
なぜなら、警察に相談し、行為者が何らかの刑事罰を受けたとしても、被害者には横領された物が返済されないことがあるからです。
会社の経営にも支障をきたすため、多くの場合、被害者は横領された物を取り返すことを優先します。
そのため、被害者に横領が発覚した直後に警察が介入しないこともめずらしくありません。

そこで、事件を早期に穏便に解決するためには、警察が介入する前に、被害者への被害弁償を行い、示談を成立させることにより、刑事事件化を阻止するよう動く必要があります。

そんなときには、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
当事者同士の交渉では、互いに感情的になったり、横領に関係のない支出までも横領したものとして扱われ、交渉が難航することもあります。
しかし、弁護士を介して交渉を行うことにより、冷静に交渉を進めることができますし、刑事処罰を求めない旨の合意を成立させることも期待できます。

業務上横領事件で刑事事件化阻止を目指すなら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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