業務妨害罪で逮捕
Aさんは、友人のBさんら2名と自宅で飲酒している最中、酒とつまみを買い足すために岐阜県関市のコンビニVに行きました。
Aさんらは酔っぱらっていたこともあり、買い物の最中におでんが入った什器に何秒間指をつけていられるかという遊びを始めました。
間もなくして、一人で品出しをしていた従業員がAさんらの行為に気づいて警察に通報しました。
その後、Aさんらは威力業務妨害罪の疑いで岐阜県関警察署に逮捕されたため、接見に来た弁護士に不起訴にならないか聞いてみました。
(フィクションです)
【威力業務妨害罪について】
刑法
第二百三十三条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百三十四条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
嘘をついたり粗暴な行為をしたりして人の業務を妨げた場合、業務妨害罪に当たる可能性があります。
たとえば、宅配ピザを取り扱う店に虚偽の注文をした場合には偽計業務妨害罪が、スーパーマーケットで暴れて混乱を生じさせた場合には威力業務妨害罪が成立すると考えられます。
威力業務妨害罪については、先ほど引用した刑法234条に規定されています。
威力業務妨害罪における「威力」は、人の意思を制圧するに足りる勢力と説明されることがあります。
これは典型的な暴行や脅迫よりも広い概念であり、たとえば人を混乱に陥れるような物を置く、人に対して怒号を浴びせるといった行為も、場合によっては威力業務妨害罪に当たると考えられます。
上記事例では、Aさんらがおでんの什器に指を入れ、店内の衛生に問題を生じさせています。
指を入れるという行為を一般的な暴行や脅迫と同視するのは困難ですが、こうした行為も威力業務妨害罪の「威力」には含まれると考えられます。
そうすると、Aさんらには威力業務妨害罪が成立する可能性があります。
ちなみに、店の売上が落ちるなど具体的な損害が生じたかどうかは、業務妨害罪の成否とは無関係だと考えられています。
【示談】
「示談」と聞くと、刑事事件をお金で解決するというマイナスのイメージを持たれる方が多いかもしれません。
ですが、実際の示談は、金銭の支払い以外にも様々な合意を結びます。
示談というのは当事者間において事件が解決したことを示すものであり、中身もそれに値する内容でなければならないためです。
中心となるのは謝罪と被害弁償ですが、その他に接近禁止や転居などが合意されることもあります。
威力業務妨害罪は業務活動の自由を保護する罪であり、その違法性は結局のところ業務を営む被害店舗に害を加えたことを根拠とします。
ですので、その被害者である被害店舗が犯人を許しているのであれば、そこまで積極的に刑罰を科す必要がないと考えられます。
示談が処分の決定に大きな影響を及ぼす理由は、正にその点にあります。
当事者間で事件が解決されたことが確認されれば、いったん刑罰を科すのは考え直すべきだとして不起訴や執行猶予になるというわけです。
以上のように、示談が刑事事件において持つ効果は非常に大きいと言えます。
それだけに、被害者にとって納得のいく解決がなされなければ、たとえ示談書や念書が交わされたとしてもその効力を最大限に発揮するのは難しいでしょう。
きちんと中身のある示談を締結するなら、やはりトラブル解決のプロである弁護士に依頼するのが得策です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談の経験豊富な弁護士が、事件の円満な終了に向けて全力を尽くします。
威力業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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