銃刀法違反と軽犯罪法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県瑞穂市の公園のベンチに座っていたAさんは、巡回中の岐阜県北方警察署の警察官に職務質問を受けました。
所持品検査を受けた際、持っていたカバンから刃物が見つかりました。
警察官は、Aさんに警察署に同行するよう求めました。
(フィクションです。)
刃物を携帯する行為~銃刀法違反と軽犯罪法違反~
ナイフをカバンや車のデッシュボートに入れて外に出た際、たまたま警察官からの職務質問にあい、持っていたナイフが見つかり、取調べを受けることになった…、という話はそう少なくありません。
なかでも、キャンプのために持って行ったナイフをそのまま車に置いておいたケースが多いようです。
ナイフなどの刃物を携帯していた場合、刃物の種類によっては、銃刀法違反、もしくは軽犯罪法違反に当たる可能性があります。
(1)銃刀法違反となる場合
銃刀法は、「銃砲刀剣類所持等取締法」の略称で、銃砲・刀剣類の取り締まりを目的として法律です。
銃刀法は、法令に基づき職務のための所持する場合などを除き、原則として銃砲・刀剣類の所持を禁止しています。
「刀剣類」というのは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり、なぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち、そして、45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛び出しナイフのことをいいます。
このような「刀剣類」を「所持」することが禁じられており、違反した場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
「所持」とは、人が物を補完する実力的支配関係を内容とする行為であり、事実上、管理、支配する行為を意味します。
銃刀法は、「刀剣類」の「所持」を禁止しているだけでなく、「刃物」の「携帯」についても規制の対象としています。
対象となる「刃物」は、その用法において人を殺傷する性能を有し、銅又はこれと同程度の物理的性能を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で刀剣類以外のものをいい、刃体の長さが6センチメートルを超えるものです。
ただし、刃体の長さが6センチメートルを超えるものであっても、銃刀法の規制から除外されるものがあります。
はさみ:刃体の長さが8センチメートル以下で、刃体の先端が著しく鋭くなく、刃が鋭利でない。
折り畳み式ナイフ:刃体の長さが8センチメートル以下で、刃体の幅が1.5センチメートル以下、刃体の厚みが0.25センチメートル以下、開刃した刃物をさやに固定させる装置を有しない。
くだものナイフ:刃体の長さが8センチメートル以下、刃体の厚みが0.15センチメートル以下、刃体の先端部が丸みを帯びている。
切出し:刃体の長さが7センチメートル以下、刃体の幅が2センチメートル以下、刃体の厚みが0.2センチメートル以下。
規制対象の刃物を「携帯」する行為が禁止され、それに違反した場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
「携帯」とは、日常生活を営む自宅ないし居室以外の場所において、身体に帯びるか直ちに使用し得る状態で自己の身辺に置き、その状態をある程度の時間継続することをいいます。
業務その他正当な理由による場合には、違反となりませんが、護身用として携帯する場合は正当な理由には当たりません。
軽犯罪法違反
銃刀法の規制対象外の刃物を所持していた場合でも、軽犯罪法に触れる可能性があります。
軽犯罪法第1条2号は、「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」に拘留又は科料を科すとしています。
銃刀法における「刀剣類」や「刃体の長さが6センチメートルを超える刃物」に当たらないものも、軽犯罪法で規制される器具に該当することがあります。
そのような器具を「隠して携帯」することが禁止されています。
「隠して携帯」するというのは、普通では人目に触れにくいような状態、例えば、ポケット、着衣、カバン、バッグに入れるなどして携帯することです。
このように、刃物を携帯することで銃刀法あるいは軽犯罪法に違反することもあるのです。
銃刀法違反または軽犯罪法違反で取調べを受けて対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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