今回は、岐阜県大垣警察署の留置場で起きた特別公務員陵虐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
~ケース~
岐阜県大垣警察署の留置場で勾留中の女性に繰り返しわいせつな行為をしたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われた同署留置管理課元巡査長の初公判が4月15日、岐阜地方裁判所で開かれました。
起訴状などによると、元巡査長は2021年12月23日から2022年1月4日にかけ、複数回、大垣警察署の留置場で業務にあたっていた際、勾留中の30代女性が1人でいる居室に入り、わいせつな行為をしたとされています。(2022年4月16日 岐阜新聞Web 「未明の留置場で数時間、勾留中の女性にわいせつ行為 元巡査長、起訴内容認める 岐阜地裁」より引用)
~特別公務員暴行陵虐罪とは~
刑法第195条1項は、「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する」とされています。
また、同条2項では、「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする」としています。
「職務を行うに当たり」とは、職務を行う機会にという意味であり、警察署留置施設で勾留中の女性に対する行為は、「職務を行うに当たり」といえるでしょう。
「陵辱」とは、辱める行為や精神的に苦痛を与える行為を指し、わいせつな行為はこれに当たります。
この罪は収賄罪等と同じく汚職の罪であり、公務の適正の保護を目的としたものですので、被害者が同意していたかどうかや、実際に被害が生じたかどうかは、犯罪の成立を左右しません。
信じがたい不祥事ではありますが、過去にも
・「勤務中に巡査が窃盗嫌疑者の少女の陰部を弄したり姦淫するなどのわいせつ、姦淫行為を行った場合」(大審院大正4年6月1日判決)
・「パトカーで警ら中の警察官がシンナーを吸引している可能性のある少女を同車内に連れ込んで所持品検査に名を借りてわいせつ行為をした場合」(大阪地裁平成5年3月25日判決)
などの同種事例が存在します。
逮捕・勾留中に留置場の職員などからこのような被害を受けた場合には、すぐに弁護士と相談して下さい。
弁護士を通じて、抗議を行っていくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特別公務員暴行陵虐罪についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。