恐喝事件の共犯事件
恐喝事件の共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Bさんは、お金を奪おうと考え、岐阜県関市にある公園において、同市内に住むVさんに反抗を抑圧するに至らない暴行を加えました。
その際、Vさんは全治2週間の怪我をしました。
Bさんは「すぐに金を取りに戻るから、大人しく待っておけ」と告げ、その場でお金を受け取りませんでした。
その後、Bさんは友人であるAさんに事情を話し、Bさんの代わりにお金を受け取ってもらう約束をしました。
Aさんは、お金に目が眩み、お金を取りに行き、受領しました。
後日、Aさんは自身の過ちに気が付きました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【Aさんは何罪になるか】
刑事事件例のAさんのように、共犯者(Bさん)が暴行を加え傷害を負わせた(傷害罪が成立します)後、途中からBさんの犯罪(恐喝罪)に加担した場合、Aさんは何罪となるのでしょうか。
刑法60条(共同正犯)
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法60条の規定では、犯罪の一部を実行したに過ぎない者も、ある種の連帯責任として、その犯罪の全責任を負うとされています。
刑法60条の「すべて正犯とする」とは、他の共犯者(刑事事件例ではBさん)の分担部分についても責任を負わせられるという意味です。
この連帯責任を負う理由については、共犯者間で相互に利用補充し合って犯罪を実現したからであるとされています。
ここで刑事事件例のAさんのように、他の共犯者(刑事事件例ではBさん)が犯罪行為(刑事事件例では傷害罪と恐喝罪)を開始した後からその犯罪行為に加わった場合、その者は自分が加わる前になされた犯罪行為(刑事事件例では傷害罪と恐喝罪)についても連帯責任を負うのでしょうか。
この点、後行者(刑事事件例ではAさん)が、先行者(刑事事件例ではBさん)の行為や結果を積極的に自分の犯罪遂行の手段として利用した場合、共犯者間で相互に利用補充し合って犯罪を実現したといえます。
よって、先行者の行為や結果を積極的に自分の犯罪遂行の手段として利用した限度で、その者は自分が加わる前になされた犯罪行為についても連帯責任を負うと考えられています。
刑事事件例でいえば、Aさんは、先行者であるBさんの暴行行為を利用補充したといえます。
一方、Aさんは、傷害の結果までも利用補充したとはいえません。
よって、Aさんは、恐喝罪の限度で連帯責任を負う(共同正犯が成立する)ことになります。
【恐喝罪の共犯(共同正犯)事件を起こしたら】
恐喝罪の共犯(共同正犯)事件を起こした場合、他の共犯者の分担部分についても責任を負わせられるので、結局のところ恐喝罪の全責任を負うことになります。
すなわち、恐喝罪の刑事罰である「10年以下の懲役」に処されることになります(刑法249条1項)。
Aさんの気持ちとして、お金欲しさにBさんの犯罪にちょっとだけ加担しただけだと認識している可能性がありますが、恐喝罪として「10年以下の懲役」の重い刑事罰が科せれる可能性があるので、十分注意する必要があります。
恐喝事件の共犯事件を起こし、重い刑事罰が科せれることが不安な場合は、なるべく早く刑事弁護士に相談し、不安を少しでも解消することが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
恐喝事件の共犯でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。