横領事件で逮捕

横領事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、岐阜県中津川市のレンタカー会社でコンパクトカー1台を1週間借りる契約をしました。
1週間後、レンタカー会社は、Aさんから「急用ができて遠方に来ているので、契約期間の延長をしたい。」との申し出を受け、1週間の延長としました。
しかし、期限が過ぎても何の連絡もないため、レンタカー会社からAさんに連絡を入れるも応答がありません。
返却期限から1か月ほど経ち、レンタカー会社はとうとう岐阜県中津川警察署に相談し、被害届を出しました。
それから数か月経ったある日、Aさんが借りていたコンパクトカーが市内に駐車してあったを同所の職員が発見しました。
署員は、Aさんが車に戻ってきたところを見計らいAさんに話を聞いたところ、容疑を認めたため横領の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

レンタカーを返却せずにいると…

レンタカーを借りたものの、そのレンタカーを返却せずにいた場合、刑事法上の「横領罪」に問われる可能性があります。

横領罪とは

第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

◇犯行の主体◇

横領罪の犯行の主体となるのは、「他人の物を占有する者」または「公務所から保管を命ぜられた自己の物の占有者」です。
「他人の物を占有する者」というのは、委託に基づいて他人の物を占有する者のことを指します。
「公務所から保管を命ぜられた自己の物を占有する者」とは、強制執行や滞納処分として差し押さえがなされた場合に、差し押さえられた物を債務者や滞納者に保管させる場合などです。

◇犯行の対象◇

横領罪の客体は、「自己の占有する他人の物」です。
つまり、「物」であること、「占有が委託に基づく」こと、「自己が占有している」こと、そして「それが他人の物」であることが必要となります。

「物」であること
横領罪における「物」は、窃盗罪における「財物」と同義ですが、動産の他に不動産も含まれます。
上記ケースでは、レンタカー(=車)が横領されたとされる客体ですが、車は「物」(=財物)です。

「占有が委託に基づく」こと
自己の占有は、所有者その他の権限者からの委託に基づくことが必要です。
委託関係は、物の保管を内容とする契約、法定代理人や法人の期間としての地位、売買契約の売主としての地位、雇用関係、事務管理、慣習、条理、信義則からも生じ得ます。
レンタカーの使用保管については、レンタカー会社と客との間でレンタカーの賃貸借契約が結ばれているため、上記ケースでは「占有が委託に基づ」いていたと言えるでしょう。

「自己が占有している」こと
横領罪における「占有」は、窃盗罪において、物に対する事実上の支配を意味するのに加えて、法律上の支配も含みます。
法律上の支配とは、例えば、AがB銀行に預金をした場合におけるAの預金に対する支配や、Aが不動産をBに売却したが、登記はA名義で残存していた場合のAの不動産に対する支配などが含まれます。

「他人の物」であること
「他人の物」とは、他人の所有に属する財物のことを意味します。
上記ケースでは、車の賃貸借契約により、Aさんはレンタカー会社が所有する車を事実上支配している状態であるため、「他人の物」を「自己が占有してい」たと言えます。

◇行為◇

横領罪の実行行為は、「横領」です。
横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得することです。
つまり、他人の物を占有する者が、権限なく、その物に対し、所有者でなければできないような処分をする意思(=不法領得の意思)を実現する行為を指します。
例えば、横領に該当する行為としては、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引き出し、貸与、小切手の換金、消費、着服などが挙げられます。
また、他人の物を毀棄、隠匿する意思で処分した場合であっても、所有者でなければできないような処分を行っているのであるから横領に当たるとされます。
一方、一時使用の目的で、他人の物を占有する者がその物を使用した場合、原則として、所有者でなければできないような処分を行っていないため横領には該当しないことになります。
しかし、その利用が、権利者が許容しないであろう程度・態様のものである場合には、不法領得の意思が認められることがあります。

◇主観的要素◇

条文にはありませんが、「不法領得の意思」は判例上認められた要件です。
また、横領罪の成立には、「自己の占有する他人の物を横領することなどの認識・認容」が必要となります。

レンタカーを借りたものの返却せず、自分の物にしてしまおうと思い乗り続けていると、横領罪が成立する可能性があります。
また、最初から返すつもりがなく借りた場合には、「横領罪」ではなく「詐欺罪」に問われる可能性があります。

横領罪は財産犯であるので、被害を回復する必要があります。
横領罪で逮捕された場合には、被害者への被害弁償を行い、示談を成立させ、事件を穏便に解決することを目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
横領事件でご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

 

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