危険運転致死傷事件の裁判を紹介【裁判員裁判】

危険運転致死傷事件の裁判を紹介【裁判員裁判】

危険運転致死傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案:飲酒運転をして制御困難な速度で対向車線の軽乗用車などと衝突する事故を起こし、2人を死傷させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた被告人の裁判員裁判で、名古屋地裁は、懲役10年(求刑・懲役12年)の実刑判決を言い渡した。
公判で、被告人側は「制御困難な速度にあたらず、過失運転致死傷にとどまる」と主張していた。
しかし、判決は、事故現場の道路状況などから「高速度で走行し、わずかな運転ミスを起こしたこと以外に事故原因は考えがたい」と退けた上で、被告には制御困難になる危険性の認識もあったとして、危険運転にあたると結論づけた。
(読売新聞「危険運転致死傷懲役10年/地裁判決」(2022/06/24)より引用・参照。)

~裁判員裁判について~

本事案は、一般市民も事実認定や量刑判断に加わるいわゆる裁判員裁判によって判決が下されています。
裁判員裁判といえば典型的には殺人事件などの極めて重大な事件がその対象となるため、交通事件で裁判員裁判が開かれていることに違和感を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。

裁判員法2条1項をみると、2号において「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」を、裁判員裁判対象事件と定めています。
そして、裁判所法26条2項2号とは「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪……に係る事件」をいい、危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法2条)は、危険運転によって「人を死亡させた者」を「1年以上の有期懲役に処する」と規定しています。
危険運転致死傷罪の成立には、危険運転について「故意」が必要となるため、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」として、裁判員裁判対象事件となることになるのです。

~危険運転致死傷事件における量刑と弁護活動~

本事案では、「懲役10年」の実刑判決が下されていますが、裁判員裁判においては量刑データベースなどによって、同種事件と平仄を合わせることが重視されていることもあり、量刑相場と大きく相違のない判決となっていると思われます。
したがって、弁護活動の一例としては、本事案のようにそもそも危険運転致死傷罪の成立を争い、過失運転致死傷罪が成立するにとどまるとの主張をすることが考えられます。
危険運転致死傷罪の成立が認められると、その量刑は過失運転致死傷罪の約2倍が相場ともいわれているため、事案によっては危険運転致死傷罪の成立を争う弁護活動も十分に考えられるところです。
他方で、罪の成立自体は認めた上で、遺族等との示談を成立させるなど情状弁護により傾注した弁護活動も考えられるところです。
弁護士としては、事件の性質を見極めた上で最善の弁護活動が行っていくこととなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致死傷などの交通事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
交通事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお電話ください。

 

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