殺意を否認する場合

殺意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県羽島郡笠松町に住むAさんは、同居の親族を殺害したとして、殺人の容疑で岐阜県岐阜羽島警察署に逮捕されました。
Aさんは、「殺すつもりはなかった。包丁を向けたら相手がビビると思って向けただけ。」と殺意否認しています。
接見にやってきた弁護士にも同じように殺意はなかったと話しています。
(フィクションです。)

殺意について

殺人罪は、「人を殺した」ことで問われる罪ですが、殺人罪が成立するためには、人の死という結果をもってのみではなく、「人を殺す」という意思に基づいて殺害行為を行い、よって人を死亡させた場合でなければなりません。
つまり、殺人罪においては、殺害行為という客観的構成要件の他に、その主観的構成要件として、殺害行為を認識・予見し、かつ認容するという故意が必要となります。
罪を犯す意思である故意、殺人罪においては「殺意」が認められなければ殺人罪は成立しません。
故意について、客体の認識は、単に「人」であることの認識で足り、行為の認識は、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していればよいとされます。
故意は未必的なものでも、条件付きのものでも構いません。
確定的殺意と未必的殺意のいづれであっても殺人罪は成立しますが、その量刑には違いが出てくるため、その区別についての認定は重要な問題となります。

殺人事件において、殺意を否認するケースは少なくありません。
通常、殺意の認定に当たっては、まず①行為態様が考慮されます。
具体的には、被害者の身体のどの部位に、どの程度の創傷を、どのような凶器を使用して、どのような方法で負わせたのか、という点を明らかにして、殺意の有無を検討します。
被害者の身体のどの部位については、東部、顔面、頸部、胸部、腹部は体の枢要部であるため、それらの部位に対する攻撃は、一般的に被害者に対して死の結果をもたらすおそれのある行為として殺意を認定する上での重要な間接事実とされます。
また、傷が深ければ深いほど殺意が認定される方向に働きますし、傷の箇所が多ければ多いほど殺意が認められる方向に働きます。
凶器が刃物や拳銃などであって場合は、その人体への危険性から、人を殺害するに足りる凶器と認められますが、刃物についてはその刃体や刃渡りの長さが短い場合には、創傷の部位や程度などと併せて検討されます。
本来殺害に用いられるための凶器でない金属バットなども、創傷の部位や程度、その他の要素と併せて殺意の有無について検討されます。
①行為態様の他にも、②犯行に及ぶ動機の有無、③犯行に至る経緯の中での言動、④犯行時の言動、⑤犯行後の言動等をも考慮し、そこでみられる間接事実から、殺意を推認させるものがあるかどうかが検討されます。

以上の要素を総合的に考慮して、殺意の有無について判断されます。
そのため、殺意否認している場合には、それらの要素から殺意が認められないことを客観的証拠に基づいて立証する必要があります。
殺意が認められない場合には、殺人罪ではなく傷害致死罪が成立するにとどまります。
どちらの罪が成立するかで、有罪となった場合に科される刑罰も変わってきますので、殺意否認する場合には、早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

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