窃盗(万引き)罪と執行猶予

窃盗(万引き)罪と執行猶予

会社事務員のA子さんは、休みの日に岐阜県大垣市のデパートに買い物に行きました。
そして婦人服売り場で、ずっと前から欲しかったハンドバックをたまたま見つけたのですが、給料日前で現金を持ち合わせていなかったAさんは、万引きすることを思いつき、店の中に入りました。
Aさんは店員の様子をうかがいながら店内をうろつき、店員が他の客の対応をしている隙に、陳列棚の上に展示してあったハンドバックを手に持ち、品定めをするふりをしながら値札をひきちぎり、窃取しました。
Aさんは、窃盗の前科前歴があり、今回は執行猶予期間中の犯行ということで、AさんもAさんの家族も今度こそ実刑になるのではないかと不安でたまりません。
(フィクションです。)

窃盗症とは

常習窃盗を大きく分類すると以下の3つに分けられます。
①経済的利益のために金目の物品や金銭を盗む職業的犯罪者
②飢えて食べ物や生活必需品を盗む貧困者
③金があるのに些細なものを盗む病的窃盗者

③のように、十分な資産を有しているにもかかわらず、繰り返し数百円の物を盗む者は、窃盗症(クレプトマニア)と呼ばれる精神障害を患っている可能性があります。
クレプトマニアの人は、物を盗む時のスリルや、成功した時の達成感、開放感を得る為に窃盗を繰り返します。
窃盗が犯罪であるという事を頭で理解しているのですが、物を盗もうとする衝動に抵抗する事ができず犯行を繰り返してしまいます。
窃盗症(クレプトマニア)の方の再犯を防止するには、刑務所に服役させる等の刑罰を科すよりも、専門家のカウンセリングを受けたり、専門医の治療を受ける方が有効的だという専門家の意見があります。

過去10年以内に窃盗罪などで懲役6月以上を3回以上言い渡された人が新たに窃盗罪に問われた場合、常習累犯窃盗罪が適用される可能性があります。
常習累犯窃盗罪とは「盗犯等の防止及び処分に関する法律」に定められた法律で、起訴されて有罪が確定すれば「3年以上の懲役」と非常に厳しい法定刑が定められています。
刑法の規定では、執行猶予を付けられるのは懲役3年以下などに限定されているため、常習累犯窃盗罪で起訴された場合、実刑を免れることは非常に難しく、長期服役の可能性もあります。
実際に、1回の犯行で被害額が数百円程度の万引き事件を繰り返した男性に、常習累犯窃盗罪が適用されて「懲役5年」の判決が言い渡された裁判例もあるほどです。

執行猶予について

窃盗罪の罰則規定は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
万引きのような被害額が少ない窃盗事件の場合は、初犯で微罪処分、2回目で起訴猶予、3回目で略式罰金若しくは執行猶予付判決、4回目で懲役刑となるケースがほとんどです。
刑事事件に強い弁護士を選任して、被害弁済したり、示談する事で、処分が軽くなる事は十分に考えられますが、通常は、回数を重ねるごとに厳しい処分となります。
ただし、過去には、保護観察付きの執行猶予期間中に再犯に及んだ窃盗事件で、裁判所が罰金刑を言い渡した裁判がありました。
この裁判の被告人は、窃盗症(クレプトマニア)の治療中に事件を起こしており、簡易裁判所は「保護観察を継続して更生に努めさせるのが相当」として罰金刑を言い渡したのです。

自分ではやめたいと思っているのに、万引きを繰り返してしまう、そのような場合には、窃盗症が疑われるかもしれません。
窃盗症は一種の精神疾患ですので、刑罰を科すことでは再発防止は望めないでしょう。
何よりも専門の治療を受ける必要があります。
ですので、窃盗症と診断される場合には、治療に専念するため社会内処遇が適していることを説得的に主張することが重要です。
上記ケースにように、窃盗症を患う方が執行猶予期間中に再度犯行に及んでしまうケースは少なくありません。
窃盗症であると診断された場合には、医師による専門的治療を受けたり、支援組織による講義に参加したりと、窃盗症を克服できる環境づくりが必要です。
その上で、弁護士は、裁判において、常習窃盗の原因が窃盗症であること、専門的治療を受ける環境がととのっていること、本人も治療に専念し再発防止に意欲的であることや、家族からの支援が期待できることなど、もう一度社会内で更生する機会を与えてもらうよう、弁護活動に取り組みます。

岐阜県の窃盗事件で、窃盗症が疑われる方、執行猶予となり社会内での更生をご希望の方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

 

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