死体遺棄事件で取調べ

◇事件◇

会社員のAさんは、岐阜県下呂市の実家に独り暮らしをしている母親がいます。
ゴールデンウィークに久しぶりに実家に帰省した際に、実家の居間で死亡している母親を発見したAさんは、母親の遺体を寝室に敷いた布団の上に寝かせました。
そしてすぐに警察に連絡すればよかったのですが、ゴールデンウィーク明けに出張の予定があったAさんは、しばらく母親の遺体を放置し、出張から帰ってきて警察に届け出ることにしました。
しかし出張に行っている間に、郵便ポストに新聞がたまっていることに気付いた近所の住民が岐阜県下呂警察署に届け出て、実家に立ち入った警察官によって母親の遺体が発見されてしまいました。
警察によって母親の遺体が司法解剖されて、病死であることが判明しましたが、Aさんは母親の遺体を放置した事実の死体遺棄罪で、岐阜県下呂警察署において取調べを受けています。
(フィクションです)

◇死体遺棄罪◇

刑法第190条(死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

死体遺棄とは
死体遺棄とは死体を遺棄することです。
「死体」・・・死亡した人の身体をいいます。(人の形体を備えている以上、死胎をも含まれます。)
「遺棄」・・・通常の埋葬と認められない方法で死体等を放棄することをいう。

※遺骨の遺棄も死体遺棄罪の罰則対象となりますが、「散骨」については厳密にいうと死体遺棄行為に該当する可能性もあるでしょうが、節度をもって行われる限り問題はないとされているのが一般的で、実際に散骨行為に死体遺棄罪が適用された例はないようです。

遺体を放置
死体遺棄罪でいうところの「遺棄」については上記のとおりですが、Aさんのように遺体を発見しながら放置する行為も遺棄行為に該当するのでしょうか。
「遺棄」とは、通常であれば死体等を移動させることによる放棄、隠匿行為を意味しますが、埋葬の義務を有する者が死体を放置する事によっても、不真正不作為犯としての「遺棄」が成立するとされています。
よってAさんの行為も死体遺棄罪に抵触する事となります。

◇刑事処分◇

刑事事件で被疑者(犯人)として警察で取調べを受けると、事件は検察庁に送致されます。そこで検察官が、被疑者(犯人)を起訴するか否かを決定するのですが、もし起訴されなかった場合は不起訴といい、刑事裁判は開かれません。
起訴された場合は、刑事裁判によって処分が決定しますが、罰金刑の場合は裁判が開かれない事もあります。(略式起訴)
日本の刑事裁判の有罪率は99パーセント以上と非常に高くなっていますが、これは「疑わしきは罰せず。」という刑事裁判における原則が、すでに裁判を提起(起訴)するか否かの時点で採用されている事が分かります。
つまり、裁判を提起(起訴)する検察官は、100パーセント有罪である、つまり被告人が絶対に犯人であるという確証がなければ、なかなか起訴しないという事です。
こうして起訴された場合に開かれる刑事裁判は、主に量刑が争点となる裁判がほとんどで、有罪か無罪かを争う裁判は、刑事裁判全体の1割にも満たないと言われています。
量刑とは被告人に課せられる罰則の事で、その範囲は、法定刑で定められた範囲内で決定します

◇執行猶予とは◇

執行猶予とは、一定の期間他の刑事事件を起こさないことを条件として、刑の執行を猶予する制度をいいます。
執行猶予付きの判決が言い渡された場合、すぐに刑務所に行くことはなく、執行猶予期間中に無事に経過すれば、裁判官から言い渡された刑罰を実際に受けなくて済むのです。

執行猶予の対象となる要件は、
①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、
②前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
について、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡す場合となります。
しかし、以上の要件は執行猶予の対象となる要件であり、執行猶予を付けるか否かは、裁判官が決めます。
上の要件を満たしており、かつ、「本人が反省している」「犯罪が悪質でない」「執行猶予を付しても再犯のおそれがない」といった情状が考慮され、執行猶予を付けるか否かを判断します。

執行猶予を目指す活動としては、執行猶予になるための要件を満たしていることを前提に、執行猶予とすべき情状を主張していくことが挙げられます。

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