傷害事件:不作為による幇助

不作為による幇助について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさんは、岐阜県不破郡垂井町のアパートに、内縁の夫Bさんと長女Vちゃん(2歳)と3人で暮らしていました。
Bさんは、Vちゃんが言うことを聞かない時に、しつけと称してVちゃんに対して殴るなどの暴行を加えていました。
Aさんは、Bさんの行為を知っていましたが特にそれを止めることはありませんでした。
ある日、岐阜県垂井警察署は、Vちゃんに暴行を加えて怪我を負わせたとして、Bさんを傷害の容疑で逮捕しました。
その後、Aさんも警察から取調べを受けることになりました。
(フィクションです。)

正犯と共犯

「正犯」とは、自ら各犯罪の基本的構成要件に該当する行為を行う者をいいます。
基本的構成要件というのは、法律に規定されている構成要件、つまり、どういう行為が犯罪にあたるかという犯罪の類型のことです。
例えば、傷害罪であれば、「他人の身体を傷害すること」です。
BさんがVちゃんに暴行を加えて怪我を負わせたのであれば、Bさんは自身でVちゃんの身体を傷害したと言え、BさんはVちゃんに対する傷害の正犯となります。

しかしながら現実には、1人で犯罪を実現する場合だけでなく、2人以上で協力して犯罪を実現する場合も少なくありません。
このように、2人以上の行為者が協力して犯罪を実現させる場合を「共犯」といいます。

共犯には、「共同正犯」、「教唆」、そして「幇助」の3つの類型があります。

共同正犯は、2人以上共同して犯罪を実行することを意味し、正犯として取り扱われます。

教唆は、人を教唆して犯罪を実行させることであり、正犯の刑を科すものとされています。

幇助とは

共犯の第3類型の「幇助」とは、「正犯を幇助」することであり、「従犯」として取り扱われ、正犯の刑を減軽した刑が科されることになります。
幇助」は、正犯に物理的・精神的な援助や支援を付与することで、その実行行為の遂行を促進し、構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
つまり、手助けが正犯の犯罪実現に役立ったという場合でなければ幇助犯は成立しません。
また、幇助の意思がない場合にも幇助犯は成立しません。

不作為による幇助

不作為による幇助は、一般的に、犯罪を防止するべき作為義務がある者が、この義務に違反して犯罪の防止を行ったときに成立するとされています。
つまり、保障人に義務づけられる措置の不履行が認められ、その措置を行わないことによって犯行を容易にし、これら客観的要件を認識している場合に幇助犯が成立することになります。
この点、保障人に義務付けられる措置とは、どのようなものをいうかが問題となりますが、少なくとも正犯による犯罪の実現を防止することができるような行為、犯罪の実現を困難にすることが可能な行為を行うことが求められます。
そのため、Aさんは、自らVちゃんに手を出してはいないものの、Bさんの暴力からVちゃんを守るため、言葉による制止だけでなく、体を張って阻止することや、その場で犯罪の実現を阻止し得る行為を行わなければならない立場であったとされるでしょう。

このように、何もしないことが犯罪を手助けしたとして幇助犯が成立する場合もあります。
また、児童虐待事件においては、事案によっては幇助犯ではなく共同正犯(共謀共同正犯)となることもありますので、刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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