少年事件で不処分

少年事件不処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県揖斐郡大野町に住む高校生のAさんは、生活態度について父親から説教をされたことに腹を立て、口論の末、台所に置いてあった包丁を持ち出して、「ふざけんな。殺すぞ。」と叫び、包丁を父親に向けました。
それを見た母親は、怖くなり、喧嘩を止めるために110番しました。
通報を受けて自宅に駆け付けた岐阜県揖斐警察署の警察官は、Aさんを警察署に連れていきました。
Aさんの両親は、事態が大ごとになり、今後Aさんに対してどんな処分が下されるのか心配になってきました。
(フィクションです。)

少年事件の処分

家庭裁判所は、事件を受理すると、調査官に調査を命じ、審判を開始する、或いは開始しない旨の決定をします。
少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経た上でなお少年に要保護性が認められる場合に、審判開始決定がなされ、審判手続が開始されます。

審判が開始された場合、裁判官は以下のような処分を決定します。

【終局決定】
少年の最終的な処分を決する決定には、次の4種類があります。
不処分
②保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致)
③都道府県知事または児童相談所長送致
④検察官送致

【中間決定】
終局決定の前の中間的な措置としてなされる決定で、試験観察と呼ばれます。

以上の処分は、審判が開かれ、審判期日に言い渡されるものです。

不処分とは

審判期日に言い渡される決定のひとつである「不処分」について説明します。

家庭裁判所は、審判の結果に基づいて、保護処分に付することができないとき、及び、保護処分に付する必要がないと認められるときに、少年を保護処分に付さない旨の決定を行います。
この決定を不処分決定と言います。
不処分決定には、①家庭裁判所が保護処分に付することができないと認めた場合になされるもの、と、②家庭裁判所が保護処分に付する必要がないと認めたもの、との2種類があります。
以下、順に説明します。

①保護処分に付することができない場合の不処分

これは、法律上または事実上、保護処分に付することができない場合にされる不処分決定です。
例えば、非行事実の存在が認められない場合、少年に心神喪失・死亡・所在不明・疾病・海外居住といった事情が生じた場合、審判条件を欠く場合に、この決定がなされます。

②保護処分に付する必要がない場合の不処分

事件について、要保護性が存在しない、あるいは小さくなっているため、保護処分に付する必要がなく、児童福祉法上の措置や刑事処分の必要もない場合になされる不処分決定です。
例えば、調査や審判の過程で、関係者による働きかけが行われたことにより、要保護性が解消し、再非行のおそれがなくなった場合が挙げられます。
また、別件で保護処分に付されており、本件で特に処分をする必要が認められない場合にも不処分とされることがあります。

前者の場合における、関係者による働きかけには、裁判所の調査官や裁判官による働きかけや、審判手続を経ること自体や、観護措置による少年鑑別所での処遇も含まれます。
そして、付添人である弁護士による少年に対する働きかけ、特に環境調整活動は要保護性解消において最も重要なものと言えるでしょう。
弁護士は、少年本人やその保護者、学校の先生や職場の上司などといった少年の関係者と連携し、少年の更生に適した環境を整えるよう尽力します。

家庭は少年にとって一番身近な環境です。
家庭の問題が背景にない少年事件はそう多くはありません。
一見仲良く問題なく見える家庭であっても、一当事者が気付いていない小さな溝ができてしまっていることもありますし、明らかに少年と家族との間に深い亀裂が生じていることもあります。
事案によって家庭の問題は異なりますが、弁護士は少年と家族との間に入り、少年と家族とのコミュニケーションを活発にし、家庭にしっかりとした少年の居場所を作る、事件の原因や少年が抱える問題を家族で一緒に考え解決策を模索する手助けをする、などといった活動を行います。
上の事例でも、Aさんと父親との喧嘩から事件に発展しており、少なくともAさんと家族との問題が事件の背景にあるものと考えられますので、弁護士は、Aさんの家庭環境の改善に力を入れることになります。

要保護性解消に向けた環境調整活動は、付添人である弁護士が行う最も重要な活動のひとつです。
このような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
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