(借金の返済と恐喝罪)
借金の返済と恐喝罪について、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要(*フィクションです)】
多治見市に住むAさんは、知人のVさん(同市在住)に頼まれ、10万円を3か月後を返済期日として、無利子で貸し付けました。
ところが、約束の日になっても返済されなかったため、Vさんに催促の連絡をしたところ、「もう少し待ってほしい」と言われたため、仕方なく更に3ヶ月返済を猶予することにしました。
数日経ったある日、AさんはVさんが多治見市内のパチンコ店に出入りしているところを目撃しました。
自分への返済をしないで遊んでいることに腹を立てたAさんは、後日Vさんを呼び出し、持っていたナイフを突きつけながら、「自分への借金を返さないのに、パチンコ店で遊んでいるとはどういうことだ。今すぐに金を返せ。さもなければ痛い目にあわせるぞ。」と凄んで返済を迫りました。
Aさんのあまりの剣幕に驚き、恐怖感を覚えたVさんは、手持ちの現金3万円を渡し、「後日必ず返すから今日はこれで勘弁してほしい。」といい、なんとかAさんを帰しました。
結局数日たっても残金の返済がされなかったため、Aさんは再度Vさんへ連絡を取ろうと考えていたところ、岐阜県警察多治見警察署から、「Vさんに対する恐喝の件について、被害届が出ているから、多治見警察署で話が聞きたい。」と連絡がありました。
【恐喝罪とは】
恐喝罪とは、人を恐喝して財物を交付させた場合に成立する犯罪で、罰則規定は「十年以下の懲役」が定められています。
「恐喝」とは、人の反抗を抑圧するに足りない程度の暴行・脅迫によって、相手方を畏怖させることをいいます。
第二百四十九条
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2(略)
今回のケースで、AさんはVさんに対してナイフを突きつけ、借金を返済しなければ「痛い目にあわせるぞ。」と脅し、これに恐怖感を覚えたVさんから現金3万円を交付させていることから、恐喝罪が成立すると考えられます。
【借金返済を求めた場合でも恐喝罪?】
もっとも、今回のケースでは、Aさんは、Vさんに対して10万円の返済を求める権利(債権)を有しているので、Aさんの行為が行き過ぎとはいえ、恐喝罪が成立することに疑問を持つ方もいるでしょう。
この点について最高裁(最判昭和30年10月14日)は、債権の範囲内の金銭の交付を受けたとしても、その方法が社会通念上一般に受忍すべきと認められる限度を逸脱したときは、恐喝罪が成立すると判示しています。
今回のケースのように、相手にナイフを突きつけながら、脅し文句とともに借金の返済を迫る手段は、およそ社会通念上一般に受忍できる限度を超えているものと言わざるを得ませんので、Aさんには恐喝罪が成立する可能性が高いでしょう。
【困ったら弁護士に相談を】
恐喝罪は、先に述べたように法定刑が「十年以下の懲役」で、罰金刑が規定されていないため、起訴されてしまうと必ず正式裁判にかけられてしまいます。
そのため、事件化の回避や不起訴処分の獲得のためには、弁護士による被害者との示談交渉が非常に重要となります。
今回のケースでは、既に被害届が提出されているので、弁護士が、被害届を取り下げてもらうようVさんとの示談交渉を行います。
また、仮に起訴された場合、恐喝罪は初犯であっても実刑判決を受ける可能性がありますが、示談が成立していれば、執行猶予付き判決を獲得しやすくなります。
金銭トラブルをきっかけとした恐喝罪の疑いで取調べを受ける予定のある方、お困りの方は、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
恐喝罪の事案や被害者との示談交渉も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。