薬物事件で一部執行猶予

一部執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市のAさんは、覚醒剤の使用で岐阜県岐阜北警察署に逮捕されました。
Aさんは、覚醒剤などの違法薬物を使用・所持の前科があります。
薬物から手を洗いたいと思うAさんですが、今回はさすがに実刑も覚悟しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、すぐに薬物事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その期間内に再度罪を犯すことなく経過した場合に刑罰権を消滅させる制度を「執行猶予」といいます。
この執行猶予には、「刑の全部執行猶予」と「刑の一部執行猶予」の2種類があります。

「刑の全部執行猶予」は、刑の全部の執行を猶予する執行猶予です。
例えば、裁判官に、「被告人を懲役3年に処する。その刑の全部の執行を5年間猶予する。」と言われた場合、被告人はすぐに刑務所に入ることはなく、5年間の間再び罪を犯すことがなければ、言い渡された懲役3年という刑罰の効力が失われることになります。

一部執行猶予について

刑の全部執行猶予とは異なり、服役期間の一部の執行を猶予するのが刑の一部執行猶予制度です。
この制度は、2016年6月から施行されています。
一部執行猶予は、「特別予防のための実刑のバリエーション」といわれており、受刑者の再犯防止や社会復帰のために効果的な制度として期待され導入されました。
一部執行猶予は、全部実刑と全部執行猶予の中間刑ではなく、あくまでの実刑の1種ですので、まずは実刑か全部執行猶予かが検討され、実刑の場合に一部執行猶予とするかが検討されることになります。

一部執行猶予は、刑法及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予に関する法律に定められています。

1.刑法上の刑の一部執行猶予

刑法上の刑の一部執行猶予の対象となる者は、
・前に禁固以上の刑に処さられたことのない者
・前に禁固以上の刑に処さられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
・前に禁固以上の刑に処さられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
です。

また、言い渡される刑が3年以下の懲役又は禁固であり、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再犯防止に必要かつ相当であることが認められる場合に、1年以上5年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができると定められています。(刑法第27条の2)

2.薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予に関する法律上の一部執行猶予

この一部執行猶予が適用できるのは、覚醒剤や大麻などの違法薬物の使用や所持等となっています。
この制度が適用される要件は、
・刑法上の刑の一部執行猶予の対象となる者
・薬物使用等の罪を犯した者
・犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再犯防止に必要かつ相当であることが認められる場合
とされます。
また、この場合には保護観察は必要的に付されることになります。

薬物事件で執行猶予が難しい場合には、一部執行猶予となるよう裁判に挑む場合もあります。

薬物事件においては、どのような環境が更生に適しているのかを考えることが大切です。
ご家族が薬物事件で被疑者・被告人となりお困りの方は、薬物事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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