アタッシュケースの窃盗事件

アタッシュケースの窃盗事件

アタッシュケースの窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、岐阜県関市に住んでいるBさんから、アッシュケースを預かってほしいと言われました。
AさんはBさんに中身は何か尋ねると、Bさんから「金属類だ」と言われました。
アタッシュケースは鍵で施錠されていました。
数日後、Aさんは、Bさんから預かった金属類を換金して自分のものにしてしまおうと考え、アタッシュケースの鍵を何とかこじ開け、売り払いました。
後日、Aさんは、Bさんから「岐阜県関警察署に刑事告訴する」と言われてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)

【窃盗罪と横領罪について】

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人が事実上支配(占有)する財物を、他人の意思に反して、自己の事実上の支配(占有)に移すことをいいます。

刑法252条1項(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

横領罪は、他人からの委託に基づいて自己が事実上または法律上支配(占有)する他人の物を、委託の任務に背いて、物の所有者でなければできない処分をすることをいいます。

以上の窃盗罪横領罪の違いは、「誰」が物を事実上支配(占有)しているのかという点によって決まります。
すなわち、「他人」が物を事実上支配(占有)していれば窃盗罪が成立する可能性が高く、「自分」が物を事実上支配(占有)していれば横領罪が成立する可能性が高いといえることになります。

【封緘物の占有について】

封緘物(ふうかんぶつ)とは、財物を封印・施錠した物のことをいいます。
刑事事件例のアタッシュケースは封緘物に含まれることになります。

すでに述べた通り、窃盗罪横領罪の違いは、「誰」が物を事実上支配(占有)しているのかという点によって決まりますが、預けられたアタッシュケースは誰が事実上支配(占有)していることになるのでしょうか。

刑事事件例では、Aさんはアタッシュケースの保管を委託されているため、Aさんがアタッシュケース全体を事実上支配(占有)しているといえます。
とすると、アタッシュケース全体を自己の物にしてしまうと、Aさんには横領罪が成立すると考えられます。

一方、アタッシュケースは施錠されており、中身を披見することができないため、アタッシュケースの中身はVさんが事実上支配(占有)しているといえます。
とすると、アタッシュケースの中身を自己の物にしてしまうと、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

このように、自己の物にする対象が、アタッシュケース全体なのか、それともアタッシュケースの中身なのかによって、横領罪が成立するのか窃盗罪が成立するのかが決まるというのは少し不可思議な結論ですが、アタッシュケースの中身を自己の物にする意思があるのが通常であり、結局は窃盗罪が成立すると考えられています。

すでに見た通り、窃盗罪はその法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であり、長期刑に注目すれば横領罪よりも重い刑事罰が科せれることになっています。
知人から預けられたものを売っただけだと安易に考えない方がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪横領罪のような財産罪に強い刑事弁護士初回無料法律相談初回接見サービスを担当します。
アタッシュケースの窃盗事件についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

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