(事案紹介)ライターでティッシュ等に火…マンガ喫茶の店内で放火しようとした疑いで交番に自首した男性を逮捕
放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説しています。
このブログでは、漫画喫茶の店内でティッシュなどにライターを用いて放火を使用とした、という報道事例をもとに、放火に関する法律についてその成立などを検討しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、放火など重大事件に対応しています。
【事案の概要】
マンガ喫茶の店内で、ライターを使って放火しようとしたとして60代の男が逮捕されました。
男はマンガ喫茶の個室で、ライターでティッシュなどに火をつけ放火しようとした疑いが持たれています。
火は男性従業員によってすぐに消し止められましたが、個室内のモバイルバッテリーやゴミ箱などが燃えたほか、別の男性従業員が煙を吸って体調不良を訴え病院に搬送されました。
警察によりますと、男は近く交番に自首し、調べに対し容疑を認めているということです。
(10月19日東海テレビニュースで配信された記事を参考に、一部内容を変更しております。)
【放火の罪は非常に重い刑罰が定められている】
放火の罪について、刑法では108条以下に詳細に刑罰が定められていますが、非常に重い刑罰が定められています。
例えば、現に人が住んでいる若しくは人が使用している建物への放火は、現住建造物等放火罪(刑法108条)が適用されますが、刑罰として、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」と定められています。
また、人が使用していない建物への放火に適用される非現住建造物等放火罪(刑法109条)については、その建物が他人所有の場合は「二年以上の有期懲役」(同条1項)、自己の所有であっても「六月以上七年以下の懲役」(同条2項)と定められており、建物以外の放火に適用される建造物等以外放火罪(刑法110条)についても、他人所有であれば「一年以上十年以下の懲役」(同条1項)、自己の所有でも「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」と定められています。
そのため、自己所有建造物等以外放火罪を除く放火の罪については、起訴されれば必ず正式裁判となり、現住建造物等放火罪に至っては、法定減刑事由がなければ必ず実刑判決となってしまいます。
(執行猶予判決は、言い渡された刑罰が3年以下のときにされる場合があります。現住建造物等放火罪は法定刑の下限が5年であるため、未遂の場合や、情状酌量などといった法定減刑事由がなければ、執行猶予判決の対象となりません。)
このように放火の罪の刑罰が重い理由は、放火の罪の保護法益(法によって守られるべき利益のことをいいます)が「公共の安全」、すなわち不特定又は多数人の生命・身体・財産であるからです。
放火行為は、放火した建物のみならず、そこから延焼したりすることで、甚大な被害を生じさせるおそれがあることから、上記のような重い刑罰が定められているのです。
今回の事案は、マンガ喫茶の店内で放火しようとしたとのことですので、店内への放火行為の未遂として現住建造物等放火罪の未遂罪(刑法112条)が適用されると考えられます。
【具体的な弁護活動】
前述したように、放火の罪は非常に重い刑罰が定められ、起訴されれば必ず正式裁判となるため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、刑事事件に強い弁護士による弁護活動が不可欠です。
まず、今回のケースは、店内の備品が焼損しており、従業員の方も体調不良となっているため、焼損した備品および被害者の方への被害弁償を含めた示談交渉を行い、可能であれば宥恕条項付きの示談締結を目指します。
次に、刑事事件の起訴権限を有する検察官に対しては、被害者の方との間で示談が成立した場合は、当然その事実を主張し、今回のケースでは本人が自首をしているとして、本人が反省していることなども含めた主張を行い、今回の事件は不起訴処分(起訴しない)にすべきである旨主張します。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいることや、近くの交番に自首をしており、刑法上の自首(刑法42条1項)が成立すること、情状酌量の余地があること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指します。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
当事務所では、放火などの重大事件の弁護活動の経験も豊富です。
ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。