覚醒剤取締法違反(所持)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(所持)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
岐阜県可児市のマンションに暮らしているAさんは、、岐阜県可児警察署の家宅捜索を受けました。
警察は、Aさんの部屋で覚醒剤と思われる薬物を見つけました。
家宅捜索後、Aさんは覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、「交際相手が部屋に置いていったもので、私のものではない。覚醒剤だとは知らなかった。」と供述しています。
(フィクションです)
覚醒剤取締法違反(所持)について
覚醒剤取締法は、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用について必要な取締を行う法律です。
覚醒剤取締法は、原則的に覚醒剤の所持を禁止しています。
覚醒剤所持罪は、①覚醒剤を、②みだりに、③所持すること、によって成立します。
①覚醒剤
覚醒剤取締法の規制の対象となる「覚醒剤」とは、
(1) フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類。
(2)(1)に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するもの。
(3)(1)、(2)に掲げる物のいずれかを含有する物。
②みだりに
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
覚醒剤取締法第14条に規定されるような除外事由が存在するときは、覚醒剤所持罪の構成要件該当性が阻却され、本罪は成立しません。
③所持
「所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
また、覚醒剤所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。
覚醒剤取締法が禁止する覚醒剤の「所持」は、「覚醒剤を自己の実力的支配内に置くこと」です。
ですので、覚醒剤所持罪が成立するために必要な故意は、「覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること」となります。
上のケースのように、他人の覚醒剤を所持していたような場合では、被疑者・被告人が、「他人が勝手に置いていったものだ。」とか、「それが覚醒剤とは知らなかった。」と故意を否定することが少なくありません。
しかしながら、所持は、あくまで覚醒剤を自己の実力的支配内に置く行為であればよく、積極的に覚醒剤を自己又は他人のために保管する意思や、自ら所有し又は使用、処分する意思といったもの、どこかに隠すといった態様であることまでは必要ではありません。
覚醒剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けば、それで覚醒剤所持罪は成立し得ることになります。
「覚醒剤とは知らなかった。」と故意を否認するケースも多いのですが、覚醒剤であると確信していた場合だけでなく、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」場合も未必の故意が認められることになります。
そのため、Aさんが、「交際相手が置いて行ったもの。」と述べていますが、覚醒剤がAさんの物ではなく他人の物であっても、覚醒剤所持罪の成立には、当該覚醒剤をAさんの実力的支配内に置いていることを認識・認容しているのであればよく、積極的に交際相手の覚醒剤を保管する意思などは必要ありません。
また、Aさんが、交際相手が置いていった物について、「覚醒剤かもしれないけど…。」と思いつつ所持していたのであれば、覚醒剤所持罪の成立に必要な故意があるものと判断されます。
覚醒剤取締法違反で逮捕された場合、逮捕に引き続き勾留が付される可能性が非常に高く、身体拘束が長期化することが見込まれます。
また、弁護人以外との接見を禁止する接見禁止に付されることもあります。
ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてお困りであれば、薬物事件を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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