飲酒後の暴行・傷害事件
飲酒後の暴行・傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは彼女のVさん(同棲中)と喧嘩をしてしまいました。
原因は、Aさんの酒癖の悪さであり、Aさんは酔うと暴力を振るってしまうことが多々ありました。
やけになったAさんは、自宅にて深酒をしてしまい、このままお酒を飲み続ければ、もしかしたらVさんに対して、暴力を振るうかもしれないと考えました。
しかし、Aさんは「それもまた仕方がないことだ」と、なおも飲み続け、複雑酩酊状態・心神喪失状態に至りました。
そして、帰宅したVさんに殴る蹴るなどの暴行を加え、全治2週間の怪我を負わせてしまいました。
Vさんはその診断書ももらったといいます。
(刑事事件例はフィクションです。)
【飲酒後の暴行・傷害事件も犯罪になる】
刑法39条1項
心神喪失者の行為は、罰しない。
この記事(「飲酒後の暴行・傷害事件」)をお読みの方も、「心神喪失者の行為は、責任能力がないとして、処罰されない」ということを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
刑法39条1項では、心神喪失者、具体的には精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)又はそれに従って行動する能力(行動制御能力)が失われた状態にある者は、不可罰となると規定されています。
しかし、刑事事件例のAさんは、自分の酒癖の悪さを認識しつつ、このままお酒を飲み続ければ、もしかしたらVさんに対して、暴力を振るうかもしれないと思いながら飲酒をしています。
このように、自分が心神喪失状態に陥り、犯罪(刑事事件例では傷害罪)を犯すことを認識していながら、あえて心神喪失状態に陥る原因を作った場合、刑法39条1項は適用されないと考えられています。
そのため、Aさんの行為に対しては、完全な責任能力があるとされます。
【暴行罪・傷害罪とは】
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料に処する。
暴行罪と傷害罪の区別は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至」っているか否かという点でつきます。
つまり、暴行を加えた者が人を傷害するに至った場合は傷害罪が成立します。
反対に、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかった場合は暴行罪が成立します。
実務では、診断書の有無によって暴行罪と傷害罪の区別がつくことが多くあります。
刑事事件例では、Vさんは全治2週間の怪我を負っており、その診断書も発行されているため、傷害罪が成立すると考えられます。
傷害罪で寛大な処分・寛大な判決を得たい場合は、弁護士事務所に相談し、刑事弁護活動を受けることが必要です。
今回の刑事事件例のような飲酒後の暴行・傷害事件では、傷害事件の被害者の方への被害弁償や示談はもちろん、検察官や裁判官に対して、今後はお酒との付き合い方を変え(禁酒し)、監視監督環境を整えて、しっかり更生できるということを示していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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飲酒後の暴行・傷害事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。