同意殺人罪で情状弁護
岐阜県多治見市内に住む看護師のAさんは、同市内に住むVさんと交際していました。
最初こそVさんと順調に交際していたAさんでしたが、時が経つにつれだんだんとVさんの欠点が目につくようになりました。
AさんはVさんに何度か改善を求めましたが、一向に変化がなかったことから、Vさんに交際の解消を切り出しました。
すると、Vさんは酷く取り乱し、「別れるぐらいなら私を殺してほしい」とAさんに訴えかけました。
Vさんの要求が激しかったことから、Aさんは仕方なくVさんの首を絞めて殺害しました。
その後、Aさんは自身の過ちに気づいて岐阜県多治見警察署に自首したため、殺人罪の疑いで逮捕されました。
そこで、Aさんの弁護士は、同意殺人罪の成立を主張するとともに、情状弁護の準備を進めることにしました。
(フィクションです。)
【同意殺人罪について】
同意殺人罪は、本人の承諾を得て相手方を殺害した場合に成立する可能性のある罪です。
相手方を殺害することは殺人罪と共通ですが、相手方の同意があるという点で大きく異なります。
暴行罪や傷害罪は、相手方の同意があれば犯罪不成立となるのが原則です。
これは、被害者が暴行や傷害に同意することで、社会一般の感覚からして違法性が欠けると評価できるからです。
ただ、このことを生命の侵害にも当てはめると、生命がもつ究極の価値を無碍に扱うことになりかねません。
そこで、同意殺人罪を規定する一方、同意の存在という点を考慮して法定刑を殺人罪より軽いものにしているわけです。
両罪の刑は以下のとおりです。
・同意殺人罪…6か月以上7年以下の懲役または禁錮
・殺人罪…死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役(上限20年)のいずれか
こうしてみると、同意殺人罪の刑が以下に軽くされているかが分かります。
場合によっては、被害者が殺害に同意していたかという点について、弁護士と検察官が激しく争うこともありうるでしょう。
【情状弁護の意味】
同意殺人罪の法定刑が殺人罪より遥かに軽いとは言え、殺人の一種である以上重大な罪であることは否定できません。
示談が困難ということも考慮すると不起訴は狙いにくいですし、罰金刑が定められていないため略式手続というわけにもいきません。
そのため、同意殺人罪を疑われた場合は、正式裁判が行われると考えても差支えはないでしょう。
正式裁判においては、被告人に有利な事情を主張して量刑を少しでも軽くするという弁護活動が考えられます。
これが情状弁護と呼ばれるものであり、ありとあらゆる事件において行うことができる重要な弁護活動と言えます。
先ほど指摘したように、同意殺人罪の法定刑は6か月以上7年以下の懲役または禁錮です。
この重さであれば、情状弁護の内容次第で、宣告される懲役または禁錮が3年以下となって執行猶予が付く余地が出てきます。
情状弁護において主張すべき事情は、事件の内容や被告人の人間性などにより千差万別と言っても過言ではありません。
検討すべき事情としては、犯罪に至った経緯、罪を犯す以外の手段を選択できたか、犯行後の行動・供述などがあります。
弁護士に相談すれば、情状弁護のために主張するのが効果的な事情が見つかりやすいかもしれません。
ですので、罪を犯したもの以上どうしようもないと諦めたりせず、一度弁護士に相談して情状弁護による刑の減軽を目指してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、ひとりひとりに合わせた最適な情状弁護を行うべく丹念に事件を検討します。
ご家族などが同意殺人罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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