準強制性交等事件で否認

準強制性交等事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさんは、知人のVさんと食事に出かけました。
AさんもVさんは、居酒屋で飲食した後、Aさんの部屋で飲み直すことになりました。
家で飲み始めてしばらくして、Vさんは「眠たい。」と言ってベッドに横になろうとしたため、Aさんがそれを助けようとしてVさんの身体に触ったところ、Aさんはムラムラし始め、Vさんにキスをしました。
Vさんが拒まれなかったため、AさんはVさんは嫌がっていないのだと思い、そのまま行為に及びました。
しかし、翌日、Vさんは岐阜県岐阜南警察署に被害届を提出し、Aさんは準強制性交等の疑いで逮捕されていましました。
(フィクションです)

男女間のトラブルから刑事事件に発展するケースは少なくありません。
知人間で性的関係を持った場合には、一方が同意がなかったとして捜査機関に相談し、強制性交等や準強制性交等事件として立件される可能性もあります。

準強制性交等罪

(準強制わいせつ及び準強制性交等
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

準強制性交等罪は、刑法第178条2項に規定されています。

本罪は、①人の心神喪失・抗拒不能に乗じて、性交等をすること、②人の心神を喪失させ又は抗拒不能の状態に陥らせて、性交等をすること、を処罰の対象とします。

◇心神喪失◇
「心神喪失」とは、精神障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。
強度の精神薄弱、泥酔、熟睡、麻酔状態などが「心神喪失」に当たります。

◇抗拒不能◇
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で心理的・物理的に抵抗が不可能又は著しく困難な状態にあることをいいます。
例えば、共犯関係にない第3者に手足を縛られていたり、暴行脅迫を受けて畏怖している状態、疲労しきっている状態などです。
過去の裁判では、覚醒剤を注射し、その薬理作用により意識障害を起こさせ、被害者が抗拒不能の状態に陥った状態で性交した事件では、抗拒不能ににさせたとしたもの(福岡高判昭54・6・13)があり、医師による適切な医療行為であると誤信させて性交した事件については、錯誤によって行動の自由を失っている状態に陥れるのも抗拒不能にさせたといえるとした判例があります。(大判大15・6・25)

「心神喪失・抗拒不能に乗じ」るとは、既存の状態を利用することであり、泥酔している人に対して性交等をすることや深夜配偶者と誤信させて性交等をすることなどがこれに当たります。
また、「心神喪失・抗拒不能にさせ」るとは、その状態に陥れることで、その方法には麻酔や催眠術、欺罔などがあります。

上の事例のように、飲酒の影響下で性的関係を持つケースは少なくありませんが、相手方が「心神喪失」にあったと認められる程度泥酔していた状況を利用して性交等に及んだ場合には準強制性交等罪が成立する可能性があります。
このような場合に準強制性交等罪が成立するか否かのポイントは、主に、
①被害者が行為時に心神喪失であったかどうか。
②行為者が行為時に被害者が心神喪失の状態にあると思わなかったかどうか。
の2点にあります。

被害者が行為時に心神喪失であったか否かについては、お店でどれぐらい飲酒したのかや行為前の被害者の歩行状態、例えば、Aさん宅に入る前の被害者の歩行の様子が映った防犯カメラの映像などといった行為前後の被害者の客観的状況を考慮して判断されます。
行為者が行為時に被害者が心神喪失の状態にあると思わなかったか否かについては、故意の問題であり、抗拒不能の認識がない場合には故意がかけ犯罪が成立しないことになります。
客観的状況を行為者が認識し得る状況にあったかどうかをもとに、被疑者供述の信用性を判断します。

準強制性交等事件で逮捕されお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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