レンタカーを横領で逮捕

レンタカー横領した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県北方警察署は、横領の疑いで岐阜県本巣市に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは、今年の1月に本巣市内のレンタカー店で高級外車を借りました。
Aさんからは、数回契約期間延長を申請する連絡がありましたが、その後Aさんと連絡がとれなくなったため、レンタカー店は北方警察署に被害届を提出しました。
調べに対し、Aさんは、「そのうち返すつもりだった。」と供述しています。
(フィクションです。)

レンタカーを返却せず横領罪?

借りたレンタカーを返却しなかった場合、横領の罪に問われる可能性があります。

横領の罪とは

横領
刑法第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

横領罪は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、その物を領得する行為を内容とする犯罪です。
ここでは1項について説明します。

◇主体◇
横領罪の主体は、「他人の物の占有者」です。

◇客体◇
横領罪の客体は、「自己の占有する他人の物」です。
「占有」というのは、事実上または法律上物に対する支配力を有する状態のことです。
そして、横領罪における「占有」は、物の所有者と行為者との間の委託信任関係に基づくことが必要となります。
一般的に、民法の契約に基づいて委託信任関係が発生しますが、法定代理人や法人の機関としての地位、事務管理、後見に基づく場合にも当該関係が認められます。
この委託信任関係は、事実上のものであればよく、委託者が物の保管を委託する法律上の権限を有しているか否か、受託者が受託する上で法律上の権限を有するか否かは問題となりません。
「他人の物」とは、他人の所有する財物のことをいいます。

レンタカーを借りる際、店側との自動車の賃貸借契約を交わします。
貸渡人である店が、貸受人である客に店の車を「貸す」という内容の契約ですので、借りた車自体の所有権は店にあり、客に移るわけではありません。
しかし、借りた車を支配しているのは客ですので、客が車を占有している状態にあります。
つまり、レンタカー店から借りている車は、「委託信任関係に基づいて自己が占有する他人の物」と言えます。

◇行為◇
横領罪の実行行為は、自己の占有する他人の物を「横領」することです。
横領」の意義については、不法領得の意思を実現する行為とする領得行為説と、委託の趣旨に反した権限を越える行為とする越権行為説との対立がありますが、判例は前者によっています。
横領=不法領得の意思を実現する行為となるのですが、「不法領得の意思」とは、判例によれば、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思のことです。

この点、Aさんは「返すつもりだった。」と弁解していますが、使用窃盗が不可罰とされるように、委託物の一時的な無断使用も不可罰とされると理解することができるでしょう。
しかしながら、短期間使用することの許諾を得て自動車を借り受けた者が、その許諾の限度を超えて8日間にわたり自動車を乗り回した事案について、不法領得の意思を認めた判決(大阪高判昭和46・11・26)や、会社の職員が、その保管する会社所有の機密資料をコピーする目的で一時的に持ち出した事案について、使用後に返還する意思があったとしても、不法領得の意思を認めた判決(東京地判昭和60・2・13)があり、その利用が、権利者が許容しないであろう程度・態様のものである場合には、不法領得の意思が認められる可能性があるでしょう。

横領罪の法定刑は、5年以下の懲役で、罰金刑が設けられておらず、刑法犯のなかでも比較的重い罪となっています。
しかしながら、被害額がそれほど大きくなく、初犯であり、被害者に対する被害弁償ができれば、不起訴処分となる可能性はあります。
不起訴となれば、前科が付くことはありませんし、身柄が拘束されている場合には即釈放となります。
横領の罪に問われて対応にお困りの方は、すぐに弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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