住居侵入罪で逮捕
Aさんは、かつて岐阜県岐阜市に住むVさんと交際していました。
しかし、同棲を開始してから2週間後、どうしても合わない部分がありVさんとの交際を解消しました。
その数日後、AさんはVさん宅に私物を忘れたのを思い出しましたが、着信拒否などによりVさんと連絡を取る手段を失っていました。
そこで、以前Vさんから借りて複製した鍵を使い、勝手にVさん宅の鍵を開けて私物を持ち帰ろうとしました。
すると、部屋を出ようとしたところでVさんと鉢合わせ、通報により住居侵入罪の疑いで逮捕されました。
岐阜県岐阜南警察署でAさんと接見した弁護士は、Aさんが勾留される前に釈放を実現することにしました。
(フィクションです。)
【住居侵入罪について】
正当な理由なく他人の住居に入った場合、住居侵入罪が成立する可能性があります。
「正当な理由」とは、他人の住居への侵入を適法なものとして正当化する事情を指します。
たとえば、凶器を持った者に追われて他人の家に逃げ込んだ場合が考えられます。
この場合には、自身の身体を保護するうえで人の私的領域を犯すのもやむを得ないと評価できるためです。
それでは、上記事例において「正当な理由」の存在は認められるでしょうか。
まず、VさんはAさんと鉢合わせた後で警察に通報しています。
そうすると、少なくともVさんがAさんの立入りに同意していたとは言えないため、同意があったとして「正当な理由」の存在を主張するのは難しいです。
ただ、AさんはVさん宅に私物を置いており、自分でそれを持ち帰ろうと侵入を行っています。
これは「正当な理由」に当たるようにも思えますが、結論から言うとそう言えない可能性が高いです。
Aさんとしては、たとえVさんと連絡がつかないとしても、住居侵入以外の方法で私物を取り返すことができたと言えます。
たとえば、知人を介して連絡する、客として普通にVさん宅に訪問するといった方法のほか、最終手段として民事訴訟により返還を求めることも可能です。
このように他の手段が存在する以上、上記事例のような侵入の態様は「正当な理由」には当たらないと言えるからです。
これにより、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【勾留前に釈放を目指す】
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または100万円以下の罰金であり、一般的な住居侵入事件はさほど重大な事件ではないとされています。
そうすると、弁護士としては、逮捕された被疑者が勾留される前に釈放を目指すことが考えられます。
被疑者として逮捕された場合、逮捕から2~3日後に、長期の身体拘束である勾留の必要があるかどうかの判断が下されることになります。
具体的には、警察官から事件を引き受けた検察官が勾留請求を行い、その請求を受けて裁判官が勾留の当否を判断するという流れになります。
そして、裁判官が勾留の妥当性を認めると、逮捕中の被疑者は検察官による勾留請求の日から10日(延長されれば最長20日)拘束が継続されてしまいます。
他方、弁護士による弁護活動などで勾留を阻止できれば、遅くとも逮捕の期限である2~3日後には釈放が実現できます。
勾留された際にその決定を争う申立てを行うことは可能ですが、一般的にその申立てが認められる可能性は高くありません。
ですので、やはり釈放の実現を目指すなら、逮捕から勾留までの期間が一番のねらい目ということができるでしょう。
その期間に行う釈放に向けた活動は時間との勝負でもあるので、逮捕の知らせを受けたらすぐに弁護士に相談することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロを冠する弁護士が、逮捕された方の釈放に向けてあらゆる手段を講じます。
ご家族などが住居侵入罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。