今回は、42歳男性が元内縁関係の女性を脅迫した疑いで逮捕された報道をもとに、脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大垣署は20日、脅迫の疑いで岐阜県安八郡安八町森部、自称自営業の男(42)を逮捕した。
逮捕容疑は11月19日~12月4日、岐阜市の派遣社員の女性(49)の携帯電話に「用心しとくんやな」「明日があると思うな」などと書いたメールを複数回送った疑い。
署によると、2人は元内縁関係。女性が「元交際相手から脅迫めいたメールが何通も届く」と署に相談した。男は容疑を否認している。
(https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/175756 12月20日 岐阜新聞Web 「「用心しとくんやな」 元交際相手にメール 脅迫容疑で42歳の男を逮捕 岐阜県警」より引用)
~脅迫罪とは?~
脅迫罪とは、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です(刑法第222条1項)。
「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する行為についても同様です(同条第2項)。
法定刑は前者、後者ともに「二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」となっています。
「脅迫」とは、相手方に対して一般通常人であれば恐怖心を起こす(畏怖する)であろう程度の害悪を告知することをいいます。
相手を畏怖させるに足りる害悪の告知がなされれば、実際には相手方が畏怖しなかったとしても、脅迫罪の成立は妨げられません(大審院昭和8年11月20日判決)。
他人に対し、「殺すぞ」、「お前の家に火をつけるぞ」などと申し向けることが脅迫行為の典型例といえますが、害悪の告知は暗示する方法でもよく、対立する派の中心人物宅に宛てて、現実には出火もないのに「出火御見舞申し上げます、火の元にご用心」などと書いた葉書を送ることは、その住宅に放火することを暗示して加害を告知するものであるとした事例もあります(最高裁昭和35年3月18日判決)。
近年は電子メールやSNSを用いて相手方にメッセージを送った場合、その前後のやり取りも含めて記録が残ることになります。
今まではその場の「おふざけ」として看過されてきたり、そのような言動はなかったとされてきたものが、問題ある行為であると判断される場合が増えてきました。
また、元交際相手に対し拒まれても繰り返しメールを送るようなことをすれば、脅迫とは言えなくとも、ストーカー行為とされる可能性があります。
それほど親しくない相手とのやりとりでは当然ですが、親しい間柄にある人物とのやりとりにおいても、十分な注意を払う必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
脅迫罪に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。