~事例~
岐阜県岐阜市内の会社に勤めるAさんと同僚のVさんは、岐阜市内の居酒屋で飲んでいた際、ちょっとしたことから口論になった。
そして、Aさんは「早くかかって来い」とVさんを挑発した。
腹を立てたVさんがAさんに殴りかかったが、AさんはこれをかわしてVさんの顔面を殴ったため、Vさんは顔に全治1週間の怪我を負った。
後日、Vさんから被害の申告を受けた岐阜県岐阜北警察署は、Aさんに後日警察署に来るよう出頭要請をした。
Aさんは、最初に殴りかかってきたのはVさんなのに自分が捜査を受けるのはおかしいと思い、何とか無罪を主張出来ないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に無料相談をしに行った。
(フィクションです)
~正当防衛~
よく「先に相手から殴られたので、殴り返しました。」という理由で正当防衛を主張される方がいますが、正当防衛が成立するかは否かは、どちらが先に手を出したかどうかで判断されるものではありません。
正当防衛については、刑法第36条1項において、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。
正当防衛は、「やむを得ずにした行為」でなければ成立しません。
「やむを得ずにした行為」とは、権利を防衛するための手段として必要最小限度のものであることを意味します。
ここで重要なのは、「手段」として必要最小限度であればよいということで、「結果」が必要最小限度であることまでは、要求されていません。
とある地方裁判所では、傷害事件で起訴されていた男性に、正当防衛による無罪判決が言い渡されました。
この事件は、Aさんの事件と同様に、起訴されていた男性が、被害者の頭をハンマーで殴りつけるという暴行形態でしたが、相手との体格差(被害者の方が大柄であった事)や年齢(起訴された男性の方が高齢であった事)ことを理由に、ハンマーで殴りつけることが、唯一の防衛手段であったと判断されて正当防衛が認められたようです。
上記のケースでは、AさんはVさんから殴られそうになったため反撃をしています。
その為、例え反撃をした結果としてVさんに傷害を負わせていたとしても、正当防衛が成立し傷害罪に問われ処分を受けることは無いように思われます。
ただし、上記のケースでは、AさんはVさんを挑発しており、その結果VさんがAさんに殴りかかっています。
Aさんが挑発することによって誘発された急迫不正の侵害に対しての反撃行為にも正当防衛が認められるかどうかが問題になります。
ちなみに、防衛者が自ら不正の侵害を招いて正当防衛の状況を作り出す場合は「自招侵害」と呼ばれます。
この点、判例では挑発の態様から「反撃行為に出るのが相当ではない」として正当防衛の成立を否定したものもあります。
したがって、上記のようなケースで正当防衛を主張するためには、挑発がどの程度のものだったのか、反撃した状況はどうだったのか等、事件当時の状況が重要になります。
~正当防衛成立に向けた弁護活動~
傷害罪などの刑事事件で正当防衛の成立を主張するうえで、まず重要となるのが、捜査機関からの取調べにおける供述内容です。
というのも、取調べにおいて話す内容によっては被疑者に積極的加害意思があったという内容の調書にされてしまったりすることもあります。
そうなってしまうと、その後正当防衛を主張していくうえで、取調べで話した内容が大きな足かせになってしまうことも有ります。
また、捜査機関からの圧力に負けてしまい、嘘の自白をしてしまうと、それをもとに起訴されたり、公判で有罪認定の有力な証拠となることがあります。
さらに、後から自白を覆すことは困難なことが多く、また自白を覆すことが出来たとしても何度も供述が変わっているとして、被疑者・被告人の供述の信憑性に疑いを持たれることになりかねません。
したがって、刑事事件で正当防衛を主張したいとお考えの場合は、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
取り調べでの供述内容や、受け答えの仕方についてアドバイスを受けるだけでも、嘘の自白をしてしまった、本意ではない内容の供述調書を取られてしまうリスクを軽減することが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、日頃刑事事件のみを受任しております。
そのため、正当防衛の主張など、刑事事件に関することであれば安心してご相談下さい。
岐阜県岐阜市で傷害罪に問われてお困りの方、正当防衛を主張したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。