少女を自宅へ連れ去る未成年者誘拐事件

少女自宅連れ去る未成年者誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県内在住の少女を車で県外の自宅まで連れ去ったとして、岐阜県岐阜北警察署は、Aを未成年者誘拐の容疑で逮捕しました。
Aと少女はネット上で知り合い、連絡を取り合う中で、少女が家族とうまくいっていないことを聞き、「自宅に連れていってあげる。」と誘い、少女自宅付近まで車で迎えに行き、少女を車に乗せて自宅に戻り、3日間誘拐したとのことです。
少女の保護者からの届けで岐阜北警察署が捜査を開始し、Aの自宅近で少女を保護し、一緒にいたAを逮捕しました。
Aは、「無理やりではなく少女の同意のもとだった。」と主張しています。
(フィクションです。)

未成年者誘拐

未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合に成立する罪です。
未成年者略取・誘拐罪は、未遂も処罰の対象となります。

未成年者略取・誘拐罪の保護法益に関しては、これまで、未成年者の自由、未成年者に対する保護者の監護権、自由と監護権の両方、とする考え方がそれぞれ対立してきました。
判例は、未成年者の自由のほか、保護者の監護権も含まれるとする立場をとっています。(大判明43・9・30)
このため、例え未成年者の同意があったとしても、保護者の監護権を侵害している場合には、未成年者略取・誘拐罪が成立することになります。

■客体■
未成年者略取・誘拐罪の客体は、未成年者であり、20歳未満の者をいいます。
未成年者には、意思・行動能力を欠く嬰児等も含まれます。
婚姻によって成年に達したものとみなされる場合を含むか除くかについては、見解の対立があります。

■行為■
略取・誘拐とは、人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力的支配下に移すことをいい、暴行または脅迫を手段として行う場合が「略取」であり、欺罔または誘惑を手段として行う場合が「誘拐」です。
手段行為である暴行・脅迫や欺罔・誘惑は、未成年者に対して行われる必要はなく、監督者を錯誤に陥れた場合にも犯罪は成立します。
誘惑を手段とする場合について、いやしくも通常人の欲情を挑発しその判断をまどわせつ事実を告げれば足りるとされています。(大判大14・10・9)

以上が未成年者略取・誘拐罪の構成要件であり、これらに該当する場合は、基本的に、未成年者略取・誘拐罪が成立することになります。

上の事例のように、未成年者の同意があったことをもって犯罪は成立しないと主張されることが多々ありますが、未成年者の同意があったとしても、未成年者連れ去る行為は、保護者の監護権を侵害するものですので、未成年者誘拐罪の成立を妨げるものではありません。

未成年者誘拐事件で被疑者となった場合

未成年者略取・誘拐罪は、親告罪です。
親告罪は、被害者らの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
未成年者のみならず、その保護者も法定代理人であるため一般に告訴権を有しているため、保護者から告訴される可能性があります。
未成年者誘拐事件において、最終的な処分に大きな影響を与える要素としては、被害者側との示談が成立しているか、という点です。
被害者側と示談が成立し、告訴を取り下げてもらったり、告訴をしない旨を約束してもらえれば、起訴されることはありませんので、不起訴という形で事件が終了することになります。
そのため、被害者側との示談交渉を行う必要があります。
被害者自身は未成年ですので、実際の交渉相手は被害者の保護者となります。
未成年者誘拐事件では、未成年が同意していたケースが多く、未成年者自身は被疑者・被告人に対して処罰感情を有さない傾向にありますが、その保護者は被疑者・被告人に対する処罰感情が厳しいことがほとんどです。
ですので、一般的には、弁護士を介して被害者側と示談交渉を行います。
弁護士を通してであれば、冷静な話し合いの場を持つことが期待できますし、示談をすることの被害者側のメリット・デメリットを丁寧に説明することができます。

未成年者誘拐事件の被疑者となり、対応にお困りの方は、できる限り早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が未成年者誘拐事件で逮捕されて対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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