少年事件を起こした場合の流れや弁護士の役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県恵那警察署は、岐阜県恵那市にある高校1年生のAくんの自宅を早朝に訪れました。
捜索差押の後、Aくんはそのまま警察署に連れて行かれました。
Aくんの母親は、警察から「小学生の女の子にいたずらをした。」とだけ聞かされました。
その後、警察からAくんを逮捕したとの連絡を受けました。
Aくんの両親は、どう対応したらいいのか分からず、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)
少年事件の流れ
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、捜査機関が事件について捜査を開始します。
少年が14歳以上であれば、捜査段階では、成人の場合とほぼ同じ手続に付されることになります。
そのため、被疑者である少年の身体を拘束して捜査をすべきと思料されるときは、少年であっても逮捕・勾留されます。
被疑者が少年の場合、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」がとられ、警察署の留置場ではなく少年鑑別所に収容されることがあります。
勾留と「勾留に代わる観護措置」とは、留置場所や勾留期間などが異なります。
勾留の期間は、原則10日で、延長が認められれば最大で20日です。
一方、「勾留に代わる観護措置」の期間は10日で、延長は認められません。
捜査機関は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑が認められる場合や、犯罪の嫌疑が認められなくとも少年を審判に付すべき事由がある場合には、原則すべての事件を家庭裁判所に送ります。
逮捕・勾留されずに不拘束のまま取調べを受けている少年は、事件の処理に特別な期限は設けられていませんので、本人や保護者が知らないうちに事件が家庭裁判所に送致されていることも少なくありません。
少年が14歳未満の場合には、刑事責任に問えませんので、警察は少年を取り調べることはできません。(ただし、調査をすることはできます。)
この場合、警察は児童相談所に送致・通告し、児童相談所は、児童福祉法上の措置をとって事件を終了させる、もしくは家庭裁判所の審判や保護処分が必要であると判断する場合には家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、送致されてきた事件について、審判を開始するかどうかを決定します。
これまでの手続の過程で、少年が十分に改心し、審判を行う必要がないと判断された場合には、審判手続を開始せずに終了します。
この決定を「審判不開始」決定といいます。
審判を開始するかどうかは、調査官が調査を行った上で判断されるのですが、少年が捜査段階で逮捕・勾留されている場合には、事件が家庭裁判所に送致されてきたときに、調査官への調査命令と同時に審判開始決定がなされます。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも観護措置をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全する措置です。
捜査段階で身柄が拘束されていた場合には、家庭裁判所に送致されたときに観護措置がとられるケースが多くなっています。
しかし、捜査段階で在宅であった少年でも、家庭裁判所送致後に観護措置がとられることもあります。
観護措置の期間は、法律上は2週間で、1回に限り更新が認められるのですが、実務上は期間は更新されて4週間で運営されています。
調査官により調査が終わると、審判が開かれます。
審判では、非行事実と要保護性が審理され、裁判官から少年に対して最終的な処分が言い渡されます。
終局処分には、①審判不開始決定、②不処分決定、③知事・児童相談所長送致、④検察官送致、⑤保護処分とがあります。
さらに、⑤保護処分には、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致、の3種類があります。
少年事件における弁護士の役割
少年事件においても、弁護士は、捜査段階では弁護人として、家庭裁判所送致後は付添人として、少年の権利や利益を保護するべく活動します。
少年事件でも、捜査段階の逮捕・勾留、家庭裁判所送致後の観護措置といった少年の身体を拘束する措置がとられることがあります。
少年の身柄が拘束されると、学校や仕事を休まなければならず、その期間が長ければ長いほど、その後の生活に大きな支障をきたす可能性が高まります。
そのため、不当・不要な身体拘束を避けるために、弁護士は身柄解放活動に従事します。
また、少年事件では、少年審判で非行事実とともに要保護性が審理されます。
要保護性とは、多義的に用いられますが、一般的には、次の3つの要素から構成されるものと理解されています。
①犯罪的危険性
少年の性格、環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分により犯罪的危険性を解消できる可能性があること。
③保護相当性
少年の処遇によって保護処分が最も有効かつ適切な手段であること。
保護処分に付するためには、要保護性の要件が必要となり、要保護性が高ければ少年院送致という厳しい処分となりまし、低ければ社会内処遇である保護観察処分となります。
また、審判時には要保護性が解消され、保護処分に付する必要がないと認められれば、不処分が決定されます。
少年事件は、事件の軽重がそのままストレートに処分に反映されるのではありませんので、少年の要保護性をいかに解消したかが最終的な処分に大きく影響する点で、成人の刑事事件とは大きく異なると言えるでしょう。
弁護士は、要保護性の解消に向けた環境調整活動を行い、少年の更生に適した環境を整えるよう努めます。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし逮捕されてお困りの方、在宅ではあるが被疑者として捜査されており対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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