少年事件の身体拘束

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県関市の公園で、遊びに来ていた女子児童に対してわいせつな行為をしたとして、岐阜県関警察署は、市内に住む中学生のAくん(14歳)を強制わいせつの容疑で逮捕しました。
Aくんの両親は、警察官にAくんとの面会を要望しましたが、「すぐに会うことはできない。」と言われ困っています。
今後、Aくんの身体拘束がどのくらい続くのか不安でならないAくんの両親は、ネットで少年事件に詳しい弁護士を探し、相談の電話をしました。
(フィクションです)

少年事件での身体拘束

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合にも、逮捕や勾留といった身体拘束を強いられることはあるのでしょうか。

少年であっても、要件を満たしていれば身柄が拘束されることがあります。
以下、捜査段階と家庭裁判所送致後との2段階に分けて、少年の身柄が拘束される場合について説明します。

1.捜査段階

捜査段階での被疑者の身柄を確保するための強制処分は、「逮捕」および「勾留」です。
「逮捕」というのは、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける処分のことです。
逮捕には、「通常逮捕」、「緊急逮捕」、そして「現行犯逮捕」とがあります。
上の事例でなされた「通常逮捕」とは、裁判官からあらかじめ逮捕状の発布を受けて行われるものです。
通常逮捕が認められるには、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」がなければなりません。
「逮捕の理由」とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があることです。
「逮捕の必要性」とは、被疑者の逃亡や罪証隠滅のおそれがあることで、逮捕状の請求を受けた裁判官が逮捕の必要性について判断します。

以上の要件を満たすと裁判官が判断した場合には、逮捕状が発布され、警察は逮捕状に基づいて被疑者を逮捕します。

次に、捜査段階での身体拘束を伴う強制処分である「勾留」について説明します。
「勾留」とは、逮捕後引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに被疑者の身柄を拘束するものです。
警察は、被疑者を逮捕したときから48時間以内に、書類や証拠物とともに被疑者を検察官に送致しなければならず、検察官に送致しない場合には、被疑者を釈放しなければなりません。
警察から事件の送致を受けた場合、検察官は24時間以内に、公訴を提起するか、裁判官に勾留請求しなければならず、そうでなければ被疑者の身柄を解放しなければなりません。
検察官が勾留を請求すると、裁判官は被疑者と面談をし、検察官から送られてきた記録を検討した上で、勾留の要件を満たしているか否かを判断します。
裁判官は、まず「勾留の理由」があるか否かを検討します。
「勾留の理由」とは、①被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」がある場合で、かつ、②住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、いづれか少なくとも1つに該当することです。
裁判官は、「勾留の理由」があると判断する場合であっても、被疑者を勾留することによる利益とそれによって被疑者が被る不利益を比較衡量し、勾留の必要性(相当性)があるか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。

少年の場合には、勾留に代えて「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
「勾留に代わる観護措置」は、検察官の請求により、裁判官がとることができるものであり、収容場所は少年鑑別所で、収容期間も10日間であり、「勾留」のように延長は認められません。
ただ、捜査段階で「勾留に代わる観護措置」がとられていた少年が家庭裁判所に送致された場合には、自動的に「観護措置」がとられたものとして扱われ、基本的には引き続き少年鑑別所での収容が続くことになります。

2.家庭裁判所送致後

事件が捜査機関(警察または検察官)から家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の身柄を保全し、調査や鑑別などを行いながら少年を保護するための措置のことです。
通常、「観護措置」という場合、少年鑑別所に収容する観護措置のことを指します。
少年法には、「審判を行うため必要があるとき」に観護措置をとることができると書かれていますが、実務上では以下の要件が必要であるとされています。
①事件の係属
②審判条件の具備
③審判に付すべき事由についての嫌疑の存在
④審判を行う蓋然性
⑤観護措置の必要性

⑤観護措置の必要性については、観護措置の目的である、(a)審判・調査の出頭確保のための身柄拘束の必要性、(b)少年の保護、(c)少年鑑別所における心身鑑別の必要性に対応して諸要件が設けられています。

観護措置の期間は、最長で2週間とされていますが、特に継続の必要がある場合には1回に限り更新できるとされています。
実務上、少年鑑別所の鑑別結果が出るのに時間を要することから、基本的に期間は更新され、通常4週間とされています。

以上のように、少年であっても、身柄が拘束される可能性はあり、身体拘束の期間が1~2か月となる場合もあります。
そのような長期間の身体拘束となれば、その間学校や職場に行くことはできませんので、退学や解雇といった事態が生じる可能性もあります。
そのような事態は、少年の居場所を失わせることになり、かえって少年の更生に支障をきたすことにもなりかねません。

お子様が事件を起こし身柄を拘束されてお困りであれば、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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