特殊詐欺事件の相談

【事件】

無職のAさんは、半年ほど前に、パチンコ店で知り合った知人に頼まれて、岐阜県中津川市内のワンルームマンションを賃貸契約しました。
知人から「来月、刑務所から出所してくる友達が住む家を契約して欲しい。必要な書類は用意するので3万円でやってくれないか。家賃はきちんと支払うので君には迷惑はかけない。」と頼まれたAさんは、報酬目当てで賃貸契約をすることにしたのです。
Aさんは、不動産会社に出向いて、自分が住居として使用する虚偽の申告をして、知人が用意した給料明細(実在する会社の給料明細)を不動産会社に提出して賃貸借契約を締結しました。
しかし先日、テレビのニュースで、この部屋が特殊詐欺グループのアジトとして使用されていて警察の摘発を受けたことを知りました。
この部屋は、特殊詐欺グループのメンバーが被害者に電話するのに使用されていたようです。
Aさんは、自分も警察の特殊詐欺事件の共犯として逮捕されるのではないかと不安で、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【特殊詐欺事件の共犯】

まずAさんが心配しているように、Aさんが特殊詐欺事件共犯としての刑責を負うのかについて検討します。
一見すれば、Aさんは、特殊詐欺グループにアジトを提供しているので、特殊詐欺グループの犯行に加担したり、手助けしたりしているように思われます。
しかし上記の内容からすれば、Aさんは、自身が賃貸借契約をして借りた部屋が特殊詐欺グループのアジトとして使用されることを知らなかったようです。
少なくとも特殊詐欺グループの共犯は、Aさんが借りた部屋で特殊詐欺の犯行が行われていることを知った上で賃貸借契約をしていなければ、共謀が存在しないので成立しないでしょうが、知人から報酬を受けているので、警察等の捜査当局は「何らかの事情を知っていたのではないか」と疑いをもって捜査、取調べを行います。
Aさんに依頼を持ちかけた知人が特殊詐欺グループのメンバーであったり、不動産会社に提出した給料明細を発行した会社が特殊詐欺グループのメンバーに関係する会社であった場合など、Aさんと特殊詐欺グループのメンバーに接点がある場合は、Aさんは特殊詐欺事件の共犯として逮捕される可能性は十分に考えられます。
このように、特殊詐欺事件の共犯として警察に逮捕された場合は、逮捕当初から、特殊詐欺グループとの関りを否認しなければなりません。
特に最近の裁判所は、特殊詐欺事件に対して非常に厳しい刑事罰を決定しているので、警察等の捜査当局による厳しい取調べに屈してしまうと、不利な内容の書類が、後の裁判で証拠となってしまい、必要以上に厳しい刑事罰が科せられるおそれがるのです。
警察等の捜査当局の取調べ対応に不安のある方は、事前に、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

【詐欺罪~刑法第246条第2項~】

特殊詐欺事件の共犯が成立しない場合でも、Aさんの行為は詐欺罪(2項)が成立します。
一般的に詐欺罪とは、人から財物を騙し取ることですが、2項詐欺罪は、人を騙して財産上不法の利益を得たり、他人に得させたりすることによって成立します。
賃貸借契約を締結する際に、Aさんが、自分が住居として使用する虚偽の申告をしたり、知人が用意した虚偽の給料明細を不動産会社に提出した行為は、詐欺罪でいう欺き行為にあたります。
そして、この欺き行為によって賃貸借契約が締結されています。
賃貸借契約を締結させることは、賃借権という財産上の利益、及び現実に不動産を利用するという財産上の利益の2個の利益を得ることになるので、これらを欺き行為によって得れば2項詐欺罪が成立するのは当然でしょう。
2項詐欺罪の場合、その法定刑は一般的な詐欺罪(1項詐欺)と同様「10年以下の懲役」です。

【執行猶予を目指して】

上記事例のような特殊詐欺の事案では、手口の巧妙さや被害総額の多さなどが考慮される結果、関与の程度が軽くとも厳しい刑が科される傾向にあります。
事件の重大性からして不起訴というのは考え難く、なおかつ罰金刑の定めがなく略式起訴となる余地がないことから、正式裁判を免れる可能性も低いでしょう。
そのため、特に特殊詐欺の事案においては、可能な限り有利な事情を考慮してもらって執行猶予を目指すのが現実的な選択肢となります。

執行猶予には刑の全部の執行猶予と一部の執行猶予がありますが、実務上多く見られるのは全部の執行猶予の方です。
ですので、以下は刑の全部の執行猶予を念頭に置いて説明します。

執行猶予は、①3年以下の懲役、②3年以下の禁錮、③50万円以下の罰金のいずれかが言い渡される場合に、一定期間刑の執行を猶予する制度です。
ただ、罰金刑について執行猶予が言い渡されるケースは稀であるため、基本的には懲役刑の執行を猶予するものとして認識されています。
執行猶予付き判決は、刑が科されるのをいったん回避するという役割があります。
ですので、執行猶予付きの懲役刑が言い渡された場合には、少なくとも裁判を終えた直後に刑務所に収容されるという事態は回避できます。
加えて、執行猶予期間中に執行猶予が取り消されるようなことをしなければ、その期間の満了を以って刑の執行を受ける必要はなくなります。
①罰金以上の刑が科される罪を犯さない、②保護観察の遵守事項を守る、という2点に気をつければ、余罪が発覚しない限り執行猶予が取り消される可能性はないに等しいでしょう。
執行猶予の可能性を高めるなら、ぜひ刑事事件に詳しい弁護士に事件を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、執行猶予を実現すべく緻密な弁護活動を行います。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

 

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