脅迫事件で逮捕
Aさんは、岐阜県美濃加茂市内の路上を自動車で走行していたところ、後ろを走行していたVさんに煽られました。
これに腹を立てたAさんは、停車した際に、自車内にあった木刀を持って車から降り、車の窓を開けたVさんに対して、木刀を振り回しながら、「ボコボコにされたいんか。やっちまうぞ。」などと脅迫しました。
Vさんは、岐阜県加茂警察署に通報し、Aさんは、暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕されました。
(フィクションです。)
【脅迫事件について】
他人の生命や身体などを害する旨告知し、他人に恐怖心を抱かせるような脅迫を行った場合、刑法222条が定める脅迫罪が成立する可能性があります。
通常の脅迫事件であればこれに当たり、2年以下の懲役または3年以下の罰金が科されるおそれがあります。
ですが、実は脅迫を罰しているのは刑法だけではありません。
一定の要件を満たす脅迫については、「暴力行為等処罰に関する法律」(以下、「暴力行為等処罰法」)という法律により、通常の脅迫罪より重く処罰される可能性があるのです。
暴力行為等処罰法は、特に危険性の高い暴行や脅迫などの暴力行為について、刑法よりも重い刑を定めています。
重く処罰される脅迫の態様例として、「団体若は多衆の威力を示して」、「凶器を示して」の脅迫が挙げられます。
つまり、多数人で害を加えること、例えば、暴力団員の一員を名乗って脅迫を行ったり、凶器を示して脅迫を行ったりすれば、通常の脅迫より重大なものとして扱われるというわけです。
上記事例では、Aさんは、木刀を振り回し、Vさんに凶器を示している状況で脅迫しているので、暴力行為等処罰法違反に当たる可能性があります。
この場合の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金となるので、一般的に通常の脅迫罪より重い刑が科されるおそれがあるでしょう。
【略式罰金によるべきか】
先ほど説明したように、暴力行為等処罰法が定める脅迫は、刑法が定める脅迫よりも重大なものです。
とはいえ、脅迫罪自体さほど重大な罪ではないことから、上記事例のようなケースかつ初犯であれば罰金刑となる可能性が高いでしょう。
罰金刑が相当な事案において、検察官から略式罰金(略式手続や略式起訴とも)によることの同意を求められることがあります。
略式罰金とは、争いのない事案で100万円以下の罰金を科すのが相当な場合において、裁判所での書面審理による簡易・迅速な手続で処分を下す罰金刑を指します。
捜査機関や裁判所の負担を減らすと共に、裁判で出廷する手間が省ける、事件が公にならないといった点から、被疑者(被告人)にとっても有益な面があります。
一方、迅速に事件を処理する都合上、事実関係は最終的に検察官が主張した事実と証拠に基づいて定められます。
ですので、もし捜査機関の考えとは異なる事実関係を主張するのであれば、略式罰金ではなく正式裁判を行うよう求めるのも選択肢の一つになってきます。
ただ、正式裁判の要求をするに当たっては、略式命令(判決に代わるもの)を受け取った日から14日以内に申し出なければなりません。
以上のように、略式罰金にはメリットとデメリットが存在することから、悩んだら弁護士に相談してどちらがいいか意見をもらうとよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件について深い見識を持つ弁護士が、略式罰金によるべきかどうか的確な意見をお伝えします。
脅迫事件を起こしてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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