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違法薬物の密輸入を疑われて逮捕
違法薬物の密輸入を疑われて逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県可児郡御嵩町に住むAさんは、国際郵便を使って通称「RUSH」と呼ばれる違法薬物を密輸入しようとした疑いで、岐阜県可児警察署に逮捕されました。
Aさんは、今年、2回にわたって違法薬物とされるRUSH10本を中国から航空郵便で密輸しようとしたと疑われています。
Aさんは、RUSHを海外の通販サイトで購入したと述べていますが、通販で売られているから違法薬物だとは思わなかったとも話しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、Aさんとの面会を申し出ましたが、警察からは「しばらく面会はできない。」と言われて困っています。
(フィクションです)
違法薬物の密輸入
覚せい剤や大麻、麻薬、危険ドラッグなど多くの薬物が法律によって規制されています。
このような薬物を乱用した場合、薬物を使用した者の身体への害が大きいというだけでなく、薬物の影響を受けた者が、幻覚や妄想により、殺人や放火といった凶悪な犯罪を引き起こしたり、重大な交通事故を生じさせる危険性が高く、使用した者以外の周囲の人々、さらには社会全体に対しても多大な被害をもらたすおそれがあるため、法律によってしっかり規制しようとしているのです。
違法薬物の規制に関する主な法律は、
・覚せい剤取締法
・大麻取締法
・医薬品医療機器等法
・麻薬及び向精神薬取締法
・麻薬特例法
があります。
ここでは、上の事例で問題となっている「RUSH」と呼ばれる違法薬物についてどのような規制が設けられているのか説明します。
「RUSH」は、亜硝酸エステルを主成分とする薬物です。
「RUSH」は、いわゆる「危険ドラッグ」と呼ばれるものであり、医薬品医療機器等法で規制される指定薬物です。
指定薬物については、疾病の診断、治療または予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、もしくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用することが禁止されています。
指定薬物の輸入に対しての罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
業として指定薬物を輸入した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方となり刑が加重されます。
しかしながら、違法薬物に関する事件は後を絶ちません。
薬物事犯においては、「違法薬物だとは知らなかった」と弁解するケースがよくありますが、単に「知らなかった」と主張するだけでは十分ではありません。
客観的証拠に基づき、被疑者・被告人が問題の薬物を違法薬物だと認識していた、もしくは違法なものかもしれないと思っていたと推認するには合理的な疑いが残ると検察官・裁判官に判断させなければなりません。
人の認識などというものは心の内のことですので、それを証明するということは簡単ではありません。
ですので、薬物事件にも対応する刑事事件専門の弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
違法薬物事件で逮捕された後の流れ
違法薬物事件で逮捕されると、ほとんどの場合、引き続き身体が拘束されることになります。
逮捕後なお引き続き比較的長時間の身体拘束の必要がある場合、被害者の身柄を拘束する処分を「勾留」といいます。
違法薬物事件においては、この勾留がとられることが多く、逮捕から約13日、延長されると最大で23日間の身体拘束となります。
また、組織犯罪が疑われる違法薬物事件は、勾留と同時に接見禁止決定がなされることがあります。
接見禁止というのは、弁護士以外の者との面会等を禁止する処分で、家族や恋人、友人などと面会することができなくなります。
勾留期間中に、捜査機関は捜査を遂げ、最終的には検察官が起訴するか否かを決めます。
検察官が起訴しない旨の決定をすれば、被疑者は釈放され、事件もこれで終了となります。
一方、起訴された場合には、被告人は有罪・無罪の裁判を受けることになります。
違法薬物事件では、公判請求されることが多いのですが、容疑を認める場合には、執行猶予により実刑を回避できる可能性もあります。
否認する場合には、被告人に有利な証拠を収集し、客観的証拠に基づいた主張をする必要があります。
違法薬物事件は、科され得る刑罰も重く、事件の内容によっては実刑となる可能性もあります。
違法薬物事件でご家族が逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件と勾留に代わる観護措置
勾留に代わる観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県本巣郡北方町に住むAくん(17歳)は、スマートフォンのゲームへの課金について母親と口論になりました。
Aくんは、隙をみて台所に行き、包丁を取り出し、「殺すぞ。」と言って母親に迫りました。
母親は、自分ひとりでは処理できないと思い、警察に通報しました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県北方警察署の警察官は、Aくんを警察署に連れて行き事情を聴くことになりました。
その後、警察からAくんを逮捕したとの連絡を受けたAくんの両親は、すぐに釈放されるだろうと思っていたのですが、翌日、少年鑑別所に収容されることになったとの連絡を受け不安になり、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
勾留に代わる観護措置とは
成人の刑事事件において、犯人と疑われる者(刑事手続上、「被疑者」と呼ばれます。)が、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあると認められる場合には、被疑者に対して、「逮捕」という強制的な処分が執行されます。
そして、逮捕に引き続き、被疑者は、比較的長期間の身体拘束を伴う強制処分である「勾留」に付されることがあります。
「勾留」とするには、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれの少なくとも1つに該当すること、そして、勾留することの必要性があることが必要です。
検察官が勾留請求をすると、裁判官が勾留の判断をします。
勾留の期間は、検察官が勾留請求をした日から原則10日、延長が認められると、最大で20日間となります。
少年の場合においても、14歳以上であれば、捜査段階では、成人の場合と同様の手続に付されます。
ただし、少年の場合には、検察官は、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
「勾留に代わる観護措置」とは、身柄拘束の必要がある場合には、勾留に代えて、少年の身柄の取り扱いについて専門性のある少年鑑別所等を利用する措置です。
勾留に代わる観護措置の期間は、10日であり、延長は認められません。
勾留に代わる観護措置がとられたら
逮捕後、勾留に代わる観護措置がとられると、少年の身柄は少年鑑別所に移送されます。
少年鑑別所は、鑑別対象者の鑑別、観護措置等によって収容される者らに対する必要な観護処遇、非行および犯罪の防止に関する援助を行う機関です。
勾留とは異なり、勾留に代わる観護措置の期間は10日で延長はされませんので、収容が短期間ですむことがありますが、勾留に代わる観護措置により収容措置がとられていた少年が家庭裁判所に送致される場合、自動的に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされ、引き続き少年鑑別所に収容されることになります。
このように、捜査段階で勾留に代わる観護措置がとられた場合には、家庭裁判所送致後の観護措置を含めて1か月以上少年の身柄が拘束されることがあります。
その間、少年は落ち着いて自身を見つけなおす機会を持つことができますが、他方で、長期間学校や仕事を休まなければならず、事件終了後の少年の更生に影響を及ぼしかねない事態を招いてしまうおそれもあります。
そのような事態が考えられるときには、不当・不要な少年の身柄拘束を回避し、早期に釈放となるよう動く必要があります。
勾留に代わる観護措置がとられてしまったら、当該措置に対する不服申し立てを行い、措置の取り消しを求めます。
申し立てが認められれば、少年は釈放され、通常の生活に身を置きながら、取り調べを受けることになります。
お子様が勾留に代わる観護措置に付され対応にお困りであれば、少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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まずは、お気軽にお電話ください。
贈収賄事件で逮捕
贈収賄事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県羽島郡笠松町の係長のAさんは、道路工事を巡り、業者側に便宜を図った見返りに現金100万円を受け取ったとして、岐阜県羽島警察署に収賄の疑いで逮捕されました。
Aさんの妻は、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
刑法は、賄賂の罪として、「単純収賄罪」、「受託収賄罪」、「事前収賄罪」、「第三者供賄罪」、「加重収賄罪」、「事後収賄罪」、「あっせん収賄罪」の7つの罪を規定しています。
賄賂の罪の保護法益については、様々な学説がありますが、判例は、「公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼」であるとする立場をとっています。(最大判平7・2・22)
賄賂の罪は、公務員が職務に関する対価として不法な利益を収受等することを内容とする犯罪です。
「賄賂」とは、職務に関する行為の対価としての不法な利益をいいます。
ここでいう「職務に関する」とは、職務行為そのものに対する場合の他にも、職務と密接に関連する行為に対する場合も含みます。
「職務」は、公務員がその地位にともない公務として取り扱うべき一切の執務をいい、公務員の一般的職務権限に属するものであれば足り、具体的に担当している職務であることまで必要とされません。
(1)単純収賄罪
刑法第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
◇主体◇
本罪の主体は、「公務員」です。
「公務員」は、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう」と定義されています。(刑法第7条)
◇行為◇
本罪の実行行為は、「賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束を」することです。
「収受」とは、賄賂を取得することをいいます。
収受の時期は、職務の執行の前後を問いません。
「要求」とは、賄賂の供与を要求することをいいます。
相手方がこれに応じなくても、要求を行った時点で既遂となります。
「約束」とは、贈賄者と収賄者との間で、将来賄賂を授受すべきことについて合意することをいいます。
約束がなされれば既遂となり、要求を撤回したり、約束を解除しても犯罪は成立することとなります。
(2)受託収賄罪
刑法第197条 (1項前段略)この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
本罪は請託を受けたことによって単純収賄よりも重く罰するものです。
「請託」とは、公務員に対し、職務に関し一定の職務行為を依頼することをいいます。
その依頼が不正な職務行為の依頼であるか、正当な依頼であるかを問いません。
請託を「受けた」というのは、職務に関する事項につき依頼を受けて承諾することです。
(3)事前収賄罪
刑法第197条
2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の懲役に処する。
◇主体◇
本罪の主体は、「公務員になろうとする者」であり、本罪は、公務員になった場合に担当すべき職務に関して、請託を受けて、賄賂を収受等する行為を処罰するものです。
公務員にならなかった場合には、処罰されません。
(4)第3者供賄罪
第197条の2 公務員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
本罪は、第三者を介して間接的に職務に関連して利益を得る脱法的行為を取り締まる規定です。
ここでいう「第三者」とは、当該公務員以外の者をいい、本罪を教唆・幇助した者を含みます。
「供与」とは、利益を受け取らせることをいいます。
(5)加重収賄罪
第197条の3 公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
2 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
本条は、収賄行為とともに、それに関連して職務違反の行為が行われたことを理由に、これを重く処罰するものです。
◇主体◇
「公務員」及び「公務員になろうとする者」が、本罪の主体となります。
◇行為◇
収賄行為の後に職務違反の行為が行われる場合は、単純収賄罪・受託収賄罪・事前収賄罪・第三者供賄罪を犯し、よって不正な行為をし、または相当な行為をしないこと、職務違反の行為の後に収賄行為が行われる場合には、職務上不正な行為をし、または相当な行為をしなかったことに関し、賄賂を収受・要求・約束し、または第三者にこれを供与させ、その供与を要求・約束することが、本罪の実行行為となります。
「不正な行為をし、又は相当の行為をしないこと」というのは、職務に反する一切の行為、不作為をいうと解されます。(大判大6・10・23)
(6)事後収賄罪
刑法第197条の3
3 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
◇主体◇
過去に「公務員であった者」です。
◇行為◇
在職中、請託を受けて職務違反行為をし、退職後これに関して賄賂の収受・要求・約束をすることです。
(7)あっせん収賄罪
第197条の4 公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
「あっせん」とは、一定の時効について両当事者の間に入って仲介することをいいます。
他の公務員の職務について違法な行為の働きかけがあった場合だけでなく、他の公務員の裁量判断に不当な影響を及ぼした場合も本罪は成立します。
本罪は、公務員が自己の職務行為の対価として賄賂を収受するものではなく、あっせんの「報酬として賄賂」を収受する等の行為を処罰するものです。
もし、あなたやご家族に収賄の疑いがかけられているのであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士から、取調べで不利な供述が取られないよう、取調べ対応についての適切なアドバイスを受けることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
収賄事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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児童ポルノ所持で摘発
児童ポルノ所持について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
アダルト動画配信サイトで、アダルト動画をダウンロードしていたAさんは、ダウンロードした動画の中で幾つか18歳未満と思われる児童が映ったものがあることを認識していましたが、そのまま自分のパソコンにすべての動画を保存していました。
ある日、ダウンロードした動画配信サイトが、児童買春・児童ポルノ処罰法違反の容疑で摘発されたことをニュースで知り、自分もいつか逮捕されてしまうのではないかと心配になったAさんは、すぐに刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
児童ポルノ所持罪
「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春・児童ポルノ処罰法」といいます。)は、児童買春及び児童ポルノに係る行為等を規制し、これらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めています。
児童買春・児童ポルノ処罰法は、児童ポルノに係る行為については、次の行為を処罰することとしています。
①自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持する行為、これに係る電磁的記録を保管する行為。(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
②児童ポルノを提供する行為。(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)
③児童ポルノを提供する目的で、製造・所持・運搬・本邦に輸入・本邦から輸出する行為。(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)
④児童ポルノを単純に製造する行為。(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)
⑤盗撮により児童ポルノを製造する行為。(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)
⑥不特定多数の者に児童ポルノを提供・公然陳列する行為。(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科)
⑦不特定多数の者に提供・公然陳列する目的で、児童ポルノを製造・所持・運搬・本邦に輸入・本邦から輸出する行為。(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科)
⑧不特定多数の者に提供・公然陳列する目的で、児童ポルノを輸入・輸出する行為。(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科)
上の事例のように、ネットから児童ポルノに該当する動画をダウンロードしてパソコンに保存する行為は、①に当たる可能性があります。
児童ポルノに係る行為における「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、
(a)児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの。
(b)他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの。
(c)衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は協調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの。
のことをいいます。
このような児童ポルノを、「自己の性的好奇心を満たす目的」で所持し、又は児童ポルノに係る電磁的記録を保管した場合は、児童ポルノ所持罪が成立することになります。
児童ポルノ所持罪は、「自己の性的好奇心を満たす目的」による児童ポルノの所持等のみが処罰対象とされています。
捜査目的、報道目的、医療の記録目的での所持は、本罪には当たりません。
「所持」とは、写真、DVD、ハードディスクといった有体物である児童ポルノを自己の事実上の支配下に置くことを指します。
また、電磁的記録の「保管」とは、電磁的記録を自己の実力支配内に置くことをいいます。
児童ポルノ所持罪が成立するためには、児童ポルノであることを認識し、かつ、所持についても認容している必要があります。
Aさんは、ダウンロードした動画に18歳未満の者と思われる被写体がいることは分かっていながらも、自分のパソコンに動画を保存していたので、児童ポルノ所持罪の故意は認められるでしょう。
児童ポルノの単純所持のみであれば、初犯で身柄拘束される可能性はそう高くはないでしょう。
しかし、所持の事実を否認している、児童ポルノを大量に所持している、提供などにも関与していると疑われている、同種の前科がある場合には、身柄が拘束される可能性があります。
逮捕となれば、家族に事件が発覚することになりますし、長期の身体拘束となれば会社にも発覚してしまう可能性はあります。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談し、逮捕回避に向けて動くことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童ポルノ事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童ポルノ事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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無銭飲食で詐欺罪
無銭飲食で詐欺罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県岐阜市の漫画喫茶に入店したAさんは、かつ丼やラーメンを注文し食べました。
会計時に、店員はテーブル利用料や飲食代金など約5000円をAさんに請求しましたが、Aさんは「お金がない。」と言い、支払おうとしなかったため、店員が岐阜県岐阜南警察署に通報しました。
通報を受けて駆け付けた警察官は、Aさんや店員に事情を伺い、Aさんの所持品などを調べましたが、現金は1000円ほどしか持っていませんでした。
警察官は、Aさんを詐欺の現行犯で逮捕しました。
(フィクションです)
無銭飲食で詐欺罪が成立し得る場合とは?
詐欺罪は、刑法246条に次のように規定されています。
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、以下の通りです。
【1項詐欺】①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと
【2項詐欺】①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
1.1項詐欺
◇客体◇
1項詐欺の客体は、他人の財物であり、他人の占有する他人の動産および不動産です。
◇行為◇
1項詐欺の実行行為は、人を欺いて財物を交付させることです。
①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要となります。
①欺く行為
「欺く」とは、一般人をして財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
人を欺く行為でなければならないので、機械に対して虚偽情報を入力しても詐欺罪における欺く行為には当たりません。
②錯誤
「錯誤」とは、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればよく、法律行為の要素の錯誤であると、動機の錯誤であるとを問いません。
③処分行為
相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を行為者が取得することが必要です。
この処分行為は、財産処分の意思と財産を処分する事実とが必要です。
財物を処分する意思をまったく有しない幼児や高度の精神病者などには、財産的処分行為は認められず、これらの者を欺いてその財物を奪う行為は詐欺罪ではなく窃盗罪を構成することになります。
④財物の移転
相手方の処分行為により、財物の占有が移転することが必要です。
⑤財産的損害
詐欺罪の成立には、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが必要となります。
2.2項詐欺
◇行為◇
2項詐欺の実行行為は、人を欺いて財産上不法の利益を得ることです。
「財産上不法な利益を得る」というのは、欺く行為に基づく錯誤の結果おこなわれた財産的処分行為によって行為者または一定の第三者が、不法に財産上の利益を取得することです。
無銭飲食の場合
1.注文する時点で支払いの意思がない場合
飲食を注文した時には既に代金を支払う意思がなかった場合、注文行為が欺く行為であるため、1項詐欺が成立するものと考えられます。
支払う意思の有無は、人の心の中のことなので、注文時に所持していた現金やカードなど客観的な状況から支払う意思があったか否かが判断されます。
当然、現金をもちあわせずに注文したのであれば、支払う意思がなかったと判断される可能性はあります。
もちろん、もっていたと勘違いして注文したが、支払いの際に実は現金をもっていなかったことが分かった等の事情があれば話は別です。
2.代金支払いの時点でお金を持っていないことに気付き、支払を免れた場合
さて、代金を支払うときになり、お金を持っていないことが分かったが、支払を免れようとした場合は、代金債務を免れたものと言え2項詐欺が成立する可能性があります。
例えば、店員に、「そこのATMで現金をおろしてくるので、すぐ戻ってきます。」などと申しつけて、そのまま逃走したのであれば、店員に支払う意思があると騙し、客が戻ってくるのを待ち支払いを一時猶予したことになり、逃げた客が不法に財産上の利益(=代金債務の免除)を得たことになります。
3.店員に何も告げずに店を出た場合
次に、財布にお金が入っていると思い、料理を注文し、会計を済ませようとした際に、無一文だと気付き、店員に何も告げず店を出た場合には、どうなるのでしょうか。
支払う意思は注文時にはあったので、騙す行為はなく、詐欺罪は成立しないことになります。
そして、代金を支払わずにその場から逃げた場合には、実は何の罪も成立しないのです。
しかしながら、払うべき物を払わずに逃げるなどという行為は決して許されることではありません。
さて、上記事例において、Aさんは所持金が1000円ほどのようでした。
漫画喫茶に入店した上、かつ丼やラーメンを注文するのであれば、それ相当のお金を所持していなければなりません。
Aさんが所持していた金額を認識しつつも、飲食を注文したと認められれば1項詐欺が成立することになります。
詐欺罪で逮捕された場合、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
ご家族が詐欺事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
特殊詐欺の少年事件
特殊詐欺の少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県羽島警察署は、岐阜県羽島郡岐南町に住む高齢男性から特殊詐欺の被害に遭ったと相談を受けました。
男性によると、警察官と名乗る男から電話があり、「あなたの口座が犯罪に利用されています。これから署員を向かわせますので、キャッシュカードを用意しておいてください。」といわれ、自宅にやって来た警察官を名乗る男にキャッシュカードを入れた封筒を渡したところ、ポイントカードが入れられた封筒とすり替えられていた、とのことです。
取られたキャッシュカードで現金100万円が引き落とされていました。
羽島警察署は、防犯カメラの映像などから、県外に住む学生のAさん(18歳)を窃盗の容疑で逮捕しました。
警察からの連絡を受けたAさんの両親は、Aさんが特殊詐欺に関与していると言われ驚いています。
AさんもAさんの両親も、今後、どのような手続きを踏み、どんな処分を受けることになるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
少年事件(特殊詐欺)の特色
警察官、地方自治体や金融庁の職員などと信用のある者だと思い込ませ、相手のキャッシュカードを騙し取り、そのキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す、いわゆる「特殊詐欺」事件は後を絶ちません。
特殊詐欺は、単独で行うケースは稀で、通常は組織的に行われます。
電話をかけて相手を騙す「かけ子」、相手の自宅などに出向いてキャッシュカードを受け取る「受け子」、そして、キャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」と呼ばれる役割を複数人で分担します。
少年は、「受け子」や「出し子」の役割を担うことが多いです。
少年が特殊詐欺に関与するきっかけは、知り合いから「うまい仕事がある」と誘われる場合や、ネット上で掲載されている「高額バイト」の募集に応募する場合がほとんどです。
最初から、「特殊詐欺」であることが明かされることはあまりなく、「指示された場所に行って、荷物を受け取るだけの仕事」と紹介されたものの、指示を受けて特殊詐欺であることがわかることが多いようです。
しかしながら、身分を偽って他人宅に訪問するように指示されることからも、その仕事が何かおかしいと感じるのが通常であって、そうは思いつつも、高額収入を得たいばかりに最後まで特殊詐欺に関与するケースが多く見受けられます。
特殊詐欺は、上述のように、複数人が役割を分担して行うため、少年自身は、指示役から指示通りに動くだけであって、自分が被害者を騙しているという実感がないため、特殊詐欺に関与することへの抵抗感がそれほど高くないことが言われており、このことは、少年が特殊詐欺に関与する一因とも言えるでしょう。
また、特殊詐欺組織は、言葉巧みに少年を関与させようと誘惑します。
「捕まっても黙っていれば大丈夫。」、「脱税した人からお金を取るだけだから悪いことじゃない。」などと、これから行う行為があたかも悪いことではないかのように少年に思い込ませる手口もよく見受けられます。
このように、少年が心身ともに未発達であることに乗じて、少年を利用する犯罪組織が背後に存在していることも特殊詐欺の特徴です。
しかし、当然のことながら、アルバイト感覚で行った特殊詐欺は、犯罪であり、その被害額も大きいことから、近年は厳罰傾向にあり、少年についても例外ではありません。
これまで前歴や補導歴のない少年であっても、少年院送致という思い処分となる可能性があるのです。
特殊詐欺事件における活動
重い処分が科せられる可能性がある特殊詐欺事件ですが、弁護士は少年の弁護人・付添人として、少年の更生に向けて活動を行います。
被疑(非行)事実を認める場合に行う弁護士の行う活動の中でも、重要なのが少年の環境調整です。
少年事件は、原則、すべての事件が家庭裁判所に送られ、審判で処分が言い渡されます。
審判では、非行事実及び要保護性が審理されます。
非行事実は、成人でいうところの公訴事実であり、要保護性とは、簡単に言えば、少年が将来再び犯罪・非行を行う可能性のことです。
例え、非行事実は比較的軽微であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致処分となることもあり、非行事実の軽重だけで処分が決まるわけではありません。
逆に言えば、非行自体は軽くないものであっても、要保護性が解消されていると判断された場合には、保護観察処分となり、社会内処遇を受けることもあるのです。
そのため、弁護士は、少年の要保護性を解消すべく、少年の保護者や、所属する学校、勤務先などと協力して、少年が更生することが期待できるように周囲の環境を整えていきます。
このような活動を「環境調整」活動といい、少年事件において弁護士に期待される活動のひとつです。
環境調整には、大きく分けて、少年自身への働きかけである内部環境の調整と、少年の周囲の環境を整える外部環境の調整とがあります。
内部環境の調整については、事件についての内省を深め、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるようにすること、そして、事件の背後にある様々な問題に向き合い、それらへの対処方法を見出せるよう支援するなどが挙げられます。
外部環境の調整では、特に家庭環境の見直し、学校・職場との協力、被害者対応、そして交友関係の改善が重要です。
少年事件においては、少年の権利・利益を守り、代弁するだけでなく、少年が将来再び非行に陥らないよう関係者と連携しつつ取り組むことが、弁護士に求められる役割となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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強制性交等未遂事件で逮捕
強制性交等未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
深夜、岐阜県郡上市の路上を歩いていた女性Vさんは、突然、見知らぬ男性に声を掛けられ、身体を触られました。
驚いたVさんは、走ってその場から逃げようとしましたが、男性は追いかけてVさんの腕を掴み、傍の空き地に連れて行き、Vさんを押し倒しました。
Vさんは必死に抵抗し、何とか隙をみて男性から逃げました。
そして、Vさんはすぐに110番通報をしました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県郡上警察署の警察官は、現場付近で目撃情報と一致する男性を見かけたため、男性に職務質問をしたところ、Vさんへの行為を認めたため強制性交等未遂の容疑で逮捕しました。
しかし、男性は「性交する気はなかった。」と供述しています。
(フィクションです)
強制性交等未遂罪
強制性交等未遂罪は、強制性交等の実行行為に着手したものの、何らかの要因によって犯罪を成し遂げることができなかった場合に成立する犯罪です。
強制性交等罪は、平成29年7月13日に施行された刑法改正により、それまで規定されていた強姦罪の承継類型として改正施行されました。
強制性交等罪は、
①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下、「性交等」といいます。)をした場合、及び、
②13歳未満の者に対し、性交等をした場合
に成立するものです。
◇犯行の対象◇
刑法改正前の強姦罪では、対象は女性に限定されていましたが、強制性交等罪の犯行対象は、男女を問いません。
◇行為◇
強制性交等罪の実行行為は、対象の年齢によって異なります。
①相手が13歳以上である場合
対象が13歳以上の者である場合、強制性交等罪の実行行為は、「暴行又は脅迫を用いての性交等」です。
ここでいう「暴行・脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達することまで要しません。
この程度に達していたか否かは、被害者の年齢、精神状態、健康状態、犯行の時刻・場所・態様などの諸事情を考慮して客観的に判断されます。
②相手が13歳未満である場合
対象が13歳未満の者である場合、暴行・脅迫を用いることは必要ではなく、「性交等」が実行行為となります。
「性交等」は、「性交」、「肛門性交」、「口腔性交」の総称です。
「性交」とは、膣内に陰茎を入れる行為をいい、「肛門性交」は、肛門内に陰茎を入れる行為、そして「口腔性交」は、口腔内に陰茎を入れる行為のことです。
「性交等」には、行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内、肛門内又は口腔内に入れる行為だけでなく、自己又は第三者の膣内、肛門内又は口腔内に被害者の陰茎を入れる行為も含みます。
実行行為を開始した時期は、①相手が13歳以上である場合には、暴行・脅迫を開始した時期、②相手が13歳未満である場合は、性交等を開始した時期となります。
暴行・脅迫を開始した時が実行の着手時期と認められるためには、性交等を可能にするような客観的な事情でなされる必要があります。
実行の着手が認められたものとして、
・夜間通行中の女性を性交等しようと考え、必死に抵抗する女性をダンプカーの運転席に引きずりこもうとした時。(最決昭45・7・28)
・山林の県道ですれ違った女性を道端の山林に引っ張り込もうとして腰を抱き、逃走しようとするのを押さえつけた時。(仙台高判昭33・8・27)
実行の着手が認められなかったものでは、
・マンションのエントランスホールで女性の背後から抱きつき、腹部を蹴り約20メートル離れた道路の駐車中の車に連れ込もうとしたが、抵抗されて断念した場合。(広島高判平16・3・23)
つまり、暴行・脅迫を開始した時が実行の着手時期と認められるには、夜遅い時間であって第三者の出現可能性が低いこと、山道や密室など第三者の出現可能性が極めて低い場所であること、暴行の程度が強いなど、被害者の抵抗や第三者と出会う可能性が低い状況を作り出すことが必要となります。
強制性交等罪は、膣内・肛門内・口腔内に陰茎を没入した時に当該犯罪が完成するものです。
◇故意◇
強制性交等罪の成立には、故意がなければなりません。
「故意」というのは、罪を犯す意思のことです。
強制性交等罪における故意とは、①相手が13歳以上の場合、性交等の手段としての暴行・脅迫の認識・認容、性交等の認識・認容です。
また、②相手が13歳未満の場合には、被害者が13歳未満であること、性交等の認識・認容が必要となります。
さて、上の事例で、男性は性交する意図はなかったと故意を否認しています。
しかし、深夜に人気のない路上で女性を襲い、必要に追いかけ、空き地に連れ込むといった行為から、性交等の認識・認容が認められる可能性はあるでしょう。
故意が認められないとしても、当該ケースでは、少なくとも強制わいせつ罪には該当するものと考えられます。
強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
起訴され有罪となれば、この範囲で刑罰が決められます。
未遂であれば、減軽の対象となりますが、そもそも法定刑が懲役刑のみと重い罪です。
強制性交等未遂事件でご家族が逮捕されてお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件:触法少年
触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃加茂市の路上で、帰宅途中の女子児童に声をかけ、わいせつな行為をしたとして、岐阜県加茂警察署は、市内に住むAくん(13歳)を同署に連行しました。
その後、児童相談所で一時保護するとの連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような手続を踏み、如何なる処分が課せられることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)
触法少年とは
触法少年とは、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年のことをいいます。
刑法は、14歳未満の者を処罰しない旨を規定しており、行為時に少年が14歳に達していない場合には、犯罪は成立せず、罪に問われることもありません。
しかしながら、後述するように、家庭裁判所の少年審判に付される可能性はあります。
触法少年の流れ
触法少年は、まずは児童福祉機関(児童相談所)による措置に委ねられます。
被害者からの被害届の提出などによって、警察が刑事事件として捜査を開始し、犯人を特定・発見すると、通常は、被疑者として出頭を要請したり、場合によっては身柄を確保して捜査を進めます。
しかし、触法少年の場合は、刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、処罰されないため、通常の刑事事件のように、警察は、被疑者を取調べたり、逮捕することはできません。
警察は、まずは、事件について調査を行います。
調査の結果、少年の行為が一定の重大な罪に係る刑罰法令に触れるものであると思慮する場合や、家庭裁判所の審判に付するのが相当と思料する場合には、警察は事件を児童相談所長に送致します。
児童相談所に送致されると、今度は、児童相談所による調査が行われます。
その結果、保護者への訓戒や児童福祉施設への入所措置等といった福祉的措置がなされ、事件が終了することもあります。
しかし、児童相談所長は、家庭裁判所の審判に付することが適当である場合や、一定の重大事件の場合には、家庭裁判所に送致しなければなりません。
その場合、犯罪少年とほぼ同様の手続で審理されることになります。
触法少年は逮捕されないと先述しましたが、児童相談所で一時保護という形で身体拘束されることがあります。
一時保護とは、子供の生命身体の安全を確保するため緊急に子供を保護者と分離する必要がある場合など、児童相談所長が必要であると認めるときに、子供を一時保護所に入所させ、あるいは適当な第三者に委託する処分のことです。
重大な触法事件の場合などでは、警察が直ちに児童相談所に少年を通告し、児童相談所長が少年を一時保護した上で、警察の調査が行われることがあります。
この場合、児童相談所の調査も並行して行われることがあります。
一時保護の期間は、2か月以内とされています。
触法事件における付添人の役割
付添人は、家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、審判の手続や処遇の決定が適正に行われるよう裁判所と協力していく役割を担います。
警察官は、触法事件において、必要な調査(触法調査)をすることができますが、少年および保護者は、触法調査に関して付添人を選任することができます。
触法調査は、児童相談所長が少年に対する措置を決めたとき、もしくは、事件を家庭裁判所に送致するときに終了します。
付添人は、触法調査において、少年に対して法的助言を行うとともに、警察による調査が任意・適正に行われるように監視し、触法少年の権利を擁護します。
事件が家庭裁判所に送致された後は、犯罪少年や虞犯少年と同様に、家庭裁判所調査官による調査を経て、審判に付されます。
審判では、非行事実に加えて、要保護性についても審理されますので、要保護性の解消に向けた活動を行うことが重要です。
要保護性というのは、簡単に言うと、少年が将来的に再び非行に走る可能性のことです。
非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致などの重い処分が下される可能性があります。
そこで、少年が再び非行に至る可能性がないと裁判官に認めてもらうために、少年の内外の環境を調整する必要があります。
これを支援することが付添人に期待される重要な役割の一つです。
例えば、付添人は、少年自身が、事件に向き合い、事件に至った原因や解決策を見出すことができるよう支え、少年の保護者や学校・職場と協力して更生に適した周囲の環境を調整します。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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あおり運転で妨害運転罪
あおり運転で妨害運転罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県飛騨市の片道1車線の高速道路を走行中していたトラック運転手のVさんは、前を走っていた車が急に停止したため、慌てて急ブレーキをかけました。
停止した車から男性が降りてきて、Vさんに対して、「なに煽ってんだよ!ふざけんなよ!」と吐き捨てました。
Vさんは、あおり運転をした覚えはなく、男性と口論になったことから110番通報しました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県警察高速隊は、Vさんのドライブレコーダーを確認したところ、あおり運転にあたるような行為は見受けられませんでした。
その後、警察は、高速道路でブレーキをかけて車線をふさいで後続車を停止させたとして、車を運転していた男性を道路交通法違反(妨害運転罪)の疑いで書類送検することにしました。
(フィクションです)
あおり運転の厳罰化
あおり運転とは、一般的に、道路を走行している車両に対して、極端に車間距離を詰めたり、幅寄せしたりといった方法により、嫌がらせをする危険な行為のことを指します。
あおり運転によって重大な交通事故が引き起こされるおそれがあり、捜査機関は、道路交通法や刑法上の暴行罪などを適用しながら取締りを行ってきました。
例えば、安全な車間距離を取らずに前車に著しく接近する行為については、道路交通法上の車間距離不保持が成立します。
しかし、車間距離不保持の刑事罰は、高速道路上においては3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、一般道では5万円以下の罰金と比較的軽くなっていました。
あおり運転に起因する事故で、重大な被害が発生しているものが少なくなく、あおり運転に対しての刑事罰をもっと重くするべきではないかという声を受け、今年の6月30日に施行された改正道路交通法では、新たに「妨害運転罪」が設けられました。
改正道路交通法:妨害運転罪
道路交通法第117条の2の2第11号は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」を、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すとしています。
本条の対象となる行為は、
①通行区分違反:右折や左折などをする場合に、方向別に区分された車線を通らない。
②急ブレーキ禁止違反:不必要に車を急停止させたり、急激な減速をするような急ブレーキをかける。
③車間距離保持違反:前の車との距離を極端に詰める。
④進路変更禁止違反:みだりにその進路を変更する。
⑤追い越し方法違反:追い越し車線ではない通行帯で追い越す。
⑥車両等の灯火違反:ハイビームでの威嚇。
⑦警音器等使用違反:むやみやたらにクラクションを鳴らす。
⑧安全運転義務違反:幅寄せや蛇行運転。。
⑨最低速度違反:高速道路での最低速度より遅い速度での進行。
⑩停車・駐車禁止違反:高速道路での駐停車。
また、道路交通法第117条の2の2第11号の罪を犯し、よって高速道路において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法第117条第6号)
このように、あおり運転自体を行った場合には、新たに創設された妨害運転罪に該当する可能性があります。
上記事例では、男性は、Vさんに煽られたと勘違いしたということですが、勘違いしていたからといって怒りに任せて高速道路上で急ブレーキを踏んで停車していいことにはなりません。
一車線の高速道路での停車は、後続車による衝突事故を発生させかねない非常に危険な行為です。
あおり運転をし刑事事件に発展した場合、事件を穏便に解決するためのひとつの手段として、被害者との示談があげられます。
示談交渉は、一般的に、弁護士を介して行います。
示談交渉を行うためには、まず、相手方の連絡先を入手する必要がありますが、加害者と被害者という関係上、被害者と接触することによって供述を変えるよう迫ったり、被害届の取下げを要求したりするおそれがあると判断され、加害者に直接被害者の連絡先を教えないことも多く、相手方の連絡先すら入手することが不可能なことがあります。
また、相手方が加害者との直接の接触を嫌がることも少なくありません。
その点、弁護士限りであれば、捜査機関や被害者自身が連絡先を教えてもよいとすることも多いため、弁護士を介して行うことにメリットがあると言えるでしょう。
仮に、被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者自身やその家族などの関係者が直接被害者にコンタクトをとることはお勧めできません。
なぜなら、当事者間での交渉は、感情論的になりやすく、やったやってないの水掛け論となり交渉が難航することが多いからです。
弁護士を間に挟むことによって、冷静な交渉を行い、両者が納得できる内容の示談を成立させることにつながります。
また、被害者の連絡先が分かっていたとしても、被害者との話し合いを自ら行うことに躊躇される被疑者の方も少なくありません。
この点でも、弁護士を代理人として示談交渉を進めることのメリットと言えるでしょう。
あおり運転を起こし、対応にお困りでいらっしゃる方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせ・ご予約は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
横領事件で逮捕
横領事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、岐阜県中津川市のレンタカー会社でコンパクトカー1台を1週間借りる契約をしました。
1週間後、レンタカー会社は、Aさんから「急用ができて遠方に来ているので、契約期間の延長をしたい。」との申し出を受け、1週間の延長としました。
しかし、期限が過ぎても何の連絡もないため、レンタカー会社からAさんに連絡を入れるも応答がありません。
返却期限から1か月ほど経ち、レンタカー会社はとうとう岐阜県中津川警察署に相談し、被害届を出しました。
それから数か月経ったある日、Aさんが借りていたコンパクトカーが市内に駐車してあったを同所の職員が発見しました。
署員は、Aさんが車に戻ってきたところを見計らいAさんに話を聞いたところ、容疑を認めたため横領の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
レンタカーを返却せずにいると…
レンタカーを借りたものの、そのレンタカーを返却せずにいた場合、刑事法上の「横領罪」に問われる可能性があります。
横領罪とは
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
◇犯行の主体◇
横領罪の犯行の主体となるのは、「他人の物を占有する者」または「公務所から保管を命ぜられた自己の物の占有者」です。
「他人の物を占有する者」というのは、委託に基づいて他人の物を占有する者のことを指します。
「公務所から保管を命ぜられた自己の物を占有する者」とは、強制執行や滞納処分として差し押さえがなされた場合に、差し押さえられた物を債務者や滞納者に保管させる場合などです。
◇犯行の対象◇
横領罪の客体は、「自己の占有する他人の物」です。
つまり、「物」であること、「占有が委託に基づく」こと、「自己が占有している」こと、そして「それが他人の物」であることが必要となります。
「物」であること
横領罪における「物」は、窃盗罪における「財物」と同義ですが、動産の他に不動産も含まれます。
上記ケースでは、レンタカー(=車)が横領されたとされる客体ですが、車は「物」(=財物)です。
「占有が委託に基づく」こと
自己の占有は、所有者その他の権限者からの委託に基づくことが必要です。
委託関係は、物の保管を内容とする契約、法定代理人や法人の期間としての地位、売買契約の売主としての地位、雇用関係、事務管理、慣習、条理、信義則からも生じ得ます。
レンタカーの使用保管については、レンタカー会社と客との間でレンタカーの賃貸借契約が結ばれているため、上記ケースでは「占有が委託に基づ」いていたと言えるでしょう。
「自己が占有している」こと
横領罪における「占有」は、窃盗罪において、物に対する事実上の支配を意味するのに加えて、法律上の支配も含みます。
法律上の支配とは、例えば、AがB銀行に預金をした場合におけるAの預金に対する支配や、Aが不動産をBに売却したが、登記はA名義で残存していた場合のAの不動産に対する支配などが含まれます。
「他人の物」であること
「他人の物」とは、他人の所有に属する財物のことを意味します。
上記ケースでは、車の賃貸借契約により、Aさんはレンタカー会社が所有する車を事実上支配している状態であるため、「他人の物」を「自己が占有してい」たと言えます。
◇行為◇
横領罪の実行行為は、「横領」です。
「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得することです。
つまり、他人の物を占有する者が、権限なく、その物に対し、所有者でなければできないような処分をする意思(=不法領得の意思)を実現する行為を指します。
例えば、横領に該当する行為としては、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引き出し、貸与、小切手の換金、消費、着服などが挙げられます。
また、他人の物を毀棄、隠匿する意思で処分した場合であっても、所有者でなければできないような処分を行っているのであるから横領に当たるとされます。
一方、一時使用の目的で、他人の物を占有する者がその物を使用した場合、原則として、所有者でなければできないような処分を行っていないため横領には該当しないことになります。
しかし、その利用が、権利者が許容しないであろう程度・態様のものである場合には、不法領得の意思が認められることがあります。
◇主観的要素◇
条文にはありませんが、「不法領得の意思」は判例上認められた要件です。
また、横領罪の成立には、「自己の占有する他人の物を横領することなどの認識・認容」が必要となります。
レンタカーを借りたものの返却せず、自分の物にしてしまおうと思い乗り続けていると、横領罪が成立する可能性があります。
また、最初から返すつもりがなく借りた場合には、「横領罪」ではなく「詐欺罪」に問われる可能性があります。
横領罪は財産犯であるので、被害を回復する必要があります。
横領罪で逮捕された場合には、被害者への被害弁償を行い、示談を成立させ、事件を穏便に解決することを目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
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