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覚醒剤取締法違反(所持)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(所持)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(所持)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
岐阜県可児市のマンションに暮らしているAさんは、、岐阜県可児警察署の家宅捜索を受けました。
警察は、Aさんの部屋で覚醒剤と思われる薬物を見つけました。
家宅捜索後、Aさんは覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、「交際相手が部屋に置いていったもので、私のものではない。覚醒剤だとは知らなかった。」と供述しています。
(フィクションです)
覚醒剤取締法違反(所持)について
覚醒剤取締法は、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用について必要な取締を行う法律です。
覚醒剤取締法は、原則的に覚醒剤の所持を禁止しています。
覚醒剤所持罪は、①覚醒剤を、②みだりに、③所持すること、によって成立します。
①覚醒剤
覚醒剤取締法の規制の対象となる「覚醒剤」とは、
(1) フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類。
(2)(1)に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するもの。
(3)(1)、(2)に掲げる物のいずれかを含有する物。
②みだりに
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
覚醒剤取締法第14条に規定されるような除外事由が存在するときは、覚醒剤所持罪の構成要件該当性が阻却され、本罪は成立しません。
③所持
「所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
また、覚醒剤所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。
覚醒剤取締法が禁止する覚醒剤の「所持」は、「覚醒剤を自己の実力的支配内に置くこと」です。
ですので、覚醒剤所持罪が成立するために必要な故意は、「覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること」となります。
上のケースのように、他人の覚醒剤を所持していたような場合では、被疑者・被告人が、「他人が勝手に置いていったものだ。」とか、「それが覚醒剤とは知らなかった。」と故意を否定することが少なくありません。
しかしながら、所持は、あくまで覚醒剤を自己の実力的支配内に置く行為であればよく、積極的に覚醒剤を自己又は他人のために保管する意思や、自ら所有し又は使用、処分する意思といったもの、どこかに隠すといった態様であることまでは必要ではありません。
覚醒剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けば、それで覚醒剤所持罪は成立し得ることになります。
「覚醒剤とは知らなかった。」と故意を否認するケースも多いのですが、覚醒剤であると確信していた場合だけでなく、「覚醒剤かもしれないとの認識・認容を有していた」場合も未必の故意が認められることになります。
そのため、Aさんが、「交際相手が置いて行ったもの。」と述べていますが、覚醒剤がAさんの物ではなく他人の物であっても、覚醒剤所持罪の成立には、当該覚醒剤をAさんの実力的支配内に置いていることを認識・認容しているのであればよく、積極的に交際相手の覚醒剤を保管する意思などは必要ありません。
また、Aさんが、交際相手が置いていった物について、「覚醒剤かもしれないけど…。」と思いつつ所持していたのであれば、覚醒剤所持罪の成立に必要な故意があるものと判断されます。
覚醒剤取締法違反で逮捕された場合、逮捕に引き続き勾留が付される可能性が非常に高く、身体拘束が長期化することが見込まれます。
また、弁護人以外との接見を禁止する接見禁止に付されることもあります。
ご家族が覚醒剤取締法違反で逮捕されてお困りであれば、薬物事件を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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落書きで建造物損壊事件
落書きで建造物損壊事件
落書きで建造物損壊事件となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
ある日、岐阜県岐阜市にあるビルの外壁に落書きされているのを、ビルの管理者が発見しました。
管理者からの被害届を受理した岐阜県中警察署は、捜査を開始しました。
後日、同警察署は、市内に住むAさんとBさんを建造物損壊の疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、すぐに対応してほしいと刑事事件に強い弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです。)
落書きで建造物損壊罪が成立する場合
いたずらのつもりで、建物の壁などにスプレーなどで落書きをした場合、建造物損壊罪が成立し、刑事事件として取り扱われる可能性があります。
建造物損壊罪
建造物損壊罪は、他人の建造物または艦船を損壊した場合に成立する罪です。(刑法第260条前段)
◇客体◇
建造物損壊罪の客体は、他人の建造物または艦船です。
「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことで、屋根があり、壁や柱で支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りすることができるものをいいます。(大判大正3・6・20)
敷居や鴨居のように建造物の一部であり、建造物を損壊しなければ取り外すことのできない物を損壊する場合は、建造物損壊罪が成立しますが、雨戸や板戸のように損壊することなく自由に取り外すことができる物を損壊する場合は、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立すると、過去の裁判例では理解されてきました。
加えて、最高裁は、建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほかに、当該物の建造物における機能上の重要性をも総合的に考慮して判断すべきとしています。(最決平19・3・20)
ビルの外壁は、ビルを損壊しないと取り外すことはできませんので、建造物に当たります。
「艦船」とは、軍艦または船舶のことをいいます。
◇行為◇
建造物損壊罪の行為である「損壊」とは、建造物または艦船を物理的に損壊することに限らず、その効用を害する一切の行為をいいます。
建造物等の使用を全く不能にするまでの必要はありません。
判例では、多数枚のビラを建造物に貼付した事件で建造物等損壊罪の成立が肯定されているもの(最決昭41・6・10)、公衆トイレへの落書きについて、「程度が酷く、外観ないし美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせた」として建造物損壊罪の成立を肯定したもの(最決平18・1・17)があります。
このことから、ビルの外壁への落書き行為も、その程度や建造物の使用目的が考慮され、「損壊」に当たるとされる可能性はあります。
器物損壊罪との違い
損壊した対象が建造物または艦船ではない場合、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物を損壊または傷害した場合に成立する罪です。(刑法第261条)
◇客体◇
器物損壊罪の客体は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外のすべての他人の物です。
動産、不動産を広く含みます。
客体の違いが、建造物損壊罪と器物損壊罪とを区別する特徴の1つです。
◇法定刑◇
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。
一方、建造物損壊罪は、5年以下の懲役と、罰金や科料はありません。
これは、客体の重要性と人を死傷させる危険性を鑑み、器物損壊罪を加重した罪だからです。
◇非親告罪◇
器物損壊罪は、被害者などの告訴権者の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
ですので、告訴権者が告訴をしない、あるいは告訴をしたけれどもそれを取り下げれば、起訴されることはありません。
他方、建造物損壊罪は非親告罪です。
いたずらでの落書きによっても、建造物損壊罪が成立する場合もあります。
建造物損壊事件でご家族が逮捕されてしまったのであれば、できるだけ早期に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、身柄解放や寛大な処分に向けた活動を行うのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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偽計業務妨害で逮捕
偽計業務妨害で逮捕
偽計業務妨害で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
岐阜県豊下呂市の温泉地で宿泊予約の無断キャンセルが相次ぐ事件が起こりました。
温泉地にある5つの旅館やホテルに10名の宿泊を同時に予約したものの、予定日には姿を見せることなく、無断キャンセルとなりました。
このような無断キャンセルは、その後も数回続きました。
無断キャンセルにより大きな損害が出た旅館やホテル側は、岐阜県下呂警察署に被害届を出しました。
後日、県外に住む男性が、偽計業務妨害の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
飲食店や宿泊施設における無断キャンセルは少なくないようです。
しかし、その損害額は小さくありません。
上のケースにおいて、Aさんは偽計業務妨害罪に問われています。
今回は、偽計業務妨害罪について説明しましょう。
偽計業務妨害罪とは
偽計業務妨害罪は、刑法233条に以下のように規定されます。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
本条の前段は、信用毀損罪について規定しており、偽計業務妨害罪は後段に規定されています。
偽計業務妨害罪は、
①虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、
②業務を妨害した
場合に成立します。
①妨害の手段:虚偽の風説の流布・偽計
「虚偽の風説を流布する」とは、客観的事実に反する事実を不特定または多数の者に伝播することです。
直接少数の者に伝播した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときには、これに当たります。
また、「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいいます。
秘密におこなわれても、公然とおこなわれても構いません。
「偽計」に当たるとされたものとしては、
・外面からはうかがい得ない程度に、漁場の海底に障害物を沈めておき、漁業者の漁網を破損させて漁獲を不能にした事例。(大判大3・12・3)
・デパートに販売のため陳列されている寝具に縫い針を差し込んだ事例。(大阪地判昭63・7・21)
・他人名義を使って商店に対して商品の配達を依頼する旨の虚偽の電話をかけ、店員に配達させた事例。(大阪高判昭39・10・5)
・電話通話料金課金に用いる度数計器の作動を不可能にする「マジックフォン」を電話機に設置等した事例。(最決昭59・4・27)
などがあります。
②業務の妨害
妨害される「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務・事業をいいます。
「業務」であるためには、社会生活上の活動であることが必要となるので、個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。
この「業務」に「公務」が含まれるのかが問題となりますが、これについて現在の判例は、権力的・支配的性質の公務は業務妨害罪の業務に含まれないが、非支配的公務、特に私企業的公務は含まれ、非支配的公務に対しては、公務執行妨害罪と業務妨害罪とが競合的に成立し得るとの立場をとっています。
権力的公務であっても、偽計に対しては自力での妨害排除機能が認められないため、偽計業務妨害罪の成立を認める裁判例は多くあります。
例えば、ネットの掲示板に無差別殺人を行うとの虚偽の予告を行い、警察を警戒出動させて本来の警ら業務等を妨害した事例は、偽計業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判平21・3・12)
さて、上のケースでは、男性は複数の旅館やホテルに10名の団体客での宿泊予約を入れていますが、予約した宿泊日には姿を現しておらず、宿泊の準備をしていた旅館やホテルは大きな損害を被っています。
嘘の宿泊予約によって、宿泊施設の業務が妨害されています。
ですので、上の①と②の要件は満たしていると考えられます。
偽計業務妨害は、故意犯ですので、最初から虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害しよう(もしくは、妨害してもしまうかもしれないけど、まあいいか)と思って犯行におよんだ場合でなければ成立しません。
つまり、宿泊するつもりで幾つかの宿泊施設を予約し、キャンセルするのを忘れたと客観的な証拠から立証することが可能な場合には、故意がなく偽計業務妨害罪は成立しないことになります。
しかし、Aさんの場合、複数の宿泊施設に同時に宿泊予約を入れていることから、明らかに宿泊する意思がないと考えられる可能性が高いでしょう。
偽計業務妨害事件を起こした場合、逮捕される可能性はあります。
偽計業務妨害で逮捕された場合、逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか、検察官に送致するかを決めます。
検察官に送致されると、検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、若しくは、裁判官に勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間の身体拘束を余儀なくされることになります。
長期間の身体拘束は、被疑者にとって堪えがたい不利益となりますので、できる限り早期に釈放されることが望まれます。
もし、あなたの家族が偽計業務妨害で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽計業務妨害を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
業務上横領で事件化阻止
業務上横領で事件化阻止
業務上横領で事件化阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、岐阜県多治見市のX社で経理を担当していましたが、ギャンブル好きが高じて生活費に困っていました。
そこで、Aさんが管理している会社の金を着服することを考え付きました。
Aさんは、1回につき1万円を着服し、何十回も繰り返していました。
1年後、Aさんの不正に気付いたX社は、Aさんに対して横領した金額を返済するよう迫り、返済できない場合は岐阜県多治見警察署に被害届を出すと言っています。
(フィクションです。)
業務上横領罪について
刑法第253条は、業務上横領罪について以下のように規定しています。
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、
(1)業務上
(2)自己の占有する他人の物を
(3)横領
する罪です。
◇犯行の主体◇
業務上横領罪の主体は、「他人の物を業務上占有する者」に限られます。
「他人の物を占有する者」というのは、「委託に基づいて他人の物を占有する者」であり、委託に基づかないで自己の占有に帰した物を自己の物とする場合は、遺失物等横領罪となります。
「業務」とは、社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う事務であり、他人の物を占有保管することを内容とするものをいいます。
Aさんのように現金出納担当者は、「他人の物を業務上占有する者」に当たります。
◇犯行の対象◇
業務上横領罪の対象は、「自己の占有する他人の物」です。
「他人の占有する物」を領得した場合は、横領ではなく窃盗になります。
「占有」とは、事実上・法律上支配している状態のことです。
「他人の物」とは、他人の所有に属する財物をいいます。
つまり、「自己の占有する他人の物」というのは、自分(犯人)が事実上又は法律上支配している他人の所有する財物のことを指します。
業務上横領罪では、所有者ではない者が預かっているということが前提となっています。
◇行為◇
業務上横領罪の行為は「横領」することです。
「横領」とは、「自己の占有する他人の物などを不法に領得すること」、つまり、「他人の物などの占有者が、権限なく、その物に対し、所有者でなければできないような処分をする意思を実現する行為」をいいます。
例えば、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引出し、貸与、小切手の換金、費消、着服、拐帯、毀棄隠匿などが「横領」に当たります。
◇不法領得の意思◇
「不法領得の意思」は、
業務上横領罪を規定する条文には明記されていませんが、判例上認められた要件です。
「不法領得の意思」は、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思のことです。
横領罪における不法領得の意思は、「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。
ですので、一時使用の目的で、他人の物の占有者がその物を使用した場合、原則として、所有者でなければできないような処分を行ってはいないため、横領には当たらないことになります。
また、委託者本人のために目的物を処分する場合は、所有者でなければできないような処分を行っておらず、横領には該当しません。
業務上横領事件で事件化を阻止するには
業務上横領事件では、被害者は警察に相談する前に、横領された物を返済するよう行為者に求めることが多いです。
なぜなら、警察に相談し、行為者が何らかの刑事罰を受けたとしても、被害者には横領された物が返済されないことがあるからです。
会社の経営にも支障をきたすため、多くの場合、被害者は横領された物を取り返すことを優先します。
そのため、被害者に横領が発覚した直後に警察が介入しないこともめずらしくありません。
そこで、事件を早期に穏便に解決するためには、警察が介入する前に、被害者への被害弁償を行い、示談を成立させることにより、刑事事件化を阻止するよう動く必要があります。
そんなときには、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
当事者同士の交渉では、互いに感情的になったり、横領に関係のない支出までも横領したものとして扱われ、交渉が難航することもあります。
しかし、弁護士を介して交渉を行うことにより、冷静に交渉を進めることができますし、刑事処罰を求めない旨の合意を成立させることも期待できます。
業務上横領事件で刑事事件化阻止を目指すなら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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強制性交等未遂で逮捕
強制性交等未遂で逮捕
強制性交等未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県関市で、Aさんは性的暴行を加える目的でターゲットを物色していました。
そして、帰宅途中のVさんを見つけ、人気のない道に入った瞬間、AさんはVさんを背後から襲い、押し倒しました。
Aさんは、性交する目的で、Vさんの陰部に指を入れましたが、指に血が付着していたことに驚き、性交することなく、その場を去りました。
後日、岐阜県関警察署は、強制性交等未遂の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです。)
未遂
犯罪は、犯行のために準備をし、実際に実行行為を行い、結果が発生する、という経過をたどることが多いです。
実行行為に基づき結果が発生した場合は、既遂罪として処罰されます。
しかし、実行行為を行ったが、結果が発生しなかった場合や、結果は発生したが、実行行為と結果との間に因果関係がない場合についても、法律で未遂罪の処罰規定がある場合のみ処罰されます。
刑法第43条は、未遂犯について規定しています。
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
未遂には、「障害未遂」と「中止未遂」の2種類があります。
「中止未遂」は、実行行為に着手したものの、自己の意思によりやめた場合をいい、「障害未遂」は、それ以外の理由により未遂に終わった場合をいいます。
中止未遂が成立した場合、必要的に刑が減軽または免除されますが、障害未遂は、任意的に刑が減軽できるにとどまることから、具体的な刑を決める上では大きな違いがあると言えます。
刑の減軽については、刑法第68条に規定されています。
・死刑⇒無期懲役または10年以下の懲役・禁固となる。
・無期懲役・禁固⇒7年以上の有期懲役・禁固となる。
・有期懲役・禁固⇒その長期および短期を2分の1とする。
・罰金⇒その多額および寡額を2分の1とする。
・拘留⇒その長期の2分の1とする。
・科料⇒その多額を2分の1とする。
中止未遂の成立要件
中止未遂であれば、必要的に刑が軽減または免除されることになりますが、中止未遂が成立するには満たさなければならない要件があります。
中止未遂が成立するためには、
①犯罪の実行に着手したこと、
②自己の意思によって、
③犯罪を中止したこと
が必要となります。
障害未遂との区別の関係では、②自己の意思によって、③犯罪を中止したか否かが問題となります。
②「自己の意思によって」中止したか否かは、(a)実行行為者の意思とは関係のない事実によって、結果が発生しなかった場合には、「自己の意思によって」中止したとは言えません。
他方、(b)実行行為の途中で、何ら外部的な要因がないのに、悔悟の気持ちなどから、実行行為をやめた場合は、「自己の意思によって」中止したと言えます。
問題は、一定の外部的な要因があり、これを動機として実行行為を中止した場合です。
これについては、国民の規範意識に則り、通常、結果の妨害となる性質となるものにより中止したか否か、つまり、一般人を基準に、その事情があれば犯行をやめるかどうか、という基準に従って判断されます。
この点、判例では、次のケースで自己の意思により中止したものと認めています。
・強盗目的で、被害者を脅迫したが、被害者から、「これしか金がない」と言われ、涙を流されたことから哀れに思い、その後の強取行為に至らなかった場合。(福岡高判昭35・7・20)
・殺害目的で被害者に睡眠薬を飲ませた後、大変なことをしたと思い、さらに睡眠薬を飲ませなかった場合。(東京地判昭37・3・17)
一方、強制性交目的で、被害者の陰部に指を挿入したところ、指が血に染まったのに驚き、その後の強制性交行為に及ぼなかったという事件において、一般的にはその精神的ショック(指に付着した血液を見驚き)などから犯行を中止する可能性が高いと判断され、自己の意思により中止したものと認められないとした判例があります。(最判昭24・7・9)
③の「中止」したか否かについては、「着手未遂」と「実行未遂」に分けて考える必要があります。
実行行為に着手したが、実行行為が終了する前に、中止する「着手未遂」は、その後の実行行為を継続しないことが「中止」となります。
他方、「実行未遂」は、実行行為に着手し、実行行為が終了したが、結果が発生しなかった場合をいいます。
実行未遂の場合、実行行為は終了しており、実行行為を継続しないことはありえず、結果発生防止のための真摯な努力がないと「中止」したとは言えません。
例えば、殺意をもって、被害者の首をしめたところ、被害者がぐったりしたので、それ以上特にしなかった場合(福岡高判平11・9・7)や、放火したが、火が燃え上がるのを見て怖くなり、所有者に火災を知らせたのみで、自ら消火活動はしなかった場合(大阪地判昭42・11・9)などです。
中止未遂と障害未遂とでは、成立要件は異なり、また、科され得る刑も違ってきます。
未遂事件でも、中止未遂に該当するか否かはケースによって異なりますので、刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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ひき逃げ事件で釈放
ひき逃げ事件で釈放
ひき逃げ事件で釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県高山市に住むAさんは、夕方、自動車を運転して買い物に出かけました。
出先から帰る途中、交差点を右折したところ、サイドミラーにコツンと何か物があたるような軽い音がしました。
気になったAさんは、交差点から少し進んだところで自動車を止めてサイドミラーを確認しましたが、特に傷などは見つかりませんでした。
すると、後日、岐阜県高山警察署の警察官がAさん宅に訪れ、ひき逃げの件で話が聞きたいと言われ、警察署に連れて行かれました。
数時間後、Aさんの夫は、高山警察署から「Aさんをひき逃げ事件の被疑者として逮捕しました。」との連絡を受けました。
Aさんの夫は、慌てて刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
ひき逃げ事件で問われる罪とは
「ひき逃げ」という言葉は、法律上定められたものではありませんが、一般的に、車などで人身事故を起こしたにも関わらず、けがを負った人を救護することなく事故現場から立ち去る行為を指します。
「ひき逃げ」をした場合、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
ひき逃げ行為自体については、道路交通法違反に問われます。
道路交通法は、その72条において、交通事故の場合にとらなければならない措置について定めています。
①直ちに運転を停止する義務
②負傷者の救護義務
③道路上の危険防止の措置義務
④警察官に、発生日時、交通事故による死傷者の人数、負傷者の負傷の程度、損壊した物やその損壊程度、交通事故に係る車両等の積載物、そして交通事故について講じた措置を報告する義務
⑤報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合には、警察官が到着するまで現場にとどまる義務
交通事故を起こし、運転者その他の乗務員が、上のような必要な措置を行わないことにより、道路交通法違反が成立します。
また、人身事故を起こしたことについては、過失運転致死傷罪、場合によっては、危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。
ひき逃げ事件で逮捕されたら
現場から逃げたとしても、その後、被害者や目撃者からひき逃げ車両に関する情報を聞いたり、周辺の防犯カメラの映像からひき逃げ車両を特定していきます。
事故を起こした直後は逃げられたとしても、後日、被疑者が割り出され可能性は少なくありません。
また、ひき逃げ犯は、実際に事故現場から一度逃走しているため、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあると認められ、逮捕される可能性は大いにあります。
ひき逃げ事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察庁に送致されます。
送致されない場合は、48時間以内に釈放されます。
検察庁に送致されると、担当の検察官は、被疑者を取調べ、送られてきた証拠等を検討した上で、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に当該被疑者について勾留請求を行います。
検察官の勾留請求を受けて、裁判官は、被疑者との面談を行い、証拠を検討した上で、勾留するかどうかを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から10日間被疑者の身柄が拘束されることになります。
勾留を回避する方法
勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされた場合、勾留された人は、退学や解雇など様々な不利益を被る可能性があります。
そのような事態を回避するためにも、できる限り早期に釈放となるよう動く必要があります。
逮捕から勾留が決定するまで、長くとも3日間です。
勾留が決定する前に、検察官や裁判官に対して、当該事件について勾留の理由がないことや勾留によって被疑者が被り得る不利益について、客観的かつ説得的に主張し、勾留請求しないよう、または勾留の決定をしないよう働きかけ、勾留の回避を目指します。
勾留が決定してしまった場合には、勾留の裁判に対して不服申立を行います。
申立にあたっては、勾留の理由および勾留の必要性がないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張しなければなりません。
例えば、勾留の理由で、被疑者の逃亡・罪証隠滅のおそれが該当すると判断されていたのであれば、家族の監督が期待できることを、また、勾留の必要性については、被疑者家族は被疑者の収入で生活しているため、勾留により解雇された場合に被る不利益が著しく大きいことを主張します。
準抗告が認められれば、先の勾留の決定は取り消され、検察官の勾留請求も却下されますので、勾留されていた被疑者は釈放となります。
いつ釈放されるかで、拘束されたいた方やそのご家族のその後の生活も大きく変わってきますので、できるだけ早期の釈放を目指しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でご家族が逮捕・勾留されてお困りであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
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自殺関与罪で逮捕
自殺関与罪で逮捕
自殺関与罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
岐阜県大垣市に住むVさんは、医者から末期がんであると申告されました。
Vさんは、「醜い姿で死にたくない。どうせ死ぬなら、今の姿で死にたい。」と思い、恋人のAさんにそのことを打ち明けました。
Aさんは、当初は、Vさんに自殺を思いとどまるよう説得していましたが、Vさんの思いに押し切られ、睡眠薬を用意しました。
後日、Vさんは睡眠薬を多量接種し、死亡しているところを家族に発見されました。
岐阜県大垣警察署は、Aさんから事件の経緯について聞き、Aさんを自殺関与(自殺幇助)の容疑で捜査することにしました。
(フィクションです。)
自殺すること自体は、犯罪には当たりません。
しかし、自殺に何らかの形で関与することが罪となる場合があります。
自殺関与罪について
自殺関与罪については、刑法第202条に規定されています。
第二百二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
自殺関与罪は、刑法第202条の前段に規定されており、後段は同意殺人罪についてです。
自殺関与罪は、「自殺教唆罪」と「自殺幇助罪」とに分けられます。
1.自殺教唆罪
自殺教唆罪は、人を「教唆」して自殺させた場合に成立する罪です。
人に、自殺するようにそそのかし、自殺の決意を生じさせることにより、罪に問われます。
例えば、Aさんにはもともと自殺する気はなかったのに、Bさんから自殺するように言われ続け、Aさんが遂に自殺するに至った場合、Bさんに対して自殺教唆罪が成立する可能性があります。
しかし、人から「自殺しろ」と言われて、簡単に自殺する人は少ないでしょう。
実際の事件では、被害者に選択の余地が少なく、最終的に「死んだほうがマシだ。」と思い、自殺を決意するケースが多いように思います。
そうなると、自殺に追い込んだから「殺人」のようなものだと感じられる場合もあるでしょう。
殺人罪と自殺教唆罪との区別について、「自殺の決意が自殺者の自由意思による時は自殺教唆罪、自由意思がもてない程度の威迫を加えて自殺させたときは殺人罪」とする判例があります。(広島高裁昭和29年6月30日判決)
最近では、上司から暴言などパワハラ行為を受けていた新入社員が自殺したことを受け、その上司が自殺教唆罪に問われた事件がありました。
2.自殺幇助罪
自殺ほう助罪は、人を「幇助」して自殺させた場合に成立する罪です。
人が自殺するのを容易にすることにより、罪に問われます。
自殺教唆罪とは異なり、自殺者はすでに自殺することを決意しており、その者が自殺をするのを手助けする行為が対象となります。
2018年、自殺した有名な評論家の自殺を手助けしたとして、2人の男性が自殺幇助の疑いで逮捕された事件が、当時ニュースで頻繁に報道されていました。
自殺したAさんは、病気で両手が不自由だったにもかかわらず、遺体発見時に体のハーネスと川岸の木がロープで結び付けられていたため、何者かが手助けしたとして捜査が開始されました。
逮捕された2人は、Aさんに頼まれて自殺を手伝ったとのことです。
自殺を容易にする方法は、物理的方法に限らず、精神的に容易にすることも含まれます。
刑法第202条の後段に規定される「同意殺人罪」は、人から依頼を受けてその人を殺した場合には「嘱託殺人罪」に、人の同意を得てその人を殺した場合には「承諾殺人罪」に当たるとされています。
上のケースでは、Aさんが睡眠薬を用意し、Vさんがそれを服用し自殺しています。
ですので、Aさんの行為はVさんの自殺を容易にしたとして、自殺幇助罪に問われているのです。
自殺幇助罪の法定刑は、6月以上7年以下の懲役又は禁固で、罰金刑はありません。
容疑を認めている場合、少しでも刑を軽くするために、被疑者・被告人に有利な事情を主張し、検察官、裁判官に寛大な処分を求めていくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
自殺関与罪で被疑者・被告人となってしまった、刑事事件を起こし対応に困っている、と刑事事件でお悩みであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件と刑罰
刑事事件と刑罰
刑事事件と刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
岐阜県各務原警察署は、Aさんを強制わいせつの疑いで逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されることになるのか心配でなりません。
Aさんの家族は、Aさんにはきちんと反省して更生してほしいと思っていますが、できる限り受ける処分が軽くならないかと思い、刑事事件専門弁護士に相談しています。
(フィクションです。)
刑事事件とは、法律で予め犯罪であることが定めらている行為をしたと疑われる者(被疑者、被告人)について、警察や検察などの国の捜査機関が、その者が犯罪を行ったのかどうか捜査を行い、裁判官(裁判員裁判の場合は、裁判員も)がその者が犯罪を行ったかどうか、行ったのであればどのような刑罰を科すべきかについて判断する手続のことをいいます。
刑事事件では、民事事件とは異なり、訴えることができるのは「検察官」だけです。
犯罪の直接の被害を被った被害者であっても、加害者を刑事事件において訴えることはできません。
検察官が訴える、つまり公訴を提起すること(起訴)により、被疑者は「被告人」となり、刑事裁判の当事者となります。
刑事裁判では、検察官が主張するストーリー(犯罪事実)が合理的な疑いを入れない程度に証明されたか否かを、裁判官(裁判員裁判の場合には、裁判員も)が判断します。
法廷で提出された証拠から、検察官の主張が合理的な疑いを差し込む余地のない程度に立証されたと判断された場合、被告人に対して有罪判決が言い渡されます。
そして、刑罰も言い渡されます。
刑罰とは、有罪判決を受けた者に対して、その者の生命や自由、財産を強制的に奪うことです。
この刑罰の意義については、様々な立場から主張されますが、応報、一般予防、特別予防を目的とするものと捉えられます。
ハンムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」という有名な言葉をご存じと思いますが、応報はまさにこの言葉に表されるものです。
罪を犯した者は、その責任としてそれ相応の苦痛を与えられるべきだというものです。
加えて、罪を犯せば刑罰が科されることを社会に広く周知させることで、社会の一般人を威嚇し、犯罪を予防するという意味や、犯罪を犯した者に対して刑罰を科すことで、犯罪を犯した者自身を改善・更生し、再び罪を犯すことを予防するという意味もあります。
刑罰の種類
刑罰には、その剥奪する法益の種類によって、生命刑、身体刑、自由刑、財産刑に分けられます。
①生命刑
生命刑は、人の命を奪う刑罰です。
日本では「死刑」と呼ばれ、刑事施設内で絞首の方法により執行されます。
②自由刑
自由刑は、人の自由を奪う刑罰です。
自由刑を言い渡された者は、刑務所などの刑事施設に収容され、移動や生活を大幅に制限されることになります。
自由刑には、「懲役」、「禁固」、「拘留」の3つがあります。
「懲役」は、無期若しくは1か月以上20年以下の期間刑務所などの刑事施設に収容されます。
受刑者は、そこで所定の作業が科されます。
一方、「禁固」は、無期若しくは1か月以上20年以下の期間刑務所などの刑事施設に収容される点では懲役を同じですが、作業については選択することができます。
「拘留」は、刑事施設に収容される点では懲役や禁固と同じですが、その期間は1日以上30日未満と短いものです。
しかし、懲役や禁固とは異なり、執行猶予を付けることができないので、拘留の判決は必ず実刑となります。
③財産刑
財産刑は、人の財産を奪う刑罰です。
財産刑には、「罰金」と「科料」、「没収」があります。
「罰金」は、1万円以上の金銭を納付する財産刑です。
納付することができない場合は、労役留置場に留置され、働いて支払うことになります。
「科料」は、1000円以上1万円未満の金銭を納付する財産刑です。
科料も罰金と同様、納めることができない場合には、労役留置施設に留置され、働いて支払うことになります。
「没収」とは、犯罪に関係のある物の所有権を国に移し、国庫に帰属させる財産刑です。
没収は、他の刑罰とは異なり付加刑であるので、主刑から独立して科すことはできません。
以上のように、裁判で有罪となった場合には、数ある刑罰の種類から選択して刑罰が科されることになります。
しかしながら、すべての事件が起訴されるわけではありませんので、できる限り起訴される前に、被害者との示談を成立させる等、不起訴で事件が終了するよう働きかけることは重要です。
また、起訴された場合であっても、執行猶予や刑の減軽などできる限り寛大な処分となるよう動く必要があるでしょう。
そのためには、刑事事件に精通する弁護士に早期に相談し、対応していくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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無賃乗車による事件
岐阜県養老町の無賃乗車事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~事件~
都心で独り暮らしをしているAさんは、岐阜県養老町の実家に帰省する予定でしたが、事前にお金を使い過ぎたために、その電車賃がありませんでした。
Aさんは、混雑期であれば簡単にキセル乗車ができると考え、最寄りの駅で入場券を購入し、そのまま電車に乗って実家近くの駅で電車を降りました。
そして改札口付近で駅員の隙をうかがっていたところ、警戒中の鉄道警察隊の警察官に見つかったAさんは、不正乗車が発覚し、駅内の交番に連行されました。
警察官から取調べを受けたAさんは、両親が迎えに来て帰宅することができましたが、後日、再び警察官から呼び出すことを告げられたAさんは、今後の事が不安で刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)
~電車の不正乗車事件~
電車の不正乗車をキセルと言います。
昔は乗務員が電車内で乗車券を確認していましたが、最近はICカードを利用する乗客が増えてきたことから、新幹線などの特急列車でなければ乗車券の確認はあまりありません。
そのため電車を利用する際に不正乗車が行われることが多々あります。
また、最近では高齢者に対しての福祉として、敬老パス等公共交通機関を利用する際に割引が受けられるものを、転売や不正利用するケースが報告されています。
大きな事件としては報道されていませんが、不正利用が増加すると行政や警察も対策を強化することになり、厳しい取り締まりが行われる可能性があります。
~詐欺罪~
公共交通機関での不正乗車は、犯行の態様によっ適用されるのは、鉄道営業法や軽犯罪法等様々な法律があり、一概に取り締まられる法律が定まっていないと言えます。
常習的に不正乗車を繰り返し正規の乗車料金を支払っていないことが立証された場合は、詐欺罪の適用を受ける可能性があります。
人を騙して財物を得ることによって成立する詐欺罪は、刑法第246条に規定された法律で、起訴され有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられることになります。
Aさんの程度の不正乗車(キセル)事件であれば、詐欺罪が適用されたとしても、比較的軽微な刑事事件として扱われることが大半で、余程のことが無ければ逮捕されることは無く、被害額を弁償し事件化しない又は不起訴処分で終了することになることが多いでしょう。
しかし、余罪が多数ある場合など、犯情が悪質な場合は、詐欺罪には罰金刑が規定されていないが故に、起訴されれば執行猶予付判決を得ない限り刑務所に服役しなければなりません。
~その他の法律~
絶対に不正乗車(キセル)に詐欺罪が適用されるとは限りません。
そもそも詐欺罪は人を騙して財物を得たり、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
そのため、その成立には「欺罔行為(人を騙す行為)」が必要不可欠となります。
しかし自動改札機が普及している現代、不正乗車(キセル)の全てに、この行為が存在するとは限りません。。
それでは詐欺罪が成立しなかった場合、Aさんの行為を取り締まる法律はないのでしょうか。
その場合、鉄道営業法が適用される可能性があります。
鉄道営業法第29条には、有効な乗車券をなくして乗車することを禁止しています。
これに違反した者には50万円以下の罰金又は科料が科せられる可能性があります。
岐阜県養老町の刑事事件でお困りの方、不正乗車(キセル)で警察の取調べを受けておられる方は、刑事事件専門の法律事務所「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。
銀行口座の転売
岐阜県高山市の銀行口座の転売による事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
◇事例◇
岐阜県高山市に住む無職Aさんは、2ヶ月ほど前に、インターネットのサイトで「口座を3万円で買い取ります。」という業者を見つけて、この業者に10年ほど前に開設して、最近使用していなかった口座を転売しました。
この業者の指定された住所に、通帳とキャッシュカードを郵送したのですが、未だに代金が支払われないので、Aさんは諦めていました。
そして先日、アルバイトが決まり、その給料の振込口座を開設するために銀行に行くと、Aさん保有する銀行口座全てが凍結されており、新たに口座を解説できない旨を銀行員に告げられたのです。
銀行員からは、警察に相談するように言われましたが、2ヶ月前に口座を転売した件で警察に逮捕されるのではないかと不安なAさんは、まず刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
◇銀行口座の転売◇
銀行口座(預金通帳)を他人に売ったり、譲渡したりする行為は、以下のは罪に該当する場合があります。
転売(譲渡)目的で口座を開設した場合
最近は、銀行で口座を開設する時に、その銀行に対して口座の利用目的(公共料金の引き落とし口座、給料の振込口座等)を申告しなければなりません。
この目的を偽って銀行口座を開設した時は、銀行を騙して銀行口座を得たとして「詐欺罪」が成立する場合があります。
詐欺罪は、刑法第246条に当たる犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役」が科せられます。
〇既に開設している銀行口座を他人に譲渡した場合
数年前から、インターネットの掲示板やサイト、ダイレクトメールで「利用していない銀行口座を買取ります」「融資するので銀行口座を送ってください」といった内容を見かけるようになりました。
このようにして売られた銀行口座は、振り込め詐欺など何らかの犯罪に使用される可能性が非常に高いです。
長年取引のない銀行口座を、他人に譲渡した場合は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に抵触するおそれが非常に高いです。
この法律では
と、有償、無償に関わらず、他人に自分名義の銀行口座を譲渡する事を禁止しています。
〇譲渡した銀行口座が、他の犯罪に使用される事を知って譲渡した場合
銀行口座が使用された犯罪の共犯として罰せられる可能性があります。
例えば、譲渡した銀行口座が、振り込め詐欺の犯罪に使用される事を知った上で、銀行口座を譲渡すれば、振り込め詐欺の共犯若しくは幇助犯となる場合があるのです。
数年前から振り込め詐欺等の特殊詐欺事件が多発しており、警察等の捜査当局が注意喚起していますが、その犯行手口は巧妙かつ複雑化し、被害は増加する一方です。
その様な背景から、警察等の捜査当局は金融機関と協力し、犯罪に使用された銀行口座の凍結や、過去に犯罪に使用された銀行口座の名義人については、新たに銀行口座を開設できなくするなどして、被害の予防に取り組んでいるので注意しなければなりません。
岐阜県高山市で他人に、銀行口座(預金通帳)を転売してしまったなど、手放した銀行口座の事で悩んでおられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。