逮捕と勾留の違いとは
逮捕と勾留の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、岐阜県各務原市内にある各務原駅付近の歩道において、携行している荷物がVに接触したという理由でVと口論になり、カッとなったAさんはVの左大腿部を蹴ってしまいました。
すぐにVは岐阜県各務原警察署へ通報し、Aさんは暴行罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
逮捕を知らされたAさんの家族は、Aさんがいつ帰ってこられるのか不安でたまりません。
そこで、Aさんの家族は、岐阜県の逮捕に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)
~暴行罪について解説~
他人に暴行を加えたものの、人を傷害するに至らなかった場合に暴行罪が成立します(刑法第208条)。
「暴行」とは、他人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、他人を殴る、蹴るなどの行為がその典型例です。
暴行罪の法定刑は、「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となっています。
これによって被害者に怪我を負わせてしまった場合には、「傷害罪」(刑法第204条)が成立します。
他人の左大腿部を蹴る行為は典型的な暴行行為といえます。
Aさんには暴行罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
~「逮捕」と「勾留」の違い~
法律用語において「逮捕」と「勾留」は厳密に区別されていますが、日常においてはそれほど厳密に区別されていないかもしれません。
逮捕された後には、すぐに釈放されるケースもありますが、留置の必要があると認められると、留置場に入ることになります。
身体拘束を受けたまま検察官に事件が送致される場合には、逮捕時から48時間以内に事件と被疑者が検察へ送致され、検察官の取調べを受けることになります。
検察官は事件と被疑者を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。
(逮捕直後は「勾留」ではない)
ここまでが「逮捕」の効力として身体拘束できる時間となります。
留置場に入ったことをもって、「勾留」されたと表現する方もおられますが、この段階ではまだ「勾留」はされていません。
検察官による勾留請求のあと、裁判官が「勾留決定」をすれば「勾留」されることになります。
この場合は、10日間の身体拘束を受けることになります。
さらに、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
~早期の身体解放を実現するためには?~
身体拘束が長引けば長引くほど、Aさんの社会復帰を困難にします。
反対に、逮捕直後に適切な弁護活動を行うことにより、勾留されずに済む場合もあります。
(勾留されずに済む場合とは?)
Aさんに対する被疑事実は、面識のないVに対する暴行です。
家族や恋人に対して日常的に暴力を振るっていたという場合は別論ですが、面識のない人物に対する暴行であれば、勾留されずに釈放されるケースも多々あります。
勾留されずに済む場合として、①逮捕後、身元引受人がいるなどの理由により、警察官が留置の必要がないと判断して釈放するケース、②検察官が勾留請求を行わず釈放するケース、③検察官が勾留請求を行ったが裁判所が勾留を認めず却下されるケースがあります。
勾留されなければ、逮捕日から1~3日程度で外に出ることができます。
ただし、逮捕された被疑者本人が、身体解放の実現に向けて行動することは極めて困難です。
効果的な身体解放活動を行うためには、留置場の外で積極的に活動することが極めて重要です。
そのためには、逮捕された後、可能な限り早い段階で弁護士を依頼することが大切です。
ご家族が暴行罪の疑いで逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士へ連絡し、身体解放活動を依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
ご家族が暴行罪の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。