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偽造商品券使用して逮捕②
偽造商品券を使用して商品等を購入した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃市のスーパーマーケットで、1枚5千円の商品券4枚を渡し、タバコ4カートンを騙し取ったとして、岐阜県関警察署は、県内に住むAさんを偽造有価証券行使、詐欺の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、夫の逮捕に大変ショックを受けました。
そうこうしているうちに、Aさんが勾留されたとの連絡があり、このまま刑務所に入ることになるのではと不安になったAさんの妻は、ネットで刑事事件専門弁護士を探し、急いで連絡を入れました。
(フィクションです)
Aさんは、偽造した商品券を使ってスーパーマーケットでタバコを購入しました。
この場合、Aさんに対して、偽造有価証券行使罪および詐欺罪が成立する可能性があります。
前回は、偽造有価証券行使罪について説明しました。
今回は、詐欺罪について解説します。
(2)詐欺罪
詐欺罪は、刑法246条に次のように規定されています。
246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は以下のようになります。
(1項)①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと。
(2項)①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。
1.1項詐欺
◇客体◇
本罪の客体は、「他人の財物」であり、自然人・法人を含めた他人の占有する他人の動産および不動産です。
◇行為◇
本罪の実行行為は、「人を欺いて財物を交付させる」ことです。
より細かく言えば、①人を欺く行為をして、②それに基づいて相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じる、といった相当因果関係にあることが、本罪の成立に必要となります。
①欺く行為
「欺く」とは、一般人をして財物または財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
欺く方法については、作為・不作為を問いません。
②錯誤
「錯誤」は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればよく、法律行為の要素の錯誤であると、動機の錯誤であるとを問いません。
③処分行為
「財物を交付させる」というのは、相手方の錯誤に基づいて財産的処分行為により財物の占有を取得することを指します。
この処分行為は、財産処分の意思と、財産を処分する事実から成ります。
処分の意思があるというためには、処分行為者がその処分行為の意味を理解している必要があるため、処分する意思をまったく有しないような幼児や高度精神病者などには、財産的処分行為は認められません。
財産を処分する事実については、法律行為だけでなく、事実上財産的損失を生じさせる行為であれば構いません。
④財物の移転
「財物の移転」とは、財物の占有が移転することです。
⑤財産的損害
財産罪である詐欺罪の成立には、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが必要となります。
騙されなければ交付していなかったであろう財物を交付していれば、財産的損害が発生しているものとみなされます。
2.2項詐欺
◇行為◇
本罪の実行行為は、「人を欺いて財産上不法の利益を得る」ことです。
ここでいう「財産上不法の利益を得る」というのは、欺く行為に基づいて、相手方が錯誤に陥り、その結果行われた財産的処分行為によって行為者や第三者が、不法に財産上の利益を取得することを意味します。
さて、Aさんの行為について考えてみましょう。
Aさんは偽造商品券をスーパーマーケットの会計時に提示しており、それを受けた店員は、その商品券が真正なものであると信じ、商品であるタバコをAさんに渡しています。
つまり、Aさんの騙す行為によって、騙された店員が店の商品をAさんに交付し、商品はAさんのものとなっていますので、Aさんの行為は詐欺罪に当たることになります。
Aさんの一連の行為は、偽造有価証券行使罪および詐欺罪の2つの罪が成立することになります。
偽造有価証券行使は詐欺の手段として行われており、この2罪は牽連犯の関係にあります。
この場合、該当する罪のうち最も重い罪の法定刑によって処断されることになりますので、今回の事件では、起訴され有罪となれば、Aさんには3月以上10年以下の懲役が科される可能性があるということになります。
決して軽くはない罪ですので、早期に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、対応するのがいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽造有価証券行使罪や詐欺罪などの刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こして逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
偽造商品券使用して逮捕①
偽造商品券を使用して商品等を購入した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃市のスーパーマーケットで、1枚5千円の偽の商品券4枚を渡し、タバコ4カートンを騙し取ったとして、岐阜県関警察署は、県内に住むAさんを偽造有価証券行使、詐欺の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、夫の逮捕に大変ショックを受けました。
そうこうしているうちに、Aさんが勾留されたとの連絡があり、このまま刑務所に入ることになるのではと不安になったAさんの妻は、ネットで刑事事件専門弁護士を探し、急いで連絡を入れました。
(フィクションです)
Aさんは、偽造した商品券を使ってスーパーマーケットでタバコを購入しました。
この場合、Aさんに対して、偽造有価証券行使罪および詐欺罪が成立する可能性があります。
(1)偽造有価証券行使罪
偽造有価証券行使罪は、刑法163条に次のように規定されています。
163条 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
◇客体◇
偽造有価証券行使罪の客体は、「偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券」です。
「有価証券」というのは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につき、その証券の占有を必要とするもののことです。
その証券が取引上流通性を有すると否とを問いません。
有価証券にあたるものとしては、乗車券、定期券、宝くじ、郵便為替証券などがあります。
商品券も有価証券に含まれます。
「偽造」とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して有価証券を作成することをいいます。
形式上および外観において、一般人が真正な有価証券と誤信する程度のものでなければなりません。
「変造」とは、権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の有価証券の非本質的部分に変更を加えることをいいます。
これについても、一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式を備えている必要があります。
また、「虚偽記入」について、判例は、「既成の有価証券に対すると否とを問わず、有価証券に真実に反する記載をするすべての行為を指すものであって、手形にあっては基本的な振出行為を除いたいわゆる附属的手形行為の偽造等をいうものと解するを相当とする。」としています。(最決昭32・1・17)
◇行為◇
偽造有価証券行使罪の実行行為は、「行使」、「交付」、「輸入」することです。
「行使」とは、偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券を真正または内容の真実なものとして使用することをいいます。
偽造通貨行使罪のように、流通に置くことまで求められません。
そのため、信用を確保するため偽造小切手を真正なものとして第三者に見せる行為は、偽造小切手を真正な小切手として使用する行為に当たります。
また、「交付」は、情を知らない他人に偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券であることの情を明かして、または情を知っている他人にこれを与えることを意味します。
◇主観的要件◇
偽造有価証券交付罪および輸入罪は、「行使の目的」でこなわれることが必要です。
偽造有価証券行使罪の法定刑は、3月以上10年以下の懲役であり、罰金刑が定められていません。
偽造有価証券行使罪で起訴され、有罪となった場合には、上の法定刑の範囲内で刑が決められることになります。
また、偽造商品券を使って商品を購入したケースでは、偽造有価証券行使罪の他に、詐欺罪が成立することになります。
詐欺罪については、次回解説します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が偽造有価証券行使罪や詐欺罪で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
年齢切迫少年と逆送
年齢切迫少年と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県各務原市に住むAくん(19歳)は、アルバイト先のコンビニのトイレにカメラを設置し盗撮したとして、岐阜県各務原警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、すぐに少年事件に強い弁護士に相談の連絡を入れました。
Aくんの家族は、Aくんは翌月20歳の誕生日を迎えるため、逆送される可能性があることを弁護士から聞きました。
(フィクションです)
年齢切迫少年
少年事件の審判の対象となる少年は、20歳に満たない者です。。
少年法は、少年を以下の3種類に分けています。
①犯罪少年
犯罪を犯した少年。
②触法少年
14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年。
③虞犯少年
虞犯事由があって、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年。
いずれに該当する場合でも、家庭裁判所の審判の対象となる少年は、少年審判を受ける時点で20歳未満でなければなりません。
捜査段階でも審判段階でも、20歳の誕生日を迎えた場合は「成人」となり、少年事件の手続に付されることはなくなります。
少年審判を受ける時点で20歳を超えることになる可能性がある少年、つまり、家庭裁判所送致時にまもなく20歳を向かえる少年のことを「年齢切迫少年」といいます。
少年が審判前に20歳に達すれば、成人として刑事手続にのせられることになり、家庭裁判所は年齢超過として検察官に送致しなければなりません。
また、20歳になるまでに審判をすることが可能であるとしても、家庭裁判所送致後20歳の誕生日が間近に迫っており、実質的に調査を行う時間がない場合や、年齢に加えて、事案から起訴が相当であると裁判官が判断した場合には、成人に達する前に逆送されることもあります。
逆送(検察官送致)
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
中間決定とは、終局決定前の中間的な措置としてなされる決定であり、試験観察決定などがあります。
一方、終局決定は、少年の最終的な処分を決する決定のことで、(1)審判不開始、(2)不処分、(3)保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致)、(4)検察官送致(逆送)、(5)都道府県知事又は児童相談所長送致、とがあります。
家庭裁判所は、
①調査あるいは審判の結果、本人が20歳以上であることが判明した時(年齢超過)、および、
②死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分相当を認める時
は、事件を検察官に送致する決定をしなければなりません。
この終局決定を「検察官送致」(「逆送」)決定といいます。
先述のように、年齢切迫少年事件において問題となるのは、①年齢超過による逆送です。
審判時に少年が20歳以上に達している場合、少年法の適用対象ではなくなるので、家庭裁判所は審判をすることも保護処分をすることもできません。
そのため、この場合には、家庭裁判所は事件を検察官に送致しなければなりません。
この場合の逆送を「年齢超過逆送」といいます。
逆送のデメリットとしては、刑事手続に付され、起訴されると、成人と同様に刑事裁判を受けることになり、有罪となれば前科が付くことになることに加え、保護処分を受けられないため、少年が教育的な処遇を受ける機会を得られなくなってしまう点です。
例えば、少年審判では保護観察処分が言い渡される可能性が高いが、刑事手続であれば略式罰金で事件が終了することが見込まれる事件では、短期的に見れば、刑事手続の方が、前科は付くものの、早期に事件を終了させることができるという点にメリットがあるように思えます。
しかし、少年手続に付され、保護観察処分を受けることによって、保護観察期間中に、保護観察官や保護司との面談等を通して、教育的処遇を受ける機会を得ることができ、結果的に、少年の更生に資することになるという側面があります。
どちらが少年にとって良いのかは、事件内容や少年自身の持つ問題や周囲の環境等によっても異なります。
年齢切迫で逆送が見込まれそうな場合には、少年事件に精通する弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
保護責任者遺棄で逮捕
保護責任者遺棄について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県土岐市に住むAさんは、生後8か月の娘が衰弱した状態であることを知りながら放置したとして、岐阜県多治見警察署に保護責任者遺棄の疑いで逮捕されました。
外出さきから帰宅したAさんは、娘が全く動かないことに気が付き、119番通報をしました。
娘は救急車で緊急搬送されましたが、搬送先で死亡が確認されました。
現場に駆け付けた岐阜県多治見警察署の署員は、Aさんから話を聞き、Aさんを署まで連行し、後に逮捕したということです。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、あまりのショックでしばらく頭が真っ白になっていましたが、その後、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探し、Aさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
保護責任者遺棄罪とは
刑法218条は、保護責任者遺棄罪について次のように規定しています。
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
つまり、保護責任者遺棄罪の構成要件は、以下のようになります。
(前段)①保護責任者が
②老年者、幼年者、身体障害者又は病者を
③遺棄したこと
(後段)①保護責任者が
②老年者、幼年者、身体障害者又は病者を
③生存に必要な保護をしなかったこと
◇主体◇
本罪の主体は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」です。
保護する責任があるか否かは、法令の規定に基づく保護義務、契約に基づく保護義務、事務管理に基づく保護義務、条理に基づく保護義務が存在するか否かによります。
事例において、Aさんは生後8か月の娘の母親ですので、民法820条の親権者の子に対する監護義務が存在していますので、本罪の主体となり得ます。
◇客体◇
本罪の客体は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者」であり、老人、幼児、身体器官の不完全な者、身体上の病気のほか精神病にかかっている者、その他広く身体上、精神上の疾患をもつ者です。
◇行為◇
本罪の実行行為は、客体を「遺棄」すること、または、「生存に必要な保護」をしないことです。
「遺棄」とは、客体を従来の場所から生命に危険な他の場所に移転させることをいいます。
移転させられた場所が生命に危険な場所であることが必要です。
「生存に必要な保護」については、客体が生存するめに必要な行為をしないことであり、子供に食事を与えなかったり、病気の人や怪我をした人に必要な治療を受けさせなかったりするなどが該当します。
上の事例では、Aさんが生後8か月の娘が衰弱した状態であることを知りながら放置したというものですが、Aさんは娘を病院に連れて行くでもなく、そのままにしておいたのであり、生存に必要な保護をしていません。
また、本罪の成立には、行為者が、要保護者をその従来の場所から生命に危険な場所に移転すること、または、生存に必要な保護をしないことを認識しており、かつ、自己の要保護者との間に保護責任を基礎づける事実の存在することを認識していることが必要となります。
保護責任者遺棄罪の法定刑は、3月以上5年以下の懲役であり、罰金刑はありません。
また、その結果、人と死傷させてしまった場合には、傷害の罪と比較して重い刑により処断されます。
保護責任者遺棄致傷のときは、3月以上15年以下の懲役に処せられますが、致死のときは、3月以上の有期懲役となります。
保護責任者遺棄で逮捕された場合、逮捕後に勾留される可能性が高いでしょう。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を刑事施設や代用刑事施設に拘禁する旨の裁判官または裁判所の裁判およぼ執行のことです。
裁判官または裁判所は、勾留の要件を満たしているか否かを検討し、勾留を判断します。
被疑者の勾留の要件は、①勾留の理由、および②勾留の必要性である。
①勾留の理由
勾留の理由は、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、(イ)住居不定、罪証隠滅・逃亡のおそれのいずれかがあることをいいます。
②勾留の必要性
勾留の必要性とは、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢や身体の状況等から判断した勾留の相当性のことをいいます。
勾留の要件を満たしていると判断されれば、勾留が決定し、被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
保護責任者遺棄事件では、勾留されるケースが多いのですが、勾留を回避する事由がある場合には、勾留を回避するよう身柄解放活動を弁護士に依頼されるのもよいでしょう。
また、保護責任者遺棄罪の法定刑は罰金がなく、起訴されれば公開の裁判が開かれることになりますので、早期に弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
ご近所トラブルで刑事事件に
ご近所トラブルで刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県恵那市に住むVさんは、庭に動物の糞が投げ込まれるという被害に遭っており、岐阜県恵那警察署に相談していました。
Vさんは、自宅に防犯カメラを設置した数日後、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤が流し込まれるという事件が起きました。
警察に通報し、防犯カメラを確認したところ、近所に住むAさんの姿が映っていました。
警察は、Aさんを建造物損壊の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
近くに住む者同士、仲良くしたいものですが、残念ながら隣人との関係がうまくいかないこともあります。
しかし、ご近所トラブルが行き過ぎると、刑事事件に発展してしまうこともあります。
今回は、上の事例を基に、どのような罪が成立し得るのかについてみていきましょう。
建造物等損壊罪
Aさんの逮捕罪名は建造物等損壊罪です。
被疑事実は、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤を流し込み、玄関ドアを損壊させたことであると考えられます。
建造物等損壊罪は、
①他人の建造物又は艦船を
②損壊した
場合に成立する罪です。
◇他人の建造物・艦船◇
「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根を有し、障壁または柱によって支持され、土地に定着し、少なくともその内部に人の出入りが可能なものをいいます。
これまでの判例は、敷居・鴨居のように建造物の一部を組成し、建造物を損壊しなければ取り外すことができない物を損壊する行為は建造物等損壊罪にあたり(大判大6・3・3)、雨戸や板戸のように損壊することなく自由に取り外すことができる物を損壊する行為は、建造物等損壊罪ではなく器物損壊罪にあたる(大判大8・5・13)と解してきました。
しかし、最決平19・3・20は、建造物に取り付けられた物が、建造物等損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して判断するべきだとする立場をとっています。
その上で、金属バットで叩いてへこまされた玄関ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防音等の重要な役割を果たしていることから、建造物損壊罪の客体に当たるとしています。
このことより、玄関ドアも建造物等損壊罪の客体となり得ると言えます。
「艦船」とは、軍艦および船舶をいいます。
◇損壊◇
「損壊」とは、建造物・艦船の効用を害する一切の行為をいい、物理的な破壊に限りません。
玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込まれたことによって、鍵を差し込むことができなくなります。
鍵を差し込むことができないと、鍵をかけることができず、玄関ドアの防犯という機能を果たさなくなります。
このことから、玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込む行為は、玄関ドアの効用を害する行為であり損壊に当たるでしょう。
以上から、Aさんは建造物等損壊罪の罪に問われ得るわけですが、他にも、正当な理由なくVさん宅に侵入しているため住居侵入罪が成立するものと考えられます。
また、Vさんの敷地内に動物の糞が投げ込まれていた件についても、Aさんが行ったのであれば、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)についても罪責が問われる可能性があります。
Aさんが容疑を認める場合には、被害者への謝罪と被害弁償、そして示談を成立させることが事件を穏便に解決する最も重要な要素となるでしょう。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのが一般的です。
当事者当時の交渉は、感情論的になり易く、難航する可能性が高いからです。
ご近所トラブルから端を発したのであれば尚更でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
数多くの刑事事件・少年事件を取り扱ってきており、示談交渉にも豊富な経験があります。
ご近所トラブルから刑事事件に発展し、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
少年事件:大麻所持
少年事件(大麻所持)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大学生のAさん(18歳)は、岐阜県大垣市にある公園で深夜数名で集まり騒いでいました。
近隣からの苦情の通報を受けて公園に駆け付けた岐阜県大垣警察署の警察官に、Aさんらは職務質問を受けました。
その際、Aさんらの所持品から乾燥大麻が入ったパケが見つかり、大麻所持の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、すぐに釈放してほしいと少年事件に精通する弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
少年と大麻所持
大麻取締法違反事件で検挙された少年の数は、増加傾向にあるといいます。
大麻は規制薬物ですので、大麻の所持・譲渡・栽培等の行為は犯罪です。
しかしながら、大麻については海外の国や地域において、その使用等が合法とされているため、違法薬物であるとの認識が薄いことや、他の薬物と比べて手に入りやすいこともあり、少年による大麻乱用が増加しているのではないかと指摘されています。
また、大麻は薬物依存の入り口となる「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれており、大麻から始まり、徐々により中毒性の高い薬物へ手を出す傾向もあり、その有害性を軽視することはできません。
大麻取締法は、文字通り大麻を取り締まる法律です。
大麻取締法は、第3条で、「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のために使用してはならない。」と定めています。
この規定に反して、「大麻を、みだりに、所持し」た場合の罰則は、5年以下の懲役です。
ここでいう「所持」というのは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」をいい、大麻について所有権や処分権を有していることは必要とされません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。
営利目的での大麻所持の罰則は、7年以下の懲役または情状により7年以下の懲役および200万円以下の罰金です。
営利の目的は、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされます。
大麻所持で逮捕されたら
14歳以上の少年が大麻所持で逮捕された場合、捜査段階での手続は、おおむね成人の刑事手続と同じです。
逮捕から48時間以内に、少年は釈放されるか、検察庁に証拠や関係書類と共に送致されます。
検察庁に送致されると、少年は担当検察官の取調べを受けます。
そして、少年の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は少年を釈放するか、勾留請求するかを決めます。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を刑事施設に留置して身柄を拘束する旨の裁判官もしくは裁判所の裁判とその執行のことをいいます。
検察官の勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談をした上で、少年を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から10日間の身体拘束を受けることになります。
延長となれば、期間は最大で20日間です。
少年の場合には、検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、「勾留に代わる観護措置」の請求をすることができ、裁判官は、この措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点で勾留と異なります。
①少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留は延長が可能ですが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は認められません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。
長期の身体拘束を強いられることになれば、少年はその期間学校や職場へ行くことができませんので、最悪の場合には退学や懲戒解雇となってしまう可能性があります。
そのような事態は、少年の更生を妨げる結果となりかねませんので、回避できるよう動く必要があります。
短期間で逮捕から勾留まで決定するため、早く対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お子様が大麻所持で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
痴漢事件②:強制わいせつ罪
痴漢行為が強制わいせつ罪に当たる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、満員電車の中で前に立つ女性が抵抗できないことをいいことに、そのスカートの上から、女性の臀部をなでたところ、女性が抵抗しなかったことから、さらに、そのスカートの中に手を差し入れ、下着越しにその臀部をなで回していたところ、女性に手を掴まれ、次の停車駅で下ろされました。
その後、駅長室に連れて行かれ、通報を受けて駆け付けた岐阜県岐阜中警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)
前回は、痴漢行為が迷惑防止条例違反に当たる場合について解説しました。
今回は、強制わいせつ罪に当たる場合について説明します。
2.強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は、刑法第176条に次のように規定されています。
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
◇客体◇
強制わいせつ罪の客体について、特に制限はなく、男女問わず客体となります。
◇行為◇
強制わいせつ罪の実行行為は、客体が13歳以上の者か13歳未満の者かで異なります。
(1)客体が13歳以上の者の場合:暴行・脅迫を用いてわいせつな行為
①暴行・脅迫
被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行・脅迫が必要です。
力の大小強弱は必ずしも問わず、被害者の意思に反したわいせつ行為を行う程度のもので足ります。
例えば、通行中の者にいきなり抱きついてキスをする行為は、被害者の油断の乗じたものであり、被害者の意思に反するわいせつ行為だと言えます。
また、暴行それ自体がわいせつ行為であっても構いません。
②わいせつ行為
わいせつな行為とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為といいます。
該当する行為としては、陰部を手で触れる、陰部を手指でもてあそぶ、自己の陰部を強く押し当てる、女性の乳房をもてあそぶ、女性の意思に反して強いてキスをするなどが挙げられます。
女性の臀部をなでる行為は、その態様によってわいせつに該当する場合としない場合とがあります。
(2)客体が13歳未満の場合:わいせつな行為
客体が13歳未満の者である場合は、暴行・脅迫を用いずとも、わいせつな行為をしたのであれば、例えその者の同意があったとしても強制わいせつ罪は成立することになります。
強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反との区別は、相手方の性的自由を侵害する程度に至っているか否かにあり、その対象となる部位や態様の執拗さや程度によって判断されます。
相手方の陰部に触れる行為は、一般的に、強制わいせつに該当することとなりますが、厚手の着衣の上から触るにとどまる場合は、条例違反となる場合が多くなっています。
相手方の臀部に触れる行為については、その態様の執拗さや程度によって異なります。
厚手の着衣の上から臀部をなでる行為は、一般的には、強制わいせつ罪における「わいせつ行為」には至っていないため、迷惑防止条例違反となることが多く、下着の上から、又は直接臀部をなでる行為は、その接触の程度から「わいせつ行為」となることがあります。
スカートの上から臀部をなでる行為については、「わいせつ行為」には至っておらず、迷惑防止条例違反にとどまる可能性が高いのですが、さらに、そのスカートの中に手を差し入れ、下着越しにその臀部全体をなで回す行為については、その程度から「わいせつ行為」に当たるものとみなされ、強制わいせつ罪が成立する可能性があるでしょう。
痴漢の強制わいせつ事件における弁護活動
被害者がいる事件においては、被害者への謝罪・被害弁償の上、示談を成立させることが終局処分に大きく影響します。
強制わいせつ罪は、親告罪ではないため、告訴がなくとも起訴することは可能です。
しかし、起訴前に被害者との間で示談を成立させることができれば、不起訴処分で事件を終了させる可能性を高めることができます。
被害者との示談交渉は、当事者間ではなく、弁護士を介して行うのが一般的です。
性的被害を被った被害者は、加害者に対して嫌悪感や憎悪を抱いていることが多く、当事者間での交渉は難航する傾向にあります。
また、加害者が身体拘束を受けている場合には直接交渉は不可能ですし、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらうことは難しいでしょう。
弁護士であれば、弁護士限りでとの条件で連絡先を教えてもよいとされる被害者も多く、感情論的ではなく冷静に話し合いをすることができます。
弁護士は、被害者に対して示談のメリット及びデメリットを丁寧に説明した上で、粘り強く交渉することが求められます。
このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
痴漢事件①:迷惑防止条例違反
痴漢行為が迷惑防止条例違反に当たる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、満員電車の中で前に立つ女性が抵抗できないことをいいことに、そのスカートの上から、女性の臀部をなでたところ、女性に手を掴まれ、次の停車駅で降ろされました。
その後、駅長室に連れて行かれ、通報を受けて駆け付けた岐阜県岐阜中警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)
痴漢をした場合に成立し得る罪とは
痴漢とは、一般的に、電車やバスなどの交通公共機関の車両内や路上などで、他人の体を触ったり、性器を押付けるなどの卑わいな行為またはそのような行為を行う者を指します。
現行法には痴漢罪なる罪は存在しませんが、痴漢は、その態様によって、各都道府県が定める迷惑防止条例に違反する、若しくは刑法の強制わいせつ罪に当たる可能性があります。
1.迷惑防止条例違反
各都道府県において制定される迷惑防止条例は、ダフ屋行為、粗暴行為、不当客引き行為などの他、痴漢行為や盗撮行為、つきまとい行為などを違反行為と規定し、処罰の対象としています。
痴漢行為についての規定の仕方は、各都道府県の迷惑防止条例により様々ですが、今回は、岐阜県の迷惑防止条例について概説します。
岐阜県迷惑防止条例は、その3条において卑わいな行為を禁止しており、痴漢行為は本条で以下のように禁止されています。
第3条 何人も、正当な理由がないのに、公共の場所にいる者又は公共の乗物に乗つ
ている者に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
次の各号のいずれかに掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の
身体に触れること。
(2) 通常衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見るこ
と。
(3) 通常衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真
機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置
し、又は通常衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者
が利用し、若しくは出入りする場所にいる者又はタクシーその他の不特定若しくは
多数の者が利用する乗物に乗つている者(前項に規定する者を除く。)に対し、人
を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれか
に掲げる行為をしてはならない。
(1) 拒まれたにもかかわらず、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
(2) 通常衣服等で覆われている人の下着等を見ること。
(3) 通常衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機
等を設置し、又は通常衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
3 何人も、正当な理由がないのに、前2項に規定する場所にいる者又は乗物に乗つ
ている者に対し、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着
等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等
を設置し、又は人に向けてはならない。
4 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服
等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる者に対し、人を著しく羞
恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれかに掲げる行
為をしてはならない。
(1) 当該状態でいる人の姿態を見ること。
(2) 当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、
又は当該状態でいる人に向けること。
岐阜県迷惑防止条例の規定は、行為態様を具体的に例示しています。
(1)公共の場所にいる者・公共の乗物に乗った者に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせる方法で、
①衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
②その他の卑わいな言動をすること。
1項は、「公共の場所」及び「公共の乗物」という場所的制限が定められています。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所をいいます。
例えば、道路、公園、広場など国や地方公共団体の所有地や施設だけでなく、駅、桟橋やふ頭、デパート、飲食店、興行場等も公共の場所です。
「公共の乗物」とは、電車、バス、船舶、飛行機その他不特定多数の者が利用するための乗物をいいます。
タクシー、ハイヤー、貸切バス・列車など、不特定多数の人が利用する物ではない乗物は公共の乗物には含まれません。
行為の手段については、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせる方法」であることが規定されています。
「人を著しく羞恥させ」るとは、通常人の感覚において、「ひどい」と思われる程度に、性的なはじらいを感じさせることを指します。
また、「人に不安を覚えさせる」とは、①衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること、や②その他の卑わいな言動、によって身体に対する危険を感じさせたり、心理的圧迫を与えることをいいます。
「卑わいな言動」とは、一般人に性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせる追うないやらしくみだらな言動や動作をいいます。
(2)学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りする場所にいる者・タクシーその他の不特定若しくは多数の者が利用する乗物に乗っている者に対し、人
を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、拒まれたにもかかわらず、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
2項では、「不特定多数の者が利用・出入りする場所」又は「不特定多数の者が利用する乗物」にいる者に対する行為が対象となっており、その例として学校や事務所、タクシーが規定されています。
禁止行為については、「拒まれたにもかかわらず、衣類等の上から、又は直接人の身体に触れること」となっており、相手方に「拒まれた」ことが要件となっています。
通常の痴漢、例えば、服の上から人の胸や臀部を触るものや太ももなどを直接触るものであれば、迷惑防止条例違反となるでしょう。
Aさんの場合、電車(公共の乗物)内にいる女性に対して、そのスカートの上から臀部をなでていますので、迷惑防止条例違反が成立するものと考えられます。
しかし、痴漢の態様によっては、刑法の強制わいせつ罪に当たることもあります。
強制わいせつ罪に当たるケースについては、次回のブログで解説します。
岐阜県迷惑防止条例違反の場合、法定刑は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習の場合は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金)です。
容疑を認めており、初犯であり、かつ被害者との示談が成立した場合であれば、起訴猶予で不起訴処分となる可能性が高いでしょう。
被害者との示談が成立しなかった場合は、略式起訴で罰金刑というケースが多いです。
略式起訴となり罰金刑であっても有罪判決が言い渡されたことには違いありませんので、前科が付くことになります。
前科を回避するのであれば、不起訴処分を獲得する必要があります。
被害者との示談成立の有無が最終的な処分に大きく影響するため、早期に弁護士に依頼し、示談交渉に着手することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢事件をはじめとした刑事事件専門の法律事務所です。
痴漢事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
銃刀法違反事件で現行犯逮捕
銃刀法違反事件で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県海津警察署は、岐阜県海津市の公共施設で、刃渡り約10センチの折りたたみナイフ1本を所持したとして、市内に住むAさんを銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
施設内でAさんが利用者の男性と口論になり、Aさんがカバンから折りたたみナイフを出したことで、目撃した他の利用者が警察署に通報したことで、事件が発覚しました。
Aさんは、「護身用に持ち歩いていただけだ。」と警察に話をしています。
警察署から逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、今後Aさんはどうなってしまうのか不安で仕方ありません。
慌てて刑事事件専門の弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
銃刀法違反について
銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」といいます。)は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防用必要な規制について定めている法律です。
(1)刀剣類の所持
銃刀法で規制される「刀剣類」とは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛び出しナイフをいいます。
銃刀法は、一定の場合を除いて、刀剣類の所持を禁止しています。
具体的に所持の禁止となる刀剣類は、人畜を殺傷する機能を有し、社会通念上、刀・やり・なぎなた・剣・あいくち・飛び出しナイフの各類型に当てはまる類型を備え、その罪質が銅質性であり、かつ、①刃渡り15センチメートル以上の刀・やり・なぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち、45度以上に開刃する装置を有する飛び出しナイフの形式を有する刀剣類です。
これに違反して刀剣類を所持した場合の罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
不法所持罪が成立するためには、銃砲刀剣類を所持したという行為についての故意が存在していなければなりません。
所持の故意というのは、一般的に、所持という行為を認識していること、つまり、その物を保管する上での自己の実力支配関係を有している事実を認識していることです。
そのため、所持の動機や目的は故意の如何を問いません。
(2)刃物の携帯
銃刀法の刀剣類に当たらない刃物についても、刃体の長さが6センチメートルを超えるものについて、業務その他正当な理由による場合を除いては、その携帯が禁止されています。
ここでいう「刃物」とは、その用法において人を殺傷する性能を有し、銅又はこれと同等程度の物質的性能を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で刀剣類以外のものです。
人が職業その他社会生活上の地位に基づいて、継続して行う事務・事業である業務や社会通念上正当な理由が存在する場合には、刃物の携帯が認められます。
護身用として携帯する場合は、正当な理由には当てはまりません。
「携帯」とは、屋内屋外を問わず、所持者自身が手に持つ、身体に帯びるなど、現に備えている場合のことを指します。
刃物の携帯についての罰則は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
銃刀法違反で逮捕されたら
銃刀法違反で逮捕された場合、他の刑事事件と同様に、警察署の留置場に身柄が拘束されます。
警察署で取調べを受け、逮捕から48時間以内に、被疑者は釈放される、若しくは、証拠や関係書類と共に検察庁に送致されます。
検察庁に送致されると、検察官は被疑者の取調べを行った上で、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、又は、勾留を請求します。
検察官が勾留請求した場合、今度は被疑者の身柄が裁判所に移され、裁判官との面談を行います。
裁判官は、被疑者を勾留するか否かを決定し、勾留をしないとの決定をすれば、被疑者は釈放されますが、勾留が決定すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間被疑者の身柄が拘束されることになります。
勾留となれば、長期の身体拘束が強いられることになり、被疑者は身体的にも精神的にもますます厳しい状態に置かれるでしょう。
また、その間は会社や学校に行くことが出来ませんので、事件のことが会社や学校に知れ渡り、最悪の場合には懲戒解雇や退学といった不利益を被る可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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公然わいせつで逮捕
公然わいせつで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県瑞浪市の路上で、帰宅中の女子学生に下半身を露出したとして、会社員のAさんが公然わいせつの容疑で岐阜県多治見警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
目撃者である女子学生が、すぐに警察に通報し、付近を調べていた警察官が犯人の特徴によく似た人物を発見し、職務質問をしたことでAさんの犯行が発覚し逮捕に至りました。
Aさんは、「ストレスを発散させるためにやった。」と話しており、他にも数件同様の手口で犯行に及んでいるとみられています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、Aさんの勤務先に体調不良で休むと連絡しましたが、今後はどのようにすればよいか分からず困っています。
そこで、Aさんの妻は、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
公然わいせつとは
公然わいせつ罪は、刑法第174条に次のように規定されています。
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
このように、公然わいせつ罪は、①「公然と」②「わいせつな行為」をした場合に成立する犯罪です。
①公然性
「公然と」とは、わいせつな行為を不特定又は多数の人が認識できる状態をいいます。(最決昭32・5・22)
実際に、誰かにわいせつな行為を認識されていることまでは必要とされず、不特定多数の人が当該わいせつ行為を認識できる状態であれば「公然性」は認められます。
特定少数の者にわいせつな行為を見せた場合であっても、それが不特定多数の人を勧誘した結果であれば、「公然性」は肯定されます。(最決昭31・3・6)
②わいせつ性
判例は、わいせつの意義について、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道着観念に反するもの」をいうと解釈しています。(最判昭26・5・10)
つまり、普通の人に性的な意味で恥ずかしい思いや不快な思いをさせる行為が「わいせつな行為」に当たると考えられるでしょう。
上の事例では、Aさんが路上で下半身を露出しており、公然わいせつ事件の典型例とも言える行為をしていますが、路上という場所は、不特定多数の人が行き来するところであり、そのような場所では、不特定多数の人がAさんの露出姿を見る可能性があります。
そのため、「公然性」は認められるでしょうし、下半身を露出させて人に見せる行為は、見せられた相手に性的に恥ずかしい気持ちや不快な気分にさせるものですので、「わいせつ性」も認められ、公然わいせつ罪が成立することになるでしょう。
公然わいせつで逮捕されたら
公然わいせつ事件を起こし、捜査機関に逮捕されると、その後どのような流れになるのでしょうか。
逮捕されると、警察署内の留置施設に収容され、警察署で取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、被疑者は釈放されるか、証拠や関係書類と共に被疑者の身柄を検察に送致されます。
検察に送致されると、検察官による取調べを受けます。
そして、検察官は、被疑者を釈放するか、釈放としない場合には勾留請求をします。
検察官が勾留請求をした場合、被疑者は検察庁から裁判所に行き、今度は裁判官と面談を行います。
そして、裁判官は、被疑者を釈放とするか、勾留とするかを決めます。
勾留となれば、検察官が勾留を請求した日から原則10日、延長が認められれば最大で20日もの間、身柄が拘束されることになります。
逮捕から起訴・不起訴の判断まで、最大で23日間の身体拘束を余儀なくされた場合、その間は当然、学校や会社に行くことはできませんので、最悪、退学や懲戒解雇となるおそれがあります。
そのような事態を回避するためにも、一刻も早く釈放されることが重要です。
そのため、早期の釈放となるよう弁護士に依頼し、身柄解放活動に着手するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、公然わいせつ事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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