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死体遺棄罪の刑事処分

2020-03-24

岐阜県揖斐郡の死体遺棄事件にかかる刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事件◇

会社員のAさんは、岐阜県揖斐郡の実家で高齢の父親と二人暮らしをしています。
先日、仕事を終えて深夜に帰宅したAさんは、実家の居間で死亡している父親を発見しました。
Aさんは、父親の遺体を寝室に敷いた布団の上に寝かせて、すぐに警察に連絡すればよかったのですが、翌日からどうしても抜けられない出張の予定があったAさんは、しばらく父親の遺体を放置し、出張が終わってから警察に届け出ることにしました。
Aさんは、父親の遺体が腐敗しないように、室内のエアコンを最低温度に設定してから、翌日からの出張に出かけました。
しかし出張に行っている間に、郵便ポストに新聞がたまっていることに気付いた近所の住民が警察に届け出て、実家に立ち入った警察官によって父親の遺体が発見されてしまいました。
警察によって父親の遺体が司法解剖されて、病死であることが判明しましたが、Aさんは父親の遺体を放置したとして、死体遺棄罪の容疑で、岐阜県揖斐警察署において取調べを受けています。
(フィクションです)

◇死体遺棄罪◇

刑法第190条(死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。(刑法第190条を引用)

死体遺棄罪とは死体を遺棄することです。
「死体」・・・死亡した人の身体をいいます。(人の形体を備えている以上、死胎をも含まれます。)
「遺棄」・・・通常の埋葬と認められない方法で死体等を放棄することをいう。

※遺骨の遺棄も死体遺棄罪の罰則対象となりますが、「散骨」については厳密にいうと死体遺棄行為に該当する可能性もあるでしょうが、節度をもって行われる限り問題はないとされているのが一般的で、実際に散骨行為に死体遺棄罪が適用された例はないようです。

~遺体を放置~

死体遺棄罪でいうところの「遺棄」については上記のとおりですが、Aさんのように遺体を発見しながら放置する行為も死体遺棄行為に該当するのでしょうか。
「遺棄」とは、通常であれば死体等を移動させることによる放棄、隠匿行為を意味しますが、埋葬の義務を有する者が死体を放置する事によっても、不真正不作為犯としての「遺棄」が成立するとされています。
つまりAさんの行為も死体遺棄罪に抵触する事となります。

◇刑事処分◇

刑事事件で被疑者(犯人)として警察で取調べを受けると、事件は検察庁に送致されます。そこで検察官が、被疑者(犯人)を起訴するか否かを決定するのですが、もし起訴されなかった場合は不起訴となり、刑事裁判は開かれず、刑事処分が科せられることはありません。
起訴された場合は、刑事裁判によって処分が決定しますが、罰金刑の場合は裁判が開かれない事もあります。(略式起訴)
日本の刑事裁判の有罪率は99パーセント以上と非常に高くなっています。
これは「疑わしきは罰せず。」という刑事裁判における原則が、すでに裁判を提起(起訴)するか否かを判断する時点で採用されている事が分かります。
つまり、裁判を提起(起訴)する検察官は、100パーセント有罪である、つまり被告人が絶対に犯人であるという確証がなければ、なかなか起訴しないという事です。
こうして起訴された場合に開かれる刑事裁判は、主に量刑が争点となる裁判がほとんどで、有罪か無罪かを争う裁判は、刑事裁判全体の1割にも満たないと言われています。
量刑とは被告人に課せられる罰則の事で、その範囲は、法定刑で定められた範囲内で決定します。

岐阜県揖斐郡の刑事事件でお困りの方、岐阜県揖斐警察署において死体遺棄罪で取調べを受けている方は、岐阜県で刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

示談で刑事処分が軽減

2020-03-22

窃盗事件や、暴行・傷害事件、盗撮や痴漢・強制わいせつ罪等の性犯罪など、被害者の存在する刑事事件を起こしてしまった方で、その後の刑事処分の軽減を求めている方は、被害者と「示談」することで、その後の刑事処分が軽減される可能性があります。
今日は、岐阜県の刑事事件に強い弁護士が「示談」を解説します。

~示談とは~

刑事弁護活動の一つに示談交渉があります。
辞書等に記載されている示談の意味は「話し合いで解決すること、民事上の紛争を裁判によらずに当事者の間で解決すること」です。
通常は、示談交渉の中で、被害弁償金の額・支払方法、その他の約束事に関する合意がなされ、合意内容を示談書にまとめます。
示談は、民事上の問題だけでなく、刑事上でも、様々な段階で考慮されることがあります。本日は、刑事弁護活動において、示談が、どのような効果をもたらすかを解説します。

~示談の効果~

〇捜査着手前
警察などの捜査機関が事件を認知し、捜査に着手する前にも示談を成立させることができます。
捜査機関の認知のきかっけは、捜査機関自身が事件を現認した場合などや、被害届や告訴・告発状の捜査機関への提出による場合です。
前者の場合は、示談をする暇がありませんから捜査機関の認知を阻むことはできませんが、後者の場合は、通常、犯罪発生から認知まである程度の日数がありますから、その間に示談交渉を行うことが可能といえます。
そして、示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状の提出を取り止めていただくことができるかもしれませんし、仮にそうなれば、捜査機関が事件を認知すること自体を阻止することができます。

〇警察の捜査段階
警察が捜査に着手した後も示談交渉を行うことは可能です。
示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状を取消していただくことができるかもしれません。
仮に、そうなれば、警察としては捜査を継続、あるいは検察庁へ事件を送致する意味がなくなりますから、事件不送致という結果を獲得できる可能性も高まります。
また、一部の事件では、示談や被害弁償をすれば警察の微罪処分となる可能性もあります。微罪処分となれば、事件自体は検察官へ「報告」されますが、刑事罰や前科を受けることはありません。

〇検察庁送致後
検察庁へ事件送致後も示談交渉を行うことは可能です。
示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状を取消していただくことができるかもしれません。
また、検察官が起訴という刑事処分をするにあたって告訴を必要とする犯罪を親告罪(例:器物損壊罪(刑法261条)、過失傷害罪(刑法209条)、未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)など)と言いますが、起訴前に告訴が取消されていれば、検察官は親告罪につき自動的に不起訴処分にせざるをえません。
不起訴となれば前科は付きません。
また、親告罪以外の事件でも、示談は刑事処分を決める上で重要な考慮事情になります。示談が成立し、被害者の許しを得ていれば不起訴を獲得できる可能性は高くなります。ただし、検察官が示談成立を待つ義務はありません。中には示談交渉中に刑事処分を出す検察官もいます。

〇起訴後
刑事処分前に示談を成立させたも、その他の事情により起訴されてしまう場合もあります。しかし、示談が無意味となるわけではありません。
裁判官が量刑を決める上で重要な考慮事情になります。
また、起訴後も引き続き示談交渉を行うことができ、示談の内容などによって、執行猶予判決を獲得できたり、刑の重さそのものが軽くなります。

~弁護士に示談交渉を依頼する際の注意点~

〇示談が可能な犯罪か?
示談が可能な犯罪とは、示談交渉が可能な被害者が存在する犯罪です。
したがって、被害者の存在しない覚せい剤などの薬物事件などでは、そもそも示談交渉を行えません。
また、被害額が数千万円、数憶万円を超える事件、被害者が重度の後遺症を負った事件など難解な事件になればなるほど示談交渉の難易度はあがります。
 
〇連絡先が入手できなければ終わり
示談交渉は被害者側から連絡先を入手できてはじめてスタートできるものです。
しかし、被害者側が連絡先を教えることを拒否した場合は、示談交渉を行うことはできません。

〇被害者感情に左右される
示談交渉は相手方があってのことです。
したがって、相手方が示談に応じてくれなければ、弁護士がいくら努力しても示談を成立させることはできません。
 
岐阜県内の刑事事件でお困りの方、被害者との示談を希望される方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
示談に関する法律相談は初回無料です。

傷害事件の流れについて

2020-03-20

岐阜県恵那市の傷害事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

岐阜県恵那市で廃品回収業を営んでいるAさんは、仕事中にトラックを運転していた際に、前方を走行する車の男性運転手とトラブルになりました。
最初は口論だったのですが、相手の男性があまりにも横暴な態度であることに腹を立てたAさんは、思わず男性の顔面を拳骨で一発殴りつけてしまったのです。
Aさんは、男性にケガをさせるつもりはありませんでしたが、男性は、Aさんの暴行によって、鼻から出血していました。
男性から「警察を呼ぶから待っとけ。」と言われたAさんは、このままだと逮捕されてしまうかもしれないと不安で、その場から車で逃げてしまったのです。
Aさんは今後のことが不安で、刑事事件に強いと評判の弁護士に傷害事件の流れを相談しました。(フィクションです。)

~傷害罪~

人に暴行をして、相手に傷害を負わせると「傷害罪(刑法第204条)」が成立します。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、傷害罪で有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることになります。
傷害罪で刑事罰を受けた場合、それは前科として経歴が残ってしまいますが、傷害罪で警察の捜査を受けたとしても、検察庁に送致されなかったり(不送致)、起訴されなかった(不起訴処分)場合は、前科になりません。

~傷害事件の流れ~

被害者が、被害届や告訴等によって警察に被害を届け出ると、警察が捜査を開始します。
事件を認知した警察は、まず被害者から被害状況を聴取したり、事件現場周辺の監視カメラや防犯カメラを精査したり、目撃者を探して目撃状況を聴取したりして事件を裏付けると共に、犯人の割り出すための捜査を行うでしょう。
そして警察の捜査によって、Aさんが犯人だと割り出されると、警察はAさんを逮捕するかどうかを判断します。
警察は、罪証隠滅や逃亡のおそれだけでなく、前科前歴の有無、生活環境(仕事や家族の関係)、素行等を総合的に判断して、Aさんを逮捕するかどうかを決定するのです。

〇逮捕されなかった場合

逮捕の必要がないと判断された場合、Aさんは、警察署に呼び出されて、警察官の取調べを受けることになります。
取調べでは、犯行に至った経緯や、犯行の情況等を聴取されるだけでなく、事件と全く関係ないと思われる身上関係まで聴取されて、その内容を調書に記載されます。
また警察は、取調べだけでなく、事件を起こした場所に警察官を案内(引き当たり捜査)したり、犯行状況を再現(再現見分)したりもします。
そして、警察官による一連の捜査を終えると、警察官が作成した司法書類が検察庁に送致(書類送検)されるのです。
送致を受けた検察官は、警察官が作成した司法書類を確認して、Aさんの取調べを行い、一連の捜査を終了します。

〇逮捕された場合

逮捕の必要があると判断されると、警察は裁判官にAさんの逮捕状を請求し、裁判官の発付した逮捕状をもとにAさんは逮捕されてしまいます。
警察に逮捕されてしまうと、まず警察署に連行されます。これを「引致」といい、引致後はまず警察官から弁解を聴取され、弁解録取書という司法書類にその内容が記載されます。
その後、警察官による取調べが行われ、逮捕から48時間以内に釈放されなければ検察官に送致されます。
検察官に送致されると、送致から24時間以内に、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。そして裁判官は勾留する必要があるかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定すれば、引き続き10日~20日間は勾留状に記載されている勾留場所において身体拘束を受け、警察官や検察官による、取調べ等の捜査を受けることになります。
検察官が勾留を請求しなかったり、裁判官が勾留を決定しなかった場合は釈放されます。
そして勾留期間が満了するまでに、一連の捜査が終了するのです。

一連の捜査が終了すれば、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。
起訴されなかった場合は、不起訴処分となって傷害事件の刑事手続きが終了します。
また略式起訴による罰金刑が決定した場合でも、罰金を納付すれば刑事手続きは終了するのですが、起訴された場合は、その後刑事裁判で刑事罰が確定することとなります。

岐阜県恵那市傷害事件でお困りの方、岐阜県内で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件を専門に扱っている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

あおり運転と威力業務妨害事件②

2020-03-18

~事件~

会社員のAさんは岐阜県中津川市内を車で運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが急ブレーキをかけたことに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「危ないだろう!気を付けろ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、岐阜県中津川警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。ドライブレコーダーに写っているので言い逃れできない。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、危険な運転をする軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

~威力業務妨害罪~刑法第234条~

威力を用いて人の業務を妨害すれば、威力業務妨害罪が適用されます。
威力業務妨害罪は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則が定められています。
威力とは
威力業務妨害罪でいう「威力」とは、人の意思を制圧する勢力を意味し、暴行や脅迫がその典型です。
威力に該当するかどうかは、それが客観的にみて人の自由意思を制圧するに足るものであるかどうかによって判断されますが、現実に、被害者が自由意思を制圧されたことまでは必要とされていません。
業務とは
また威力業務妨害罪で保護されている「業務」とは、営利目的、経済的なものである必要はなく、社会生活上の地位に基づき継続して行う事務の事です。
故意
威力業務妨害罪は故意犯ですので、法律的には、成立に業務を妨害する故意が必要だとされています。
どのような業務を妨害するのかまでの具体的な認識がないにしても、自分の行為(威力)が何らかの業務を妨害している程度は認識していなければ、威力業務妨害罪の成立は難しいでしょう。
ただこれまでに威力業務妨害罪の成立を認めた事件を検討すると、威力とされる暴行や脅迫の行為に対する認識(故意)が認められれば、業務妨害罪が成立している事件もありますので、威力業務妨害罪の故意について疑問のある方は、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

~Aさんの事件を検討~

まずAさんが、軽トラックの前に割り込んで急ブレーキをかけ、軽トラックを急停止させた行為については、あおり運転として暴行罪が適用される可能性が非常に強いでしょう。
特に、最近はあおり運転に対する警察等の捜査当局は厳しい対処をしているため、例え、軽トラックの運転手を注意するためにした行為だとAさんが主張したとしても、その行為によって軽トラックの運転手や周囲の交通に危険が及んでいた場合は、あおり運転とみなされるでしょう。
そして、このAさんのあおり運転(暴行行為)によって、軽トラックが急停止し、配送中の荷物が壊れています。
「Aさんのあおり運転(暴行)」⇒「軽トラックが急ブレーキ」⇒「荷物が損壊」⇒「業務が妨害された」と、この構図を見ればそれぞれの結果に因果関係が認められるため、Aさんの行為に威力業務妨害罪が適用される可能性は考えられるでしょう。
しかし、Aさんに、軽トラックの運転手の業務を妨害する意思があったのかと問われれば、疑問が残ります。
Aさんが、軽トラックを停止させて長時間その場にとどめおいた場合だと、自らの行為が業務を妨害したと認めざるを得ませんが、今回の事件で、急停止させたことによって荷物が破損することまで認識するのは難しいのではないでしょうか。
もしAさんが、この結果を予測できなかったと認められた場合は、威力業務妨害罪の適用は難しいと考えられます。

ちなみに、タクシーの前に急に割り込むあおり運転によって、タクシーに乗車していた高齢の女性が軽傷を負った事件では、あおり運転の運転手が威力業務妨害罪で警察に逮捕されています。
あおり運転に対して、威力業務妨害罪が適用されるのは極めて稀なケースではありますが、警察等の捜査当局が、少しでも厳しい罰則を科せることができる法律を適用してあおり運転の取締りを行っている現状を考慮すれば、今後も、あおり運転にあらゆる法律が適用される可能性があります。
岐阜県中津川市の刑事事件でお困りの方、あおり運転による威力業務妨害罪の適用に疑問がある方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

あおり運転と威力業務妨害事件①

2020-03-16

岐阜県中津川市におけるあおり運転と威力病務妨害事件について、当ブログ連続2回にわたり、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

会社員のAさんは岐阜県中津川市内を車で運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが急ブレーキをかけたことに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「危ないだろう!気を付けろ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、岐阜県中津川警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。ドライブレコーダーに写っているので言い逃れできない。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、危険な運転をする軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

~あおり運転とは~

一言に「あおり運転」と言っても、どの様な行為があおり運転になるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこでまず初めに「あおり運転」に該当する可能性のある代表的な行為をいくつか紹介します。
(1)車間距離を詰める等の急接近や、幅寄せ
典型的なあおり運転の行為が、走行中の車に対する急接近や幅寄せです。
(2)急な割り込み
追い越し車線等から、走行中の車の前方に急に割り込む行為もあおり運転となるおそれがあります。
(3)急ブレーキ
走行中の車の前方で急ブレーキをかける行為は、後方の車が追突するおそれがる危険な行為で、あおり運転となります。
(4)パッシングやハイビーム、クラクション
走行中の車の後方から、パッシングを繰り返したり、ハイビームのまま走行する行為、クラクションを何度もならせば、相手を威嚇する行為として、あおり運転となる可能性があります。
(5)追随
走行中の車を追い回す追随行為は、相手を威嚇するだけなく、動揺した相手運転手が交通事故を起こしかねない危険な行為で、あおり運転となる可能性があります。

~道路交通法違反~

上記のようなあおり運転に対してまず適用されるのが道路交通法違反です。
あおり運転に適用される道路交通法で、代表的なものは「車間距離不保持」です。
そもそも道路交通法第26条では「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない(道路交通法第26条抜粋)」と、運転者には、安全な車間距離を保持することを義務付けています。
通常の違反ですと、車間距離不保持は、交通反則通告制度の対象ですので行政罰の対象となりますが、違反態様が悪質な場合等で刑事事件化された場合、その法定刑は
・高速道路における違反
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
・一般道の場合にも
5万円以下の罰金
です。

~道路交通法以外の適用~

暴行罪~刑法第208条~

人に対する不法な有形力を行使したときに適用されるのが暴行罪です。
上記したようなあおり運転の行為が「不法な有形力の行使」として捉えられて暴行罪が適用されることがあります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」ですので、上記した道路交通法違反(車間距離不保持)が適用されるよりも厳しい刑事罰が科せられる可能性が大です。

傷害罪~刑法第204条~

暴行によって人が傷害を負えば傷害罪が適用されます。
傷害罪は、上記の暴行罪の結果的加重犯として規定されている法律で、相手に傷害を負わせる意思は必要ありませんので、あおり運転によって、相手運転手が怪我をした場合「傷害罪」が適用される可能性があります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と厳しいものです。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、著しく危険な運転により事故を起こした場合に適用される法律で、その法定刑は、被害者が負傷した場合には「15年以下の懲役」、被害者が死亡したときには「1年以上の有期懲役」と、非常に厳しいものです。

嘱託殺人罪で逮捕

2020-03-14

岐阜県羽島市の嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事件◇

岐阜県羽島市に住む会社員A子さんには、十年近く交際している男性がいます。
この男性は、数年前にガンを発症し、それ以来、抗がん剤治療を行っていますが、薬の副作用等で精神的に不安定で、将来に悲観的になっています。
ある日、A子さんは、交際相手の男性から「もうこれ以上生きていくのは苦しい。薬を飲んで寝ている間に首を絞めて殺してくれないか。」と懇願されたので、A子さんは、寝ている交際相手の首を絞めて殺害しました。
そしてA子さんは、自ら岐阜羽島警察署に自首したのです。
嘱託殺人罪逮捕されたA子さんの両親は、刑事事件に強いと評判の弁護士に、A子さんの刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)

◇嘱託殺人罪◇

刑法第202条に、自殺関与及び同意殺人についての規定があります。
同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺人罪承諾殺人罪に分かれます。
嘱託殺人罪とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。

続いて承諾殺人罪ですが、これは行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。

嘱託殺人罪で起訴されると、6月以上7年以下の懲役又は禁固が科せられる可能性がありますが、被害者の同意を得て、被害者の真意に基づいての殺害行為であることから、刑法第199条の殺人罪に定められた「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」に比べると相当軽い処罰規定となっています。

◇初回接見◇

ご家族、知人が嘱託殺人罪で逮捕された方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼する事をお勧めします。
刑事事件を専門に扱う、法律に精通した弁護士から取調べのアドバイスを受けていただく事によって、逮捕された方の不安を取り除く事ができます。
特に嘱託殺人罪は、「人を殺す」という行為では殺人罪と変わらないため、取調べにおいて供述する内容は注意しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、電話で初回接見を依頼していただく事ができ、刑事事件に強い弁護士が即日対応いたします。
岐阜県羽島市で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が嘱託殺人罪で逮捕されて、初回接見をご希望の方は、刑事事件を専門とする弁護士事務所「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご連絡ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

凶器準備集合罪で逮捕

2020-03-12

岐阜県岐阜市の凶器準備集合罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事件◇

Aさんの息子(20歳)は、高校を中退後、仕事をせずに地元の友達と、いわゆる半グレグループを結成して、岐阜県岐阜市の歓楽街を中心に活動しています。
半年ほど前から、この半グレグループのメンバーが、傷害罪や、恐喝罪で次々と警察に逮捕されていましたが、Aさんの息子は何れの事件にも関与しておらず、これまで逮捕されていませんでした。
しかし、ついに昨日、岐阜中警察署の捜査員が自宅に来て、凶器準備集合罪で息子は逮捕されてしまいました。
あまり聞きなれない法律の名前に戸惑ったAさんは、刑事事件に強いと評判の弁護士に「息子さんが起こした凶器準備集合事件」について相談しました。

◇凶器準備集合罪~刑法第208条の2第1項~◇

2人以上の者が、他人の生命、身体、財産に対して共同して危害を加える目的で集合した場所において、凶器を準備し、又はその準備があることを知って集合すれば凶器準備集合罪となります。

◇凶器準備結集罪~刑法第208条の2第2項~◇

同様の目的で、凶器を準備し、又はその準備があることを知って人を集合させれば凶器準備結集罪となります。

Aさんの息子は、対立する半グレグループが経営するお店を襲撃する目的で、仲間たちと近所の公園に金属バットやゴルフクラブ等の凶器を持って集合していましたが、パトロール中の警察官に目撃されたことから、その日は襲撃を諦めて解散していました。
Aさんの息子は、仲間に呼び出されて公園に行ったようですので、上記の凶器準備集合罪が適用されたようです。
Aさんの息子を呼び出した仲間には、凶器準備結集罪が適用されるでしょう。

~共同して害を加える目的とは~
集合した2人以上の者が、凶器を用いて人の殺傷、物の破壊を共同して行う共通の目的をもつだけでなく、そのことをお互いに認識していることが必要です。
ここでいう共同加害の目的は、積極的な攻撃を目指すのでなく、相手からの襲撃に備えて、それに応戦して共同殺傷しようとする受動的な目的でもよいとされています。
ですから、対立する半グレグループが、事前に襲撃を察知して、お店に凶器を持って集合した場合にも凶器準備集合罪が成立するでしょう。

~準備~
凶器準備集合罪でおける「準備」とは、凶器を用意することです。
これは必要に応じていつでも本罪の加害行為に使用できる状態におくことで、その準備は、自分で準備しても、他人と準備しても、他人に指示して自分のために準備させてもよいとされています。
ちなみに「~を知って人に~」の「知って」とは、凶器が準備されていることを認識しての意味で、その認識は未必的なものでもよいとされています。

~集合~
2人以上の者が共同加害の目的をもって、同じ時間、同じ場所に集まることです。

◇凶器準備集合罪・凶器準備結集罪の量刑◇

~凶器準備集合罪~
凶器準備集合罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
~凶器準備結集罪~
凶器準備結集罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
凶器準備集合罪と凶器準備結集罪の法定刑は上記のとおりですが、凶器準備結集罪は、凶器準備結集をさせた教唆的な立場にある法律であるために、罰金刑が規定されていない厳しい法定刑が定められているのです。

ご家族、ご友人が凶器準備結集罪で逮捕されてしまった方、岐阜県岐阜市の刑事事件でお困りの方、岐阜県で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間承っておりますので、お気軽にお電話ください。

背任罪で刑事告訴

2020-03-10

岐阜県高山市の背任罪の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事件◇

Aさんは、岐阜県高山市内の信用金庫で、融資担当課長として働いています。
Aさんは、工務店を営んでいる友人に数年前から融資をしています。
融資を開始した当初は毎月利息が返済されていましたが、業績が悪化し始めた5年ほど前からは、返済が滞っていました。
しかし友人に懇願されて断ることができなかったAさんは、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目(救済融資)で、その後も約50回にわたって合計8000万円を無担保で貸し付けました。
その後、友人の工務店が倒産し、救済融資を含めて全ての貸付金の回収ができなくなったことによって、Aさんの不正融資が信用金庫で問題視されてAさんは、信用金庫から調査を受けています。
信用金庫が、背任罪での刑事告訴を検討していることを知ったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用しました。
(フィクションです)

◇背任罪~刑法第247条~◇

背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立します。
背任罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~主体~
背任罪の主体は「他人のためにその事務を処理する者」ですが、株式会社の発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役等の役職員は背任行為に及べば、刑法第247条に定められた背任罪ではなく、会社法第960条に定められた「特別背任罪」の適用を受けます。
特別背任罪の法定刑は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科」と、背任罪に比べると非常に厳しいものです。
Aさんの身分は、信用金庫の融資担当課長ですので、特別背任罪の主体にはなり得ず、背任罪が適用されます。

~図利加害目的~
背任罪が成立するには、その背任行為に「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要となります。
これを図利加害目的といいます。
背任罪が財産犯であることを考えると、ここでいう「利益」「損害」は、財産上のものに限るという説もありますが、判例では、自己の社会的地位、信用、面目、経営権等を保全、維持することなどの身分上の「利益」、これらを失墜させる「損害」など、財産上に限られず身分上の「利益」「損害」も含むとされています。

◇救済融資による背任罪の成否◇

救済融資の性質上、それを実行するに際しては、融資先から十分な担保を徴することが困難で、かつ貸し倒れの危険が大きいと言えるでしょう。
しかし、融資する金融機関とすれば、救済融資によって融資先企業が経営を持ち直して業績が回復する見込みが望める場合には、むしろ若干のリスクを冒してでも救済融資を続けることによって、焦げ付いた既存の貸付金の回収が可能となり、最終的には金融機関の損失を防ぐことになります。
このような観点から、融資先である企業の業績が回復する見込みがあり、融資する金融機関自体も、融資先企業の業績回復に応じて既存の貸付金の回収のために必要な措置を講じていたとすれば、任務に違背したとはいえないので、背任罪は成立しないでしょう。
逆に、融資先企業の業績が回復する見込みがない状況で、新たな担保物件を徴する等の措置を講じずに漫然と救済融資したのであれば、背任罪が成立する可能性が高くなります。

◇Aさんの事件を検討◇

上記のように、背任罪の成立には図利加害目的が必要となります。
つまり、本人の利益を図る目的で行為に及んだ場合は背任罪を構成しない場合もあるのです。
本来、信用金庫の業務における「融資」は、融資先と信用金庫の利益を図る目的で行われるものですが、同時に、それまでの融資の焦げ付きを防ぐなどの本人の利益を図る目的が、自己又は第三者の利益を図る目的と併せて認められることがあります。
このような場合には、目的の主従により背任罪の成否が決定することになるのです。
その目的がなければ当該行為に出なかったようなものが主たる目的と認められますが、本人の利益を図る目的が決定的な動機ではない場合には、背任罪の図利加害目的が認められてしまうでしょう。

Aさんは、工務店を経営する友人から新たな担保物件を徴することもせずに、また担保物件の保全や決済動向に応じた適時処分の必要上やむを得ず救済融資したのではなく、友人に懇請されるまま、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目で、友人の利益を図るため漫然と救済融資に応じているものであるため、背任罪に当たる可能性があります。

岐阜県高山市の刑事事件でお困りの方、勤務先から背任罪で刑事告訴されるおそれのある方、岐阜県高山警察署に、ご家族、ご友人が逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

外国人による窃盗事件

2020-03-08

岐阜県可児市の外国人による窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

ブラジル人のAさんは、去年来日し、岐阜県可児市の飲食店で働いています。
来日してから日本語を勉強し、ある程度の日常会話は話せるようになりましたが、難しい日本語はまだ理解することができません。
ある日、Aさんは仕事帰りに立ち寄ったコンビニで、缶酎ハイ等の食料品2000円相当を万引きしてしまいました。
店員に捕まったAさんは、通報で駆け付けた岐阜県可児警察署の警察官によって警察署に連行されて、取調べを受けた後に留置場に収容されています。
Aさんの働いている飲食店の店長は、外国人による窃盗事件を扱った経験のある刑事事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)

~窃盗事件~

Aさんの犯した万引きは、刑法第135条の窃盗罪に当たります。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
被害額が2000円程度の偶発的犯行による万引き事件ですと、逮捕される可能性は低く、不拘束による取調べが行われた後に検察庁に事件書類が送致されます。
そして検察官が起訴するかどうかを判断するのですが、被害品を買い取る等して被害弁償している場合は、初犯であれば不起訴処分となるでしょう。

~外国人による刑事事件~

外国人の方が、日本国内で犯罪を犯し警察に逮捕された場合、日本人と同じように刑事手続きが進められる事になります。
窃盗事件を起こして警察に逮捕された場合、逮捕から48時間までは警察の留置場に拘束される事となり、その間に勾留を請求するか否かが判断されます。
勾留が請求されない場合は、逮捕から48時間以内に釈放され、その後は不拘束状態での捜査が継続されますが、勾留が請求された場合は、検察庁に送致されて、そこで検察官の取調べを受けた後に、裁判所に勾留請求される事となります。
そして裁判官が勾留を認めると、その日から10日~20日間は再び警察の留置場若しくは拘置所に拘束されたまま取調べを受ける事となります。
勾留の最終日に検察官が起訴するか否かを決定し、起訴されなければ釈放となりますが、起訴された場合は、その後の刑事裁判で最終的な処分が決定します。
ただ同じ犯罪でも、日本人の被疑者よりも外国人の方が、逮捕されるリスクや、その後の身体拘束を受けるリスクは高くなるでしょう。
また取調べを受ける中でも様々なリスクが生じてしまいます。
その代表的なのが言葉の壁です。
日本語が通じなければ、通訳を介して取調べが行われますが、自身の主張が書類になっているかに不安を感じてしまう外国人の方は少なくありません。
また生活習慣の違いも大きな壁となるでしょう。
もし逮捕、勾留された場合は、警察署の留置場に収容されることになります。
留置場での生活は、宗教上の理由等が、ある程度考慮されると言われていますが、日本との生活習慣の違いが精神的なストレスになることは間違いありません。

~強制退去~

日本で刑事事件を起こしてしまった外国人の方が一番心配されているのが強制退去についてです。
実際に、日本で生活する外国人が刑事事件を起こした場合、処分が決定し、その刑を終えた時点で日本から強制退去される可能性があります。
入管法によると、有罪判決が強制退去に結び付くのは、1年を超える実刑判決とされていますが、薬物事件や、窃盗罪、詐欺罪等の財産犯事件を起こした外国人の場合、その方の在留資格によっては、執行猶予付の判決であっても判決の確定と共に強制退去になる事があります。

刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで多くの外国人の方の刑事弁護活動を行ってまいりました。
刑事事件を起こした外国人の精神的なストレスを少しでも軽減できるように配慮した刑事弁護活動を心がけておりますので、岐阜県可児市で起こった刑事事件でお困りの外国人の方や、外国人の知人が窃盗罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

刑の言い渡しについて

2020-03-06

刑の言い渡しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

刑事裁判では、有罪判決の場合には、裁判所から刑が言い渡されますが、刑の重さを決めることを量刑と呼んでいます。刑の重さについては刑法等で定められていて、その範囲内で刑の重さが決められることになります。
例えば、詐欺罪では「10年以下の懲役」と定められています。

このように刑には幅が広く定められていることが通常です。
その範囲内でどのくらいの量刑にするのかは裁判官の判断に任せられているのです。
刑事裁判における量刑は、被告人の性格や経歴、被害の大きさ、犯行の動機、目的などすべての事情を考慮して決定されることになります。

◇犯行そのものに対する量刑の事情◇

~動機・計画性~
例えば、窃盗罪で、空腹を満たすために食料を盗んだ場合と、転売し換金目的で盗んだ場合では動機が違います。
また、事前に十分な計画や入念な準備をして行った犯行と相手方の行動に触発されて突発的に行った犯行とは異なりますので、量刑が違ってくるでしょう。

~犯行の手段、方法、態様~
例えば、傷害罪でいうと、どのような手段や方法による暴行であったか(例えば、拳で殴りつけたのか、バットなどの凶器で殴ったのか等)、また、態様として、単発の暴行や執拗な暴行であったか等が考慮されます。
さらに、共犯か単独なのか、共犯の場合は、主犯格なのか、ただ、従属的に従ったまでのことかが問題となります。
身体に対する犯罪を例に挙げましたが、財産やその他に対する犯罪でも犯行の手段、方法、態様にそれぞれ違いがあり悪質であればあるほど量刑が重くなることが考えられます。

~結果の大小・程度・数量、被害弁償~
被害が大きいほど量刑も重くなる方向に働きます。
例えば、窃盗罪では、盗まれたものが現金1万円か数千万円の貴金属かなど被害金額が大きくなればなるほど刑が重くなる方向に働きますし、傷害罪では、怪我が全治2週間か全治6か月かなど怪我の程度が重いほど刑が重くなる方向に働きます。
また、犯行によって失われた被害や損害がどの程度回復したかも重要な判断基準となります。

◇被告人の性格や職業◇

被告人の性格からみて取れる反社会性や常習性、粗暴性などは、量刑事情に影響を及ぼします。
また、被告人の年齢や経済状態、定職に就いているかどうかなども量刑に影響します。
たとえば年齢が若ければ、更生の見込みがあるという点で有利に作用することもあります。

◇前科・前歴◇

比較的軽微な犯行(例えば被害額が数百円の万引き)であっても、それが繰り返されると、量刑が重くなっていくものです。
また、同種の前科前歴があれば、再犯のおそれありということで、情状が悪くなります。
前科に関しては、刑の言い渡しが失効した後も量刑事情としては考慮されることとなっています。

◇余罪◇

起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、処罰する趣旨で量刑の資料とすることは許されないと考えられています。
余罪を処罰するための量刑の資料としてならない理由は、余罪はいまだ厳格な裁判手続を経ておらず、裁判に耐えうるだけの十分な証拠の裏付けがない場合もあるからです。
ただし、被告人の性格、経歴等を推し量るための資料として使用することはできると考えられています。

◇反省と自白◇

反省は更正の可能性を判断する事情の一つであると位置付けられるのでしょう。
反省は内心のことであるからよく分からないと思われてしまうので、反省していることを推測させる客観的事情と併せて主張すべきなのでしょう。
みなさんは、警察官による取調中に、取調室で自白をしたら刑がかなり軽くなると思ってしまうでしょう。しかしながら、それは端的に間違いです。黙秘権は憲法上の権利です。
否認や黙秘をすること自体は、検察官に対する対立当事者として正当な防御活動です。
しかし、証拠上、明白な事実に対して、不合理な否認・不合理な黙秘を続けた場合には、否認をしたことや黙秘をしたこと自体ではなく、その公判廷での態度からみて取れる反省のなさや再犯のおそれを量刑上不利に考慮されることはあります。
弁護士と相談してどのような供述態度を示すべきか総合的な判断をするべきでしょう。

岐阜県不破郡垂井町で量刑に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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