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【傷害致死】少年事件について裁判例等をご紹介
【傷害致死】少年事件について裁判例等をご紹介
少年に関する傷害致死事件での裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事案~
岐阜市で路上生活者Vが襲われ死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた元少年2人(ともに20歳)の裁判員裁判の判決が岐阜地裁であった。
地裁は、元少年らに懲役5年(求刑懲役8年)、懲役4年(求刑懲役6年)の判決をそれぞれ言い渡した。
事件をめぐっては、岐阜県警が発生の約1カ月後に被告人2人を含む3人を殺人容疑で、大学生だった2人を傷害致死容疑で逮捕した(5人はいずれも当時19歳)。
殺人容疑で逮捕された元少年(20)は傷害致死の非行内容で少年院送致され、岐阜地検は大学生2人を不起訴処分とした。
(朝日新聞「ホームレス襲撃死、元少年2人に実刑判決」(2021/3/25)」を引用・参照)。
~傷害致死と殺人の違い~
(殺人)
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(傷害致死)
第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
殺人罪(刑法199条)も傷害致死罪(刑法205条)も、人の生命を奪う行為を罪として処罰することを定める規定です。
では、前者が「死刑」や「無期……懲役」も含む極めて重い犯罪であるのに対し、後者の法定刑が「3年以上の懲役」にとどまるのは何故でしょうか。
それは刑法が、責任がなければ犯罪にはならないという責任主義を採用し、わざとその法益侵害行為を行った者ほど責任が重く非難の程度は大きいと考えたことによります。
このことは明文上も、過失による法益侵害行為が例外的な処罰にとどまることとされていることからも明らかです(刑法38条1項ただし書参照)。
つまり、ある行為が殺人にあたるか(それとも傷害致死にとどまるか)は、該当する殺人「罪を犯す意思」(故意・38条1項本文)が認められるかどうかにかかっています。
しかし、人の内心は究極的にはその人にしか分からないものです。
したがって、刑法上の故意(本件であれば殺人の故意すなわち殺意)を認定するためには、客観的な証拠や事実からその存在を推認していくことになります。
実務上では、犯行の態様・危険性を検討した上で、それに対する認識の有無・程度を検討するという形で殺意の認定するという方法等が採られいると言われています。
~少年事件における弁護活動等~
本事案では、Vの死亡に関わったとして5人の元少年(いずれも当時19歳)が逮捕されました。
なお、殺人罪で逮捕された者も含め、結果的には全員が傷害致死罪の成否が問われたことになります。
冒頭に紹介したように起訴された2人には「懲役5年」「懲役4年」のそれぞれ実刑判決が下されています。
他方で、1人は少年院送致され、残りの2人は不起訴処分になっています。
このように5人が逮捕された事件にも関わらず、最終的な処分は大きな相違が生じています。
このような相違が生じた原因の一つとして、本事案は事件に関わった者が逮捕時に19歳という年齢切迫少年であったことが挙げられるでしょう。
また、今般成立した少年法の改正(2021年改正、2022年施行)では、18歳以上の「特定少年」につき原則逆送事件の対象の拡張(少年法62条2項2号)や実名等の報道(推知報道)を一部解禁など、大きな変更を伴っているということも決して軽視できません。
このように少年事件は、通常の刑事事件とは別途高い専門性を要する分野といえ、弁護活動の前提として少年事件の経験と知識を有する弁護士による事案の正確な精査が必要不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害致死事件を含む少年事件・刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
少年事件でご家族が逮捕等された方は、365日・24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。
岐阜県可児市で起きたひき逃げ事件を解説
今回は、岐阜県可児市でひき逃げをした疑いで47歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜県可児市で、歩行者の男性を車でひき逃げしたとして47歳の男が逮捕されました。
ひき逃げの疑いで逮捕されたのは、可児市のパート従業員の47歳の男です。
警察によりますと男は、午前8時半ごろ、可児市下恵土の交差点を左折しようとした際、歩いていた可児市の無職の男性(80)を、車ではねて、そのまま逃げた疑いがもたれています。
男性は頭の骨を折るなどの重傷です。
その後の捜査で、防犯カメラの映像を解析するなどして、犯行車両を割り出し、男を特定しました。
警察の調べに対し、男は容疑を認めています。
(https://www.nagoyatv.com/news/ 5月22日 「交差点左折時に歩行者男性を巻き込む 男性は頭の骨などを折る重傷 ひき逃げの疑いで47歳の男を逮捕」より引用)
~ひき逃げ事件について解説~
人身事故を起こし、救急車や警察を呼ぶなどの適切な救護を行わず現場を立ち去った場合には、ひき逃げの罪に問われる可能性が高いです。
また、報道記事からは明らかではありませんが、交差点を左折しようとした際に歩いていた男性をはね、頭の骨を折るなどの傷害を負わせた点について、過失運転致傷罪にも問われる可能性があります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
~ケースの事件における弁護士の必要性~
ひき逃げなどに及ばず、過失運転致傷罪の一罪であり、かつ、被疑者が初犯であって、被害者の傷害も軽微である場合には、不起訴処分によって裁判にかけられずに済む可能性もあります。
しかし、ケースの事件は人身事故により被害者に重傷を負わせた上、さらにひき逃げ行為という悪質な行動に及んでいます。
起訴される可能性は高く、さらに、実刑判決となる事態についても考慮しなければなりません。
執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高めるためにも、また実刑判決となっても刑期をなるべく軽くするためにも、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要となります。
人身事故を起こし、ひき逃げなどの疑いで逮捕された場合には、速やかに弁護士の接見を受け、アドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
人身事故、ひき逃げ事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
岐阜県羽島市のコンビニで強盗事件を起こした疑いで63歳男性が逮捕
今回は、岐阜県のコンビニで強盗事件を起こしたとして、63歳男性が逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜県羽島市のコンビニに男が押し入り、現金が奪われた強盗事件で、警察は、63歳の男を逮捕しました。
強盗の疑いで逮捕されたのは、愛知県一宮市大和町の無職、63歳男性被疑者です。
警察によりますと、男性被疑者は今月7日、岐阜県羽島市江吉良町のコンビニで女性店員に刃物を突き付け、現金およそ36万円を奪った疑いがもたれています。
防犯カメラの映像などを解析し、男性被疑者の特定に至りましたが、警察の調べに対し、男性被疑者は、容疑を否認しているということです。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/8a77813ed2fbc0abdd62281eaf6a3c95c34be630 5月28日 「岐阜・羽島市のコンビニ強盗事件で63歳の男を逮捕 防犯カメラの映像解析などで特定も容疑を否認」より ※氏名等の個人情報は秘匿しています)
~被疑事実の否認は利益となるか、不利益となるか~
嫌疑を否認する対応についてですが、本当に身に覚えのない嫌疑については、きっぱりと否認することが大切です。
取調べが苦痛であるため、身に覚えはないがとりあえず認めておく、裁判所で話せば嫌疑は晴れるだろう、という考えで被疑事実を認める行為は絶対に禁物です。
法廷で、検察が取り調べを請求した証拠が都合よく退けられ、反対に、自身の主張が容れられ、無罪判決となる保証はどこにもないからです。
最悪の場合、無実の罪で刑に服したり、前科を付けることになってしまいます。
このような場合はすぐに弁護士と相談して、取り調べ環境の見直しを求めることが必要です。
~「不合理な否認」とは?~
反対に、明らかに被疑者が犯行を行ったものと認められる証拠があるのに、被疑事実を否認する場合は、「不合理な否認」であるとして、「反省の態度が見られない」など、否定的な評価(起訴される可能性が高くなる、量刑が重くなる、など)につながるおそれもあります。
ケースの「防犯カメラの映像」がどの程度の証明力をもつものであるか明らかではありませんが、自宅から同額の現金が出てきたり、凶器が見つかったり、同時刻に被疑者が現場付近を歩いていたという内容の目撃者の供述調書、この男性に間違いがないという内容の女性店員の供述調書等他の証拠があるにもかかわらず、嫌疑を否認している、という場合には、前述した「不合理な否認」と評価される可能性もありえます。
一方で、同時刻には別の場所にいたというはっきりとしたアリバイがある、アリバイを証言できる人がいる、直近でまとまった金額の現金を入手できた事情がある、等の合理的な否認もあります。
否認を続けるか否か、弁護士と十分相談する必要がある点と考えられます。
~事務所紹介~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
ご家族が強盗の疑いで逮捕されてしまい、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
もし、ご家族の方が逮捕されてしまってお困りの方は、、最短で当日にご本人様と弊所弁護士が接見する初回接見サービスをご案内しております。
弁護士と接見をし、今後の見通しったり、供述内容を整理することで、落ち着いて取調べなどの捜査に臨むことができますし、曖昧な供述を避けることができます。
また、逮捕されてなくとも、ご自身やご家族の方が何らかの事件やジオを起こしてしまった場合や、警察から在宅捜査を受けている方は、初回無料の法律相談をご利用いただけます。
事件や事故を起こしてしまった、警察から呼び出しを受けている、大切な方が突然逮捕されてしまったなど、お困りの方はぜひ一度、あいち刑事事件総合法律事務所0120-631ー881(24時間・年中無休で電話受付中)までご連絡ください。
レンタカーを返さずに逮捕~岐阜県での横領事件~
今回は、大垣市内のレンタカー会社から借りた乗用車を横領した疑いで、33歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜県警大垣署は15日、横領の疑いで、住所不定、自称自営業の男(33)を逮捕した。
逮捕容疑は今年4月1~7日の契約で大垣市内のレンタカー会社から借りた乗用車1台(時価170万円相当)を返却期限後も返さず、横領した疑い。容疑を否認している。
署によると、男と連絡が取れなくなった同社の男性店長(29)が4月25日に署に被害を相談した。
(https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/231985 5月16日 「レンタカーを返さず横領か 自称自営業の男を逮捕 岐阜県警大垣署」より引用)
~横領罪とは?~
横領事件の典型例として、他人から預かった他人の物、又は業務上自分が占有している物等を何の権限もなく勝手に売ったり、使ったりする行為が挙げられます。
横領罪には、単純横領罪のほか、業務上横領罪、遺失物等横領罪などの類型が規定されており、行為者の立場(業務上、他人の物を占有する立場にあったか、そうでないか)、横領された物件の状況(もともと行為者が占有していた物であるか、遺失物など他人の占有を離れた物か)等によって、成立する罪名が異なってきます。
刑法第252条1項は、「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する」としており、借りたレンタカーを返却期限後も返却せず使用していたという場合においては、この「単純横領罪」が成立するケースが多いでしょう。
~想定される弁護活動~
ケースの場合はレンタカー会社に対して、レンタカーを期限に返却しないことによって生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることが考えられます。
真摯な謝罪と損害賠償を行い、示談を成立させることができれば、不起訴処分など、比較的有利な事件解決を図ることができるかもしれません。
まずは刑事事件に詳しい弁護士の接見を受けて、今後の弁護活動に関するアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
横領事件を起こしてしまいお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
岐阜県で発生した人身事故、ひき逃げ事件
今回は、人身事故、ひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜中署は14日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで、各務原市那加石山町、自称会社員の男の容疑者(35)を逮捕した。
逮捕容疑は、12日午前6時40分ごろ、岐阜市東興町の国道交差点の近くで、赤信号で止まっていた乗用車に追突、その弾みで前方に停止していた瑞穂市の男性会社員(51)の運転する乗用車に衝突し、男性の首にけがを負わせたにもかかわらず、そのまま逃げた疑い。
署によると、けがを負った男性が「事故で相手が逃げた」と110番した。ドライブレコーダーの映像などから特定した。追突された瑞穂市の男性会社員(50)にけがはなかった。
(https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/219899 4月15日 「3台絡む事故ひき逃げ疑い 信号待ちの車に追突した男逮捕、岐阜中署」より引用)
~現場から逃亡しても後日検挙される可能性は十分存在する~
過失運転致死傷などの人身事故を起こし、救急車や警察を呼ぶなどの適切な救護を行わず現場を立ち去った場合には、ひき逃げの罪に問われる可能性が高いです。
公道を撮影している防犯カメラは多数存在しますし、また、近年では自家用車にもドライブレコーダーが搭載されていることも多々あります。
ひき逃げ事件を起こす動機は様々かと思いますが、カメラに映った被疑者(被疑車両)を追跡するなどし、後日検挙される可能性は十分あります。
事故を起こしてしまった場合には、必ず被害者の救護、道路における危険の防止措置、警察への連絡などを行うべきです。
~事件は今後どのように進行する?~
過失運転致傷事件を起こしてしまった場合であっても、初犯であり、被害者の処罰感情が希薄で、被害の内容も軽微と評価できる場合には、不起訴処分となる可能性も十分あります。
しかし、ひき逃げの疑いが加わると事情は異なります。
いうまでもなくひき逃げは悪質な行為とされており、公判請求という形式で起訴される可能性が十分見込まれます。
公判請求となった場合は、法廷に立って裁判を受けなければなりません。
また、公判請求が選択されたということは、検察官が懲役刑などの自由刑を求刑することが前提となっています。
もし有罪判決を受け、懲役刑を言い渡された場合に執行猶予が付かなければ、実刑判決となります。
実刑判決の回避など、有利な事件解決を目指す場合には、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要です。
まずは弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
過失運転致傷、ひき逃げ事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【解決事例】岐阜市の現住建造物等放火事件で不起訴処分を獲得
【事案の概要】
Aさんは岐阜市にある専門学校に通っていましたが、対人関係に悩みを抱えていました。
精神的に非常に不安定な状態になっていたAさんは、持っていたライターで、専門学校内のトイレにあったトイレットペーパーに火を着けるという行為を複数回行っていました。
幸い、いずれも火災報知器が作動し、駆けつけた職員によりすぐに消火されたため、同トイレ内の壁の一部を焼損させただけにとどまりましたが、校内の監視カメラの映像から、Aさんの犯行であることが判明し、Aさんは岐阜県警察岐阜中警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんのご両親は「娘は心療内科で継続的に治療するよう勧められていました。今回の件はもしかしたら娘の病気が原因かもしれません。」とご相談時お話しされました。
(守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)
【現住建造物等放火罪は極めて重大な犯罪】
現住建造物等放火罪は、刑法第108条に定められており、罰則規定として「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」という極めて重いものが定められています。
これは殺人罪(刑法第199条)の罰則規定と同じですので、その重大さがわかります。
(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
現住建造物等放火罪などの放火の罪の罰則規定が重い理由は、公共の安全(具体的には、不特定多数または多数人の生命・身体・財産)を保護法益としているからです。
建造物等への放火は、火を着けた建造物への焼損だけでなく、隣接する他の建造物等へ燃え移ることにより、不特定多数または多数人の生命・身体・財産に甚大な被害を及ぼす危険があるため、重い罰則が定められています。
そのため、起訴されて裁判となれば、厳しい刑事処分となることが予想されます。
【具体的な弁護活動】
まず弁護士が、専門学校へ連絡し、被害弁償を含めた示談交渉を行いたい旨連絡しました。
専門学校の代表者の方はこれに応じて下さり、被害弁償を含めた宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結することができました。
そして、弁護士が検察官に対し、①被害弁償が済んでおり、宥恕条項付きの示談が成立していること、②今回のAさんの行為は、Aさんの精神的な疾患が関係しており、専門医からも早急に入院治療が必要であると診断されていること、③今後はAさんの両親が監督し、Aさんの治療に協力することなどを挙げ、不起訴処分が相当であると主張しました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。
【まとめ】
少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、特に今回の現住建造物等放火罪のような重大な犯罪においては、示談交渉が重要になります。
宥恕条項付きの示談が成立すれば、不起訴処分や、起訴されたとしても情状事由があるとして執行猶予付き判決となる可能性が高まります。
また、今回の事案のように、精神的疾患が原因となって行為に及んでしまった場合は、刑事罰を科すよりも治療を優先するべきと主張したり、場合によっては責任能力を欠いていると主張することも考えられます。
今回の事案では、専門医から入院治療が必要であると言われるほど、Aさんの精神的疾患が重く、治療を優先すべきであるということを主張したことも、不起訴処分に繋がった要因の1つと考えられます。
ご家族の方が、精神的疾患が原因で刑事事件を起こしてしまいお困りの場合は、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
(解決事例)多治見市の傷害事件で不送致処分を獲得
【事案の概要】
多治見市在住のAさんは、長年の友人であるVさんとともに、同市内にある行きつけの居酒屋で飲んでいました。
しかし、お互い酔っていたため、些細なことで口論に発展し、興奮したAさんがVさんめがけてグラスを投げつけたところ、これがVさんに当たり、Vさんの腕から流血しました。
その場はお互いに謝罪したことでおさまり帰宅しましたが、数日経ったある日、岐阜県警察多治見警察署の警察官から、「居酒屋での件について、Vさんから被害届が出ている。」と連絡がありました。
Aさんは、「警察官からは、弁護士を付けて示談するように勧められたが、どのように対応すべきでしょうか。」とご相談時、お話しされました。
(守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)
【不送致処分とは?】
警察官が捜査した事件は、原則として全て検察官に送致(警察が捜査した事件を検察官が引き継ぐこと)されます(刑事訴訟法第246条)。
刑事訴訟法
第二百四十六条 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
しかし、同条但書が定めるように、例外的に検察官へ送致されず(不送致処分)、警察限りの措置で終わる場合があり、これを不送致処分といいます。
不送致処分となれば、検察官に送致されないため、起訴もされず、そのまま事件は終了することになります。
今回の事案では、はじめから警察官がAさんに対してVさんと示談をすることを勧めていることから、警察としては、被害者の方との示談が成立すれば、微罪処分として送致しないつもりであるとも考えられます。
【具体的な弁護活動】
弁護士が、Vさんに対して今回の事件について示談ができないか申し出たところ、「こちらも弁護士に依頼しているので、弁護士を通してなら示談に応じます。」と回答がありました。
その後、Vさんの弁護士と示談交渉を行いました。
Vさんの怪我の程度が想定より重かったこともあり、示談交渉は難航しましたが、最終的に示談を締結することができました。
弁護士が示談の内容をまとめ、多治見警察署に提出したことで、被害届は取り下げられました。
そして、被害届が取り下げられたことにより、事件は検察庁に送致されることなく、Aさんは不送致処分となりました。
【まとめ】
刑事処分の軽減のためには、被害者の方との示談交渉が重要になります。
今回の事案のように、示談成立によって被害届が取り下げられ、不送致処分で警察限りの措置で終わる場合もあります。
もっとも、警察が不送致処分を行うのは例外的な場合ですので、多くは検察官に送致されることになります。
しかし、検察官に送致されたとしても、示談が締結できれば、不起訴処分となったり、起訴された場合にも執行猶予付き判決となる可能性が高まります。
示談成立のためには、被害者の方に配慮した適切な示談交渉を行うことが重要になりますので、お困りの場合はすぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
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【ニュース紹介】レンタカーを返却しない場合と横領罪
レンタカーを返却しない場合と横領罪について、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要(12月5日掲載の岐阜新聞Webの記事を参考にしたフィクションです。)】
可児市在住のAさんは、自分で使うために同市内のレンタカー店にて、普通乗用車1台を、契約期間を2日として借りました。
しかし、Aさんは契約期間が過ぎたことを知りつつも、レンタカーを返却せず、自己の車として同市内で使用していました。
契約期間満了から1週間以上経ってもAさんからの返却がないことから、レンタカー店が岐阜県警察可児警察署に相談し、被害届を提出しました。
その後、可児警察署の警察官が、同市内の駐車場にてレンタカーを発見したため、Aさんは横領の容疑で逮捕されました。
【レンタル品を返却しない場合は横領罪にあたるおそれ】
横領罪は、自己の占有する他人の物を横領したときに成立する犯罪で、罰則規定として「五年以下の懲役」が定められています。
刑法
(横領)
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
今回のケースのように、レンタカー店が所有するレンタカーを返却せずに、そのまま自己の車として使用し続けることは、横領罪に該当すると考えられます。
レンタカーに限らず、例えばレンタルDVDの返却を意図的にせず、そのまま自己のものとしてしまう場合や、友人から預るよう依頼された物品を、許可なく他人に売却した場合なども横領罪となると考えられます。
【具体的な弁護活動】
横領罪において、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、被害者の方への被害弁償はもちろん、示談締結が非常に重要になります。
まず、被害弁償について、今回のケースのように、被害者の方から借りたものを返さなかったとして横領罪に問われた場合、その物が未だ返却されていないようなときは、速やかにこれを返却し、すでに売却などして手元にないような場合は、これに相当する金額の被害弁償を行うことになります。
次に、示談交渉ですが、基本的には弁護士しか行うことができません。
これは、捜査機関としては加害者が被害者の方と接触することで口裏合わせなどの恐れがあり、当事者間での示談交渉は現実的ではないことから、警察や検察庁から被害者の方の連絡先等を聞くことができるのは、基本的には弁護士のみとなっているからです。
したがって、弁護士が捜査機関へ被害者の方の連絡先を聞くことができ次第、速やかに示談交渉を行うことになります。
示談交渉によって、宥恕条項付き(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)の示談が締結できたり、示談締結とともに、被害者の方によって被害届の取り下げをしていただければ、不起訴処分や、起訴された場合でも執行猶予付き判決となる可能性が高まります。
刑事事件の示談締結においては、被害者の方に配慮した適切な示談交渉を行うことが重要になりますので、お困りの場合はすぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
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岐阜市の回転ずし店で起きた偽計業務妨害事件
今回は、現在ニュース等で話題となっている、岐阜市の回転ずし店で起きた偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜市にある回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で、醤油のボトルを舐めるなどの迷惑行為の動画が拡散した問題で、岐阜県警が少年らを書類送検する方針であることがわかりました。
この問題では、岐阜市内のスシローの店舗で、少年が醤油のボトルの注ぎ口や、別の客が使う湯呑みを舐める様子などを撮影した動画がSNSで拡散しました。
スシローは1月31日に被害届を提出し、警察は偽計業務妨害の疑いを視野に捜査を進めていましたが、その後の捜査関係者への取材で、迷惑行為に関わった少年ら複数人を、早ければ2月中にも書類送検する方針であることがわかりました。
書類送検されるのは、迷惑行為をした少年のほか、動画の撮影者やSNSに動画を投稿した人物も含まれるとみられています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/09b1e0ecb61748b830f1e1df4ce6c3566dd1e79e 2月10日 「撮影者や投稿者も含まれるか…スシロー店舗での“醤油ボトル舐め”等の迷惑行為の動画拡散 少年ら書類送検へ」より引用)
~これから少年らはどうなるか~
ケースの事件では警察が介入し、少年らを検察へ送致する方針である、としています。
送致を受けた検察官は原則として少年らを家庭裁判所に送致することになります。
家庭裁判所では、少年らの資質や性格、生活環境などを調査した上で、必要な保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)を行います。
法律上、保護処分の必要がないとして、不処分を言い渡される場合もあります。
少年法上、事件の罪質や情状に照らして刑事処分が相当とされれば、検察官のもとに戻され、成人と同じく刑事裁判を受ける場合も考えられます(実務上、逆送決定などと呼ばれます)。
また、損害額については確定は容易ではないでしょうが、回転ずし店に生じさせた損害の賠償を請求される可能性も高いです。
当事者の少年らにおいては、ささいなイタズラであったのかもしれませんが、日本中、世界中の耳目を集める事件となってしまいました。
ケースのような行為は、厳に慎む必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
岐阜県で起きた飲酒運転事件
今回は、飲酒運転をし検挙された場合の経過について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
岐阜県警岐阜中署は18日、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、各務原市那加北洞町、保険会社役員の男(50)を逮捕した。
逮捕容疑は18日午前2時ごろ、国道248号の交差点で、酒気を帯びた状態で乗用車を運転した疑い。
署によると、近所の住民から「交差点近くで車が停車していて、後方車両がクラクションを鳴らしている」と110番があった。呼気検査で基準値を超すアルコールが検出された。容疑を否認している。
(https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/198252 2月18日 「酒気帯び運転の疑い 保険会社役員の男を逮捕 住民が110番 岐阜中署」より引用)
~飲酒運転の疑いで検挙された場合~
ケースの事件のように、飲酒運転をしているところを警察官に発見された場合、現行犯逮捕されることが珍しくありません。
逮捕されたしまった場合には、身元引受人やその上申書などを用意し、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張して、早期の身柄解放を目指す必要があります。
~飲酒運転事件はどのように終結するか~
飲酒運転を行い検挙されてしまった場合には、交通反則通告制度(いわゆる青切符に関する制度)の適用がないため、反則金を支払って簡易に事件解決を図ることができません。
飲酒運転を行った場合には、赤切符を切られ、初犯であれば、略式手続により罰金刑を言い渡される可能性が高いでしょう。
酒気帯び運転の場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています(道路交通法第117条の2の2第1項第3号・第65条第1項)が、初犯の場合、30万円前後になることが予想されます。
かつては、飲酒運転はそれほど悪質な行為としてみられておりませんでしたが、現在では様々な事故を引き起こす行為であるとして、飲酒運転単体でも厳しい態度で処分を受ける可能性が高いです。
お酒を飲む場合には車を運転せずに帰宅できる方法を、飲んだ場合には、絶対に車を運転しないという心構えが不可欠といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
飲酒運転に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。