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名誉棄損事件で弁護士に相談

2021-07-01

名誉棄損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
相手方のブログに誹謗中傷する内容のコメントを100回以上書き込んだとして、岐阜県飛騨警察署は、Aさんを名誉棄損の容疑で岐阜地方検察庁高山支部に送致しました。
Aさんは、容疑を認めていますが、こんな大事になるとは思わず、今後どのようになるのか不安で仕方ありません。
警察から、「次は検察官から呼び出しがあります。」と言われ、慌てて刑事事件専門の弁護士相談することにしました。
(フィクションです。)

名誉棄損罪とは

名誉毀損罪は、刑法第230条に次のように規定されています。

1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

■名誉毀損罪の構成要件■

名誉毀損罪という罪が成立するための原則的な要件は、
①公然と事実を摘示し、
②人の名誉を毀損した
ことです。

①公然と事実を摘示する

「公然と」とは、不特定または多数人が認識し得る状態のことを意味します。
不特定というのは、相手方が特殊な関係によって限定された者ではない場合をいい、多数人とは、数字によって何人以上と限定することはできませんが、単に数名では多数人とは言えず、相当の員数であることが必要とされます。
インターネット上の掲示板など、誰でも閲覧することができる場であれば、公然性が認められます。
判例は、摘示の相手方が特定少数人である場合でも、その者らを通じて不特定多数人へと伝播する場合は、公然性を認めています。(大判大正8・4・18)

事実の摘示について、摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実でなければなりません。
人の社会的評価を害するか否かについては、相手方の有する名誉によって相対的に決まります。
また、摘示された事実は、公知の事実でもよいとされており、その事実が真実か否かは問題とはなりません。
「摘示」は、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げる行為で、その方法・手段は問いません。

②人の名誉を毀損する

名誉棄損罪で保護される「名誉」は、外部的名誉、つまり、人についての事実上の社会的評価です。
名誉毀損罪は、人の社会的評価を低下させるべき事実を公然と摘示し、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させれば、通常人の名誉は毀損されたと言え、既遂に達します。
そのため、実際に名誉が侵害されたことまでも必要とされません。

以上の要件に加えて、名誉棄損罪の成立には、故意、すなわち、他人の社会的評価を害し得る事実を不特定または多数人が認識し得る形で摘示していることについての認識がなければなりません。

名誉毀損罪は、真実である事実を摘示しても成立するため、言論の自由の保障との関係で問題が生じます。
個人の名誉の保護と表現の自由との調和を図るために、刑法第230条の2は、公共の利害に関する場合の特例を規定しています。
名誉棄損行為が、公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、摘示した事実が真実であることの証明があったときは、免責を認めています。

名誉棄損事件で刑事事件化に

名誉棄損事件で被疑者となった場合、容疑を認めているのであれば、すぐにでも被害者への謝罪や被害弁償、示談交渉を行うことが重要です。
というのも、名誉棄損罪は、親告罪という罪で、訴追の要件として告訴を必要とする犯罪だからです。
告訴というのは、被害者等が、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことです。
よく似たものとして「被害届」がありますが、被害届はあくまで犯罪事実の申告にとどまるものであって、犯人の処罰を求めるという点で告訴とは異なります。
この告訴がなければ検察官は起訴することができませんので、被害者からの許しを得て、告訴の取下げをしてもらえれば、不起訴で事件を終了することができます。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を介して行います。
事件の当事者同士では感情的になり交渉がうまく進まないことも多いですし、被害者との接触を防ぐために捜査機関が加害者に直接被害者の連絡先を教えないため、当人同士での話し合いは難しいからです。
弁護士を介してであれば、被害者の連絡先を入手することができ、冷静な話し合いを行い、示談を成立させる可能性を高めることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
名誉棄損事件で対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

少年の無免許運転

2021-06-28

少年無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさん(17歳)は、深夜に友人数名と岐阜県多治見市の県道をバイクで走行していました。
すると、警ら中の岐阜県多治見警察署の警察官に停められ、免許証の提示を求められ、Aさんを含め全員が無免許運転であったことが発覚したため、全員逮捕となりました。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、すぐに少年事件に弁護士をネットで検索し、相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)

無免許運転について

公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転する行為を「無免許運転」といい、道路交通法第64条で禁止されています。
無免許運転は、今まで一度も運転免許をとったことがない者が自動車等を運転する場合だけでなく、免許が取消された後に運転する場合や、免許の停止中に運転する場合も含みます。
免許証を携帯せずに自動車等を運転した場合は、無免許運転ではなく「免許証不携帯」という反則行為となります。
反則行為は、道路交通法違反のうち、比較的軽微なもので、車両等の運転者がしたものをいいます。
反則行為をした者は、一定期日までに法律で定める反則金を納付することによりその行為について控訴を提起されず、または、反則行為をした者が少年である場合には、家庭裁判所の審判に付されません。
この制度を「交通反則通告制度」といいます。
免許証不携帯のような反則行為であれば、反則金を支払うことで事件が処理されます。

しかしながら、無免許運転については、交通反則通告制度の対象とはなりません。
つまり、無免許運転で警察に検挙された場合、刑事事件として、被疑者が少年であれば少年事件として手続に基づいて処理されることになります。

少年が無免許運転で検挙された場合

少年による無免許運転が捜査機関に発覚した場合、少年であっても、警察に逮捕される可能性はあります。
無免許が発覚したときに逮捕となる「現行犯逮捕」されるケースが多くなっています。
逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者である少年の身柄を釈放するか、もしくは、証拠物や関係書類とともに少年の身柄を検察に送ります。
検察に送るとなれば、検察官が少年の身柄を受けてから24時間以内に、少年を釈放するか、もしくは、裁判官に対して勾留の請求をします。
勾留というのは、逮捕に引き続いて行う身体拘束のことですが、勾留の期間は、検察官が交流を請求した日から原則10日間です。
また、検察官が勾留の延長を請求し、裁判官がこれを認めれば、勾留の期間は、最大で20日となります。
ただし、少年の場合には、検察官は、勾留に代わる観護措置を請求することができます。
勾留に代わる観護措置は、少年を少年鑑別所に収容するもので、期間は10日間で延長は認められません。
単純な無免許運転であれば逮捕後に釈放となる場合もありますが、暴走族などに所属していたり、共犯がいたりする場合には、勾留となる可能性もあります。

捜査機関による捜査が終了し、犯罪の嫌疑が認められる場合や、嫌疑が認められない場合でも、家庭裁判所の少年審判に付すべき理由がある場合には、検察官は家庭裁判所に事件を送ります。
そして、事件が家庭裁判所に係属し、家庭裁判所による調査、審判を経て、少年に最終的な処分が言い渡されます。
家庭裁判所に事件が係属している間、家庭裁判所はいつでも観護措置をとることができます。
観護措置は、調査や審判を行うために必要がある場合に、少年を少年鑑別所に収容する措置です。
観護措置がとられると、原則として2週間、必要があるときは4週間、少年鑑別所に収容されます。
審判では、非行事実と要保護性が審理され、少年の更生に適した処分が決定します。
成人の刑事事件とは異なり、少年の場合には、少年の更生が重視されるため、犯した罪の重さをストレートに反映した処分が科されるではありません。
事件内容が、単純な無免許運転で、事故も起こしていない場合で、かつ、少年が反省していると判断されれば、不処分や保護観察といった処分で終わる可能性があります。
一方、事故を起こしていなくとも、無免許運転を繰り返していたり、暴走行為を行っている、少年の反省が見られず暴走族のような集団からの離脱もみられない場合には、少年院送致といった処分となることもあります。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続がとれらるため、少年事件でお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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詐欺事件で逮捕

2021-06-24

詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県垂井警察署は、知り合いの女性に対して虚偽の投資話を持ち掛け金銭を騙し取ったとして、詐欺の疑いで会社員のAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、今後どのような流れになるのか、どういった処分が科されるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです。)

詐欺罪

詐欺の類型は多様で、無銭飲食や釣銭詐欺といった単純なものから、特殊詐欺のような組織的に行われるものまであります。

詐欺罪は、刑法第246条に次のように規定されています。

1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

財物詐欺(1項詐欺)

同条1項は、「人を欺いて財物を交付させ」る罪です。

【客体】
財物詐欺の客体である財物は、「他人の占有する他人の財物」です。
この財物には、動産のみならず不動産も含まれます。

【行為】
財物詐欺の行為は、「人を欺いて財物を交付させる」ことです。
これは、①欺く行為として、②それに基づいて相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要となります。
これら①から⑤が客観的に相当因果関係になければなりません。

①欺く行為
「欺く」とは、一般人をして財物を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
つまり、相手方を騙すことを言うことです。
人を欺くものでなければなりませんので、機関に対して虚偽情報を入力した場合は、詐欺罪の欺く行為には当たりません。

②錯誤
錯誤とは、財産的処分行為をするように動機付けられることをいい、要するに、騙されて嘘を本当のことだと信じることです。

③処分行為
条文上の「財物を交付させ」るとは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することをいいます。
処分行為と言えるためには、財産処分の意思と財産を処分する事実とがなければなりません。
その点、処分する意思を全く有しない幼児や高度の精神病者などには、財産的処分行為は認められないため、これらの者を欺いてその財物を奪う行為は詐欺罪ではなく窃盗罪となります。

④財物の移転
財物の移転とは、相手方の財産的処分行為の結果として、行為者側に財物の占有が移ることをいいます。

利益詐欺(2項詐欺)

同条2項は、「人を欺いて財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させ」る罪です。

【客体】
1項との違いは、犯罪の対象が「財産上不法の利益」です。
これは、不法に財産上の利益を得ることで、利益自体が不法なものであることを求めるものではありません。
「財産上不法の利益」とは、財物以外の財産的利益すべてを指し、債券や担保権の取得、労役・サービスを提供させることの他、債務免除や支払猶予なども含みます。

【行為】
利益詐欺の行為は、「人を欺いて財産上不法な利益を得、又は他人にこれを得させ」ることです。
これは、欺く行為に基づく錯誤の結果、行われた財産的処分行為によって行為者または一定の第三者が、不法に財産上の利益を取得することです。

いずれの詐欺も、主観的要素である故意と不法領得の意思がなければなりません。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物を同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことで、条文には明記されていませんが、判例上認められた要件となっています。

詐欺事件で逮捕されたら

詐欺事件の被疑者として逮捕された場合、その後に勾留される可能性は高いと言えるでしょう。
詐欺事件では、当事者の認識が立証には重要となるため、釈放すれば被害者と接触し供述を変えるよう迫るおそれがあるなどとして、罪証隠滅のおそれがあると認められる傾向にあるからです。
特殊詐欺事件や他の組織的な詐欺事件でない場合は、早期に被害者への被害弁償や示談を成立させることによって、不起訴で事件を終了させ、被疑者が釈放される可能性があります。
そのため、被疑者が容疑を認めている場合には、弁護人は、早い段階から、被害者との示談交渉を開始することが求められます。

ご家族が詐欺事件で逮捕された場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
逮捕された方への取調べに対するアドバイスや、被害者との示談交渉など、刑事事件を熟知した弁護士は迅速に事件対応を行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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まずはお気軽にお問い合わせください。

虞犯少年で家庭裁判所送致

2021-06-21

虞犯少年家庭裁判所送致となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜中警察署は、岐阜県岐阜市の繁華街で深夜にたむろしていたAさん(16歳)を補導しました。
Aさんは、高校に進学したものの登校しておらず、家出をして知人宅を転々としていました。
遊ぶ金欲しさから援助交際を繰り返しており、補導された日に一緒に居た少年らが大麻所持で検挙されていたことから、Aさんは虞犯少年として岐阜家庭裁判所送致されることになりました。
Aさんの両親は、今後どのように対応すればよいか分からず、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

虞犯少年とは

家庭裁判所が処理する少年保護事件の対象は、審判の時に20歳未満であり、「非行のある少年」です。
この「非行のある少年」は、「犯罪少年」、「触法少年」、及び、「虞犯少年」の3種類に分類されます。
「犯罪少年」とは、罪を犯した少年のことをいいます。
「触法少年」とは、刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたが、行為時に14歳未満であるため、刑事責任には問えず、「罪を犯した」ことにはならない少年のことです。
そして、「虞犯少年」は、保護者の正当な監督に服しない、正当な理由がないのに家庭に寄りつかない、いかがわしい場所に出入りする、といった一定の事由(これを「虞犯事由」といいます。)があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年のことをです。

家庭裁判所は、犯罪少年だけではなく、触法少年や虞犯少年も少年保護事件の対象しています。
それは、少年審判の目的が、罪を犯した者を非難し処罰することではなく、非行性を取り除き、将来の犯罪を防ぐことになるからです。

では、虞犯少年についてもう少し詳しく説明します。

虞犯少年は、少年法第3条1項3号イないしニに定められている一定の事由(「虞犯事由」)があって、かつ、少年の性格や環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年です。
虞犯事由は、次の4つです。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
②正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
④自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

虞犯は、成人であれば、犯罪には至っていないため処罰の対象にはなりません。
しかしながら、少年法の趣旨が、犯罪行為にまで至ってはいないけれども、不良な行為をしている少年を早期に発見して適切な保護を加えることにより、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防止しようとすることからも、犯罪ではない行為であっても家庭裁判所の審判に付する行為としています。

虞犯少年として家庭裁判所送致されると、犯罪少年の場合と同様に、調査官による調査を経て、審判を開き、裁判官から少年に対する処分が言い渡されます。
家庭裁判所送致された後は、観護措置がとられる可能性があります。
「観護措置」とは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置が取られると、通常、少年は少年鑑別所に収容されます。
観護措置の期間は、法律上は2週間、更新の必要がある場合1回に限り更新されるとありますが、実務上はほとんどの事件で更新がなされており、通常は4週間として運用されています。
虞犯少年の場合、一定の要件を満たした要保護性が高い少年であるため、家庭裁判所送致された後に、観護措置がとられる率も高くなっています。
また、処分についても、犯罪少年と同様に、家庭裁判所は少年に対して少年院送致を含めた保護処分を科すこともできるため、犯罪行為を行っていないからといって処分が軽くなるとは限りません。
そのため、虞犯少年についても、早い段階から要保護性を解消するために十分な活動を行っていく必要があります。

要保護性とは、少年審判の審理の対象のひとつとされており、少年に対する処分を考える上で重要な要素です。
要保護性は、次の3つの要素で構成されていると考えられています。
①犯罪的危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性のことです。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を取り除くことができる可能性のことです。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であることです。
これらの要素から成る要保護性が高いと判断されれば、犯罪行為は行っていなくても少年院送致といった重い処分が決定されることもあります。
ですので、要保護性の解消に向けて、少年の内省を深めたり、周囲の環境を整えることが非常に重要となります。

少年の要保護性の解消に向けた活動は、少年、保護者、学校・職場の関係者、裁判所などと協力しつつ行う必要があります。
そのような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が虞犯少年として家庭裁判所送致されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

殺意を否認する場合

2021-06-17

殺意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県羽島郡笠松町に住むAさんは、同居の親族を殺害したとして、殺人の容疑で岐阜県岐阜羽島警察署に逮捕されました。
Aさんは、「殺すつもりはなかった。包丁を向けたら相手がビビると思って向けただけ。」と殺意否認しています。
接見にやってきた弁護士にも同じように殺意はなかったと話しています。
(フィクションです。)

殺意について

殺人罪は、「人を殺した」ことで問われる罪ですが、殺人罪が成立するためには、人の死という結果をもってのみではなく、「人を殺す」という意思に基づいて殺害行為を行い、よって人を死亡させた場合でなければなりません。
つまり、殺人罪においては、殺害行為という客観的構成要件の他に、その主観的構成要件として、殺害行為を認識・予見し、かつ認容するという故意が必要となります。
罪を犯す意思である故意、殺人罪においては「殺意」が認められなければ殺人罪は成立しません。
故意について、客体の認識は、単に「人」であることの認識で足り、行為の認識は、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していればよいとされます。
故意は未必的なものでも、条件付きのものでも構いません。
確定的殺意と未必的殺意のいづれであっても殺人罪は成立しますが、その量刑には違いが出てくるため、その区別についての認定は重要な問題となります。

殺人事件において、殺意を否認するケースは少なくありません。
通常、殺意の認定に当たっては、まず①行為態様が考慮されます。
具体的には、被害者の身体のどの部位に、どの程度の創傷を、どのような凶器を使用して、どのような方法で負わせたのか、という点を明らかにして、殺意の有無を検討します。
被害者の身体のどの部位については、東部、顔面、頸部、胸部、腹部は体の枢要部であるため、それらの部位に対する攻撃は、一般的に被害者に対して死の結果をもたらすおそれのある行為として殺意を認定する上での重要な間接事実とされます。
また、傷が深ければ深いほど殺意が認定される方向に働きますし、傷の箇所が多ければ多いほど殺意が認められる方向に働きます。
凶器が刃物や拳銃などであって場合は、その人体への危険性から、人を殺害するに足りる凶器と認められますが、刃物についてはその刃体や刃渡りの長さが短い場合には、創傷の部位や程度などと併せて検討されます。
本来殺害に用いられるための凶器でない金属バットなども、創傷の部位や程度、その他の要素と併せて殺意の有無について検討されます。
①行為態様の他にも、②犯行に及ぶ動機の有無、③犯行に至る経緯の中での言動、④犯行時の言動、⑤犯行後の言動等をも考慮し、そこでみられる間接事実から、殺意を推認させるものがあるかどうかが検討されます。

以上の要素を総合的に考慮して、殺意の有無について判断されます。
そのため、殺意否認している場合には、それらの要素から殺意が認められないことを客観的証拠に基づいて立証する必要があります。
殺意が認められない場合には、殺人罪ではなく傷害致死罪が成立するにとどまります。
どちらの罪が成立するかで、有罪となった場合に科される刑罰も変わってきますので、殺意否認する場合には、早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

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盗撮事件における弁護活動

2021-06-14

盗撮事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県大垣市に住むBさんは、夫のAさんがいつも帰宅する時間になっても家に帰ってこず、携帯も繋がらないため、何かあったのではないかと心配になり、警察署に相談の電話をしました。
すると、Aさんが盗撮事件で逮捕され、岐阜県大垣警察署にいることが分かりました。
すぐにAさんと面会したいと申し出ましたが、警察からはすぐにはできないと言われ、Bさんは途方に暮れています。
(フィクションです。)

Aさんは、盗撮事件を起こし逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、いつまでたっても帰宅しないAさんに何かあったのではと心配し、警察署に相談の連絡をしたところ、Aさんが逮捕されて警察署にいることが分かりました。
しかし、Aさんの家族は、盗撮で捕まったとした聞かされておらず、すぐにAさんと面会することもできないと言われ、途方に暮れています。
このような事態において、弁護人である弁護士は、Aさんの早期釈放を目指しつつ、被害者の方への謝罪及び被害弁償、そして示談に向けた活動を行い、最終的には不起訴処分の獲得へと動きます。

1.早期釈放に向けて

盗撮事件で逮捕されたAさんは、逮捕により、職場や家庭等の社会から隔絶された状況に置かれることになります。
社会から隔絶された環境での取調べで、Aさんの動揺や不安は想像を絶するものであり、捜査機関から、認めれば罰金を支払って出られるなどといった誘導にのり自己に不利な供述をする危険性もあります。
そのような危険を回避するためにも、弁護士との接見は重要です。
接見において、弁護士はAさんから事件について確認し、どのような取調べがされているかを聞いた上で、取調べ対応についてのアドバイスを行います。
弁護人との接見は、法律家によるアドバイスを受けたり、自身の話を聞いてくれることで、Aさんを精神的に支援する重要な意味があります。

逮捕後、勾留となれば逮捕から約13日もの間Aさんの身柄が拘束されます。
勾留延長が決定すれば、最大で23日の身体拘束となります。
その間は、会社や学校に行くことができませんので、懲戒解雇や退学といった不利益が生じかねません。
そこで、弁護人は、Aさんの早期釈放に向けて身柄解放活動を行います。

性犯罪事件の中でも痴漢事件や盗撮事件の場合、被疑者が住所地に定住し、定職についており、身元引受人が確保されている場合などは、裁判所において勾留決定を出さない例も増えています。
弁護人は、検察官に対して勾留請求をしないよう要請し、仮に検察官によって勾留請求がなされたとしても、裁判官に対して、被疑者が逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれのないことの具体的事情を説明し、勾留請求を却下するよう働きかけます。
Aさんの場合、被害者とは初対面であり、Aさんから接触する可能性は低いこと、仕事に就いており、家族の監督も期待できることなどの事情があり、これらの事情から勾留の要件は充たさない旨を主張することになるでしょう。

2.被害者対応

盗撮事件のように被害者が存在する事件では、被疑者が被疑事実を認めている場合は、被害者との示談交渉が重要な弁護活動のひとつとなります。
示談とは、加害者が被害者に対して被害弁償金を支払い、これを受けて被害者が被害届の取下げを行うなど、今回の事件は当事者間では解決したとする合意のことをいいます。
親告罪と呼ばれる被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪の場合、示談が成立し告訴が取消されれば、被疑者は公判請求されずに不起訴処分となります。
盗撮は、迷惑防止条例違反に当たりますが、この罪は親告罪ではないので、示談が成立したからといって必ずしも不起訴処分となるわけではありません。
しかし、一般的に、盗撮事件においては、示談成立により不起訴となる可能性は高いため、示談交渉は弁護人としての重要な弁護活動と言えます。

このような活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件をはじめ刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が盗撮事件で逮捕されて対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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大麻の共同所持で不起訴を狙う

2021-06-10

大麻共同所持で逮捕され不起訴を狙う場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、岐阜県下呂市のマンションで交際相手のBさんと同棲していました。
ある日、岐阜県下呂警察署が自宅に訪れ、Bさんに対する大麻所持の件で家宅捜索が行われました。
部屋から大麻が見つかったため、Aさんも大麻共同所持の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、Bさんが以前外出先で大麻を使用していたことは知っていますが、大麻を家に置いていたことは知りませんでした。
Aさんの逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)

捜査機関が、薬物乱用者や薬物密売人の住居を家宅捜索し、薬物が発見した場合、そこに同居している配偶者や交際相手なども発見した薬物についての共同所持の疑いで逮捕されるケースは少なくありません。

大麻の所持について

まずは、大麻所持罪とはどのような罪であるのか、について説明します。

大麻取締法は、「大麻取扱者でなければ大麻所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。」(同法第3条1項)とし、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。」(同法第24条の2第1項)とし、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。」(同条第2項)の罰則が設けられています。

罰則の対象となる大麻の「所持」とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」のことをいい、所有権又は処分権を有していることまでも必要とされません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人に依頼されて保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など、社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が「所持」に当たるとされています。

大麻所持罪は、故意犯ですので、「大麻所持する」ことの認識・認容がなければ大麻所持罪は成立しません。
大麻」についての認識は、その物が依存性のある薬理作用をもつ有害な薬物であることを未必的にであれ認識していればよいとされています。
つまり、ある者を「これは大麻である。」と確信している場合のみならず、「これは何らかの規制薬物かもしれない。」と思っていた場合であっても、大麻であることの認識・認容はあったと判断されます。

覚せい剤の所持罪についてではありますが、所持の故意について、
「覚せい剤取締法14条にいわゆる所持とは、人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいう(昭和30年(あ)2311号同年12月21日大法廷判決、集9巻14号2946頁)というのは必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。」(最判昭31・5・25)
との判例があります。
つまり、薬物の所持とは、①その存在を認識していること、②管理し処分し得る状態にあること、が同時に満たされる場合に成り立つとされています。

生活の場を共有している夫婦やカップルの場合であっても、2人ともが薬物の存在を認識しており、かつ、2人ともが薬物を管理し処分し得る状態にあったことが認められる場合にのみ共同所持が成立するのであって、1人は薬物の存在を認識していなかった、あるいは、認識していても薬物を管理し処分し得る状態にはなかったであれば、その者については薬物の所持は成立しないことになります。
Aさんのように、大麻が自宅に置いてあったこと自体を知らなかった場合には、大麻共同所持を争い、取調官の誘導に乗り自己に不利な供述がとられないように留意しながら取調べに対応する必要があります。
そのため、取調べでどのように対応すべきかについて、弁護士から適切なアドバイスを受けることは重要です。

大麻共同所持が疑われており、犯罪事実を否定する場合には、できる限り早期に弁護士に相談し、不起訴を目指すのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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無免許運転で検挙

2021-06-07

無免許運転検挙された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさんは、岐阜県加茂郡八百津町を走行中、岐阜県加茂警察署に運転免許証に提示を求められました。
Aさんは、酒気帯び運転で免許停止となっており、その停止期間中に運転していたため、道路交通法違反(無免許運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、2度目の逮捕に驚きましたが、今度はどのような処分となるのか心配でたまりません。
(フィクションです。)

無免許運転

道路交通法は、無免許運転を禁止しています。
ここでいう「無免許運転」とは、公安委員会の運転免許を受けないで自動車又は原動機付自転車を運転することです。
自動車等を運転する者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません。
これまで一度も運転免許の交付を受けたことがない場合だけでなく、免許の効力が停止されている者も運転免許を受けていない者に含まれます。
例えば、有効期限の過ぎた免許で運転する場合、運転免許の取り消しを受けた後に運転する場合、運転免許の停止・仮停止期間中に運転する場合も、道路交通法において禁止されている無免許運転に当たります。
無免許運転の禁止義務に違反した場合、有罪となれば、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲で刑が科されることになります。

無免許運転に関しては、自動車等の運転者だけでなく、自動車等の提供、自動車等の同乗についても禁止されています。

道路交通法は、公安委員会の運転免許を受けないで自動車等を運転することとなるおそれがある者に、自動車等を提供することを禁止しています。
この違反の成立には、自動車等の提供者は、提供を受ける者が未必的(必ずしもそうではないかもしれないが、~かもしれない、と思うこと)にせよ無免許運転の禁止に違反して自動車等を運転することとなるおそれがあると認識していることが必要となります。
自動車等提供の禁止に違反した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる可能性があります。

さらに、道路交通法は、自動車等の運転者が無免許であることを知りながら、運転者に対して、自動車等を運転して自己を運送することを要求又は依頼して、当該運転者が運転する自動車等に同乗することも禁止しています。
違反した場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。

このように、無免許運転をした場合には、刑事罰が科される可能性があります。
無免許運転は、交通反則通告制度の適用対象ではないため、反則金を納付することによって、刑事処分を受けることなく処理することはできません。
無免許運転は、犯罪であり、運転者は被疑者・被告人として刑事手続に付され、事件が処理されることになります。

無免許運転が捜査機関に発覚した場合、逮捕されることがあります。
しかし、人身事故を起こしていない場合や、その場から逃亡を図ろうとせず真摯に取調べに対応している場合、家族などの身元引受が期待できる場合などであれば、勾留されず、身柄を拘束しないまま、引き続き捜査が進められるケースが多いです。
ですので、勾留が決定する前に、勾留の要件を充たしていないことを検察官や裁判官に説き、勾留とならないよう働きかけることで、勾留を回避し早期釈放となる可能性を高めることができます。

在宅事件となった場合でも、事件は終了したわけではありませんから、早い段階に釈放された場合でも、弁護士に相談・依頼し、できる限り寛大な処分となるよう情状面を考慮した弁護活動を受けることも重要でしょう。

無免許運転検挙された場合であっても、初犯である、同種の前科前歴がある、無免許運転で事故を起こした等、事案によって見込まれる処分や弁護活動内容も変わってきますので、一度交通事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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少年事件の検察官送致(逆送)決定

2021-06-03

少年事件検察官送致逆送)決定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県各務原警察署は、強盗致傷の容疑で、大学生のAくん(18歳)を逮捕しました。
Aくんには、他に同種の余罪もあり、Aくんの両親は、「被害者の怪我の程度も重く、それなりの重い処分が見込まれる。」と警察から言われています。
Aくんの両親がネットで調べたところ、検察官送致という処分となれば成人の刑事手続に付されて刑事処分が科されることを知り、A君もその可能性があるのではないかと思い、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

今年の5月21日に、事件を起こした18歳、19歳の厳罰化を図る少年法改正案が、参議院本会議で可決・成立しました。
改正少年法の内容として、18歳と19歳の少年を「特定少年」と位置づけ、家庭裁判所から検察官に逆送する事件の対象を拡大する点が注目されています。

今回は、少年事件の終局決定の一つである「検察官送致」(逆送)決定について説明します。

検察官送致(逆送)

少年事件は、原則、すべての事件が家庭裁判所に送られ、調査、審判を経て、家庭裁判所は処分を決定します。
家庭裁判所が行う処分には、中間決定と終局決定とがあります。
中間決定は、終局決定をする前の中間的な処分であり、試験観察があります。
終局決定には、次の7種類あります。
①審判不開始
②不処分
③保護観察
④児童自立支援施設・児童養護施設送致
⑤少年院送致
検察官送致
⑦都道府県知事・児童相談所長送致

一定の要件に該当する場合には、終局決定として、⑥検察官送致がなされることがあります。
その要件とは、
(1)審判時、少年が20歳以上であることが判明した場合(年齢超過)
(2)刑事処分が相当であると認められる場合
(3)故意の犯罪行為により、被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上だった場合(原則逆送)
です。

検察官送致が決定すると、少年は、成人の刑事手続に付されることになります。

(1)年齢超過
事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳を超えていることが判明した場合に、成人の刑事事件の手続に戻すために行われるものです。
少年の年齢が20歳に達するまでに審判期日が設定されるか微妙なケースでは、付添人である弁護士は、検察官に早期に事件を家庭裁判所に送致するよう求めたり、家庭裁判所に対して20歳になるまでに審判を行うよう求めるなど、年齢超過による逆送を防ぐよう関係機関に働きかけます。

(2)刑事処分相当
家庭裁判所は、死刑、懲役、禁錮にあたる罪の事件について調査をした結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分が相当であると認めるときは、事件を検察官に送致しなければなりません。

(3)原則逆送
家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であり、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、事件を検察官に送致する決定をしなければなりません。
ただし、この場合であっても、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮して、刑事処分以外の措置を相当を認めるときは、検察官送致以外の処分を決定することができます。

刑事処分相当で逆送となる可能性がある事件や、原則逆送事件においては、弁護士は、早い段階から環境調整を行い、裁判官や調査官との面談・協議を行い、刑事処分ではなく保護処分が相当であると裁判所に認められるよう働きかけます。

検察官送致決定で刑事事件の手続に付された場合でも、公判での審理の結果、少年について刑事処分ではなく保護処分が相当であるときには、事件が再び家庭裁判所に送致され、審判が開かれることがあります。

現行法では、18歳、19歳であっても、上の要件に該当しなければ、保護処分などの検察官送致以外が決定されることになっています。
保護処分であれば、少年に前科が付くことはありません。
一方、刑事処分であっても、略式手続により略式命令が言い渡される場合のように、前科は付くけれども迅速・簡易な手続で事件が処理されることにメリットがあると言えるケースもあるでしょう。
事案によって、どの処分の獲得を目指していかなる活動をするのかは異なりますので、お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、できる限り早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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育児放棄で保護責任者遺棄致死

2021-05-31

育児放棄保護責任者遺棄致死に問われるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県瑞穂市のマンションに幼児(2歳)を置去りにし、長期間家を空けた結果、幼児が飢餓と脱水で死亡した事件で、幼児の母親のAさんが岐阜県北方警察署保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕されました。
Aさんは、大まか容疑を認めており、交際相手と旅行にいくため幼児を置去りにしたまま家を1週間以上空けていたと話しています。
(フィクションです。)

育児放棄

幼い児童への殴る蹴るなどの暴行により児童を死なせてしまうという痛ましい事件が近年世間を騒がせています。
児童虐待については、児童虐待の防止等に関する法律第2条において、以下のように定義しています。

保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の物で、児童を現に監護するものをいう。)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。)について行う次に掲げる行為をいう。
1.児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
2.児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
3.児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前2号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他保護者としての監護を著しく怠ること。
4.児童に対する著しい暴言又は拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

上の3号のように、暴力等を振るわないものの子に対して必要な育児をしない育児放棄(ネグレクト)の類型も少なからず存在しており、結果として子供が亡くなってしまうケースもあります。
育児放棄の場合、必要な育児をしないという不作為が問題となり、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。

保護責任者遺棄致死罪

保護責任者遺棄致死罪は、保護責任者遺棄罪の結果、人を死亡させた場合に成立する罪です。

保護責任者遺棄罪

老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

■主体■
保護責任者遺棄罪の主体は、「保護する責任のある者」(保護責任者)です。
通説及び判例は、保護責任の根拠を、法令、契約、事務管理、習慣・条理に求めています。
法令に基づく保護責任は、親権者の監護義務、親族の扶養義務など私法上の保護義務や、警察官の保護義務など公務上の保護義務があります。
契約に基づく保護責任は、介護契約の場合などがあります。
事務管理というのは、義務なくして他人のために事務の管理を始めた場合をいうのであって、義務なく病人を引き取り同居させた場合などが事務管理に基づく保護責任を発生させます。
そして、習慣・条理に基づく保護義務は、物の道理から導かれる義務で、判例では、ホテルの一室において13歳の少女に覚せい剤を注射して錯乱状態に陥れたが、救護措置をとらずに立ち去り死亡させた事例において、保護責任者遺棄致死罪が認められています。

■客体■
保護責任者遺棄罪の客体は、「老年者、幼年者、身体障がい者又は病者」であり、扶助を要する者です。

■行為■
保護責任者遺棄罪の行為は、「遺棄又は不保護」です。
「遺棄」とは、要扶助者をより危険な場所に移転させることや、要扶助者を危険な場所に置いたまま立ち去る行為を指します。
「不保護」とは、場所的隔離を伴わずに要扶助者の生存に必要な保護をしないことをいいます。
育児放棄のケースにおいて、遺棄が認められたものに、14歳から2歳の子供4人を自宅に置いて6カ月間にわたり家出をし、その間、二度ほど自宅に戻って食事の世話をしたにすぎず、子供を重度の栄養失調症にさせるなどした事例(東京地判昭63.10.26)があります。
また、不保護とされた事例としては、身体が極度に衰弱して日常の動作が不自由となった実子を医師の専門的施療等を受けさせることなく放置した事例(最決昭38・5・30)があります。

■故意■
本罪の故意は、被遺棄者が老年者、幼年者、身体障がい者又は病者であり、扶助を要することの認識、遺棄又は不保護を行うことの認識、そして、自ら保護責任を基礎づける事実の認識が必要となります。

以上が保護責任者遺棄罪の構成要件であり、保護責任者遺棄の罪を犯した結果、人を死亡させた場合には、保護責任者遺棄致死罪が成立し、傷害罪と比較して重い刑により処断されます。
保護責任者遺棄致死の場合、傷害致死罪の法定刑(3年以上の有期懲役)と、基本犯である保護責任者遺棄罪の法定刑(3月以上5年以下の懲役)とを比較して、上限、下限とも重い方に従うことになります。
つまり、3年以上20年以下の懲役の範囲内で刑罰が決められます。
法定刑もかなり重く、有罪となれば実刑となる可能性は高いでしょう。

事案によって、殺人罪の成立が争われたり、遺棄・不保護と死の因果関係の認定が微妙なもの、事実に争いはなくとも情状を酌量すべき事情がある場合など、さまざまですので、どのように対応すべきかは刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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