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器物損壊で不起訴

2021-01-28

器物損壊不起訴獲得に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県可児市にある民家の敷地内に止めてあった車の車体を石を使って複数回傷を付けたとして、岐阜県可児警察署は、市内に住むAさんを器物損壊の疑いで逮捕しました。
Aさんが車体の側面と後方に石のような物で引っかいた後、立ち去り際に石を捨てる様子が被害者宅の防犯カメラに映っていました。
被害者は、以前から何度か車を傷付けられることがあったため、防犯カメラを設置し犯人の様子をとらえようとしていました。
被害者は、岐阜県可児警察署に被害届を提出しており、執拗な嫌がらせ行為に対して憤りを感じています。
Aさんは、自身の行為を猛省しており、被害者に対して謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
(フィクションです)

器物損壊罪

器物損壊罪は、刑法の261条で次のように規定されています。

前3条〔258条・259条・260条〕に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

◇客体◇

器物損壊罪の客体は、「前3条に規定するもののほか、他人の物」です。
つまり、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の客体以外のすべての物です。
動産だけでなく、不動産も含まれます。
また、動物も本罪の客体です。

◇行為◇

器物損壊罪の行為は、他人の物を「損壊・傷害」することです。
「損壊」というのは、物質的に物の全部、一部を害し又は物の本来の効用を失わせる行為を意味し、物理的な破壊に限りません。
例えば、他人の飲食器に放尿する行為は、当該飲食器自体を破壊して使用できなくしているわけではありませんが、通常人は放尿された飲食器を使用したいとは思わないので、行為後に飲食器として使用することができないため、飲食器の物の効用を害したと言え、当該行為が「損壊」に当たると理解されます。
「傷害」とは、動物に対する損壊のことで、動物を殺傷したり、逃がしたりすることです。

◇故意◇

器物損壊罪は故意犯ですので、不注意で(過失により)傷付けてしまった場合には本罪は成立しません。
しかし、客体が他人の所有に属するものであること、そして当該行為により客体を物理的に毀損し又は客体の効用を害することを認識していた場合には、故意が認められ器物損壊罪は成立します。

器物損壊事件で不起訴獲得に向けた活動

器物損壊事件において、容疑を認めている場合、不起訴となるためには、何よりもまず被害者との間で示談を成立させることが重要です。
なぜならば、器物損壊罪は親告罪といって、被害者などの告訴権者による告訴がなければ検察官は公訴を提起することができない罪であるからです。
告訴というのは、被害者などの告訴権を持つ者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めることをいいます。
つまり、器物損壊事件においては、示談成立に加えて告訴取消し(若しくは告訴しない約束)までしてもらえば、確実に不起訴で事件を終了することができます。
そのため、器物損壊事件で不起訴を目指す際には被害者との示談交渉が必要不可欠なのですが、示談交渉を当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
当事者同士では、感情的になり交渉が難航する傾向があり、当事者間で示談をまとめることは容易ではないからです。
また、そもそも被害者の連絡先を被疑者本人やその関係者が入手することは簡単ではなく、被害者が直接被疑者に連絡先を教えたがらないケースは少なくありません。
その点、弁護士であれば、弁護士限りでの話し合いという形で捜査機関を通じて被害者に示談交渉を申し入れますので、交渉に応じてくれる被害者も多く、示談交渉も冷静に行うことができます。
弁護士は、示談が成立した場合には、成立の証拠となる示談書等を作成し、後に検察官に提出します。

執拗な嫌がらせを受けた被害者は、加害者に嫌悪感や恐怖感を抱いていることが多く、加害者と直接連絡をとりたがらないことや、連絡をとっても当事者間で感情的になり交渉がなかなかうまくすすまないことが少なくありません。
また、加害者本人も自ら被害者と話合うことに躊躇い、弁護士を介して交渉を行うことにメリットを感じられる方も多くいらっしゃいます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

盗撮の在宅事件

2021-01-21

盗撮在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県大垣市に住む大学生のAくん(20歳)は、市内の商業施設内で女子高生のスカート内に所持していたスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、目撃者によって身柄を確保されました。
その後、通報を受けて駆け付けた岐阜県大垣警察署の警察官に警察署に連れていかれ、取調べを受けました。
その日の夜にAさんは釈放されましたが、Aさんは今後どのように対応すればよいのか分からず不安です。
翌日、AさんとAさんの両親は、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

在宅事件というのは、身柄が拘束されずに捜査が進められる事件のことです。
盗撮事件では、初犯であり、常習の疑いがなく、被害者と面識もなく、家族などの監督が期待できる場合には、逮捕されたとしても、逮捕から48時間以内に釈放となるケースは少なくありません。
釈放されたことで安心し、事件が解決したものと誤解される方もいらっしゃいますが、事件自体は釈放後も捜査が続きますので、警察や検察からの呼び出しに応じる必要があります。

事件の流れとしては、事件発覚後に捜査機関による捜査が開始され、被疑者は取調べを受けることになります。
捜査段階における最終的な処分は、警察ではなく検察官が決定します。
つまり、事件についての捜査を遂げると、検察官は起訴するか否かを決めるのです。
検察官が起訴し有罪となれば、法定刑の範囲内で刑が科されることになります。
その際、刑の執行を一定期間猶予し、その期間何事もなければ刑罰権の消滅を認める執行猶予という制度もありますので、有罪判決=実刑判決とは限りません。
一方、検察官が起訴しないとする決定(不起訴処分)をした場合には、その決定をもって事件が終了することになります。
この場合、有罪とはなりませんので、前科が付くことはありません。
不起訴処分にはその理由によって種類がありますが、容疑を認めている場合には、起訴猶予となるよう、被害者対応をはじめとして様々な活動を行う必要があります。
起訴猶予というのは、被疑事実が明白な場合において、犯罪を立証するだけの十分な証拠はあるものの、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、訴追を必要としない場合の不起訴処分のことです。
被疑者の改悛や被害者との示談成立・宥恕獲得は、犯罪後の情況として起訴・不起訴の判断において考慮されます。

被害者との示談交渉

先にも述べたように、検察官が起訴・不起訴の判断をする際に、被害者との示談が成立しているか否かという点が犯罪後の情況として考慮されます。
被害者との示談が成立しているからといって、親告罪は別として、検察官は必ず不起訴にしなければならないというわけではありません。
しかし、被害者からの許しが得られているにもかかわらず、あえて起訴するという場合は、比較的重大な犯罪に当たる場合や犯罪態様が悪質である場合などであり、盗撮事件では、同種の前科前歴がある場合や常習性が認められる場合などが考えられますが、基本的には盗撮事件で被害者との間で示談が成立している場合には不起訴となることが多いです。

そのため、盗撮事件における最も重要な弁護活動のひとつが被害者との示談交渉となります。
示談交渉は、通常、弁護士を介して行います。
罪証隠滅を防ぐため、捜査機関は被疑者やその家族に対して被害者の連絡先を直接教えることは稀です。
また、被害者は被疑者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、被疑者に自身の連絡先を教えたがらない傾向があり、被疑者やその家族が直接被害者と連絡をとることは容易ではありません。
他方、弁護士限りということであれば、捜査機関を通して被害者の連絡先を入手できる場合も多く、弁護士を介した交渉は、感情論的にならず冷静な話し合いを持つことができます。
また、弁護士は、できる限り両当事者が納得のいく内容となるよう交渉を行い、合意内容を証明する示談書を作成します。
示談書は、示談金額、告訴・被害届の取下げ、民事上の損害賠償に関する事項、被疑者・被告人の誓約事項などについて定めており、後日当事者間での争いが生じることのないようきちんとつめた内容にする必要があるため、示談書の作成は、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
盗撮事件を起こし対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

少年事件の身体拘束

2021-01-14

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県関市の公園で、遊びに来ていた女子児童に対してわいせつな行為をしたとして、岐阜県関警察署は、市内に住む中学生のAくん(14歳)を強制わいせつの容疑で逮捕しました。
Aくんの両親は、警察官にAくんとの面会を要望しましたが、「すぐに会うことはできない。」と言われ困っています。
今後、Aくんの身体拘束がどのくらい続くのか不安でならないAくんの両親は、ネットで少年事件に詳しい弁護士を探し、相談の電話をしました。
(フィクションです)

少年事件での身体拘束

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合にも、逮捕や勾留といった身体拘束を強いられることはあるのでしょうか。

少年であっても、要件を満たしていれば身柄が拘束されることがあります。
以下、捜査段階と家庭裁判所送致後との2段階に分けて、少年の身柄が拘束される場合について説明します。

1.捜査段階

捜査段階での被疑者の身柄を確保するための強制処分は、「逮捕」および「勾留」です。
「逮捕」というのは、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける処分のことです。
逮捕には、「通常逮捕」、「緊急逮捕」、そして「現行犯逮捕」とがあります。
上の事例でなされた「通常逮捕」とは、裁判官からあらかじめ逮捕状の発布を受けて行われるものです。
通常逮捕が認められるには、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」がなければなりません。
「逮捕の理由」とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があることです。
「逮捕の必要性」とは、被疑者の逃亡や罪証隠滅のおそれがあることで、逮捕状の請求を受けた裁判官が逮捕の必要性について判断します。

以上の要件を満たすと裁判官が判断した場合には、逮捕状が発布され、警察は逮捕状に基づいて被疑者を逮捕します。

次に、捜査段階での身体拘束を伴う強制処分である「勾留」について説明します。
「勾留」とは、逮捕後引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに被疑者の身柄を拘束するものです。
警察は、被疑者を逮捕したときから48時間以内に、書類や証拠物とともに被疑者を検察官に送致しなければならず、検察官に送致しない場合には、被疑者を釈放しなければなりません。
警察から事件の送致を受けた場合、検察官は24時間以内に、公訴を提起するか、裁判官に勾留請求しなければならず、そうでなければ被疑者の身柄を解放しなければなりません。
検察官が勾留を請求すると、裁判官は被疑者と面談をし、検察官から送られてきた記録を検討した上で、勾留の要件を満たしているか否かを判断します。
裁判官は、まず「勾留の理由」があるか否かを検討します。
「勾留の理由」とは、①被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」がある場合で、かつ、②住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、いづれか少なくとも1つに該当することです。
裁判官は、「勾留の理由」があると判断する場合であっても、被疑者を勾留することによる利益とそれによって被疑者が被る不利益を比較衡量し、勾留の必要性(相当性)があるか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。

少年の場合には、勾留に代えて「勾留に代わる観護措置」がとられることがあります。
「勾留に代わる観護措置」は、検察官の請求により、裁判官がとることができるものであり、収容場所は少年鑑別所で、収容期間も10日間であり、「勾留」のように延長は認められません。
ただ、捜査段階で「勾留に代わる観護措置」がとられていた少年が家庭裁判所に送致された場合には、自動的に「観護措置」がとられたものとして扱われ、基本的には引き続き少年鑑別所での収容が続くことになります。

2.家庭裁判所送致後

事件が捜査機関(警察または検察官)から家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の身柄を保全し、調査や鑑別などを行いながら少年を保護するための措置のことです。
通常、「観護措置」という場合、少年鑑別所に収容する観護措置のことを指します。
少年法には、「審判を行うため必要があるとき」に観護措置をとることができると書かれていますが、実務上では以下の要件が必要であるとされています。
①事件の係属
②審判条件の具備
③審判に付すべき事由についての嫌疑の存在
④審判を行う蓋然性
⑤観護措置の必要性

⑤観護措置の必要性については、観護措置の目的である、(a)審判・調査の出頭確保のための身柄拘束の必要性、(b)少年の保護、(c)少年鑑別所における心身鑑別の必要性に対応して諸要件が設けられています。

観護措置の期間は、最長で2週間とされていますが、特に継続の必要がある場合には1回に限り更新できるとされています。
実務上、少年鑑別所の鑑別結果が出るのに時間を要することから、基本的に期間は更新され、通常4週間とされています。

以上のように、少年であっても、身柄が拘束される可能性はあり、身体拘束の期間が1~2か月となる場合もあります。
そのような長期間の身体拘束となれば、その間学校や職場に行くことはできませんので、退学や解雇といった事態が生じる可能性もあります。
そのような事態は、少年の居場所を失わせることになり、かえって少年の更生に支障をきたすことにもなりかねません。

お子様が事件を起こし身柄を拘束されてお困りであれば、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

準強制わいせつ事件で逮捕

2021-01-07

準強制わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県海津市の整体院で、施術と偽り客の女性にわいせつな行為をしたとして、岐阜県海津警察署は整体師のAさんを準強制わいせつの容疑で逮捕しました。
客の女性が、警察に「施術中にわいせつな行為をされた」と相談したことで事件が発覚しました。
この女性以外にもAさんによるわいせつ被害を警察に相談している客がおり、警察はさらに捜査を進める方針です。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に事件について相談の電話を入れました。
(フィクションです)

準強制わいせつ罪

準強制わいせつ罪は、
①(a)人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または、
 (b)心身を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて
②わいせつな行為をする
ことを内容とする犯罪です。

暴行または脅迫を手段として用い、わいせつな行為をする場合には、「強制わいせつ罪」が成立しますが、「準強制わいせつ罪」は、暴行・脅迫の手段を用いずに、被害者の抵抗困難な状態を利用して、わいせつな行為を行う場合を処罰するものです。

①(a)人の心身喪失・抗拒不能に乗じ
「心神喪失」とは、精神的または生理的な障害により、正常な判断ができない状態にあることをいいます。
例えば、睡眠や酩酊状態や、高度の精神病または精神遅滞により被害者が行為の意味を理解できない場合が「心神喪失」に当たります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に抵抗することが不可能または著しく困難な状態にあることを意味します。
物理的に抵抗することができない場合というのは、例えば、手足を縛られている場合であり、心理的に抵抗不可能な場合とは、錯誤や畏怖状態に陥っている場合などです。
強制わいせつ罪における心神喪失・抗拒不能は、どの程度のものである必要があるのかという点については、完全に不可能であることまでは必要とされず、犯行が著しく困難であれば足りるとされています。
心神喪失・抗拒不能に「乗じて」とは、犯人の行為と関係なく存在する抵抗不能な状態を利用する場合のことです。

②(b)心身を喪失させ、抗拒不能にさせて
犯人が、暴行・脅迫以外の手段を用いて、被害者の抵抗不能な状態を惹起する場合を指します。
例えば、被害者に睡眠薬を飲ませて、眠り込ませたところをわいせつな行為に及ぶ場合です。

準強制わいせつ罪の成立には、故意がなければなりません。
準強制わいせつ罪における故意として、犯人において、被害者が心神喪失・抗拒不能の状態であることを認識する必要があります。

準強制わいせつで逮捕されたら

準強制わいせつ事件で逮捕された場合、その後勾留となる可能性があります。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を拘禁する裁判およびその執行のことをいいます。
検察官からの請求を受けて、裁判官が勾留について判断します。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
今回は、被疑者勾留について説明します。

裁判官は、勾留の要件を満たしているかどうかを検討し、勾留の有無を決定します。
勾留の要件には、①勾留の理由、そして、②勾留の必要性の2つがあります。

①勾留の理由
勾留の理由とは、被疑者・被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、(1)定まった住居を有しない、(2)罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある、または、(3)逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき、いずれかに該当することです。
被害者との関係如何では、釈放すれば被害者と接触し供述を変えるよう迫る可能背があると、(2)に該当すると判断されることがあります。

②勾留の必要性
勾留の必要性とは、勾留の相当性とも言われるもので、勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することによって得られる利益と、勾留により被る被疑者の不利益とを比較衡量し、それでも被疑者を勾留する必要があることです。

これらの要件を満たすと判断されれば、勾留の決定がなされ、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長となれば最大で20日間の身体拘束を余儀なくされるのです。
身体拘束が長期化すればするほど、その期間職場や学校に行くことができなくなりますので、事件が周囲に発覚し、最悪の場合には懲戒解雇や退学となる可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に取り掛かるのがよいでしょう。

そして、準強制わいせつ事件では、被害者に対する対応も、最終的な処分や身柄解放にも大きく影響することになります。
被害者との間で示談が成立している場合には、不起訴で事件が終了したり、起訴された場合であっても被告人に有利な事情として考慮され執行猶予となる可能性を高めることができるでしょう。
そのため、示談交渉を含めた被害者への対応についても、早い段階から行うことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が準強制わいせつ事件で逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

他人のカード情報を盗みネットで買い物

2020-12-31

他人カード情報盗みネット買い物した場合に問われ得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
衣料品店で販売のアルバイトをしていたAさん(18歳)が、岐阜県北警察署に電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されました。
Aさんは、アルバイト先で客が使用したクレジットカード情報を売上票から入手し、ネットで新幹線のチケットやホテルの宿泊代を支払う際に入手したクレジットカード情報を使用していました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

電子計算機使用詐欺罪とは

他人のクレジットカード情報を不正に入手し、その情報を使ってオンラインショップなどで商品を購入した場合、パソコンに入力したクレジットカード情報の持ち主になりすまして商品を購入しているので、騙して物を入手したと言えます。
一見すると、刑法246条の詐欺罪に当たるように思われますが、詐欺罪の対象となるのは「人」を欺く行為であるため、コンピュータに対する詐欺的行為を行った場合、詐欺罪には当たりません。
しかし、刑法246条の2が昭和62年に新設され、コンピュータに対する詐欺的行為の処罰が可能となりました。

第246条の2 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

◇客体◇

電子計算機使用詐欺罪の客体は、「財産上の利益」です。
「財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益の一切をいいます。
債権や担保権の取得、労役・サービスを提供させること等の他、債務免除や支払猶予を得ること等を含みます。
上の事例では、新幹線やホテルの利用権が財産上の利益となります。

◇行為◇

電子計算機使用詐欺罪の行為は、以下の2つです。

①「虚偽の情報若しくは不正の指令」による「不実の電磁的記録」の作出
246条の2前段は、「人が事務処理に使用する電子計算機」に「虚偽の情報若しくは不正の指令を与えて」、「不実の電磁的記録」を作る行為について規定しています。

(a)「人の事務処理に使用する電子計算機」
他人がその事務を処理するために使用する電子計算機(=コンピュータ)のことです。

(b)「虚偽」
電子計算機を使用する当該事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反するものを意味します。

(c)「虚偽の情報を与える」
「虚偽の情報若しくは不正な指令を与え」るというのは、当該事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反する情報を入力させることをいいます。

(d)「不正な指令を与える」
「不正な指令を与え」るとは、その電子計算機の使用過程において本来与えられるべきでない指令を与えることをいいます。

(e)「財産権の得喪若しくは変更に係る電磁的記録」
財産権の得喪・変更があったという事実や財産権の得喪・変更を生じさせるべき事実を記録した電磁的記録のことで、取引の場においてそれが作出されることによって、その財産権の得喪・変更が行われるものを指します。

(f)「不実の電磁的記録を作る」
「不実の電磁的記録を作」るとは、人の事務処理の用に供されている電磁的記録に虚偽のデータを入力して真実に反する内容の電磁的記録を作出することをいいます。
判例は、不正に入手したクレジットカードの名義人氏名等を冒用して、これらをクレジットカード決済代行業者の使用する電子計算機に入力送信して電子マネーの利用権を取得した行為について、「被告人は、本件クレジットカードの名義人による電子マネーの購入の申し込みがないにもかかわらず、本件電子計算機に同カードに係る番号等を入力送信して名義人本人が電子マネーの購入を申し込んだとする虚偽の情報を与え、名義人本人がこれを購入したとする財産権の得喪に係る不実の電磁的記録を作り、電子マネーの利用権を取得して財産上不法の利益を得たものというべきである」として、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めました。(最決平18・2・14)

②「虚偽の電磁的記録」の供用
246条の2後段は、「虚偽の電磁的記録」を供用する行為を規定しています。

(a)「供用」
「虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供」するとは、行為者が所持する内容虚偽である電磁的記録を、他人の事務処理用の電子計算機に差し入れて使用することをいいます。

上記事例の場合、Aさんは客が使用したクレジットカード情報を入手しています。
Aさんは、オンラインショップなどで新幹線のチケットやホテルの予約をする際、不正に入手したクレジットカードの名義人であるかのように装い、そのクレジットカード情報を入力し、新幹線のチケットやホテル代金をクレジットカードの名義人が支払ったかのような不実の電磁的記録を作り出し、Aさんは新幹線やホテルの利用権を取得しているため、電子計算機使用詐欺罪が成立するものと考えられます。

電子計算機使用詐欺罪は、法定刑が10年以下の懲役となっており、刑法犯の中でも重い罪となります。
被疑者が少年の場合、犯した罪の軽重のみが最終的な処分に影響を及ぼすのではなく、少年の要保護性、つまり、少年の資質や環境等に照らして、当該少年が再び非行をする危険性があるかという点も大きく影響します。
ですので、お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、すぐに少年事件に強い弁護士にご相談だくさい。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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強制わいせつ事件で執行猶予

2020-12-24

強制わいせつ事件での執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
昨年の夏、夜中に岐阜県中津川市を歩いていた女性を背後から襲い、無理やり女性の服の中に手を入れ胸を鷲掴みにするという事件が起こりました。
岐阜県中津川警察署は、被害女性からの申告を受け、強制わいせつ事件として捜査を開始しました。
その後、同警察署は、市内に住むAさんを強制わいせつ事件の被疑者として逮捕しました。
警察署は、Aさんが他にも同様の手口で女性に暴行を加えた疑いがあるとみています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、すぐに弁護士に接見を依頼しました。
弁護士から被疑事実を聞いたAさんの両親は、ショックを隠せませんが、Aさんが刑務所に入ることになるのか心配でなりません。
(フィクションです)

執行猶予について

検察官が、裁判所に対して、特定の犯罪事実について特定の被告人に対する実体的審理及び有罪の判決を求める意思表示(「公判請求」といいます。)をすると、裁判所は、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことが間違いがないと判断できるかどうかを、裁判所に提出された証拠に基づいて審理します。
裁判官は、有罪あるいは無罪のどちらかを選択します。
裁判官が、「被告人が起訴状にある罪を犯したかもしれないが、そうじゃないかもしれない。」と、白とも黒とも言い切れない場合には、無罪を言い渡します。
他方、証拠から、被告人が起訴状記載の罪を犯したことが、合理的な疑いを超えて証明されたと判断する場合には、裁判官は被告人を有罪とし、どのような刑にするかを決めます。

刑罰には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収があります。
上の事例において、Aさんが問われている強制わいせつ罪の法定刑は、「6月以上10年以下の懲役」となっており、強制わいせつ罪で有罪となれば、この範囲内(6月~10年)の懲役刑が科されることになります。
ただし、強制わいせつ罪で有罪判決を受けた全ての場合について、実際に刑務所に入るわけではありません。

刑の言い渡しを受けた場合であっても、刑を言い渡すにあたって、犯情により一定期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度があります。
これを「刑の執行猶予」といい、刑の全部の執行猶予と刑の一部執行猶予とがあります。
ここでは、刑の全部の執行猶予について解説します。

刑の全部の執行猶予は、すべての有罪判決に付くわけではありません。
次の要件を充たす場合のみ適用することができます。

刑法25条1項は、
①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者、あるいは、②前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終えた日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者、であって、
3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しを受けたとき、
情状により、
裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間で、
その刑の全部を猶予することができる。
と規定しています。

つまり、裁判官が、執行猶予とするには、
①(a)これまでに禁錮以上の刑に処せられたことがないこと、または、
 (b)これまで禁錮以上の刑に処せられたことがあるが、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる情状があること。
を充たしている場合に限られます。
これらは、初度の場合であり、再度の場合については、
①前に禁錮以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
②1年以下の懲役・禁錮の言い渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
が要件となります。
再度の場合は、初度の場合に比べ、厳しい要件が設けられています。

上の事例について考えてみたとき、仮にAさんが初犯であったのであれば、刑の全部の執行猶予(初度の場合)の1つ目の要件を充たしていることになります。
また、強制わいせつ罪で有罪となった場合には、裁判官は、6月以上10年以下の範囲での懲役刑を科すことになりますので、6月~3年の範囲で懲役刑を言い渡すことも可能ですので、上の2つ目の要件も充たす可能性はあります。
最後の「執行猶予を相当とするにたりる情状」ですが、強制わいせつ事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが大きなポイントとなるでしょう。
その他、家族の監督や専門的治療を受けるなど再犯防止策がしっかりと講じられている等も、被告人に有利な事情として考慮されるでしょう。

このように、執行猶予を獲得するためには、被害者との示談交渉をはじめ、早期に対応すべき事柄も多く、専門的知識や経験が必要となります。
そのため、これらの活動は、早い段階から刑事事件に精通する弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が強制わいせつで逮捕され対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

強姦事件で時効成立直前の逮捕

2020-12-17

時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
平成17年9月1日の午前0時過ぎに、岐阜県多治見市の駅から帰宅していた女性が、何者かに背後から襲われ性的暴行が加えられるという事件が起きました。
被害女性は、事件後すぐに警察に通報し、岐阜県多治見警察署強姦致傷事件として捜査を開始しました。
令和2年、別件で被疑者として取調べを受けていたAさんのDNAが、強姦事件で採取されたDNAと一致したことから、時効成立直前の令和2年8月1日に岐阜県多治見警察署は、Aさんを強姦致傷の容疑で逮捕しました。
取調べに対して、Aさんは「覚えていない。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、事件の詳細について分からず困っており、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

刑事手続における時効とは

「公訴」とは、公の立場でなされる刑事手続上の訴え(刑事訴追)のことです。
刑事訴訟法は、国家機関である検察官のみが公訴を提起することとしており、私人による起訴を認めていません。
公訴の提起は、検察官が裁判所に対して特定の刑事事件について審判を求める意思表示を内容とした訴訟行為です。
検察官は、起訴状を裁判所に提出することで、公訴を提起します。
検察官による公訴の提起がなければ、裁判所は事件の審理をすることができません。
そして、この公訴を提起する権限には時間的制約があり、犯罪が終ってから一定期間が経過すると、公訴の提起をすることができません。
この制度を「公訴時効」といいます。
公訴時効が設けられた理由については、時間の経過により刑罰を加える必要性が減少・消滅したことや、証拠の散逸による誤判の危険を防止することにあると言われています。

公訴時効について、平成22年の法改正により、殺人等の凶悪・重大犯罪の公訴時効について、人を死亡させた罪のうち、死刑に当たるものについては、時の経過により一律に公訴権を消滅させることは適当でないとして、公訴時効の対象から除外しました。

刑事訴訟法第250条 
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年

上の事例において、Aさんは強姦致傷の罪に問われています。
強姦致傷罪は、平成29年の法改正により、現行法では強制性交等致傷罪に当たりますが、犯行時は法改正前であったため、犯行時に規定されていた強姦致傷罪が適用されます。
強姦致傷罪の法定刑は、無期又は5年以上の懲役です。
平成22年の法改正で変更があったのは、人を死亡させた罪についてであり、強姦致傷罪については改正前と変わりなく、公訴時効は15年です。
Aさんが強姦致傷事件を起こしたとされるのは、平成17年9月1日午前0時過ぎです。
時効は、犯罪行為が終った時から進行するため、平成17年9月1日から15年後の令和2年9月1日に成立することになります。

事例のように、犯行時から相当の時間が経過してから突然逮捕されるケースは少なくありません。
強姦致傷罪は、有罪となれば、無期又は5年以上の懲役の範囲で刑罰が科されることになりますので、決して軽い罪とは言えません。

ご家族が強姦致傷事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門弁護士が、豊富な専門知識と経験を活かした刑事弁護を行います。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件における被害者対応

2020-12-10

少年事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市に住む高校生のAくんは、電車内で痴漢をしたとして、岐阜県岐阜中警察署の警察官に逮捕されました。
岐阜県岐阜中警察署は、以前から被害者から車内での痴漢に関する相談を受けており、犯行時、被害者の近くに私服警官が待機しており、Aくんの犯行が発覚しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、大変驚きショックを受けています。
今後の流れや見込まれる処分、そして、被害者にもどのように対応すべきか分からず、少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

少年事件の特徴

20歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行った場合、あるいは、犯罪は成立しないものの将来犯罪行為を行う可能性が高いと考えられる場合には、刑事事件に関する手続を定めた刑事訴訟法の他に、少年法に基づく手続に付されます。
少年法は、その第1条において、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と定めており、少年法の目的が少年の健全育成にあること、つまり、少年が行った過去の犯罪に対する応報として少年を処罰するものではなく、将来再び犯罪または非行を行うことがないよう、少年を改善教育することを目的としていることが読み取れます。

そのため、少年事件では、弁護士は、非行事実の認定等が適切に行われるように活動することだけでなく、少年の更生のために様々な環境調整活動を行うことが期待されています。

少年事件では、犯罪の嫌疑がある全ての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
これを「全件送致主義」と呼びます。
捜査機関は、事件を把握すると、捜査を開始します。
捜査機関は、捜査を終えると、事件をどのようの処理するかを決めますが、少年事件の場合、捜査機関が捜査を遂げた結果、少年が罪を犯したと疑われる場合には、全ての事件を家庭裁判所に送致します。
これは、少年事件においては、科学的な調査機構を持つ家庭裁判所が専門的に少年の処遇を選択することが相当であると考えられているからです。
そのため、成人の刑事事件における起訴猶予に相当するような処分はありません。
また、犯罪の嫌疑がない場合であっても、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがある場合には、ぐ犯事件として家庭裁判所に送致されることがあります。

このように、少年事件では、原則、全ての事件が家庭裁判所に送致され、保護事件として処理されます。
家庭裁判所は、事件を受理すると、調査官による調査を行った上で、審判を開始するか否かを判断し、開始の決定を下した場合には、審判で非行事実及び要保護性が審理され、最終的な処分を決めます。

少年事件における被害者対応

審判では、非行事実、並びに要保護性が審理の対象となります。
非行事実とは、審判において審理の対象となる事実のことをいい、成人の刑事事件でいう公訴事実と同様の意味をもちます。
そして、要保護性は、一般的には、少年が再び非行に陥る危険性があり、保護処分により再非行が防止できることと理解されます。
具体的には、次の3つの要素から構成されます。
①犯罪的危険性:少年が、その性格、環境等から、将来、非行を繰り返す可能性があること。
②矯正可能性:保護処分によって、少年の犯罪的危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性:少年の処遇にとって、保護処分が有効かつ適切な手段であること。

この要保護性は、どのような保護処分をするかを決める上でも重要な要素となります。
非行事実が比較的軽微なものであっても、要保護性が高い場合には、少年院送致といった厳しい処分となる可能性があります。
逆に言えば、重い犯罪が成立する場合であっても、要保護性が解消されたと判断されれば、保護観察処分が言い渡されることもあるのです。
そのため、付添人である弁護士は、要保護性の解消に向けた活動を行います。

要保護性の解消という意味で、少年事件における被害者対応は重要です。
少年事件においては、成人の刑事事件において被害者との示談が成立したことをもって刑事責任の減少に直結するのとは異なり、示談成立が直ちに少年の要保護性を減少させることにはなりません。
ただ、少年事件では、少年や保護者が被害者の感情を理解した上で、被害の回復に向けて精一杯努力していく中で、少年が事件と向き合い、再び犯罪又は非行に陥ることのないよう考え行動していくことが、少年の更生に資するものとなり、要保護性の解消につながるものであると考えられます。
また、被害者への配慮が重視される今日では、裁判官も被害弁償の有無や経緯には関心を持っています。
このため、少年事件においても被害者対応は重要ですが、処分を軽くしたいから被害弁償をすることに意味がないことに留意しなければなりません。
単に被害弁償がされただけでは、必ずしも要保護性が減少することにはならないからです。
少年が被害者の気持ちを理解し、心から反省することができて初めて、要保護性を減少させる事情として審判において裁判官に評価されます。
そのため、弁護士には、少年が目先だけの処分にのみとらわれることがないよう、自分が行ったことにしっかりと向き合い、心から反省と謝罪の気持ちを持てるよう少年に働きかけることが期待されます。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

盗撮事件で勾留阻止

2020-12-03

盗撮事件で勾留阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大学生のAくん(21歳)は、バス内で女性のスカート内を盗撮したとして、盗撮行為に気付いた乗客に取り押さえられ、岐阜県岐阜市内のバス停で降ろされました。
その後、Aくんは、岐阜県岐阜北警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aくんは、容疑を認めていますが、被害者との面識はないとのことです。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、逮捕の知らせに大変驚きました。
Aくんの家族は、Aくんがいつ頃帰宅できるのか警察官に聞いたところ、しばらくは帰れないかもしれないと言われ心配でたまりません。
(フィクションです)

盗撮事件で逮捕されたら

Aくんは、バス内で女性のスカート内を盗撮したとして、岐阜県の迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。

Aくんは、逮捕後、警察署において取調官からの取り調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、Aくんは釈放される、あるいは、検察庁に証拠や関係書類と共に送られます(これを「送致」といいます。)
盗撮事件の場合、被疑者が容疑を認めており、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと思われるときには、逮捕から48時間以内に被疑者を釈放し、身柄を拘束しないまま捜査を進めることも少なくありません。
しかし、容疑を否認していたり、被疑者との接触のおそれがあると思われる場合や、他にも余罪がある場合など、被疑者の身柄を拘束したまま捜査をする必要があると判断されれば、検察庁に送致されることになります。

検察庁に送致されたAくんは、担当検察官から取調べを受けます。
担当検察官は、送られてきた証拠等やAくんの供述を聞いた上で、裁判官に勾留請求を行うか決めます。
勾留」というのは、逮捕に引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに、被疑者の身柄を拘束する裁判およびその執行のことです。
勾留は、検察官からの請求を受けて、裁判官が判断します。
検察官が勾留請求をした場合、Aくんは、裁判所に移動し、今度は裁判官と面談をします。
裁判官は、証拠等やAくんとの面談内容を踏まえて、勾留の判断を行います。
勾留の期間は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間です。
検察官は、勾留期間を延長する必要があると判断する場合には、裁判官に勾留延長の請求を行うことができ、請求を受けて裁判官は勾留延長について判断します。
勾留延長が認められれば、最初の勾留請求の日から最大で20日もの間、被疑者の身柄が拘束されることになります。

身柄事件では、検察官は、勾留期間内に起訴・不起訴の判断をしなければなりません。
不起訴となれば、即日釈放となります。
起訴された場合であっても、略式起訴であれば、公開法廷での審理を行うことなく書類のみでの審理され、簡易裁判所からの略式命令を受け、罰金を納付した上で、釈放となります。
盗撮事件であれば、被害者との示談が成立している場合には不起訴となる可能性は高いでしょう。
また、被害者との示談が成立することができなかった場合や、被害者が特定されず盗撮目的での設置や差し入れ行為について罪が問われている場合などは、略式起訴されることが多くなっています。
しかし、同種の再犯、犯行態様が悪質など、不起訴や略式起訴とするには適さない場合には、検察官は公判請求を行い、公開の法廷での審理を経て判決が言い渡されることもあります。

勾留阻止に向けた活動

先に述べたように、勾留となると、身体拘束の期間が長期化しますので、その間、被疑者は会社や学校に行くことができません。
数日であれば体調不良で説明がつきますが、10日以上ともなると周囲も不審に思い、事件について報告しなければならない状況に陥ってしまうでしょう。
周囲に事件のことが発覚すれば、最悪の場合、懲戒解雇や退学となる可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、盗撮事件で逮捕された場合には、すぐに身柄解放活動に着手し、勾留阻止することが重要です。

被疑者の身体を長期間拘束する強制処分である勾留は、一定の要件を充たした場合にのみ認められるものです。
そのため、その要件を充たしていないことを客観的証拠に基づいて主張し、検察官に勾留請求をしないよう、裁判官に勾留しないよう働きかけます。
勾留後であっても、裁判官の勾留決定に対して不服を申し立てる準抗告という手続きをとることができますので、勾留となった場合には、早期釈放に向けて直ちに準抗告を行います。

身柄事件には時間的制約もあり、早ければ逮捕の翌日には勾留が決まってしまうこともあります。
ですので、身柄解放活動は迅速かつ適切に行う必要があり、身柄解放活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

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美人局で恐喝事件

2020-11-26

美人局恐喝となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
インターネットの出会い系サイトで知り合った男性とホテルへ行き、「無理やり連れてこられた。家族にばらす。」などと因縁をつけ、示談金名目で男性から20万円を脅し取ったとして、岐阜県養老警察署は、AさんとBさんを恐喝の容疑で逮捕しました。
2人とも容疑を認めており、警察は余罪についても調べています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

美人局と恐喝罪

インターネットの出会い系サイトで知り合った相手とデートをしていたところ、相手の夫・交際相手、はたまた兄弟と名乗る男性に脅され、示談金や和解金といった名目で高額な金銭を支払う羽目になった…。
このようなケースの多くが、デートの相手と脅した人物ははじめからグルで、デートにつられてやってきた者から金銭を脅し取ることを目的としており、これを一般的に「美人局」と呼びます。
美人局は、刑法犯の恐喝罪に当たる可能性があります。

恐喝罪とは

恐喝罪は、刑法249条に次のように規定されています。

第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪の構成要件は、
1項 ①人を恐喝して
   ②財物を交付させたこと。
2項 ①人を恐喝して
   ②財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させたこと。
です。

◇客体◇
恐喝罪の客体は、他人の占有する他人の財物です。

◇行為◇
恐喝罪の実行行為は、人を恐喝して財物を交付させること、または、人を恐喝して財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させたこと、です。

恐喝」とは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付(又は、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させる)を要求することをいいます。
ここでいう「脅迫」とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことで、「暴行」とは、人に対する不法な有形力の行使を意味します。

「交付させる」とは、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の処分行為に基づく交付によって、財物の占有を取得することです。
恐喝行為と財物の交付との間には、因果関係が必要となります。

Aさんらは、相手方に対して、ホテルに連れてこられたことを相手方の家族に知らせる旨を述べており、これにより相手方は、知らされては困ると不安になり、要求されるままに示談金という名の下に金を支払ったのであるから、恐喝罪に当たると考えられます。

恐喝事件における弁護活動

恐喝事件のように被害者が存在する事件では、被害者との示談交渉が重要な弁護活動の1つとなります。
美人局のような恐喝事件では、被害者が事件についてバレたくないと思い、警察に被害を申告しないケースも少なくありません。
しかし、被害を申告した被害者は、加害者に対して厳しい処罰感情を抱いていることが多く、当事者間での示談交渉は難航する傾向にあります。
そもそも、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えない、被害者が加害者に連絡先を教えない、加害者が逮捕・勾留されており直接やり取りすることができないため、交渉に着手することすら不可能な場合も多く、被害者との示談交渉は弁護士を介して行うのが通常です。

被害者との示談が成立すれば、不起訴で事件を終了させる可能性が高まります。
不起訴となれば、前科が付くこともありませんし、身体拘束されている場合には即日釈放となります。

恐喝事件を起こし、被害者との示談交渉にお悩みであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件専門弁護士が、無料法律相談初回接見を行います。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

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