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強制性交等未遂で逮捕

2020-05-03

強制性交等未遂で逮捕

強制性交等未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県関市で、Aさんは性的暴行を加える目的でターゲットを物色していました。
そして、帰宅途中のVさんを見つけ、人気のない道に入った瞬間、AさんはVさんを背後から襲い、押し倒しました。
Aさんは、性交する目的で、Vさんの陰部に指を入れましたが、指に血が付着していたことに驚き、性交することなく、その場を去りました。
後日、岐阜県関警察署は、強制性交等未遂の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです。)

未遂

犯罪は、犯行のために準備をし、実際に実行行為を行い、結果が発生する、という経過をたどることが多いです。
実行行為に基づき結果が発生した場合は、既遂罪として処罰されます。
しかし、実行行為を行ったが、結果が発生しなかった場合や、結果は発生したが、実行行為と結果との間に因果関係がない場合についても、法律で未遂罪の処罰規定がある場合のみ処罰されます。

刑法第43条は、未遂犯について規定しています。

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

未遂には、「障害未遂」と「中止未遂」の2種類があります。
「中止未遂」は、実行行為に着手したものの、自己の意思によりやめた場合をいい、「障害未遂」は、それ以外の理由により未遂に終わった場合をいいます。
中止未遂が成立した場合、必要的に刑が減軽または免除されますが、障害未遂は、任意的に刑が減軽できるにとどまることから、具体的な刑を決める上では大きな違いがあると言えます。

刑の減軽については、刑法第68条に規定されています。
・死刑⇒無期懲役または10年以下の懲役・禁固となる。
・無期懲役・禁固⇒7年以上の有期懲役・禁固となる。
・有期懲役・禁固⇒その長期および短期を2分の1とする。
・罰金⇒その多額および寡額を2分の1とする。
・拘留⇒その長期の2分の1とする。
・科料⇒その多額を2分の1とする。

中止未遂の成立要件

中止未遂であれば、必要的に刑が軽減または免除されることになりますが、中止未遂が成立するには満たさなければならない要件があります。

中止未遂が成立するためには、
①犯罪の実行に着手したこと、
②自己の意思によって、
③犯罪を中止したこと
が必要となります。

障害未遂との区別の関係では、②自己の意思によって、③犯罪を中止したか否かが問題となります。

②「自己の意思によって」中止したか否かは、(a)実行行為者の意思とは関係のない事実によって、結果が発生しなかった場合には、「自己の意思によって」中止したとは言えません。
他方、(b)実行行為の途中で、何ら外部的な要因がないのに、悔悟の気持ちなどから、実行行為をやめた場合は、「自己の意思によって」中止したと言えます。
問題は、一定の外部的な要因があり、これを動機として実行行為を中止した場合です。
これについては、国民の規範意識に則り、通常、結果の妨害となる性質となるものにより中止したか否か、つまり、一般人を基準に、その事情があれば犯行をやめるかどうか、という基準に従って判断されます。
この点、判例では、次のケースで自己の意思により中止したものと認めています。
・強盗目的で、被害者を脅迫したが、被害者から、「これしか金がない」と言われ、涙を流されたことから哀れに思い、その後の強取行為に至らなかった場合。(福岡高判昭35・7・20)
・殺害目的で被害者に睡眠薬を飲ませた後、大変なことをしたと思い、さらに睡眠薬を飲ませなかった場合。(東京地判昭37・3・17)
一方、強制性交目的で、被害者の陰部に指を挿入したところ、指が血に染まったのに驚き、その後の強制性交行為に及ぼなかったという事件において、一般的にはその精神的ショック(指に付着した血液を見驚き)などから犯行を中止する可能性が高いと判断され、自己の意思により中止したものと認められないとした判例があります。(最判昭24・7・9)

③の「中止」したか否かについては、「着手未遂」と「実行未遂」に分けて考える必要があります。
実行行為に着手したが、実行行為が終了する前に、中止する「着手未遂」は、その後の実行行為を継続しないことが「中止」となります。
他方、「実行未遂」は、実行行為に着手し、実行行為が終了したが、結果が発生しなかった場合をいいます。
実行未遂の場合、実行行為は終了しており、実行行為を継続しないことはありえず、結果発生防止のための真摯な努力がないと「中止」したとは言えません。
例えば、殺意をもって、被害者の首をしめたところ、被害者がぐったりしたので、それ以上特にしなかった場合(福岡高判平11・9・7)や、放火したが、火が燃え上がるのを見て怖くなり、所有者に火災を知らせたのみで、自ら消火活動はしなかった場合(大阪地判昭42・11・9)などです。

中止未遂と障害未遂とでは、成立要件は異なり、また、科され得る刑も違ってきます。
未遂事件でも、中止未遂に該当するか否かはケースによって異なりますので、刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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ひき逃げ事件で釈放

2020-05-01

ひき逃げ事件で釈放

ひき逃げ事件で釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県高山市に住むAさんは、夕方、自動車を運転して買い物に出かけました。
出先から帰る途中、交差点を右折したところ、サイドミラーにコツンと何か物があたるような軽い音がしました。
気になったAさんは、交差点から少し進んだところで自動車を止めてサイドミラーを確認しましたが、特に傷などは見つかりませんでした。
すると、後日、岐阜県高山警察署の警察官がAさん宅に訪れ、ひき逃げの件で話が聞きたいと言われ、警察署に連れて行かれました。
数時間後、Aさんの夫は、高山警察署から「Aさんをひき逃げ事件の被疑者として逮捕しました。」との連絡を受けました。
Aさんの夫は、慌てて刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

ひき逃げ事件で問われる罪とは

「ひき逃げ」という言葉は、法律上定められたものではありませんが、一般的に、車などで人身事故を起こしたにも関わらず、けがを負った人を救護することなく事故現場から立ち去る行為を指します。

「ひき逃げ」をした場合、どのような犯罪が成立するのでしょうか。

ひき逃げ行為自体については、道路交通法違反に問われます。
道路交通法は、その72条において、交通事故の場合にとらなければならない措置について定めています。

①直ちに運転を停止する義務
②負傷者の救護義務
③道路上の危険防止の措置義務
④警察官に、発生日時、交通事故による死傷者の人数、負傷者の負傷の程度、損壊した物やその損壊程度、交通事故に係る車両等の積載物、そして交通事故について講じた措置を報告する義務
⑤報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合には、警察官が到着するまで現場にとどまる義務

交通事故を起こし、運転者その他の乗務員が、上のような必要な措置を行わないことにより、道路交通法違反が成立します。

また、人身事故を起こしたことについては、過失運転致死傷罪、場合によっては、危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。

ひき逃げ事件で逮捕されたら

現場から逃げたとしても、その後、被害者や目撃者からひき逃げ車両に関する情報を聞いたり、周辺の防犯カメラの映像からひき逃げ車両を特定していきます。
事故を起こした直後は逃げられたとしても、後日、被疑者が割り出され可能性は少なくありません。
また、ひき逃げ犯は、実際に事故現場から一度逃走しているため、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあると認められ、逮捕される可能性は大いにあります。

ひき逃げ事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察庁に送致されます。
送致されない場合は、48時間以内に釈放されます。
検察庁に送致されると、担当の検察官は、被疑者を取調べ、送られてきた証拠等を検討した上で、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に当該被疑者について勾留請求を行います。
検察官の勾留請求を受けて、裁判官は、被疑者との面談を行い、証拠を検討した上で、勾留するかどうかを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から10日間被疑者の身柄が拘束されることになります。

勾留を回避する方法

勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされた場合、勾留された人は、退学や解雇など様々な不利益を被る可能性があります。
そのような事態を回避するためにも、できる限り早期に釈放となるよう動く必要があります。

逮捕から勾留が決定するまで、長くとも3日間です。
勾留が決定する前に、検察官や裁判官に対して、当該事件について勾留の理由がないことや勾留によって被疑者が被り得る不利益について、客観的かつ説得的に主張し、勾留請求しないよう、または勾留の決定をしないよう働きかけ、勾留の回避を目指します。

勾留が決定してしまった場合には、勾留の裁判に対して不服申立を行います。
申立にあたっては、勾留の理由および勾留の必要性がないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張しなければなりません。
例えば、勾留の理由で、被疑者の逃亡・罪証隠滅のおそれが該当すると判断されていたのであれば、家族の監督が期待できることを、また、勾留の必要性については、被疑者家族は被疑者の収入で生活しているため、勾留により解雇された場合に被る不利益が著しく大きいことを主張します。

準抗告が認められれば、先の勾留の決定は取り消され、検察官の勾留請求も却下されますので、勾留されていた被疑者は釈放となります。

いつ釈放されるかで、拘束されたいた方やそのご家族のその後の生活も大きく変わってきますので、できるだけ早期の釈放を目指しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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自殺関与罪で逮捕

2020-04-29

自殺関与罪で逮捕

自殺関与罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

岐阜県大垣市に住むVさんは、医者から末期がんであると申告されました。
Vさんは、「醜い姿で死にたくない。どうせ死ぬなら、今の姿で死にたい。」と思い、恋人のAさんにそのことを打ち明けました。
Aさんは、当初は、Vさんに自殺を思いとどまるよう説得していましたが、Vさんの思いに押し切られ、睡眠薬を用意しました。
後日、Vさんは睡眠薬を多量接種し、死亡しているところを家族に発見されました。
岐阜県大垣警察署は、Aさんから事件の経緯について聞き、Aさんを自殺関与(自殺幇助)の容疑で捜査することにしました。
(フィクションです。)

自殺すること自体は、犯罪には当たりません。
しかし、自殺に何らかの形で関与することが罪となる場合があります。

自殺関与罪について

自殺関与罪については、刑法第202条に規定されています。

第二百二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

自殺関与罪は、刑法第202条の前段に規定されており、後段は同意殺人罪についてです。

自殺関与罪は、「自殺教唆罪」と「自殺幇助罪」とに分けられます。

1.自殺教唆罪

自殺教唆罪は、人を「教唆」して自殺させた場合に成立する罪です。
人に、自殺するようにそそのかし、自殺の決意を生じさせることにより、罪に問われます。
例えば、Aさんにはもともと自殺する気はなかったのに、Bさんから自殺するように言われ続け、Aさんが遂に自殺するに至った場合、Bさんに対して自殺教唆罪が成立する可能性があります。

しかし、人から「自殺しろ」と言われて、簡単に自殺する人は少ないでしょう。
実際の事件では、被害者に選択の余地が少なく、最終的に「死んだほうがマシだ。」と思い、自殺を決意するケースが多いように思います。
そうなると、自殺に追い込んだから「殺人」のようなものだと感じられる場合もあるでしょう。
殺人罪と自殺教唆罪との区別について、「自殺の決意が自殺者の自由意思による時は自殺教唆罪、自由意思がもてない程度の威迫を加えて自殺させたときは殺人罪」とする判例があります。(広島高裁昭和29年6月30日判決)
最近では、上司から暴言などパワハラ行為を受けていた新入社員が自殺したことを受け、その上司が自殺教唆罪に問われた事件がありました。

2.自殺幇助罪

自殺ほう助罪は、人を「幇助」して自殺させた場合に成立する罪です。
人が自殺するのを容易にすることにより、罪に問われます。
自殺教唆罪とは異なり、自殺者はすでに自殺することを決意しており、その者が自殺をするのを手助けする行為が対象となります。

2018年、自殺した有名な評論家の自殺を手助けしたとして、2人の男性が自殺幇助の疑いで逮捕された事件が、当時ニュースで頻繁に報道されていました。
自殺したAさんは、病気で両手が不自由だったにもかかわらず、遺体発見時に体のハーネスと川岸の木がロープで結び付けられていたため、何者かが手助けしたとして捜査が開始されました。
逮捕された2人は、Aさんに頼まれて自殺を手伝ったとのことです。

自殺を容易にする方法は、物理的方法に限らず、精神的に容易にすることも含まれます。

刑法第202条の後段に規定される「同意殺人罪」は、人から依頼を受けてその人を殺した場合には「嘱託殺人罪」に、人の同意を得てその人を殺した場合には「承諾殺人罪」に当たるとされています。

上のケースでは、Aさんが睡眠薬を用意し、Vさんがそれを服用し自殺しています。
ですので、Aさんの行為はVさんの自殺を容易にしたとして、自殺幇助罪に問われているのです。

自殺幇助罪の法定刑は、6月以上7年以下の懲役又は禁固で、罰金刑はありません。
容疑を認めている場合、少しでも刑を軽くするために、被疑者・被告人に有利な事情を主張し、検察官、裁判官に寛大な処分を求めていくことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
自殺関与罪で被疑者・被告人となってしまった、刑事事件を起こし対応に困っている、と刑事事件でお悩みであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件と刑罰

2020-04-27

刑事事件と刑罰

刑事事件と刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

岐阜県各務原警察署は、Aさんを強制わいせつの疑いで逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されることになるのか心配でなりません。
Aさんの家族は、Aさんにはきちんと反省して更生してほしいと思っていますが、できる限り受ける処分が軽くならないかと思い、刑事事件専門弁護士に相談しています。
(フィクションです。)

刑事事件とは、法律で予め犯罪であることが定めらている行為をしたと疑われる者(被疑者、被告人)について、警察や検察などの国の捜査機関が、その者が犯罪を行ったのかどうか捜査を行い、裁判官(裁判員裁判の場合は、裁判員も)がその者が犯罪を行ったかどうか、行ったのであればどのような刑罰を科すべきかについて判断する手続のことをいいます。

刑事事件では、民事事件とは異なり、訴えることができるのは「検察官」だけです。
犯罪の直接の被害を被った被害者であっても、加害者を刑事事件において訴えることはできません。
検察官が訴える、つまり公訴を提起すること(起訴)により、被疑者は「被告人」となり、刑事裁判の当事者となります。
刑事裁判では、検察官が主張するストーリー(犯罪事実)が合理的な疑いを入れない程度に証明されたか否かを、裁判官(裁判員裁判の場合には、裁判員も)が判断します。
法廷で提出された証拠から、検察官の主張が合理的な疑いを差し込む余地のない程度に立証されたと判断された場合、被告人に対して有罪判決が言い渡されます。
そして、刑罰も言い渡されます。

刑罰とは、有罪判決を受けた者に対して、その者の生命や自由、財産を強制的に奪うことです。
この刑罰の意義については、様々な立場から主張されますが、応報、一般予防、特別予防を目的とするものと捉えられます。
ハンムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」という有名な言葉をご存じと思いますが、応報はまさにこの言葉に表されるものです。
罪を犯した者は、その責任としてそれ相応の苦痛を与えられるべきだというものです。
加えて、罪を犯せば刑罰が科されることを社会に広く周知させることで、社会の一般人を威嚇し、犯罪を予防するという意味や、犯罪を犯した者に対して刑罰を科すことで、犯罪を犯した者自身を改善・更生し、再び罪を犯すことを予防するという意味もあります。

刑罰の種類

刑罰には、その剥奪する法益の種類によって、生命刑、身体刑、自由刑、財産刑に分けられます。

①生命刑
生命刑は、人の命を奪う刑罰です。
日本では「死刑」と呼ばれ、刑事施設内で絞首の方法により執行されます。

②自由刑
自由刑は、人の自由を奪う刑罰です。
自由刑を言い渡された者は、刑務所などの刑事施設に収容され、移動や生活を大幅に制限されることになります。
自由刑には、「懲役」、「禁固」、「拘留」の3つがあります。

「懲役」は、無期若しくは1か月以上20年以下の期間刑務所などの刑事施設に収容されます。
受刑者は、そこで所定の作業が科されます。

一方、「禁固」は、無期若しくは1か月以上20年以下の期間刑務所などの刑事施設に収容される点では懲役を同じですが、作業については選択することができます。

「拘留」は、刑事施設に収容される点では懲役や禁固と同じですが、その期間は1日以上30日未満と短いものです。
しかし、懲役や禁固とは異なり、執行猶予を付けることができないので、拘留の判決は必ず実刑となります。

③財産刑
財産刑は、人の財産を奪う刑罰です。
財産刑には、「罰金」と「科料」、「没収」があります。

「罰金」は、1万円以上の金銭を納付する財産刑です。
納付することができない場合は、労役留置場に留置され、働いて支払うことになります。

「科料」は、1000円以上1万円未満の金銭を納付する財産刑です。
科料も罰金と同様、納めることができない場合には、労役留置施設に留置され、働いて支払うことになります。

「没収」とは、犯罪に関係のある物の所有権を国に移し、国庫に帰属させる財産刑です。
没収は、他の刑罰とは異なり付加刑であるので、主刑から独立して科すことはできません。

以上のように、裁判で有罪となった場合には、数ある刑罰の種類から選択して刑罰が科されることになります。

しかしながら、すべての事件が起訴されるわけではありませんので、できる限り起訴される前に、被害者との示談を成立させる等、不起訴で事件が終了するよう働きかけることは重要です。
また、起訴された場合であっても、執行猶予や刑の減軽などできる限り寛大な処分となるよう動く必要があるでしょう。

そのためには、刑事事件に精通する弁護士に早期に相談し、対応していくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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無賃乗車による事件

2020-04-25

岐阜県養老町の無賃乗車事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

都心で独り暮らしをしているAさんは、岐阜県養老町の実家に帰省する予定でしたが、事前にお金を使い過ぎたために、その電車賃がありませんでした。
Aさんは、混雑期であれば簡単にキセル乗車ができると考え、最寄りの駅で入場券を購入し、そのまま電車に乗って実家近くの駅で電車を降りました。
そして改札口付近で駅員の隙をうかがっていたところ、警戒中の鉄道警察隊の警察官に見つかったAさんは、不正乗車が発覚し、駅内の交番に連行されました。
警察官から取調べを受けたAさんは、両親が迎えに来て帰宅することができましたが、後日、再び警察官から呼び出すことを告げられたAさんは、今後の事が不安で刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

~電車の不正乗車事件~

電車の不正乗車をキセルと言います。
昔は乗務員が電車内で乗車券を確認していましたが、最近はICカードを利用する乗客が増えてきたことから、新幹線などの特急列車でなければ乗車券の確認はあまりありません。
そのため電車を利用する際に不正乗車が行われることが多々あります。
また、最近では高齢者に対しての福祉として、敬老パス等公共交通機関を利用する際に割引が受けられるものを、転売や不正利用するケースが報告されています。
大きな事件としては報道されていませんが、不正利用が増加すると行政や警察も対策を強化することになり、厳しい取り締まりが行われる可能性があります。

~詐欺罪~

公共交通機関での不正乗車は、犯行の態様によっ適用されるのは、鉄道営業法や軽犯罪法等様々な法律があり、一概に取り締まられる法律が定まっていないと言えます。
常習的に不正乗車を繰り返し正規の乗車料金を支払っていないことが立証された場合は、詐欺罪の適用を受ける可能性があります。
人を騙して財物を得ることによって成立する詐欺罪は、刑法第246条に規定された法律で、起訴され有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられることになります。
Aさんの程度の不正乗車(キセル)事件であれば、詐欺罪が適用されたとしても、比較的軽微な刑事事件として扱われることが大半で、余程のことが無ければ逮捕されることは無く、被害額を弁償し事件化しない又は不起訴処分で終了することになることが多いでしょう。
しかし、余罪が多数ある場合など、犯情が悪質な場合は、詐欺罪には罰金刑が規定されていないが故に、起訴されれば執行猶予付判決を得ない限り刑務所に服役しなければなりません。

~その他の法律~

絶対に不正乗車(キセル)に詐欺罪が適用されるとは限りません。
そもそも詐欺罪は人を騙して財物を得たり、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
そのため、その成立には「欺罔行為(人を騙す行為)」が必要不可欠となります。
しかし自動改札機が普及している現代、不正乗車(キセル)の全てに、この行為が存在するとは限りません。。
それでは詐欺罪が成立しなかった場合、Aさんの行為を取り締まる法律はないのでしょうか。
その場合、鉄道営業法が適用される可能性があります。
鉄道営業法第29条には、有効な乗車券をなくして乗車することを禁止しています。
これに違反した者には50万円以下の罰金又は科料が科せられる可能性があります。

岐阜県養老町の刑事事件でお困りの方、不正乗車(キセル)で警察の取調べを受けておられる方は、刑事事件専門の法律事務所「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

銀行口座の転売

2020-04-23

岐阜県高山市の銀行口座の転売による事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事例◇

岐阜県高山市に住む無職Aさんは、2ヶ月ほど前に、インターネットのサイトで「口座を3万円で買い取ります。」という業者を見つけて、この業者に10年ほど前に開設して、最近使用していなかった口座を転売しました。
この業者の指定された住所に、通帳とキャッシュカードを郵送したのですが、未だに代金が支払われないので、Aさんは諦めていました。
そして先日、アルバイトが決まり、その給料の振込口座を開設するために銀行に行くと、Aさん保有する銀行口座全てが凍結されており、新たに口座を解説できない旨を銀行員に告げられたのです。
銀行員からは、警察に相談するように言われましたが、2ヶ月前に口座を転売した件で警察に逮捕されるのではないかと不安なAさんは、まず刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇銀行口座の転売◇

銀行口座(預金通帳)を他人に売ったり、譲渡したりする行為は、以下のは罪に該当する場合があります。

転売(譲渡)目的で口座を開設した場合
最近は、銀行で口座を開設する時に、その銀行に対して口座の利用目的(公共料金の引き落とし口座、給料の振込口座等)を申告しなければなりません。
この目的を偽って銀行口座を開設した時は、銀行を騙して銀行口座を得たとして「詐欺罪」が成立する場合があります。
詐欺罪は、刑法第246条に当たる犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役」が科せられます。

〇既に開設している銀行口座を他人に譲渡した場合
数年前から、インターネットの掲示板やサイト、ダイレクトメールで「利用していない銀行口座を買取ります」「融資するので銀行口座を送ってください」といった内容を見かけるようになりました。
このようにして売られた銀行口座は、振り込め詐欺など何らかの犯罪に使用される可能性が非常に高いです。
長年取引のない銀行口座を、他人に譲渡した場合は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に抵触するおそれが非常に高いです。
この法律では

第二十八条 他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十六号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十七号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。

と、有償、無償に関わらず、他人に自分名義の銀行口座を譲渡する事を禁止しています。

〇譲渡した銀行口座が、他の犯罪に使用される事を知って譲渡した場合
銀行口座が使用された犯罪の共犯として罰せられる可能性があります。
例えば、譲渡した銀行口座が、振り込め詐欺の犯罪に使用される事を知った上で、銀行口座を譲渡すれば、振り込め詐欺の共犯若しくは幇助犯となる場合があるのです。
 
数年前から振り込め詐欺等の特殊詐欺事件が多発しており、警察等の捜査当局が注意喚起していますが、その犯行手口は巧妙かつ複雑化し、被害は増加する一方です。
その様な背景から、警察等の捜査当局は金融機関と協力し、犯罪に使用された銀行口座の凍結や、過去に犯罪に使用された銀行口座の名義人については、新たに銀行口座を開設できなくするなどして、被害の予防に取り組んでいるので注意しなければなりません。

岐阜県高山市で他人に、銀行口座(預金通帳)を転売してしまったなど、手放した銀行口座の事で悩んでおられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

現住建造物等放火罪で再逮捕

2020-04-21

岐阜県山県市の現住建造物等放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

会社員A子さんには、2年前から交際している男性がいましたが、数ヶ月前から痴話喧嘩が絶えず2ヶ月ほど前に別れました。
別れた直後にA子さんは、男性に対する嫌がらせで、岐阜県山県市の男性が住んでいるアパートの室内に火を付けました。
隣人の通報で駆け付けた消防によって消火され、被害は床の一部を焼損するにとどまりました。
そしてA子さんは放火した3日後に、友人の家に居たところを、事件を捜査していた岐阜県山県警察署の警察官に任意同行され、その後、犯行を自供したことによって緊急逮捕されてしまったのです。
その後A子さんは、勾留されましたが、この20日間の勾留中に、刑事罰を受けるかもしれない恐怖から、自供を覆して、否認をし始めました。
その結果A子さんは嫌疑不十分の理由で釈放となったのですが、釈放となってから1か月ほど経過して、再びA子さんは、同じ現住建造物放火事件の容疑で再逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~同一の犯罪事実での再逮捕の可否~

刑事訴訟法第199条第3項に、検察官や司法警察員が裁判官に対して逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実について、以前にその被疑者にかかる逮捕状を請求又は発付があった時は、その旨を裁判所に通知しなければならない旨が規定されています。
検察官や、司法警察員は、逮捕状請求書という司法書類によって裁判官に対して、被疑者の逮捕状を請求します。
この逮捕状請求書に、同一犯罪事実について前に逮捕状の請求又はその発付があった旨を明記していれば、同一犯罪事実について2回以上逮捕状を請求することも、これを発付することも認められているのです。

ただ同一犯罪事実で何度も逮捕できるのであれば、逮捕、勾留の期間が法律によって厳格に定められている趣旨に反することになります。
この点については、判例では、逮捕が不当に反復されない限り、再逮捕及びこれに基づく勾留請求は適法であるという見解を示しています。
ここでいう「不当に」とは
・最初の逮捕、勾留期間中に捜査が尽くされているか。
・嫌疑不十分で釈放となった後に新たな証拠が判明しているか。
・任意捜査によって真相の究明が困難であるかどうか。
等によって総合的に判断されるもので、先の勾留期間中に適切な捜査が行われておれば、当然、発覚したであろう証拠なのに、これが行われなかったために再逮捕を要することになれば、逮捕権の濫用と捉えかねません。

これらのことを総合的に判断すれば、同一の犯罪事実で再逮捕することは、法律的にはあり得ることですが、再逮捕するには、捜査機関はそれなりの理由が必要だということです。
A子さんの事件の場合ですと、最初の逮捕、勾留期間中には発覚しえなかった、A子さんが被疑者であることを裏付ける何らかの客観的な証拠が必要になるでしょう。

~嫌疑不十分で不起訴となった事件を改めて起訴できるのか~

嫌疑不十分による不起訴処分というのは、検察官の内部的意思決定にすぎず、外部に対して確定裁判における確定力のような効力を生じさせるものではありません。
これについては、過去の判例でも、検察官がいったん不起訴にした犯罪を後日起訴しても、その公訴提起は、一事不再理の原則(憲法第39条)に何ら違反しない旨が明言されています。
したがって、嫌疑不十分で不起訴となった事件であっても、後になって新たな証拠を発見したり、処罰を必要とする事情を発見した場合には、時効が完成していない限り、捜査機関は、これを再起して所要の捜査を遂げることができ、その結果をもって検察官は、改めて起訴することができます。
つまりA子さんについても、再逮捕、勾留によって新たに証拠が出てきた場合は、起訴される可能性があるのです。

岐阜県山県市の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が現住建造物等放火罪で再逮捕された方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

業務上横領事件の示談交渉

2020-04-19

岐阜県海津市の業務上横領事件における示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事件◇

Aさんは、岐阜県海津市にある会社で経理を担当していました。
Aさんの業務は、営業などの社員が持ってきた領収書を受け取り、帳簿に記載した上、自分の管理する小口からその金額払い出し、現金を社員に手渡すといったものでした。
Aさんの会社はそれほど規模が大きくないものの、営業が活発に動いていたため、かなりの数の領収書があり、Aさんの上司である課長からは、1万円以内の領収書であれば、上司である課長の許可なく払い戻しても構わないが、1万円を超える領収書については必ず課長の許可をとるようにと言われていました。
ある日Aさんは、自分が私用で食べた1万円以下の飲食費について、営業の社員が接待で使ったかのように装い、会社の小口から払い戻すという不正を行いました。
この不正がばれないかったことから、Aさんは定期的に同様の行為を行い、1万円以下の領収書が出るたびに同じようなことをしていました。
しかし、あるとき、課長があまりにも飲食費が多くなっていたことに気づき、営業の社員に訪ねて回ったところ、Aさんの行為が発覚してしましました。

◇横領について◇

まず、Aさんの行為にはどのような罪が成立するのでしょうか。
Aさんは、自己の職務の一環として、小口現金を管理しています。また、1万円以下の領収書については、課長など上司の許可なく、自らの権限で払い戻しをすることができるような状態でした。しかし、もちろんですが、Aさんが私用で食べた飲食費を会社小口から出すことは許されていません。
このように、業務上、自身が占有(管理)している現金を、許されていないような場合に払い戻すと、業務上横領罪が成立する可能性が十分にあります。業務上横領罪に該当する場合には、10年以下の懲役が法定刑として定められており(刑法253条)、非常に重い罪となっています。

◇業務上横領の刑事罰◇

業務上横領罪は窃盗罪と異なり、罰金刑の定めがありません。窃盗罪など罰金刑のある罪の場合には、起訴されてしまう場合にも、公開法廷ではなく、書類だけ裁判所に送られるという略式手続というものがあり、負担が少ない方法が選択される場合もあります。これに対し、業務上横領罪で起訴されてしまうときには、必ず公判請求、つまりテレビで普段目にするような法廷での裁判となります。
そのため、業務上横領罪では、窃盗罪以上に不起訴を目指す必要性が高くなります。

◇業務上横領罪の量刑相場◇

業務上横領罪で起訴された場合で、初犯(前科がない場合)である場合には、横領の方法や、本人の反省の程度などにもよりますが、概ね横領額(正確には、その段階で弁済できていない被害金額)が100万円を上回ると、実刑判決の可能性がでてきます。
そのため、仮に起訴されてしまうような場合でも、1円でも多く弁済することが必要となります。

◇業務上横領罪の弁護活動◇

業務上横領罪の弁護活動で必要となることは、被害者に対して示談交渉をし、できる限りの弁済を行うことです。
事件発覚直後の会社の対応は、感情的になることもありますし、会社の顧問弁護士が出てきて、いきなり支払いを求められるといったこともあります。
そのため、自分自身で被害弁償のための示談交渉をしようとしても、一切取り合ってもらえなかったり、反対に十分な情報を教えてもらえなかったりすることもあります。
きっちりと被害弁償を行うためには、第三者である弁護士に依頼をして、会社と交渉をすることが必要不可欠です。

岐阜県海津市業務上横領事件でお困りの方、警察未介入の業務上横領事件で早期示談を求める方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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インターネットから児童ポルノ入手

2020-04-17

岐阜市の児童ポルノに関する事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事件~

岐阜県岐阜市に住むAさんは、2年ほど前にインターネットの児童ポルノ販売サイトを利用し、同サイトから児童が撮影されたDVDを購入しました。
昨年、この販売サイトを運営していた男が岐阜県岐阜北警察署に逮捕され、そこから顧客名簿が押収されたことから、Aさんは自宅の捜索受け、同署において、児童ポルノ禁止法違反で取調べを受けました。
そして、つい先日、事件が検察庁に書類送検されてしまいました。
(このお話はフィクションです。)

◇児童ポルノ所持罪◇

児童ポルノ禁止法とは、正式名称を「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。
平成27年に、児童ポルノ禁止法が改正され、それまで処罰の対象となっていなかった児童ポルノの単純所持も刑事罰の対象となりました。
この法律は、児童に対する性的搾取や性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、児童買春,児童ポルノに係る行為を規制し処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることによって、児童の権利を擁護することを目的とするものです。

◇児童ポルノ事件の取締り◇

近年児童ポルノ関連の取締りは厳しくなっています。
これまで、児童ポルノ禁止法では、児童ポルノ画像に関し、販売や提供する側のみが処罰の対象となっていました。しかし、これだけでは青少年を保護することが難しいことから、単純所持も禁止されることになったのです。
つまり、児童ポルノを持っているだけでも逮捕される可能性が出てきたということになります。

◇児童ポルノ禁止法◇

(7条1項)
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(7条6項)
児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

このように児童ポルノを自身の性的目的のために所持した場合は、懲役刑が科せられる場合があります。
また、インターネット上に児童ポルノを載せた場合には刑が重くなります。
インターネットを利用しているうちに、意図しないのにダウンロードされた場合でも犯罪が成立するかという疑問が生じますが、意図しない場合、犯罪は成立しません。

また、「児童ポルノ」に該当するかは第3条に規定があり、以下のような写真や電子記録となります。
・児童との性交渉・性交類似行為にあたるもの
・児童が性器を触るなどの行為を撮影したもの
・服の一部を着ていない状態で、性器や臀部・胸部などが強調されたもの
これらの所持に「自己の性的好奇心を満たす目的」があることです。
つまり、子どもの裸の写真を思い出のために記録していても、児童ポルノに該当しません。また、知らずのうちにダウンロードしてしまったものも性的好奇心を満たす目的がないため、処罰の対象ではありません。
事例のケースは、児童ポルノに該当し、自己の性的欲求を満たすためにDVDを購入し、所持していたケースで、児童ポルノ禁止法違反(単純所持)となるのです。

◇児童ポルノの弁護活動◇

もし、児童ポルノ禁止法違反で捕まった場合や、逮捕されていなくても心配な場合には、できるだけ早い段階で弁護士にご連絡ください。早めの対策が重要です。
児童ポルノ禁止法違反単純所持は、どのようなケースで逮捕されるのかについて見極めが難しい部分がありますが、弁護士は、児童ポルノ禁止法違反に該当するのかを判断できますし、逮捕される可能性があるのか、処罰を受ける可能性があるのかなどもご説明することもできます。
仮に逮捕されたとしても、事前に弁護士に相談していれば、早い段階で警察などの捜査機関に対する対策を練ることができますし、裁判所などに上申書などを提出することで、早期に釈放するために活動が行えます。
このように、児童ポルノ禁止法違反を弁護士にご相談いただくことには多大なメリットがありますし、不安がある方はぜひご相談ください。

岐阜県岐阜市児童ポルノ禁止法違反などに関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

業務上横領事件で不起訴

2020-04-15

岐阜県大垣市の業務上横領事件における不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

◇事例◇

岐阜県大垣市に住むAさんは、新聞販売店にアルバイト配達員として勤務していました。同販売店で集金を担当していた従業員Bが長期休暇を取ったため、店長から、「今月分だけ、Bさんに代わってAさんが集金して欲しい。」と依頼され、配達先を回って新聞代金の集金を行いました。
しかし、Aさんはそのころサラ金から多額の借金を抱えており、その返済に困っていたことから、自身が集金した現金をその返済に充てようと考え、集金した現金を持ち逃げして通常逮捕されました。
後日、Aさんは弁護士の元を訪れて、なんとか不起訴で穏便に済ませられないか相談することにしました。(フィクションです。)

◇業務上横領罪について◇

業務上横領罪は、他人の物を業務上占有する者がその占有物を横領することによって成立する犯罪です。
ここでいう業務とは、社会生活上の地位に基づいて反復又は継続して行われる事務をいい、本務たる事務、兼務たる事務、他人に代わって事実上行う事務及び慣例上本来の事務に付随して行う事務等のすべてを含むと解されています。

◇事例検討◇

事例の場合、Aさんは新聞販売店にアルバイト配達員として雇われ、主に配達業務に従事していたのであるから、集金業務はAさんにとって、本来の仕事ではありませんでした。
しかし店長から依頼を受け、臨時とはいえ集金担当のBさんに代わって集金事務を自らの仕事として行ったのですから、前述の業務に関する意義に照らすと、明らかに業務性が認められることになるでしょう。

Aさんは、新聞販売店にアルバイト配達員として勤務している者であって、たまたま、集金を担当している従業員Bが長期休暇を取ることになったので、店長に依頼されて臨時に集金を行ったもので、事例の場合、Aさんが単なる占有補助者として集金した現金を持っていた、つまり、現金に対する占有を有していないのではないかと考えることができます。
この点について、高裁判例は、見習社員として採用され、決まった仕事も与えられずに不特定の仕事に従事していた者が、上司から集金の代行を命ぜられて集金を行い、その現金を持ち逃げしたという事案について、
「被告人が正式社員でなく見習社員に過ぎなかったとしても又集金そのものが自己本来の職務でなかったとしても正当権限者からその者の職務の代行を命ぜられたものである以上…右代行によって集金した金員を横領した場合業務上横領を構成する」
業務上横領罪の成立を認めています。

この判例は業務の意義について判示したもので、占有がどこに存在するのか直接判示したものではありませんが、上記の事案について業務上横領の成立を認めている以上、見習社員であったとしても、上司から集金の代行を命ぜられて集金を行っている場合には、その集金によって得た現金に対しての占有を有するとしています。
すなわち、占有補助者(アルバイト配達員Aさん)については、物に対する業務上の占有が常にないわけではなく、事例の場合のように、店員が店長に命ぜられて集金先から集金するような場合には、主たる占有者(店長)から独立して集金代金を事実上保管する立場にあるので、当該現金について独立の占有を有し、Aさんは業務上横領罪の刑責を負うことになるでしょう。

◇不起訴について◇

検察官により不起訴処分が下された場合、その日を以って事件は終了し、よほどのことがない限り起訴などにより事件が蒸し返されることはありません。
ですので、もし不起訴の知らせを受けたら、もはやその事件に関して捜査や刑罰がなされることはないと考えてよいでしょう。

不起訴には様々な理由がありますが、代表的なものとして①起訴猶予、②嫌疑不十分、③嫌疑なしの3つが挙げられます。
まず「起訴猶予」とは、被疑者の事情、事件の内容、事件後の出来事などの様々な事情を考慮して行われる不起訴処分です。
後述のとおり、実務上最も多い不起訴の理由が起訴猶予であり、たとえば被害者と示談を締結した際などに行われるが多くあります。
次に「嫌疑不十分」とは、その名のとおり犯罪の疑いが十分でない場合に行われる不起訴処分です。
裁判で有罪を立証できるほど証拠が揃っていない場合に行われると考えられます。
最後に「嫌疑なし」とは、その名のとおり犯罪の嫌疑がない場合に行われる不起訴処分です。
例えば、捜査を行った結果別の者が犯人であると判明した場合などがこれに当たります。

不起訴の理由の中で群を抜いて多いのは起訴猶予で、その割合は起訴などを含む全事件の5割強に及びます。
仮に罪を犯してしまったのが明らかであっても、示談などその後の弁護活動次第では不起訴となる可能性は充分に考えられます。
弁護士に相談した際には、ぜひ不起訴の可能性がないか聞いてみるとよいでしょう。

岐阜県大垣市業務上横領罪に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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