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覚せい剤取締法違反か麻薬取締法違反か
覚せい剤取締法違反か麻薬取締法違反か
覚せい剤取締法違反か麻薬取締法違反かについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、SNS上で、薬物の密売人Bさんから、麻薬であるコカインを購入することを約束しました。
後日、Aさんは、Bさんと会い、代金を支払った上でパケットを受け取り、未開封のまま自宅に持ち帰りました。
しかし、Bさんは岐阜県飛騨警察署の警察官により内偵捜査を受けており、Bさんの捜査を通じて、Aさんも自宅の家宅捜索を受けました。
その際、Aさん宅からは薬物が見つかりましたが、Aさんが所持していたパケットには、麻薬であるコカインではなく、覚せい剤が入っていることが判明しました。
そして、Aさんはそのまま、岐阜県飛騨警察署に連行されていってしまいました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(刑事事件例はフィクションです。)
【Aさんには何罪が成立するのか】
覚せい剤取締法41条の2
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者…は、10年以下の懲役に処する。
覚せい剤取締法41条の2は、「覚醒剤」を、みだりに、「所持」又は「譲り受けた」場合、覚せい剤取締法違反の罪が成立することを規定しています。
麻薬取締法66条
ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者…は、7年以下の懲役に処する。
麻薬取締法66条は、「麻薬」を、みだりに、「譲り受け」、又は「所持」した場合、麻薬取締法違反の罪が成立することを規定しています。
刑事事件例では、Aさんは、あくまでもパケット内の薬物は麻薬(コカイン)であると認識していました。
すなわち、Aさんは、麻薬(コカイン)の譲受けと所持を認識していました。
しかし、客観的には、Aさんは、覚せい剤の譲受けと所持を行っています。
このように、被疑者の方が認識していた事実(麻薬の譲受けと所持)と、現実に発生した事実(覚せい剤の譲受けと所持)が異なる場合、何罪が成立したといえるのでしょうか。
以下、詳しく解説します。
【重い罪(覚せい剤取締法違反)が成立するか】
刑法38条2項
重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
刑法38条によれば、軽い犯罪事実(刑事事件例では麻薬の譲受けと所持)の認識で、重い犯罪事実(刑事事件例では覚せい剤の譲受けと所持)を起こしてしまった場合、重い犯罪(刑事事件例では覚せい剤取締法違反)は成立しません。
【軽い罪(麻薬取締法違反)が成立するか】
それでは、軽い犯罪(刑事事件例では麻薬の譲受けと所持)の認識で、重い犯罪(刑事事件例では覚せい剤の譲受けと所持)を犯してしまった場合、たとえ重い犯罪(刑事事件例では覚せい剤取締法違反)は成立しないとしても、軽い犯罪(刑事事件例では麻薬取締法違反)は成立するのでしょうか。
それとも、軽い犯罪(刑事事件例では麻薬取締法違反)は成立せずに無罪となるのでしょうか。
この点、結論としては、軽い犯罪(刑事事件例では麻薬取締法違反)が成立すると考えられています。
この理由は、以下のように説明されます。
覚せい剤の譲受け・所持(覚せい剤取締法違反)と、麻薬の譲受け・所持(麻薬取締法違反)は、犯罪行為態様も保護法益(善良な風俗)も共通しています。
そうすると、たとえ被疑者の方が認識していた事実(麻薬の譲受けと所持)と、現実に発生した事実(覚せい剤の譲受けと所持)が異なっていたとしても、2つの事実が実質的に重なり合う限度で、反対動機を形成できたといえます。
反対動機とは、平たくいえば、犯罪を止める動機のことです。
そして、2つの事実が実質的に重なり合う限度で、犯罪を止めることができたにも関わらず、あえて犯罪を犯したとして、犯罪の故意が認められると考えられています。
この2つの事実が実質的に重なり合う限度とは、軽い犯罪である麻薬取締法違反となります。
以上に理由により、先に述べた結論の通り、Aさんには、麻薬取締法違反(譲受け・所持)の罪が成立することになります。
このように、被疑者の方が認識していた事実と、現実に発生した事実が異なる場合であっても、犯罪が成立し、刑事罰が科されてしまう可能性があります。
刑事事件例のように何らかの犯罪を犯してしまった場合には、速やかに刑事弁護士を選任することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
覚せい剤取締法違反事件や麻薬取締法違反事件を起こしてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
飲酒後の暴行・傷害事件
飲酒後の暴行・傷害事件
飲酒後の暴行・傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは彼女のVさん(同棲中)と喧嘩をしてしまいました。
原因は、Aさんの酒癖の悪さであり、Aさんは酔うと暴力を振るってしまうことが多々ありました。
やけになったAさんは、自宅にて深酒をしてしまい、このままお酒を飲み続ければ、もしかしたらVさんに対して、暴力を振るうかもしれないと考えました。
しかし、Aさんは「それもまた仕方がないことだ」と、なおも飲み続け、複雑酩酊状態・心神喪失状態に至りました。
そして、帰宅したVさんに殴る蹴るなどの暴行を加え、全治2週間の怪我を負わせてしまいました。
Vさんはその診断書ももらったといいます。
(刑事事件例はフィクションです。)
【飲酒後の暴行・傷害事件も犯罪になる】
刑法39条1項
心神喪失者の行為は、罰しない。
この記事(「飲酒後の暴行・傷害事件」)をお読みの方も、「心神喪失者の行為は、責任能力がないとして、処罰されない」ということを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
刑法39条1項では、心神喪失者、具体的には精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)又はそれに従って行動する能力(行動制御能力)が失われた状態にある者は、不可罰となると規定されています。
しかし、刑事事件例のAさんは、自分の酒癖の悪さを認識しつつ、このままお酒を飲み続ければ、もしかしたらVさんに対して、暴力を振るうかもしれないと思いながら飲酒をしています。
このように、自分が心神喪失状態に陥り、犯罪(刑事事件例では傷害罪)を犯すことを認識していながら、あえて心神喪失状態に陥る原因を作った場合、刑法39条1項は適用されないと考えられています。
そのため、Aさんの行為に対しては、完全な責任能力があるとされます。
【暴行罪・傷害罪とは】
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料に処する。
暴行罪と傷害罪の区別は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至」っているか否かという点でつきます。
つまり、暴行を加えた者が人を傷害するに至った場合は傷害罪が成立します。
反対に、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかった場合は暴行罪が成立します。
実務では、診断書の有無によって暴行罪と傷害罪の区別がつくことが多くあります。
刑事事件例では、Vさんは全治2週間の怪我を負っており、その診断書も発行されているため、傷害罪が成立すると考えられます。
傷害罪で寛大な処分・寛大な判決を得たい場合は、弁護士事務所に相談し、刑事弁護活動を受けることが必要です。
今回の刑事事件例のような飲酒後の暴行・傷害事件では、傷害事件の被害者の方への被害弁償や示談はもちろん、検察官や裁判官に対して、今後はお酒との付き合い方を変え(禁酒し)、監視監督環境を整えて、しっかり更生できるということを示していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
飲酒後の暴行・傷害事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)
飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)
飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,岐阜県岐阜市の居酒屋で飲酒をした後,同市内の国道で酒気を帯びた状態で軽乗用車を運転してしまいました。
Aさんは,後方を運転していたパトカーに発見されてしまい,警察により停止を求められ,呼気採取の結果,呼気1リットル中0.58ミリグラムのアルコールが検出されたといいます。
その結果,Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の容疑で現行犯逮捕されてしまったといいます。
(2021年8月27日に佐賀新聞LiVEに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【道路交通法違反(酒気帯び運転)とは】
道路交通法65条1項(酒気帯び運転等の禁止)
何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3号:第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
酒気帯び運転をした場合は,道路交通法65条1項違反となります。
そして,酒気帯び運転により道路交通法65条1項違反をして,「その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつた」場合は,道路交通法117条の2の2違反として,「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。
ここで,「政令で定める程度」とは,身体に保有するアルコールの程度が血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムの状態のことをいいます(道路交通法施行令44条の3)。
すなわち,酒気帯び運転は,身体に保有するアルコール量が犯罪成立の基準となるのです。
【飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)の特性】
飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)の特性は,飲酒運転(酒気帯び運転)の発覚が警察官によってなされる呼気検査や職務質問による,ということが多く見られるということです。
この警察官による呼気検査によって,飲酒運転(酒気帯び運転)の証拠が集められてしまうと,飲酒運転(酒気帯び運転)の容疑を否認することが困難になってしまいます。
そこで,飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)の容疑で現行犯逮捕されてしまった場合,飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)が発覚した経緯や状況に照らして,飲酒運転(酒気帯び運転)の容疑を認めた上で,寛大な処分や判決が得られるようにしていくという刑事弁護活動が考えられます。
このように,刑事弁護士は,飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)に関する専門的な知識と豊富な経験をもとに,飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)を起こしてしまった被疑者の方にとって最も適切になるように刑事弁護方針を示し,全力で刑事弁護を行っていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
飲酒運転事件(酒気帯び運転事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話の上,無料法律相談や初回接見サービスをご利用ください。
殺人未遂と殺意の認定
殺人未遂と殺意の認定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県岐阜市で、乗用車がボンネットに男性を乗せたまま走行して振り落とし逃走するという事件が起きました。
男性は、乗用車を運転していた男と口論になり、男性が乗用車のボンネットに飛び乗ったところ、乗用車はそのまま走行し、ボンネットに乗っていた男性は振り落とされ、ひざなどに軽いけがを負いました。
岐阜県岐阜南警察署は、付近の防犯カメラの映像から運転していた男を特定し、男を殺人未遂の疑いで逮捕しました。
調べに対し、男は、「相手を殺すつもりはなかった。」と殺意を否定しています。
(フィクションです。)
殺人未遂罪について
「殺人未遂罪」というのは、「殺人」という犯罪の実行行為に着手したものの、犯罪を実現することができなかった場合に成立します。
まずは、「殺人罪」という罪についてですが、これは「人を殺した」ことにより成立するものです。
殺人罪の客体である「人」については、行為者を除いた自然人である必要があります。
実行行為である「殺す」とは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為のことをいい、手段や方法の如何を問いません。
そして、殺人罪は故意犯ですので、故意がなければ罪は成立しません。
殺人罪の故意、つまり、罪を犯す意思は、人を殺す意思(=殺意)です。
客体の認識については、単に、「人」であることの認識で足り、行為の認識については、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していればよいとされています。
故意については、確定的なものだけでなく、未必的なものでも、条件付きのものでも構いません。
ですので、「もしかしたら、相手が死んでしまうかもしれない。」と思って実行行為を行った結果、相手が死んでしまった場合には、故意が認められ、殺人罪が成立することになります。
殺意をもって行為に及んだものの、相手の死という結果が発生しなかった場合には、殺人未遂罪が成立することになります。
刑法第43条は、未遂罪が成立する場合には、刑を減軽することができると定めています。
行為者が自分の意思で犯罪を中止した場合には、刑の減軽または免除がなされます。
殺意の認定について
先述のように、殺人罪あるいは殺人未遂罪の成立には、行為時に殺意があったことが認められなければなりません。
しかしながら、殺意とは、人の心の中のことですので、被疑者・被告人本人が認めているならばまだしも、認めていない場合にどのような基準で判断するかが問題となります。
被疑者・被告人が殺意を否認する場合、客観的な証拠関係等からその殺意を推認し、殺意が認定されることになります。
殺意の認定にあたっては、まず、行為態様の観点から検討されます。
具体的には、被害者の身体のどの部分に、どの程度の損傷を、どのような凶器を用いて、どのような方法で負わせたのか、ということを明らかにして、その事実から殺意を推認することができるかどうかが検討されます。
その他にも、犯行に及ぶ動機の有無、犯行に至る経緯の中での言動、犯行時の言動、犯行後の言動なども考慮し、そこからみられる事実から被疑者・被告人の殺意を推認させるものがあるかどうかも検討されます。
人をボンネットに乗せたまま車を走行させる行為については、走行速度、走行時間、運転態様、被害者の態勢等に照らして、被害者がボンネット上から転落して相当の衝撃を受けることや、運転していた車両や後続車両、対向車両にひかれる可能性があることを用意に予想することができたと認められる場合には、殺意が認定されることになるでしょう。
殺人未遂罪は、裁判員裁判の対象となりますので、殺人未遂罪で起訴された場合には、通常の刑事裁判ではなく、裁判員裁判で審理されることになります。
裁判員裁判では通常の刑事裁判とは異なる手続がとられますので、早期に刑事事件に強い弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年の大麻所持
少年の大麻所持で検挙された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県各務原警察署は、大麻を所持していたとして大麻取締法違反(大麻所持)の容疑で大学生のAくん(18歳)とBくん(19歳)を逮捕しました。
Aくんらは、SNSを開始て大麻の売人と連絡を取り、大麻を購入したと供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、大麻で逮捕されたことに驚き、今後どのような処分となるのか心配しています。
(フィクションです。)
少年の大麻事件
大麻所持など大麻取締法違反で20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が検挙される数が増加傾向にあるといいます。
SNSを通じて容易に売人と連絡をとれるようになったことや、大麻は他の薬物と違い害が少なく依存性がない等といった誤った情報が、少年による大麻事件の増加の背景にあるようです。
「興味本位で。」、「友人に勧められて。」といった安易な動機から大麻に手を出してしまうケースが多いのですが、大麻はゲート・ドラッグと呼ばれているように、他の薬物への入り口として認識されており、大麻にとどまらず麻薬や覚せい剤といった薬物にまで手を出すおそれも十分にある危険な薬物です。
大麻取締法は、大麻の所持、栽培、譲受け、譲渡し、輸入、輸出を規制しています。
大麻の所持については、次のように規定しています。
第24条の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
3 前2項の未遂罪は、罰する。
「所持」とは、物を支配している状態を意味します。
つまり、自分の意思で大麻を管理・処分することができる状態のことです。
具体的には、自分の手、ポケットやカバンの中に大麻を持っている場合、自宅に大麻を隠している場合、他人に大麻の管理を依頼している場合、知人宅に隠し持っている場合などが所持に当たります。
大麻取締法は、大麻の所持を禁止し、違反者に対しては刑罰を科すとしていますが、その使用については禁止されてはいません。
しかしながら、大麻を所持せずに使用することは基本的にはあり得ないため、大麻の使用が疑われる場合には所持や栽培などの罪の立証に結び付けられることは大いにあり得ます。
大麻取締法違反事件の被疑者が少年であっても、被疑者として少年が逮捕・勾留される可能性はあります。
薬物事件では、売人や共犯者との口裏合わせをするおそれや、法定刑が懲役刑のみと重いため逃亡の恐れがあると認められる可能性が高く、逮捕後に勾留が決定する傾向にあります。
そのため、少年であっても長期の身体拘束となることが見込まれます。
少年事件では、審判で非行事実と要保護性が審理されます。
非行事実は、成人の刑事事件における公訴事実に当たるものです。
要保護性とは、多義的に用いられますが、一般的には次の3つの要素から構成されるものと考えられています。
①再非行性
少年の現在の性格、環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。
②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。
③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効適切であること。
少年審判では、非行事実と要保護性が審理されるので、例え非行内容が重いものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、保護観察処分などの社会内処遇が言い渡される可能性があります。
逆に言えば、比較的軽い罪に当たる非行内容であったとしても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致などの重い処分となる可能性もあるということです。
このように、少年事件では、要保護性が最終的な処分に大きく影響します。
この点、薬物事件を起こした少年の更生にとって、最も重要なのが、薬物と断ち切る環境をつくることです。
少年が大麻等の薬物についてきちんとした認識を持っていないことが多いので、薬物の危険性についてしっかりと理解できるよう指導する必要があります。
また、大麻等の薬物を入手した経路を明らかにし、交友関係を改善するよう支援します。
少年の周囲の環境を整える活動は、少年の家族や学校・職場の人たちとも協力して行う必要があります。
弁護士は、少年が二度と薬物に手を出すことがないよう、周囲の人たちと連携しながら環境を整える活動を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
これまでも数多くの少年事件、大麻事件を取り扱ってきました。
お子様が大麻事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反
嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県多治見市にある民家の庭に尿が入った瓶が投げ込まれるという事件が起きました。
1か月で3回も同じ被害に遭ったことから、住人のVさんは岐阜県多治見警察署に相談しに行きました。
付近の防犯カメラの映像から、Aさんの犯行であることが分かり、多治見警察署はAさんを迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の容疑で逮捕しました。
Aさんは行為自体は認めていますが、「Vさんとは面識がなく、Vさんを狙ったわけではない。」と供述しています。
(フィクションです。)
嫌がらせ行為と迷惑防止条例
各都道府県で制定されている迷惑防止条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって住民生活の平穏を保持することを目的とするものです。
迷惑防止条例は、粗暴行為、ダフ屋行為、痴漢行為、ピンクビラ配布行為、押売行為、盗撮行為、のぞき行為、客引き行為などを禁止しています。
最近では、「嫌がらせ行為」も禁止行為として定めるところも増えています。
岐阜県も、迷惑防止条例第4条において次のように嫌がらせ行為を禁止しています。
何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。第5号において「法」という。)第2条第1項に規定するつきまとい等を除き、第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を執ように、又は反復して行つてはならない。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等(法第2条第2項に規定する電子メールの送信等をいう。)をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
ストーカー規制法の「つきまとい等」と似ていますが、ストーカー規制法における「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て行われる行為であるのに対して、迷惑防止条例における「嫌がらせ行為」は、そのような恋愛感情等を充足する目的で行われることを要件としていない点が大きな違いです。
Aさんは、Vさんと面識はなく、行為によって被害を被る被害者がVさんだと知らずに行っていました。
Aさんが相手方をVさんだと認識せずに行っていたとしても、特定の者に対して対象行為を繰り返し行っていたため、Aさんの行為は迷惑防止条例違反に当たることを阻害するものではありません。
迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)事件においては、被害を被った被害者がいます。
被害者がいる事件では、被害者への被害弁償や示談の有無が最終的な処分結果に大きく影響することになります。
迷惑防止条例違反は、親告罪ではないため、被害者との間で示談が成立したからといって必ずしも不起訴となるわけではありません。
しかし、被害者の許しが得られている場合には、不起訴(起訴猶予)で事件を処理する可能性を高めることになりますので、やはり被害者対応が重要であることに変わりはないでしょう。
迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)事件を起こしてしまった場合には、早期に弁護士に相談・依頼し、被害者への被害弁償や示談成立に向けた活動を行うことが事件の早期解決には欠かせません。
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無理心中で殺人罪
無理心中で殺人罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
病気を患っている娘の育児と生活の不安から、幼い娘と共に岐阜県瑞穂市にある湖で入水自殺を図ろうと、娘を抱いたまま湖に入水したAさん。
たまたま現場付近にいた目撃者に救出されたことで、Aさんは一命を取り留めましたが、Aさんの娘は搬送先の病院で死亡が確認されました。
岐阜県北方警察署は、Aさんの体調の回復を待ち、Aさんを殺人の容疑で逮捕するとしています。
事件の連絡を受けたAさんの両親は、今後どのような流れになるのか全く分からず刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
無理心中
「心中」というのは、一般的に、2人ないし数人の親しい関係にある者たちが、合意の上で一緒に自ら命を絶つことをいいます。
これに対して、相手の合意なく無理やり行われる心中のことを「無理心中」といいます。
無理心中の典型例としては、恋愛のもつれから恋人を殺害して自殺する場合や、自分が自殺した場合に残された家族の生活を不憫に思い、家族を殺して自らも命を絶つ場合などがあります。
最近では、インターネットを通じて、自殺願望のある見ず知らずの人たちが集い、一緒に自殺するといったケースも度々見受けられるようになりました。
無理心中を行った者に対しては、通常、殺人罪が適用されます。
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役に処する。
■犯行の対象■
殺人罪の客体は、「人」です。
ここでいう「人」とは、出生から死亡までの生存する自然人のことを指します。
生命のある自然人であればよく、瀕死の病人、生育の見込みのない早産児、仮死状態で生まれた嬰児、失踪宣告を受けた者も対象となります。
そのため、仮に、A さんの娘が余命半年の状態であったとしても、行為時に生きているのであれば、殺人罪の犯行の対象となります。
■行為■
殺人罪の実行行為は、人を「殺す」ことです。
「殺す」とは、自然の死期に先立って他人の生命を断絶することで、その方法は問いません。
湖に入水し溺死させる場合も、人を「殺す」行為に当たります。
「殺す」行為には、作為だけでなく不作為も含まれます。
実行の着手は、行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始した時に認められ、実行行為により人を死亡させた時点で既遂となります。
殺人罪の成立には、殺人の実行行為と人の死亡との間に因果関係がなければなりません。
この因果関係については、実行行為がなければ人が死亡しなかったという条件関係があれば肯定できるものと理解されています。
■故意■
殺人罪が成立するためには、行為時に殺意がなければなりません。
殺意とは、人を殺す意思であって、これは確定的なものだけでなく、未必的でも条件付きでも構いません。
無理心中の場合は、相手方を殺して自分も死ぬこと(若しくは同時に死ぬこと)を意図して行為に及んでいるため、故意は認められるでしょう。
Aさんは一命を取り留めていますが、仮に、Aさんも死んでしまった場合は、どうなるのでしょうか。
Aさんが死んでしまった場合であっても、Aさんが無理心中の末に娘を死亡させたと疑うに足る相当な理由があると考えられる場合には、被疑者死亡のまま捜査が行われ、警察から検察へと事件が送られます。
そして、検察官は事件を起訴するか否かを決めるわけですが、被疑者が既に亡くなっているため裁判することはできませんので、被疑者死亡を理由として不起訴処分とします。
Aさんは生き残っているため、通常の刑事事件の手続に付され、Aさんの体調を考慮しつつ捜査は継続されます。
捜査の結果、Aさんを殺人罪で有罪にするだけの証拠がそろっている場合には、検察官はAさんを起訴します。
殺人は裁判員裁判対象事件ですので、起訴されれば、裁判員裁判となります。
罪を認める場合には、行為に至った経緯や背後にある問題、事件後の様子など、できるだけ刑が軽くなるような弁護をすることになります。
他方、無理心中のようなケースでは、被疑者・被告人が精神疾患を患っていた場合が少なくないため、犯行時の責任能力の有無について争われることがあります。
そのような場合には、被疑者・被告人の精神鑑定を行い、犯行時にどのような精神状態であり、病気がどの程度犯行に影響を及ぼしていたのかを検討していかなければなりません。
刑事事件への対応は、刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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リベンジポルノ防止法違反で逮捕
リベンジポルノ防止法違反で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
交際相手のVさんから別れを切り出されたAさんは、納得できず、Vさんに復縁できないかと連絡をとっていました。
しかし、Vさんからの応答がなかったため、Aさんは嫌がらせ目的で、Vさんの性的な画像をVさんの名前と学校名を記載しネット上に公表しました。
画像の存在を知人から聞いたVさんは、岐阜県加茂警察署に相談したことで事件が発覚しました。
加茂警察署は、Aさんをリベンジポルノ防止法違反で逮捕しました。
(フィクションです。)
リベンジポルノとは?
交際中にスマートフォンなどで撮影された性的な画像が元交際相手によってネット上で公表されるケースは少なくありません。
一度ネット上に公表されると、拡散され、被害者が長きにわたって精神的苦痛を被る事態に陥ってしまう傾向にあります。
そのため、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(以下、「リベンジポルノ防止法」といいます。)は、性的画像を本人の同意なく公表する行為の処罰、ネットに流出した画像を速やかに削除する方策の整備、被害者に対する支援体制の整備を柱として平成26年11月に施行されました。
リベンジポルノ防止法で規制の対象となる「私事性的画像記録」とは、以下の掲げるいずれかの類型に該当する人の姿態が撮影された画像であって、私事性の要件を充たす電磁的記録のことをいいます。
①性交または性交類似行為にかかる人の姿態。
②他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為にかかる人の姿態であって、性欲を興奮または刺激するもの。
③衣服の全部または一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出されたまたは強調されているものであって、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの。
また、「私事性的画像記録物」とは、私事性的画像記録が記録された記録媒体その他の有体物(写真やCD-ROM、USBメモリなど)のことをいいます。
(1)公表罪
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定または多数の者に対協する行為、そして、同様の方法で、私事性的画像記録物を不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列する行為について、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
公表罪のうち、前者は、電子メールで送信する行為、後者は、写真をばらまく行為などが例として挙げられます。
(2)公表目的提供罪
公表させる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供する行為については、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります。
例えば、SNS等によって拡散目的で特定少数者に提供する行為がこれに当たります。
リベンジポルノ防止法違反で逮捕された場合
リベンジポルノ防止法違反で逮捕された場合、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
被害者が元交際相手であることから、被疑者が被害者の連絡先や居住地を知っているケースが多く、釈放すれば被害者との接触を試み、供述を変えるよう迫るなどするおそれがあると考えられるからです。
上の公表罪や公表目的提供罪は親告罪です。
親告罪というのは、被害者等の告訴権者が告訴をしなければ公訴を提起することができない罪のことです。
つまり、被害者が告訴しなければ起訴されることはなく、不起訴で事件が終了することになるのです。
ですので、リベンジポルノ防止法違反で逮捕された場合には、できる限り早期に被害者との示談交渉を開始し、示談を成立させることで事件を終了することを目指します。
ただ、加害者側が被害者と直接交渉することは容易ではありません。
加害者が身体拘束されている場合は、物理的に連絡をとることができませんし、被害者も被害を受けたことで加害者側と連絡をとることを拒むことが多いからです。
また、仮に当事者間で交渉を行ったとしても、感情論的になり交渉が難航することが考えられます。
そのため、通常は弁護士を介して交渉します。
弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者の示談交渉に応じる意思の確認を行い、冷静に話し合いを行うことが期待できます。
また、弁護士は、事案に応じた誓約を入れるなど、被害者にも配慮した内容にしたり、示談金については相応の金額でまとめるなど、当事者両者が納得することができる示談内容になるよう努めます。
被害者との示談が成立し、告訴が取り下げられる、あるいは告訴をしない旨の約束ができれば、検察官は不起訴で事件を終了し、被疑者の身柄が拘束されている場合には、即日釈放となります。
リベンジポルノ防止法違反で逮捕された場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年の傷害事件
少年の傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県海津市に住むAくん(19歳)は、彼女との口喧嘩の末に揉みあいになりました。
カッとなったAくんは、彼女に対して拳で数発殴る暴行を加えてしまいました。
唇を切るなどし血を流していた彼女はそのまま部屋を出て行き、最寄りの岐阜県海津警察署に被害を訴え出ました。
現場に駆け付けた警察官は、Aくんの事情を聴き、そのまま傷害の疑いでAくんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、被害者である彼女への対応と今後の流れについて心配になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
少年の傷害事件
少年による傷害事件は、喧嘩の延長や共犯者らと暴行の末に相手方に怪我を負わせたもの、交際関係のもつれによるものが多く見受けられます。
相手方に暴行を加え怪我を負わせた場合、刑法の傷害罪が成立します。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
成人が傷害罪で起訴され有罪となれば、15年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲内で刑が科されることになります。
被害者の怪我の程度や犯行態様の如何が、最終的な処分に大きく影響します。
被疑者が少年の場合、原則、少年法が適用され、成人の刑事事件とは異なる手続がとられます。
少年が14歳以上の場合、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合や、犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、捜査機関は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、調査の行った上で、審判を開始するか否かを決定します。
この点、捜査段階で逮捕・勾留されていた少年について、観護措置をとる場合は、調査官への調査命令と審判開始決定が同時になされます。
調査官による調査を終えると、審判において非行事実と要保護性について審理され、少年に対する処分が決定されます。
最終的な処分には、審判不開始、不処分、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致)、都道府県知事・児童相談所長送致、検察官送致とがあります。
少年の傷害事件では、共犯者がいる場合や、交際関係のもつれのように被害者との関係性が深い場合には、捜査段階で逮捕・勾留される可能性は高いでしょう。
そのような場合であっても、罪証隠滅のおそれがないことを客観的な証拠に基づいて勾留の要件を充たしていないことを主張し、勾留回避を目指して働きかけることにより、身柄解放の可能性を高めることができます。
また、被害者がいる事件では、事件後、被害の回復に努めたかどうかも最終的な処分に大きく影響します。
被害者との示談の有無が直接処分に影響する成人の刑事事件とは異なり、被害者との示談が成立したことをもって直ちに事件を終了させることにはならない少年事件ですが、被害者との示談交渉を通じて、少年が自身の内省を深め、被害者の気持ちを考え、事件と向き合うことができる、つまり、究極的には少年の更生に資するという点で重要な意味を持ちます。
被害者への対応は少年事件においても重要な要素となりますが、被害者への接触・交渉は、少年自身やその家族が直接行うよりも、代理人である弁護士を介して行うのがよいでしょう。
罪証隠滅のおそれから捜査機関が加害者側に被害者の連絡先を教えることはあまりありませんし、恐怖心や嫌悪感から被害者が連絡先を教えることを拒否することも少なくありませんので、連絡をとること自体が難しい場合が多々あります。
弁護士限りでの交渉ということであれば、捜査機関を通じて連絡先を教えてもらえることが期待できますし、弁護士を介して行うことで、冷静な話し合いを行うことができるでしょう。
少年の傷害事件においては、少年が自身の感情をうまくコントロールできずに手を出してしまうケースが少なくありません。
そのため、今後同じ過ちを繰り返さないためにも、感情をコントロールする方法やその原因と思われるものを見つけ出し、感情的な暴行を防ぐためにはどうすればよいのか、少年と一緒に考えていく必要もあるでしょう。
事案によって細かい対応方法は変わってきますので、お子様が傷害事件を起こし対応にお困りであれば、ご家族だけで悩まず、少年事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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タクシー運転手への暴行で逮捕
タクシー運転手への暴行で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県高山市で、酒に酔った様子の男性客Aを乗せ、タクシー運転手のVさんは、指定された場所へ向かいました。
目的地に到着し、Aに乗車料金を述べたところ、Aはグダグダと文句を言い始めました。
Vさんは、「お客さん、払うの払わないの?」と聞いたところ、Aは突然大声を上げ、Vさんに掴みかかってきました。
Vさんはすぐに警察に通報し、駆け付けた岐阜県高山警察署は、暴行の容疑でAを現行犯逮捕しました。
(フィクションです。)
タクシー運転手への暴行
タクシーには、実に多種多様な客層が乗車してきますが、酔っ払いを乗せることも少なくありません。
酒に酔った状態で、気が大きくなり、タクシー運転手に暴力を振るうケースも発生しています。
タクシー運転手への暴行は、刑法の暴行罪、タクシー運転手が怪我をした場合には、傷害罪となる可能性があります。
暴行罪は、人に暴行を加えた場合に成立する罪です。
ここで言う「暴行」というのは、人に対する物理力の行為のことを意味します。
判例においては、暴行は、人の身体に対する不法な一切の攻撃方法を含み、性質上傷害の結果を惹起すべきものである必要はない、と緩やかに捉えられています。(大判昭和8・4・15)
また、物理力が人の身体に接触することまで必要ではなく、相手を驚かせるために、その人の数歩手前を狙って石を投げる行為(東京高判昭和25・6・10)、狭い室内で脅すために日本刀を振り回す行為(最決昭和39・1・28)、高速道路を走行中に嫌がらせ目的で幅寄せをする行為(東京高判昭和50・4・15)も、「暴行」に当たるとした裁判があります。
暴行罪は、故意犯ですので、行為時に人の身体に対して有形力を行使することの認識・認容がなければなりません。
また、人の身体を傷害した場合には、傷害罪が成立します。
「傷害」とは、人の生理的機能に障害を加えることで、その方法は有形・無形を問いません。
逮捕された場合
タクシー運転手への暴行で逮捕されるのは、現場に駆け付けた警察官に現行犯逮捕されるものが多くなっています。
逮捕から48時間以内に、警察は、被疑者を釈放し、身柄を拘束しないまま捜査を継続するか、被疑者の身柄と共に事件を検察官に送致します。
検察官に送致された場合、検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、あるいは裁判官に対して勾留請求をします。
釈放されれば在宅事件として捜査が続くことになりますが、勾留請求がなされると、被疑者の身柄は裁判所に移され、裁判官に勾留の有無を判断されます。
裁判官が勾留請求を却下するとの決定を下せば、被疑者は釈放されます。
他方、勾留の決定を下せば、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から10日、その身柄が拘束されることになります。
その間、捜査は継続され、勾留期限内に検察官が起訴・不起訴の終局処分を決定します。
その期限内に終局処分を決することが困難な場合には、検察官は勾留延長を請求し、これが認められれば、最大で更に10日間身柄が拘束されることになります。
そのような長期間の拘束となれば、会社や学校に休む日が続き、最悪の場合には懲戒解雇や退学といったことになりかねません。
そのような不利益を回避するためにも、逮捕後すぐに釈放に向けた活動をする必要があります。
タクシー運転手への暴行といった事件であれば、ドライブレコーダーで犯行が記録されていることや、被害者であるタクシー運転手への接触の可能性がそこまで高いとまでは言えず、罪証隠滅のおそれが認められない可能性はあります。
ですので、早期に弁護士に相談し、勾留の要件を充たさない旨を客観的証拠に基づいて主張し、勾留を回避するよう動くことが重要です。
また、被害者であるタクシー運転手への謝罪・被害弁償、示談交渉についても、弁護士を介して行うことで、より円滑に行える可能性が期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
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