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【解決事例】岐阜県可児市の器物損壊事件で示談成立で不起訴を獲得
【解決事例】岐阜県可児市の器物損壊事件で示談成立で不起訴を獲得
【事案の概要】
ご本人様は可児市内の路上に止まっている車に対して、スプレーで落書きをしたとして、岐阜県可児市を管轄する可児警察署の警察官に呼び出しを受けました。
ご本人様は、被害者様との示談を希望しており、弁護士事務所に相談することにしたとのことでした。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
ご本人様の意向である示談を行う為、警察署に被害者様と連絡を取ることができるよう取り次いで貰いました。
その後、弁護士は被害者様と連絡を取り、ご本人様の謝罪文をお渡ししたり、示談内容について被害者様に提案していくことにより、被害者様と示談を締結することができました。
また、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者様の告訴がなければ公訴を提起することができないとされています。
そのため、被害者様に告訴を取り下げてもらえないかと、弁護士から提案し、告訴を取り下げてもらうことができました。
その結果、事件は不起訴処分になり、ご本人様の希望に沿うことができました。
【まとめ】
器物損壊事件では、被害者様と示談を行っていくことが重要になります。
なぜなら、器物損壊罪が親告罪であり、告訴を取り下げてもらうことが出来れば、不起訴処分になるからです。
示談交渉で告訴を取り下げてもらうことを目指すには、被害者様との慎重な対応が必要になります。
刑事事件の経験が豊富な弁護士に相談するのをおすすめします。
器物損壊事件で示談をしたい、不起訴処分にして欲しいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、示談や不起訴処分についての見通しについてご説明致します。
【解決事例】岐阜県郡上市の未成年による盗撮事件で勾留阻止と審判不開始を獲得
【解決事例】岐阜県郡上市の未成年による盗撮事件で勾留阻止と審判不開始を獲得
【事案の概要】
お子さん(19歳男性)は郡上市内の公園内にある女子トイレにて盗撮をしたとして、岐阜県郡上市を管轄する郡上警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
ご両親は、お子さんが逮捕されたことを知り、居ても立っても居られず、弁護士に相談することにされたそうです。お子さんは仕事があるとのことで、一刻も早く戻ってきてほしいと希望されていました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動・付添人活動】
まず、勾留を阻止するため、裁判所に対してお子さんが証拠隠滅や逃亡の可能性がないことを意見書として提出し、意見書と共にご両親によるお子さんの監督を約束する旨の身元引受書と上申書を提出しました。
その結果、お子さんの勾留阻止をすることができ、お子さんは無事に仕事に復帰することができました。
また、弁護士が家庭裁判所に対し、お子さんの犯行に悪質性が低いことやお子さんが反省や規範意識の醸成を行っていることを主張した結果、ご本人様は審判不開始となりました。
【まとめ】
盗撮事件では勾留が付くことも少なくありません。
勾留が付くと学校に行けなくなってしまうことや仕事に行けなくなってしまうなど様々な不利益があります。
そこで、上記のような弁護士の意見やご家族からの監督等を裁判所に提出していくことによる勾留を阻止できる可能性が高くなります。
また、未成年者が反省や規範意識の醸成、再犯防止策を考えていくこと等、未成年者が更生に向けて行動していることを説明していくと共に、事件について未成年者が事実を認めていることや犯行態様の悪質性が低いことを説明することで、家庭裁判所から今回については審判を開始しないという判断が下す場合があります。
未成年の盗撮事件で勾留を阻止したい、審判をしないでほしいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、勾留阻止や審判不開始が下されるかどうかの見通しについてご説明致します。
特別公務員暴行陵虐事件の初公判
今回は、岐阜県大垣警察署の留置場で起きた特別公務員陵虐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
~ケース~
岐阜県大垣警察署の留置場で勾留中の女性に繰り返しわいせつな行為をしたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われた同署留置管理課元巡査長の初公判が4月15日、岐阜地方裁判所で開かれました。
起訴状などによると、元巡査長は2021年12月23日から2022年1月4日にかけ、複数回、大垣警察署の留置場で業務にあたっていた際、勾留中の30代女性が1人でいる居室に入り、わいせつな行為をしたとされています。(2022年4月16日 岐阜新聞Web 「未明の留置場で数時間、勾留中の女性にわいせつ行為 元巡査長、起訴内容認める 岐阜地裁」より引用)
~特別公務員暴行陵虐罪とは~
刑法第195条1項は、「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する」とされています。
また、同条2項では、「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする」としています。
「職務を行うに当たり」とは、職務を行う機会にという意味であり、警察署留置施設で勾留中の女性に対する行為は、「職務を行うに当たり」といえるでしょう。
「陵辱」とは、辱める行為や精神的に苦痛を与える行為を指し、わいせつな行為はこれに当たります。
この罪は収賄罪等と同じく汚職の罪であり、公務の適正の保護を目的としたものですので、被害者が同意していたかどうかや、実際に被害が生じたかどうかは、犯罪の成立を左右しません。
信じがたい不祥事ではありますが、過去にも
・「勤務中に巡査が窃盗嫌疑者の少女の陰部を弄したり姦淫するなどのわいせつ、姦淫行為を行った場合」(大審院大正4年6月1日判決)
・「パトカーで警ら中の警察官がシンナーを吸引している可能性のある少女を同車内に連れ込んで所持品検査に名を借りてわいせつ行為をした場合」(大阪地裁平成5年3月25日判決)
などの同種事例が存在します。
逮捕・勾留中に留置場の職員などからこのような被害を受けた場合には、すぐに弁護士と相談して下さい。
弁護士を通じて、抗議を行っていくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特別公務員暴行陵虐罪についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
建造物侵入事件で勾留
建造物侵入事件で勾留
建造物侵入事件で勾留された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
~事案~
Aさんは、岐阜市内にある工場に、工具を盗むために侵入しました。
しかし、侵入したところを工場の警備員に見つかりその場から逃走しました。
その後、監視カメラの映像からAさんの身元が判明し、建造物侵入の容疑で岐阜市を管轄する岐阜県警察岐阜中警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんは岐阜地方検察庁の検事により勾留請求され、勾留請求を受けた裁判官により勾留が言い渡されました。
Aさんの両親は、Aさんの今後を不安に思い刑事事件を専門的に扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)
~建造物侵入罪~
建造物侵入罪は、刑法第130条に定められています。
刑法第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し…た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪は他人の所有する建造物に、正当な理由なく侵入することで成立します。
有罪となった場合は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に科せられます。
今回の事案でいうと、Aさんは工具を盗む目的で工場に侵入しています。
工場は、管理者が看守している建造物といえます。
そこに、窃盗目的で侵入しているため、当然正当な理由とは言えません。
よって、今回のケースは建造物侵入罪が成立すると考えられます。
他人の物を盗む目的で侵入し、物を盗めなかった場合は、窃盗未遂罪も同時に成立する可能性があります。
窃盗未遂罪が成立するかどうかについては、客観的な証拠が揃っていない、事件の状況や取調べの対応等によって変わってくるため、建造物侵入事件や窃盗事件でお困りの方は、一度刑事事件を専門的に扱う法律事務所に相談することをお勧めします。
~勾留とは~
今回の事案では、○○地方裁判所から被疑者であるAさんに勾留決定の判断が下されています。
勾留とは、被疑者の身体拘束のための強制処分の一種です。
勾留決定を受けてから、起訴・公判を経て判決を言い渡されるまでの身柄拘束期間を、勾留と呼びます。
勾留は、全ての被疑者に対して行われるわけではなく、勾留の要件を充たしていると裁判官に判断された場合のみになります。
勾留の要件は以下の3つです。
①犯罪の嫌疑
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合
②勾留の理由
住所不定、罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれ、逃亡のおそれ、のいずれか少なくとも1つに該当する場合
③勾留の必要性
上記の①、②を充たしている場合でも、被疑者を勾留した時の利益と不利益を比較し、身柄を拘束することが相当と判断された場合
上記3つの要件を全て充たしている場合、裁判官は勾留決定の判断を下します。
勾留の期間は、被疑者が勾留の請求を受けた日から10日間になります。
しかし、証拠を収集することが困難であったり、遅延が発生したりした場合等には、検察官は勾留の延長請求をすることができます。
勾留延長請求は最大10日間請求することができます。
そのため、勾留延長された場合の勾留期間は、通常の事件であれば最大20日間となります。
勾留延長請求は、裁判官が上記の証拠収集が困難な場合等やむを得ない事由があると認められた時に、延長の判断を下すことができるとされています。
被疑者が勾留された場合、会社に行けなくなることや知人に犯罪が露見してしまう可能性が高くなってしまう等、多くの不利益が存在します。
弁護士は、こういった不利益を回避するため、勾留阻止のための活動を行っていきます。
裁判官が勾留の裁判を行う前に、弁護士からの意見書を提出したり、勾留の判断が下された後でも、準抗告という勾留に対する不服申し立てを行うことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部には、建造物侵入罪や窃盗罪の勾留阻止等の弁護活動を多く経験した弁護士が在籍しております。
建造物侵入罪、窃盗罪で逮捕、勾留されてしまった等、お困りのことがございましたら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
0120-631-881に架電していただけると、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスや初回無料法律相談のお問い合わせを365日24時間いつでも受け付けております。
職務質問から刑事事件に発展②
職務質問から刑事事件に発展②
職務質問から刑事事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県多治見市に住むAさんは、岐阜県多治見市内の歩道において、Vさんが所有していたバッグが忘れられているのを見つけ、バッグを無断で持ち去りました。
後日、Aさんが深夜、Vさんのバッグを持ち去ったのと同じ歩道付近を歩いていると、周辺をパトロールしていた岐阜県多治見警察署の警察官に声を掛けられました。
Aさんは、警察官から「この付近で発生した遺失物横領事件の犯人に似ている」と言われました。
Aさんは「職務質問は任意でしょう、任意なら応じません」と言いましたが、警察官も食い下がり、2時間にわたり職務質問を受けました。
その結果、Aさんは歩道に置いてあったバッグを持ち去った遺失物横領事件の犯人であることを認めました。
Aさんは、遺失物横領罪の容疑者として話を聞かれることとなったのですが、自分の受けた職務質問が違法なものなのではないかと疑問に感じ、弁護士に相談しようと考えています。
(2020年12月3日に岐阜新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【職務質問の適法性】
ここで、参考として、職務質問の適法性、特に職務質問の最中に立ち去ろうとする者をその場に留め置くこと(留め置き)の適法性が問題となった裁判例を見ていきたいと思います。
平成6年9月16日の最高裁判所決定では、覚せい剤取締法違反の疑いがある者に対して、午後11時10分頃に職務質問を開始し、午後5時43分頃の令状による強制採尿までの間の約6時間30分にわたり留め置きをした場合、「説得行為としてはその限度を超え、」「移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして、違法といわざるを得ない」と判示しています。
平成8年9月3日の東京高等裁判所判決では、覚せい剤取締法、道路運送車両法違反違反の疑いがある者に対して、午後1時38分頃に職務質問を開始し、午後5時45分頃に任意同行に応じるまでの間の約4時間にわたり留め置きをした場合、留め置きは「なお許容される時間的限界内にあったものであるというべきである。」と判示しています。
職務質問の際の留め置きが適法といえるかは、留め置きの時間、留め置きの態様、被疑者の態度などの考慮要素から総合的に判断されますが、上記の判例はその考慮要素として参考になるといえるでしょう。
これらの裁判例を参考に本件刑事事件例を見てみます。
Aさんは、岐阜県多治見警察署の警察官により「付近で発生した置引きの犯人に似ている」として職務質問を受けています。
この職務質問は、Aさんが「既に行われた犯罪について」「知っていると認められる者」(警察官職務執行法2条1項)に該当するとして開始されたものであり、適法であると考えられます。
また、Aさんは警察官による質問に対して返答をせず、その場を立ち去ろうとしているから、Aさんに対して、さらに職務質問を継続する必要性はあったと考えられます。
さらに、Aさんは警察官に対して「職務質問は任意でしょう、任意なら応じません」と言いましたが、警察官も食い下がり、2時間の間、職務質問を受けています。
この警察官の職務質問行為は、2時間という時間にとどまること、付近で発生した遺失物横領事件の被疑者によく似た風貌をしていたことなどを総合的に判断すれば、職務質問として許容される相当な時間的限界内にあったといえると考えられます。
以上より、今回の事例での警察官による職務質問は適法であると考えられます。
【遺失物横領罪とは】
Aさんは、上記職務質問により置引きをしたことを認めています。
Aさんは歩道にVさんが所有していたバッグが忘れられているのを見つけ、バッグを無断で持ち去っていますが、この行為は遺失物横領罪にあたると考えられます。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
Vさんの置き忘れられていたバッグは遺失物横領罪の「遺失物」に、そのバッグを無断で持ち去った行為が遺失物横領罪の「横領」に該当すると考えられるでしょう。
刑事弁護士としては、Aさんが遺失物横領罪の容疑を認めていることを前提に、例えば被害者の方に正式な謝罪や被害弁償を行い、示談締結を目指すなどの刑事弁護活動を行っていくことになるでしょう。
職務質問から刑事事件に発展した場合、自分の受けた職務質問が適法なのかどうかといったことに疑問を持たれる方もいるでしょう。
その判断には専門知識も必要となりますから、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
職務質問を受けた遺失物横領事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
職務質問から刑事事件に発展①
職務質問から刑事事件に発展①
職務質問から刑事事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県多治見市に住むAさんは、岐阜県多治見市内の歩道において、Vさんが所有していたバッグが忘れられているのを見つけ、バッグを無断で持ち去りました。
後日、Aさんが深夜、Vさんのバッグを持ち去ったのと同じ歩道付近を歩いていると、周辺をパトロールしていた岐阜県多治見警察署の警察官に声を掛けられました。
Aさんは、警察官から「この付近で発生した遺失物横領事件の犯人に似ている」と言われました。
Aさんは「職務質問は任意でしょう、任意なら応じません」と言いましたが、警察官も食い下がり、2時間にわたり職務質問を受けました。
その結果、Aさんは歩道に置いてあったバッグを持ち去った遺失物横領事件の犯人であることを認めました。
Aさんは、遺失物横領罪の容疑者として話を聞かれることとなったのですが、自分の受けた職務質問が違法なものなのではないかと疑問に感じ、弁護士に相談しようと考えています。
(2020年12月3日に岐阜新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【警察官職務執行法と職務質問】
この記事を読んでいる方の中にも、警察官から職務質問を受けたことがあるという方がいらっしゃるかもしれません。
今回の事例のAさんは、職務質問をきっかけに刑事事件の容疑者として捜査されるに至っています。
このいわゆる職務質問については、警察官職務執行法という法律に定められています。
警察官職務執行法2条は、職務質問について規定していますが、詳しく確認してみましょう。
警察官職務執行法2条1項
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。
警察官職務執行法2条1項は、警察官が一定の場合に職務質問ができることを規定しています。
警察官職務執行法2条2項
その場で前項の質問をすることが本人の対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
そして、続く警察官職務執行法2条2項は、職務質問の際、警察官が一定の場合に任意同行を求めることができることを規定しています。
警察官職務執行法2条3項
前2条に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身体を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
さらに、警察官職務執行法2条3項では、職務質問が任意に行われることを規定しています。
【職務質問の「停止」とは】
警察の活動は大きく分けて行政警察活動、司法警察活動の2つに分類されます。
行政警察活動とは、犯罪の予防・鎮圧を目的とする活動をいいます。
司法警察活動とは、特定の犯罪の発生を前提とする活動をいいます。
今回問題となっている職務質問は、犯罪の予防・鎮圧を目的として開始され、その後特定の犯罪の嫌疑が生じた後もその嫌疑について続けられることがあります。
この場合、当初の職務質問は行政警察活動、嫌疑が生じた後の職務質問は司法警察活動に分類されます。
ここで、刑事訴訟法197条は、「捜査については、その目的を達するために必要な取調べをすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」(任意捜査の原則、捜査比例の原則)と規定しています。
この「捜査」(刑事訴訟法197条)は、「犯罪があると思料するとき」になされます(刑事訴訟法189条2項参照)。
すなわち、「捜査」(刑事訴訟法197条)は、特定の犯罪の発生を前提としてなされる司法警察活動であるといえます。
このとき、司法警察活動としての職務質問は、「捜査」(刑事訴訟法197条)には該当し、刑事訴訟法197条の規制を受けます。
以上を前提に警察官職務執行法2条に定められている職務質問を見てみると、職務質問では一定の者を「停止させて質問することができる」とされてますが、司法警察活動としての職務質問の「停止」とは、任意の停止を意味すると考えられます(刑事訴訟法197条の任意捜査の原則より)。
また、司法警察活動としての職務質問の「停止」は、その必要があるときに、相当と認められる限度でなされなければならないと考えられます(刑事訴訟法197条の捜査比例の原則より)。
ただし、任意といっても、犯罪の予防・鎮圧という目的を達成するため、純粋に任意という意味ではなく、ある程度の有形力の行使や説得行為も許されると考えられます。
職務質問に際に警察官により暴力を振るわれるなど、職務質問の任意性が疑われるときには、刑事事件に強い弁護士に相談し、警察官の職務質問の違法性を争うこともできると考えられます。
まずは具体的な状況と照らし合わせて検討することが必要ですから、職務質問について疑問がある場合には、早めに弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
職務質問をきっかけに刑事事件の容疑者となってしまった、刑事事件の手続や見通しが不安だという方は、お気軽にご相談ください。
「逆送」と改正少年法の「特定少年」
「逆送」と改正少年法の「特定少年」
「逆送」と改正少年法の「特定少年」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県岐阜市に住んでいる18歳のAさんは、友人らと一緒に近所のコンビニに押し入り、店員に包丁を突き付けてレジに入っている売上金を渡すように迫りました。
Aさんらは売上金を奪うと逃走しましたが、店員が岐阜県岐阜羽島警察署に通報したことで警察官が駆け付け、Aさんらは強盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親は、Aさんが逮捕されたことを知り、どうにかAさんの力になれないかと少年事件について調べてみました。
ネットで「18歳で少年事件を起こすと逆送される」といった情報を見かけたAさんの両親は、「逆送とは何なのか」「18歳のAさんの受ける手続きはどういったものなのか」と不安になり、少年事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・「逆送」とは何か?
少年事件の手続の中で、「逆送」という言葉が登場することがあります。
今回のAさんの両親も、少年事件について調べる中で「逆送」という言葉を見つけています。
では、この「逆送」とはどういった手続を指すのでしょうか。
「逆送」とは、少年事件を家庭裁判所から検察官へ送致する手続のことを指します。
少年事件は、警察や検察の捜査を受けた後、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。
基本的に、少年事件は家庭裁判所での調査を経て審判に付せられ、その後少年は保護処分となります。
しかし、一定の条件に当てはまる少年事件については、刑事手続を受けることが相当であるという判断が下される場合があります(参考:少年法第20条)。
この場合に、少年事件を家庭裁判所から検察官へ戻す=普段とは「逆」に「送致」する手続が「逆送」と呼ばれているのです。
それでは、「逆送」後にその少年事件がどういった手続で進んでいくのか確認してみましょう。
少年法では、少年事件が「逆送」され、検察官のもとに再度送られた後の手続について、以下のように定められています。
少年法第45条
家庭裁判所が、第20条の規定によつて事件を検察官に送致したときは、次の例による。
第5号 検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。
ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。
送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。
少年法第45条第5号では、「逆送」された少年事件について、検察官が犯罪の嫌疑が相当程度あると考えた場合には原則として起訴しなければならないと定められています。
つまり、家庭裁判所から「逆送」された少年事件については、基本的に起訴されるものと考えた方がよいということです。
「逆送」された少年事件が起訴されると、成人の刑事事件同様、刑事裁判となります。
通常の少年事件において家庭裁判所で開かれる審判では、有罪・無罪を決めることはなく、その審判で少年に付される保護処分も刑罰ではありません。
しかし、「逆送」され起訴された後に開かれる刑事裁判では、成人の刑事事件と同じく有罪・無罪が判断され、有罪であった場合には刑罰の重さも決められます。
その結果、刑務所へ行くことになる場合も考えられます。
・「逆送」と改正少年法の「特定少年」
ここまで確認してきた少年法ですが、令和4年4月1日には改正少年法が施行されます。
この改正少年法では、20歳未満の「少年」のうち、18歳・19歳の少年が「特定少年」とされ、17歳以下の少年と扱いを分けることが定められています。
今まで見てきた「逆送」に関しても、18歳・19歳の「特定少年」であるのか、17歳以下の少年であるのかによって大きな違いが生まれることになりました。
以下、改正少年法の該当箇所を確認してみましょう。
改正少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)
改正少年法第62条では、第1項で「特定少年」に係る少年事件について刑事処分が相当であると判断できる場合には「逆送」できるということを、第2項で「特定少年」が起こした少年事件で「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」は原則「逆送」とすることが定められています。
現行の少年法では、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件」(少年法第20条第1項)が「逆送」できる事件として、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの」(少年法第20条第2項)が原則「逆送」する事件として定められています。
ですから、改正少年法では、「特定少年」について「逆送」できる事件の範囲と、原則として「逆送」する事件の範囲が広がったということになります。
今回の事例のAさんの場合、Aさんの年齢は18歳です。
ですから、この事例が起こった時期が令和4年4月1日以降の改正少年法施行の後のことであれば、Aさんは「特定少年」の扱いを受けることになるでしょう。
Aさんの容疑のかけられている強盗罪(刑法第236条第1項)ですが、その法定刑は「5年以上の有期懲役」となっていますから、改正少年法の「特定少年」の原則「逆送」の条件である「短期1年以上の懲役」に当てはまります。
そのため、Aさんの事例が令和4年4月1日以降の話であれば、Aさんの強盗事件は原則「逆送」され、刑事手続に則って処理されることになると思われます。
先ほど確認した通り、「逆送」されるということは成人の刑事事件同様に刑事手続を受けるということです。
起訴されて刑事裁判を受ける可能性も高く、有罪となれば刑罰を受けることにもなります。
少年事件の手続に対する対応だけでなく、刑事裁判を見据えた対応も行わなければなりませんから、刑事事件・少年事件両方に対応可能な弁護士に相談・依頼することが重要です。
刑事事件・少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、改正少年法施行後の少年事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
少年事件への対応が不安な方、「逆送」に関する弁護活動を詳しく聞いてみたいという方、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
逮捕と勾留の違いとは
逮捕と勾留の違いとは
逮捕と勾留の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、岐阜県各務原市内にある各務原駅付近の歩道において、携行している荷物がVに接触したという理由でVと口論になり、カッとなったAさんはVの左大腿部を蹴ってしまいました。
すぐにVは岐阜県各務原警察署へ通報し、Aさんは暴行罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
逮捕を知らされたAさんの家族は、Aさんがいつ帰ってこられるのか不安でたまりません。
そこで、Aさんの家族は、岐阜県の逮捕に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)
~暴行罪について解説~
他人に暴行を加えたものの、人を傷害するに至らなかった場合に暴行罪が成立します(刑法第208条)。
「暴行」とは、他人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、他人を殴る、蹴るなどの行為がその典型例です。
暴行罪の法定刑は、「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となっています。
これによって被害者に怪我を負わせてしまった場合には、「傷害罪」(刑法第204条)が成立します。
他人の左大腿部を蹴る行為は典型的な暴行行為といえます。
Aさんには暴行罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
~「逮捕」と「勾留」の違い~
法律用語において「逮捕」と「勾留」は厳密に区別されていますが、日常においてはそれほど厳密に区別されていないかもしれません。
逮捕された後には、すぐに釈放されるケースもありますが、留置の必要があると認められると、留置場に入ることになります。
身体拘束を受けたまま検察官に事件が送致される場合には、逮捕時から48時間以内に事件と被疑者が検察へ送致され、検察官の取調べを受けることになります。
検察官は事件と被疑者を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。
(逮捕直後は「勾留」ではない)
ここまでが「逮捕」の効力として身体拘束できる時間となります。
留置場に入ったことをもって、「勾留」されたと表現する方もおられますが、この段階ではまだ「勾留」はされていません。
検察官による勾留請求のあと、裁判官が「勾留決定」をすれば「勾留」されることになります。
この場合は、10日間の身体拘束を受けることになります。
さらに、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
~早期の身体解放を実現するためには?~
身体拘束が長引けば長引くほど、Aさんの社会復帰を困難にします。
反対に、逮捕直後に適切な弁護活動を行うことにより、勾留されずに済む場合もあります。
(勾留されずに済む場合とは?)
Aさんに対する被疑事実は、面識のないVに対する暴行です。
家族や恋人に対して日常的に暴力を振るっていたという場合は別論ですが、面識のない人物に対する暴行であれば、勾留されずに釈放されるケースも多々あります。
勾留されずに済む場合として、①逮捕後、身元引受人がいるなどの理由により、警察官が留置の必要がないと判断して釈放するケース、②検察官が勾留請求を行わず釈放するケース、③検察官が勾留請求を行ったが裁判所が勾留を認めず却下されるケースがあります。
勾留されなければ、逮捕日から1~3日程度で外に出ることができます。
ただし、逮捕された被疑者本人が、身体解放の実現に向けて行動することは極めて困難です。
効果的な身体解放活動を行うためには、留置場の外で積極的に活動することが極めて重要です。
そのためには、逮捕された後、可能な限り早い段階で弁護士を依頼することが大切です。
ご家族が暴行罪の疑いで逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士へ連絡し、身体解放活動を依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
ご家族が暴行罪の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
薬剤師を目指す大学生の痴漢事件
薬剤師を目指す大学生の痴漢事件
薬剤師を目指す大学生が痴漢事件を起こしてしまったというケースを例にとって、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
薬剤師資格の取得を目指して薬学部に通うAさんは、岐阜県岐阜市内を走行する電車に乗車中、近くにいた女性Vに対してふいに劣情を催し、その臀部を触れる等の行為に及んだところ、Aさんは目撃者Wによって取り押さえられ、AさんとV、Wは次の停車駅で降車しました。
Aさんは駆けつけた鉄道警察隊により、岐阜県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕され、岐阜県岐阜北警察署に連れて行かれました。
Aさんは自らの軽率さを大いに反省していますが、薬剤師資格の取得を諦めなければならなくなるのではないかと、将来への不安も感じています。
(フィクションです)
~Aさんに成立しうる罪とは~
今回のケースでは、Aさんに岐阜県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いでしょう。
岐阜県迷惑行為防止条例第3条1項1号は、「何人も、正当な理由がないのに、公共の場所にいる者又は公共の乗物に乗つている者に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で」「衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること」を禁止しています。
Aさんは、公共の乗物である電車に乗車しているVの臀部に触れる等の行為を行っています。
当該行為は、岐阜県迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性が高いと考えられます。
前記行為につき有罪判決が確定すると、「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処せられます(岐阜県迷惑行為防止条例第13条1項1号)。
~資格取得と刑事事件の関係・注意点~
Aさんは薬剤師資格の取得を目指して薬学部に通う大学生です。
薬剤師資格の取得を諦めなければならなくなる事態を憂慮しているとのことですが、確かにケースの痴漢事件を起こしたことによって、法律上、薬剤師資格を取得できなくなる事態はありえます。
薬剤師法第5条3号は、「罰金以上の刑に処せられた者」につき、薬剤師免許を与えないことがあるとしています。
ケースのような痴漢事件の場合、初犯の被疑者が有罪判決を受ける際は、罰金刑を言い渡されることが多いようです。
Aさんが罰金刑を言い渡されたとしても、免許を与えるか否かについては薬剤師法上、厚生労働大臣の裁量が認められているため、絶対に免許が受けられない、というわけではありません。
もっとも、免許を受けられなくなるリスクは極力排除するのが望ましいことはいうまでもありませんし、前科がつくことによって、今後の就職活動にも悪影響を及ぼす可能性が考えられます。
現在在籍している大学から懲戒を受ける可能性にも注意する必要があるでしょう。
~罰金刑の回避を目指す~
もし被害者であるVに対して被害弁償を行い、示談を成立させることができれば、起訴されずに済む可能性が高まります。
起訴されなければ、裁判にかけられることはないので、前科が付くことを回避することができます。
示談書に宥恕条項(注1)なども入れてもらうことができれば、不起訴処分を獲得できる可能性がさらに高まるでしょう。
また、示談が成立したことにより、早期の身柄解放を実現できる可能性も高まります。
(注1)
被害者において、被疑者に対する寛大な処分を希望する意思表示を指します。
宥恕条項を示談書に入れてもらうことができれば、起訴・不起訴を決める検察官に対し、Aさんにとって有利な事情としてアピールすることができます。
~まずは弁護士と相談~
もっとも、前述の弁護活動は留置場や拘置所の外でなければ展開することができないものです。
示談交渉や身柄解放活動は、法律の専門家である弁護士に一任し、最もAさんにとって有利に行動してもらうことをおすすめします。
逮捕されてしまった場合には、十分な時間を事件解決に充てることができるかどうかが、事件の結果を左右するカギとなります。
痴漢の疑いで逮捕されてしまった場合には、速やかに弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
岐阜県関市の貨幣損傷等取締法違反事件
岐阜県関市の貨幣損傷等取締法違反事件
岐阜県関市の貨幣損傷等取締法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県関市に住むAさんは、個人で楽しむために500円硬貨に穴を開けてペンダントにしていました。
ある日そのペンダントをつけて関駅前をを歩いていたところ、Aさんは岐阜県関警察署の警察官に職務質問を受けました。
岐阜県関警察署の警察官がAさんのペンダントを見て「このペンダントの500円は本物のお金ですか?」と聞いてきたため、Aさんは「そうです。」と答えました。
すると岐阜県関警察署の警察官は、「本物の硬貨に穴をあけたりするのは、貨幣損傷等取締法違反という犯罪になりますよ。」とAさんに伝えました。
驚いたAさんですが、後日岐阜県関警察署に貨幣損傷等取締法違反の疑いで出頭することになりました。
Aさんは、今後自分がどうなるのかと不安に思い、出頭の前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
【硬貨に穴をあけると犯罪になりますか】
自分で装飾品として楽しむだけなら、硬貨に穴をあけても良いのでは、と思われるかもしれません。
しかし、「貨幣損傷等取締法」という法律があり、硬貨の損傷や溶解は禁止されています。
貨幣損傷等取締法の内容を見ていきましょう。
貨幣損傷等取締法
第1項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
第2項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
第3項 第1項又は前項の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
貨幣損傷等取締法の「鋳つぶす」とは、金属の器物を溶かして地金にすることをいいます。
この法律の対象となっている「貨幣」とは、500円、100円、50円、10円、5円及び1円の六種類の貨幣や、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第5条3項に定める記念貨幣のことです。
この貨幣損傷等取締法という法律は、昭和22年に制定された法律で、終戦直後に金属資材が高騰した時、当時の50銭や1円などの硬貨を鋳つぶしてしまう事件が多発し、そのことに対応するために制定されたものです。
貨幣損傷等取締法は、あくまで貨幣に対する法律ですので、日本銀行券(いわゆる紙幣)はこの法律の対象外です。
なお、貨幣の場合とは異なり、日本銀行券を損傷することを罰する法律はありません。
【弁護活動について】
貨幣損傷等取締法は、あまり普段聞き馴染みのない法律だと思います。
貨幣損傷等取締法違反で検挙されることがあまりありませんので、なじみがない、聞いたことがないということもあるかと思います。
前例も少ないため、検挙された場合どのような処分になるのか分りにくいところもあります。
Aさんのように、自分で装飾品として使うためだけに、1枚だけ貨幣に穴をあけたということならば、不起訴による起訴猶予処分も得られる可能性が有ります。
ただし、例えば前科がある、自分で使うためではなく販売するために大量の貨幣に穴をあけたとなれば、起訴され、懲役刑や罰金刑となる可能性が高くなります。
ご自分で処分がどうなるのか、見通しを立てるのは大変難しいと思いますので、刑事事件に強い弁護士にぜひご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
貨幣損傷等取締法違反などのなじみのない犯罪についても、安心してご相談頂けます。
岐阜県関市の貨幣損傷等取締法違反事件でご自身やご家族が話を聞かれることになった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。