Archive for the ‘未分類’ Category
家庭内暴力事件で逮捕
家庭内暴力事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県不破郡垂井町に住む会社員のAさんは、妻の連れ子Vに対して勉強をするよう指示したところ、Vが反抗的な態度をとったため、カッとなったAは、Vの脚を蹴り、Vを転倒させ、右腕を骨折させる怪我を負わせてしまいました。
Aの妻がVを病院に連れて行った際に、VがAからしつけとして殴る蹴るの暴行を受けていると話したため、病院は岐阜県垂井警察署に通報し、事件が発覚しました。
後日、岐阜県垂井警察署はAを傷害の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの母親は、家庭内暴力事件とだけ警察から聞き、どう対応したらいいのか不安で刑事事件に強い弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)
家庭内暴力事件で逮捕されたら
家庭内暴力(DV)は、昔は家庭内の問題として警察が介入することには消極的でしたが、最近では、家庭内暴力の結果被害者が死亡してしまう痛ましい事件が後を絶たないことから、警察も事件性があると判断する場合には捜査を開始し、必要があれば被疑者を逮捕するに至っています。
被害者に対する身体的暴力を振るった場合には、暴行罪や傷害罪、性的暴力については強制わいせつや強制性交等罪、監護者強制わいせつ、監護者強制性交等罪、ネグレクトの場合には保護責任者遺棄などという罪に問われる可能性があります。
家庭内暴力事件で逮捕された場合、被疑者と被害者の関係性から、釈放すれば被疑者が被害者に供述を変えるよう迫る等、罪証隠滅を行う可能性があると考えられ、逮捕後に勾留される可能性は高いでしょう。
勾留となれば、逮捕に引き続き比較的長期間その身柄が拘束されることになるため、被疑者が職を失ってしまうおそれがあります。
被疑者の所得に頼っている家庭の場合、被疑者の長期拘束により職を失うことで、被害者を含めた家族が大きな不利益を被る可能性もあります。
そのため、勾留される可能性が高い家庭内暴力事件においても、弁護士は、身柄解放を目指す活動を行います。
上の事例を例として具体的に考えてみると、少なくとも事件が終了するまでは、Aが、妻やVと別居し、Aの母親がAを監視監督するなどしてAが妻やVに接触することのないよう環境を調整することも罪証隠滅のおそれがないことを立証する1つの要素となります。
そのことを、報告書や意見書にまとめ、検察官や裁判官に提出し、勾留請求しないよう、勾留の決定をしないよう働きかけます。
通常、被害者のいる事件では、被害者への謝罪・被害弁償、示談を成立させることで事件の早期解決を目指します。
家庭内暴力事件もまた被害者のいる事件ではありますが、配偶者や子供といった身近な人物に対する暴力であり、被害者がすんなりと示談に応じてくれることは期待することが難しいと言えるでしょう。
配偶者間の喧嘩の延長のようなものであれば、被害者とされる配偶者も「こんな大事になるとは思っていなかった。」として被害届を出さなかったり、自ら被疑者の釈放をお願いしたりします。
しかし、度重なる家庭内での暴力や子供への暴力が問題となる場合には、被害者あるいは被害者の保護者が示談に応じないことも少なくありません。
そのような場合には、被疑者が再び罪を犯すことのないことを客観的な証拠に基づいて立証する必要があります。
例えば、配偶者と離婚するなどして、被害者に再び暴力を振るってしまうような環境を絶たせる、カウンセリングの受診など、被疑者の反省と再発防止策をきちんととっていることを検察官に報告し、不起訴処分とするよう働きかけます。
家庭内暴力事件で被疑者として逮捕された場合には、できるだけ早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動や不起訴処分をはじめ、できるだけ穏便に事件が解決するよう弁護活動を行うことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
公判請求され弁護人を選任
公判請求され弁護人を選任する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県岐阜羽島警察署は、岐阜県羽島市のスーパーマーケットで商品を万引きしたとして、窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
その後、Aさんは夫を身元引受人として釈放されました。
岐阜羽島警察署、岐阜地方検察庁での取調べを終え、ある日、岐阜地方裁判所から起訴状が郵送されてきました。
同封されていた書面には、弁護人の選任について問われており、Aさんは刑事事件専門弁護士に相談に訪れました。
(フィクションです。)
公判請求されたら
検察官は、捜査が終了すると、被疑者を起訴するかどうかを決めます。
検察官が、起訴が相当であると判断する場合には、公訴を提起することになります。
これを起訴処分といいます。
公訴を提起する権限は、原則として検察官にのみ認められています。
起訴処分には、公開の法廷における裁判を求める公判請求と、公判手続を経ずに書面審査で罰金又は科料を科す裁判を求める略式命令請求とがあります。
公開した法廷における審理を求める起訴のことを「公判請求」といいます。
公判は、公判請求から裁判が確定するまでの手続全体のことですが、一般的には、冒頭手続、証拠調べ、論告・弁論、判決からなる公判期日の審理手続のことを指します。
公判請求は、検察官が裁判所に起訴状を提出して行います。
起訴状には、被告人がいかなる事実および罪名で起訴されたのかが記載されています。
公判では、被告人が公訴事実(被告人が、いつ、どこで、どういう犯罪を起こした、とされているのか、起訴状に記載されている審理の対象となるもの)の通りのことをしたのかどうか、を取り調べて明らかにされます。
公判は、冒頭手続に始まり、証拠調べを経て、当事者の最終の意見陳述を行い、判決が言い渡されます。
冒頭陳述は、検察官が証拠に基づいて証明しようとする事実を明らかにする手続です。
具体的には、人定質問、起訴状朗読、黙秘権等の権利の告知、被告人および弁護人の被告事件についての陳述、の順で行われます。
冒頭陳述が終わると、証拠調べ手続に入ります。
まず、検察官が、証拠に基づいて公訴事実の存在を合理的な疑いを入れない程度にまで証明するための立証活動を行います。
刑事裁判においては、検察官が証拠によって犯罪の証明を行う責任を負っていますので、検察官による犯罪の証明が不十分(合理的な疑いを入れない程度にまで証明されていない)であれば、裁判所は無罪判決を下さなければなりません。
証拠調べ手続において、検察官は、まず、検察官が証拠により証明しようとする事実について述べます。
これには、公訴事実の他、公訴事実の存在を推認させる間接事実も含みます。
その後、弁護人が、審理で証拠によって証明しようとする事実について陳述します。
そして、検察官は、証拠調べの請求を行い、裁判所は、被告人側の意見を聴いた上で、証拠として取り調べるか否かを決定します。
検察官の証拠調べ請求に続いて、被告人側も証拠調べ請求を行いますが、その場合も検察官が同じように意見を述べます。
裁判所が証拠として取り調べることを決定した場合、法廷において証拠調べを実施します。
証拠調べ手続が終わると、検察官、被告側が、それぞれ、有罪か無罪か、犯罪の悪質性や被告人の更生可能性等情状に関する点、有罪だとする場合には、どのような刑罰を科すべきか、といった事件に関する意見を述べます。
そして、証拠調べの結果や当事者の主張を踏まえて、裁判官(合議体の場合は裁判官3名)が、有罪・無罪の判決を行います。
弁護人の役割
刑事裁判では、検察官、被告人側が証拠を収集・提出し、証拠に基づいて自己が主張する事実を証明しようと努めます。
検察官は、法律家ですので、専門知識や経験も豊富ですが、被告人は、ほとんどの場合、法律に詳しいわけではありません。
そのため、被告人の代理人・補助者としての弁護人の役割が極めて重要になります。
弁護人は、事件内容を十分に理解し、証拠の検証を行い、被告人や関係者との綿密な打ち合わせを行った上で、公判に向けた弁護方針を確定させます。
公訴事実について争うのか、争うのであればどの点を争うのか、検察官の立証に対してどのように争うのか、被告人側の主張、立証をどのようにするのか、情状としてどのような点を主張・立証するのか、被害者がいる場合には示談をどのように行うのか、などといった点について方針を明らかにしておく必要があります。
基本的な弁護方針が決まれば、被告人側でどのような証拠を提出するのか、収集・整理します。
捜査段階で身体拘束を受けていない場合、弁護人を選任しないまま、公判請求されるケースも少なくありません。
裁判所から届いた起訴状とともに、弁護人の選任についてどうするかを問う内容の書面が入っており、その後に弁護人選任について検討される方も多くいらっしゃいます。
刑事事件での弁護人には、刑事事件に詳しい弁護士を選任されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
公判請求され弁護人の選任にお悩みであれば、一度弊所の弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件を起こしたら
少年事件を起こした場合の流れや弁護士の役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県恵那警察署は、岐阜県恵那市にある高校1年生のAくんの自宅を早朝に訪れました。
捜索差押の後、Aくんはそのまま警察署に連れて行かれました。
Aくんの母親は、警察から「小学生の女の子にいたずらをした。」とだけ聞かされました。
その後、警察からAくんを逮捕したとの連絡を受けました。
Aくんの両親は、どう対応したらいいのか分からず、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)
少年事件の流れ
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、捜査機関が事件について捜査を開始します。
少年が14歳以上であれば、捜査段階では、成人の場合とほぼ同じ手続に付されることになります。
そのため、被疑者である少年の身体を拘束して捜査をすべきと思料されるときは、少年であっても逮捕・勾留されます。
被疑者が少年の場合、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」がとられ、警察署の留置場ではなく少年鑑別所に収容されることがあります。
勾留と「勾留に代わる観護措置」とは、留置場所や勾留期間などが異なります。
勾留の期間は、原則10日で、延長が認められれば最大で20日です。
一方、「勾留に代わる観護措置」の期間は10日で、延長は認められません。
捜査機関は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑が認められる場合や、犯罪の嫌疑が認められなくとも少年を審判に付すべき事由がある場合には、原則すべての事件を家庭裁判所に送ります。
逮捕・勾留されずに不拘束のまま取調べを受けている少年は、事件の処理に特別な期限は設けられていませんので、本人や保護者が知らないうちに事件が家庭裁判所に送致されていることも少なくありません。
少年が14歳未満の場合には、刑事責任に問えませんので、警察は少年を取り調べることはできません。(ただし、調査をすることはできます。)
この場合、警察は児童相談所に送致・通告し、児童相談所は、児童福祉法上の措置をとって事件を終了させる、もしくは家庭裁判所の審判や保護処分が必要であると判断する場合には家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、送致されてきた事件について、審判を開始するかどうかを決定します。
これまでの手続の過程で、少年が十分に改心し、審判を行う必要がないと判断された場合には、審判手続を開始せずに終了します。
この決定を「審判不開始」決定といいます。
審判を開始するかどうかは、調査官が調査を行った上で判断されるのですが、少年が捜査段階で逮捕・勾留されている場合には、事件が家庭裁判所に送致されてきたときに、調査官への調査命令と同時に審判開始決定がなされます。
家庭裁判所は、事件が係属している間いつでも観護措置をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全する措置です。
捜査段階で身柄が拘束されていた場合には、家庭裁判所に送致されたときに観護措置がとられるケースが多くなっています。
しかし、捜査段階で在宅であった少年でも、家庭裁判所送致後に観護措置がとられることもあります。
観護措置の期間は、法律上は2週間で、1回に限り更新が認められるのですが、実務上は期間は更新されて4週間で運営されています。
調査官により調査が終わると、審判が開かれます。
審判では、非行事実と要保護性が審理され、裁判官から少年に対して最終的な処分が言い渡されます。
終局処分には、①審判不開始決定、②不処分決定、③知事・児童相談所長送致、④検察官送致、⑤保護処分とがあります。
さらに、⑤保護処分には、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致、の3種類があります。
少年事件における弁護士の役割
少年事件においても、弁護士は、捜査段階では弁護人として、家庭裁判所送致後は付添人として、少年の権利や利益を保護するべく活動します。
少年事件でも、捜査段階の逮捕・勾留、家庭裁判所送致後の観護措置といった少年の身体を拘束する措置がとられることがあります。
少年の身柄が拘束されると、学校や仕事を休まなければならず、その期間が長ければ長いほど、その後の生活に大きな支障をきたす可能性が高まります。
そのため、不当・不要な身体拘束を避けるために、弁護士は身柄解放活動に従事します。
また、少年事件では、少年審判で非行事実とともに要保護性が審理されます。
要保護性とは、多義的に用いられますが、一般的には、次の3つの要素から構成されるものと理解されています。
①犯罪的危険性
少年の性格、環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分により犯罪的危険性を解消できる可能性があること。
③保護相当性
少年の処遇によって保護処分が最も有効かつ適切な手段であること。
保護処分に付するためには、要保護性の要件が必要となり、要保護性が高ければ少年院送致という厳しい処分となりまし、低ければ社会内処遇である保護観察処分となります。
また、審判時には要保護性が解消され、保護処分に付する必要がないと認められれば、不処分が決定されます。
少年事件は、事件の軽重がそのままストレートに処分に反映されるのではありませんので、少年の要保護性をいかに解消したかが最終的な処分に大きく影響する点で、成人の刑事事件とは大きく異なると言えるでしょう。
弁護士は、要保護性の解消に向けた環境調整活動を行い、少年の更生に適した環境を整えるよう努めます。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし逮捕されてお困りの方、在宅ではあるが被疑者として捜査されており対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
飲酒運転で人身事故を起こしたら
飲酒運転で人身事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県揖斐郡揖斐川町で飲酒運転をして人身事故を起こしたAさんは、岐阜県揖斐警察署に現行犯逮捕されました。
逮捕後に、勾留されずに釈放となりましたが、Aさんは今後どのように対応すべきか分からず不安でたまりません。
Aさんは、すぐに、刑事事件専門弁護士に法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)
飲酒運転をした場合
まずは、飲酒運転をした場合に、どのような罪に問われるのか、について説明します。
道路交通法第65条1項は、次のように規定し、飲酒運転を一般的に禁止しています。
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
「酒気を帯びて」とは、酒を飲むなどして、体内にアルコールを保有している状態のことをいいます。
体内のアルコールを保有して車両等を運転すること、つまり、いわゆる「飲酒運転」と禁止しているものですね。
このように、道路交通法は飲酒運転を禁止していますが、それに違反する行為(=飲酒運転)の全てが刑事罰の対象となるわけではないのです。
道路交通法第117条の2の2第3号は、
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定しています。
この場合、酒気を帯びて車両等を運転した者であって、かつ、身体に政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態であったことが要件となります。
ここでいう「政令で定める程度」とは、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです。
この基準値以上のアルコールが体内から検出された場合には、道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われることになります。
加えて、道路交通法第117条の2第1号は、
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すると規定しています。
酒に酔った状態で車両等を運転することを「酒酔い運転」と呼びます。
この「酒に酔った状態で」とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態のことをいいます。
これに該当するかどうかは、先の酒気帯び運転のように基準値以上であるかどうかといったものではなく、直線の上を歩かせてふらつくかどうか、視覚が健全に働いているかどうか、言動などから判断・認知能力の低下がないかどうか、といったような点が総合的に判断されます。
飲酒運転は悲惨な事故に繋がりかねず、大変危険な行為であるため、単なる飲酒運転であっても厳しい処罰の対象となります。
飲酒運転で人身事故を起こした場合
それでは、飲酒運転で人身事故を起こした場合には、どのような罪が成立するのでしょうか。
これは、大きく2つの場合に分けられます。
まずは、道路交通法違反(酒気帯び運転または酒酔い運転)と過失運転致死傷罪の2つの罪が成立する場合です。
飲酒運転について、道路交通法違反が成立し、自動車を運転する上で必要な注意義務を欠き人を死傷させてしまったことについて過失運転致死傷罪が成立するものです。
この場合、2つの罪は、併合罪の関係になり、法定刑は刑の長期を罪が重い方の刑期の1.5倍となりますので、一般的には懲役刑が選択されるため、10年6月以下の範囲内で懲役刑が選択されることになります。
次に、危険運転致死傷罪の罪が成立する場合です。
「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」、人を負傷させた場合には、15年以下の懲役が、人を死亡させた場合には1年以上の有期懲役に処せられる可能性があります。
また、「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り」、人を負傷させた場合には12年以下の懲役、人を死亡させた場合には15年以下の懲役が科される可能性があります。
危険運転致死傷罪は極めて厳しい罪であり、人を死亡させた場合には、裁判員裁判対象事件となります。
飲酒運転で人身事故を起こした場合、その悪質性から、基本的には公判請求される可能性が高いと言えるでしょう。
ですので、早期に弁護士に相談し、裁判に備えた弁護活動をしてもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少女を自宅へ連れ去る未成年者誘拐事件
少女を自宅へ連れ去る未成年者誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県内在住の少女を車で県外の自宅まで連れ去ったとして、岐阜県岐阜北警察署は、Aを未成年者誘拐の容疑で逮捕しました。
Aと少女はネット上で知り合い、連絡を取り合う中で、少女が家族とうまくいっていないことを聞き、「自宅に連れていってあげる。」と誘い、少女の自宅付近まで車で迎えに行き、少女を車に乗せて自宅に戻り、3日間誘拐したとのことです。
少女の保護者からの届けで岐阜北警察署が捜査を開始し、Aの自宅近で少女を保護し、一緒にいたAを逮捕しました。
Aは、「無理やりではなく少女の同意のもとだった。」と主張しています。
(フィクションです。)
未成年者誘拐
未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合に成立する罪です。
未成年者略取・誘拐罪は、未遂も処罰の対象となります。
未成年者略取・誘拐罪の保護法益に関しては、これまで、未成年者の自由、未成年者に対する保護者の監護権、自由と監護権の両方、とする考え方がそれぞれ対立してきました。
判例は、未成年者の自由のほか、保護者の監護権も含まれるとする立場をとっています。(大判明43・9・30)
このため、例え未成年者の同意があったとしても、保護者の監護権を侵害している場合には、未成年者略取・誘拐罪が成立することになります。
■客体■
未成年者略取・誘拐罪の客体は、未成年者であり、20歳未満の者をいいます。
未成年者には、意思・行動能力を欠く嬰児等も含まれます。
婚姻によって成年に達したものとみなされる場合を含むか除くかについては、見解の対立があります。
■行為■
略取・誘拐とは、人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力的支配下に移すことをいい、暴行または脅迫を手段として行う場合が「略取」であり、欺罔または誘惑を手段として行う場合が「誘拐」です。
手段行為である暴行・脅迫や欺罔・誘惑は、未成年者に対して行われる必要はなく、監督者を錯誤に陥れた場合にも犯罪は成立します。
誘惑を手段とする場合について、いやしくも通常人の欲情を挑発しその判断をまどわせつ事実を告げれば足りるとされています。(大判大14・10・9)
以上が未成年者略取・誘拐罪の構成要件であり、これらに該当する場合は、基本的に、未成年者略取・誘拐罪が成立することになります。
上の事例のように、未成年者の同意があったことをもって犯罪は成立しないと主張されることが多々ありますが、未成年者の同意があったとしても、未成年者を連れ去る行為は、保護者の監護権を侵害するものですので、未成年者誘拐罪の成立を妨げるものではありません。
未成年者誘拐事件で被疑者となった場合
未成年者略取・誘拐罪は、親告罪です。
親告罪は、被害者らの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
未成年者のみならず、その保護者も法定代理人であるため一般に告訴権を有しているため、保護者から告訴される可能性があります。
未成年者誘拐事件において、最終的な処分に大きな影響を与える要素としては、被害者側との示談が成立しているか、という点です。
被害者側と示談が成立し、告訴を取り下げてもらったり、告訴をしない旨を約束してもらえれば、起訴されることはありませんので、不起訴という形で事件が終了することになります。
そのため、被害者側との示談交渉を行う必要があります。
被害者自身は未成年ですので、実際の交渉相手は被害者の保護者となります。
未成年者誘拐事件では、未成年が同意していたケースが多く、未成年者自身は被疑者・被告人に対して処罰感情を有さない傾向にありますが、その保護者は被疑者・被告人に対する処罰感情が厳しいことがほとんどです。
ですので、一般的には、弁護士を介して被害者側と示談交渉を行います。
弁護士を通してであれば、冷静な話し合いの場を持つことが期待できますし、示談をすることの被害者側のメリット・デメリットを丁寧に説明することができます。
未成年者誘拐事件の被疑者となり、対応にお困りの方は、できる限り早期に弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が未成年者誘拐事件で逮捕されて対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
放火事件で逮捕されたら
放火事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県加茂郡坂祝町に住むAさんは、遺産相続の件で、同町に住む親族のVさんと揉めていました。
ある日、酒に酔ったAさんは、Vさん宅に火の付いた新聞紙を投げ入れました。
火は家に燃え移りましたが、Vさんの家族が気付いたことで早期の消火活動が行われ、家の一部を焼くに留まりました。
付近の防犯カメラの映像から、Aさんの容疑が高まり、数日後、岐阜県加茂警察署は、現住建造物等放火の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
放火の罪
刑法には、その第9章において、放火罪および失火罪について規定されています。
放火罪・失火罪は、火によって公共の危険を生じさせうるものであり、建造物などが燃えることにより、不特定多数の人の生命・身体・財産に危険をもたらす犯罪です。
放火罪は、その客体に応じて、①現住建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪、の3つがあります。
今回は、事例において問われている①現住建造物等放火罪について説明します。
①現住建造物等放火罪(刑法108条)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
◇客体◇
現住建造物等放火罪の客体は、「現に人が住居に使用し、または人が現在する建造物、汽車、電車、艦船もしくは鉱坑」です。
「建造物」とは、家屋その他これに類似する建造物をいい、屋根があり壁または柱で支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りすることができるものをいいます。
建具などの家屋の従物は、毀損しなければ取り外せない状態にある場合にのみ建造物の一部となります。
「現に人が住居に使用し」とは、犯人以外の一切の者が、起臥寝食の場所として使用することを意味し、現在しているか否かを問いません。
また、「人が現在する」というのは、放火の当時、犯人以外の者が中にいることをいいます。
◇行為◇
現住建造物等放火罪の行為は、「放火して」客体を「焼損」させることです。
「放火」とは、目的物の燃焼を惹起させる行為、あるいは、それに原因力を与える行為をいいます。
放火には、家に直接火をつける、家に火をつけるために布団に火をつけるといった作為だけでなく、不作為による放火も含まれます。
「焼損」とは、火が放火の媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいいます。
目的物の主要部分が毀損することや、効用が害されることまでは必要とされません。
例えば、家の柱、ひさし、ひさし受けの一部を燃焼させた場合や、天井板を約1尺四方焼いた場合などは、「焼損」に当たるとされます。
放火行為と焼損との間には因果関係がなければなりません。
◇故意◇
現住建造物等放火罪の故意は、人が現に住居として使用していること、または他人が現在する建造物であることの認識、および放火によりその客体を焼損させることの認識であり、未必的でも足ります。
放火事件で逮捕されたら
放火事件(ここでは現住建造物等放火としましょう。)で逮捕されると、逮捕後に勾留される可能性は高いでしょう。
法定刑に死刑も含まれる重罪ですので、有罪となった場合には厳しい刑罰が科される可能性があり、「被疑者が逃亡するおそれがある」と判断され得るからです。
捜査が終結し、有罪とするための証拠が十分にあると検察官が判断すれば、被疑者は起訴され、被告人となります。
現住建造物等放火罪の法定刑には、懲役刑以上の刑しかありませんので、略式手続に付されることはなく、検察官は公判請求という形で公訴を提起します。
検察官からの公判請求を受けて、裁判所は当該事件についての審理を開くわけですが、先述したように、現住建造物等放火罪の法定刑には死刑が含まれているため、現住建造物等放火事件は、裁判員裁判対象事件となります。
裁判員裁判は、裁判官に加えて、市民から選ばれた裁判員が事件を審理するもので、通常の裁判とは異なる点が多々あります。
例えば、裁判員裁判対象事件では、公開の審理が行われる前に、裁判官、検察官、被告人・弁護人の3者で行う公判前整理手続に付され、裁判での争点を明らかにし、裁判で取り調べる証拠を整理します。
こうすることで、適正迅速でわかりやすい裁判にすることができます。
また、一般市民の代表である裁判員が参加することで、通常の裁判では専門用語を並べて行っていたものを、より分かりやすい形で法廷での弁論を展開しなければなりません。
このように、裁判員裁判は、通常の刑事裁判とは異なる点も多く、弁護人は、より高度な弁護力が求めらます。
放火事件でご家族が逮捕された、裁判員裁判対象事件を起こしてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。
まずは、お気軽にご相談ください。
児童ポルノ製造事件
児童ポルノ製造事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
SNSで知り合った女子中学生に裸の画像複数枚をスマートフォンに送信させたとして、会社員のAさんが岐阜県郡上警察署に児童ポルノ製造の疑いで逮捕されました。
女子中学生とAさんとのSNS上のやり取りを知った女子中学生の保護者が、郡上警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは女子中学生に裸の写真を送ってもらったことは認めていますが、「無理やりではなく、相手も同意した上のことだった。」と述べています。
Aさん逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、今後どのように対処すればよいのか分からず、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
児童ポルノ製造罪
インターネットの普及に伴い、インターネットを介しての犯罪も増加傾向にあります。
インターネットを介して知り合った人物に対して、有償無償にかかわらず、自己の裸の写真や動画を送ってしまうケースも相次いでおり、児童ポルノの被害に遭う子供たちも少なくありません。
18歳未満の者(以下、「児童」といいます。)に、裸の写真や動画を送らせるといった行為は、児童ポルノ製造罪という犯罪に当たる可能性があります。
児童ポルノ製造罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下、児童買春・児童ポルノ処罰法」といいます。)に規定されています。
児童ポルノ製造罪は、他人に提供する目的を伴わないものであっても、児童に児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第3項各号で規定される性的な姿態をとらせた上、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造する罪です。
児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第3項各号で規定される性的な姿態とは、以下の通りです。
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
児童の裸の写真や動画は、③に当たります。
条文上「姿態をとらせ」という文言になっていますが、行為者の言動等により、当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいうのであって、強制によることは要しません。
描写される児童が当該製造について同意していたとしても、本罪の成立を妨げません。
また、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した場合も、同様に処罰されます。
児童ポルノ製造罪の法定刑は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
決して軽いとは言えない罪ですので、初犯であっても、事件内容によっては公判請求される可能性もあります。
児童ポルノ製造事件における弁護活動
1.被害児童への対応
児童ポルノ製造事件では、児童ポルノの被写体となった児童が被害者であり、被害者の存在する事件においては、被害者に対して如何に対応するか(しかた)が最終的な処分にも大きく影響することになります。
具体的には、被害者への謝罪及び被害弁償の上で、示談成立に向けた活動を行います。
示談とは、一般的に加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わないなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
被害者が未成年者である場合は、実際に交渉する相手は被害者の保護者になります。
この場合、被害者本人以上に加害者に対する処罰感情が高いことが多く、示談交渉は容易でないことが予想されます。
この点、法律の専門家であり示談にも豊富な経験をもつ弁護士は、被害者及び保護者の気持ちに配慮した上で、示談について丁寧に説明を行い、当事者間で納得のいく内容での示談締結に向けて粘り強く交渉を行うことが期待されます。
被害者との示談成立の有無は、検察官が終局処分を決定する際に考慮する要素となりますので、示談により不起訴処分となる可能性を高めることができます。
2.身柄解放活動
逮捕により身体拘束されている場合には、早期に釈放となるよう身柄解放活動を行います。
逮捕後に勾留とならないよう、検察官及び裁判官に対して意見書を提出するなど、勾留しないよう働きかけます。
既に勾留に付されている場合には、勾留決定に対して不服申し立てを行い、裁判所に対して原裁判を取消し、勾留請求を却下するよう求めます。
勾留となると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間も身体拘束となり、それによって被る不利益は計り知れません。
そのような事態を回避するためにも、逮捕されたらすぐに弁護士に相談・依頼し、身柄解放に向けた活動を行うことが重要です。
児童ポルノ製造事件でご家族が逮捕されて対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件における身柄解放活動
少年事件における身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県可児市に住む高校1年生のAくんは、塾の帰り道に、帰宅途中の女性の背後から臀部を触って、その場を自転車で逃亡するといった行為を2~3回していました。
ある日、岐阜県可児警察署の警察官がAくん宅を訪れ、Aくんを強制わいせつの容疑で逮捕しました。
Aくんの両親は慌てて少年事件専門弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)
少年事件手続の流れ
少年事件の審判の対象となる少年は、20歳に満たない者です。
審判の対象となる少年は、次の3つに分類されます。
①犯罪少年:14歳以上20歳未満の少年で、罪を犯した少年。
②触法少年:14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年。
③ぐ犯少年:ぐ犯事由があって、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年。
②の触法少年は、14歳未満であるため、刑事責任に問うことができず、刑罰法令に触れる行為をしたとしても犯罪は成立しません。
そのため、捜査機関は触法少年を逮捕することはできません。
他方、14歳以上の少年が罪を犯したと疑される場合は、成人の場合と同様に逮捕されることがあります。
捜査段階での手続は、成人の刑事手続とほとんど同じです。
逮捕後、勾留される可能性があります。
勾留が決定すると、身体拘束が10日間、延長が決定した場合には最大で20日間となります。
ただ、少年の場合、検察官は「勾留に代わる観護措置」を請求することができ、裁判官は「勾留に代わる観護措置」をとることができます。
勾留に代わる観護措置がとられると、勾留場所は警察署の留置施設ではなく、少年鑑別所となります。
また、勾留に代わる観護措置の期間は10日間であり、延長は認められません。
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を行った結果、犯罪の嫌疑がある場合、又は嫌疑がない場合であっても、少年を審判に付すべき事由があれば、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件の送致を受けた家庭裁判所は、調査官に少年の要保護性に関する調査を命じ、調査結果を踏まえて、少年の処遇を決定します。
審判では、終局処分として、不処分、保護処分、検察官送致にいずれかがなされることがほとんどです。
家庭裁判所は、事件が係属している間、いつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置がとられると、少年の身柄は少年鑑別所に移り、約1か月の間少年鑑別所に収容されることになります。
身柄解放活動
上でみたように、少年であっても捜査段階及び家庭裁判所送致後に身柄が拘束される可能性があります。
長期の身体拘束により、かえって少年の更生を阻害し得ない場合もありますので、早期の身柄解放活動が重要です。
(1)捜査段階
少年が逮捕された場合には、勾留が決定する前に、検察官に対して勾留請求しないよう意見書の提出などを通して申立てを行います。
また、検察官が勾留請求を行った場合には、裁判官に対して勾留を決定しないよう、勾留の要件を満たしていない旨を客観的証拠を付して主張します。
裁判官が勾留を決定した後では、その決定に対する不服申立てを行い、勾留決定をした裁判官とは別の裁判官らによる判断を仰ぎます。
この段階で勾留を阻止することができれば、早期に学校・職場に復帰することができます。
(2)家庭裁判所送致後
事件が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所はいつでも観護措置をとることができます。
観護措置の期間は1か月と長く、その間学校や職場に行くことができないとなれば、復帰後の生活にも大きく影響するおそれがあります。
そこで、事件が家庭裁判所に送致されたタイミングを見計らい、観護措置をとらないよう意見書の提出や裁判官との面談を通じて働きかけます。
観護措置は、捜査段階で身体拘束を受けていないケースでもとられることがありますので、送致後に観護措置がとられることのないよう事前に準備しておく必要があるでしょう。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。
前科回避に動く弁護士
前科回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
公務員のAさんは、盗撮の容疑で岐阜県中津川警察署に逮捕されました。
Aさんは、翌日釈放されましたが、勤め先に事件が知られてしまうことを心配しています。
刑事事件に強い弁護士へ相談することにしたAさんは、前科が付くことを回避するためにはどうすればいいかについて、弁護士に尋ねました。
(フィクションです)
前科とは
「前科」について法律上の定義はありませんが、一般的には、過去に刑事裁判で有罪判決を受け、刑の言渡しを受けたという経歴のことを指します。
実刑のみならず、執行猶予付き判決や、略式命令による罰金も前科に含まれます。
「前科」と似た用語に「前歴」というものがありますが、「前歴」とは、捜査機関によって被疑者として捜査の対象となった事実のことです。
「前科」は、検察庁が作成・管理している前科調書に記載されます。
検察庁が、有罪の確定裁判を受けた者の犯歴事項等を登録して把握するのは、もっぱら検察事務及び裁判事務の適正な運営のためです。
例えば、検察官が、不起訴の処分や求刑等の情状資料として前科の有無を確認します。
前科があれば、初犯とはみなされず、起訴・不起訴の判断に影響を与えたり、最終的に言い渡される刑罰にも大きな影響を及ぼすことになります。
各市区町村は、犯罪人名簿の保管・管理を行っています。
市区町村は、選挙人名簿を調製するために犯罪人名簿の管理を行っています。
犯罪人名簿に記載されるのは、「道路交通法などの違反による裁判以外で、罰金以上の刑に処せられた者」及び「道路交通法などの違反による裁判で、禁固以上の刑に処せられた者」です。
刑の言渡しの効力の消滅に合わせて、市区町村の犯罪人名簿から前科の記載が削除されます。
その他、前科が付くことによる影響は、特定の職業や地位に就いたり、特定の営業活動等を行おうとする場合に、法律が前科の存在を理由としてこれらの資格に付くことを制限する、という点にもあります。
例えば、国家公務員及び地方公務員について、執行猶予付き判決を含めた禁固以上の刑に処せられた者は、刑の執行を終わり又はその執行を受けることがなくなるまで公務員となる資格をもつことができず、在職中にこれらの刑の言渡しを受けた者は、自動的にその地位を失うことになります。
前科を回避するためには
前科が付くことを避けるためには、有罪判決を受けること、ひいては、起訴されないということが重要です。
起訴・不起訴の判断は、検察官が行います。
起訴しない処分(不起訴処分)となれば、裁判を受けることはありませんので、有罪判決が言い渡されることもありません。
不起訴処分には、その理由によって、「罪とならず」、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」などに分けられますが、不起訴処分の多くが「起訴猶予」によるものです。
起訴猶予は、犯罪を起こしたことが事実であり、それを立証するだけの十分な証拠もあるが、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、示談の有無によって、公訴を提起するまでもない場合になされます。
告訴がなされなければ公訴を提起することができない親告罪の場合には、被害者との示談が成立することによって、不起訴処分となります。
親告罪でない場合でも、被害者との示談が成立していることが考慮され、不起訴となる可能性を高めることができます。
以上より、前科を回避するためには、被害者がいる事件については、被害者との示談を成立させ、不起訴で事件を終結させるよう動く必要があります。
被害者との示談交渉は、当事者間ではなく、弁護士を介して行うのがよいでしょう。
当事者間では、感情論的になり、交渉が難航することが多いからです。
弁護士であれば、被害者の気持ちに配慮しつつ、法律のプロとして、示談におけるメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、当事者の双方が納得することができる内容での示談を締結することが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
弊所の弁護士は、これまでも数多くの示談交渉を行ってきており、その豊富な経験やノウハウを活かし、示談締結に向けた活動を行います。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
傷害事件で不起訴を獲得
傷害事件で不起訴を獲得するための活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、会社の部下に対して、顔面を複数回殴る等し、加療約2週間を要する顔面打撲の傷害を負わせたとして、岐阜県山県警察署に傷害の容疑で逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に対して謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
不起訴とは
捜査機関による捜査が開始され、一応の目途がつくと、捜査は終結します。
警察における処理と、検察官における処理とがあります。
警察は、犯罪の捜査をしたときは、書類および証拠物とともに事件を検察官に送致します。
原則として、すべての事件が検察官のもとに送られ、検察官が事件を処理することになります。
検察官による処理には、終結的な処理である終局処分と、終局処分にむけられて処理を保留したり、別の検察官に処理を委ねる中間処分とがあります。
終局処分には、起訴処分、不起訴処分、家庭裁判所送致とがあります。
起訴処分とは、公訴提起のことで、不起訴処分とは、公訴を提起しない処分のことです。
このように、検察官は、起訴・不起訴などの事件処理をする権限を有しています。
検察官が公訴を提起しなければ、裁判所は審理をすることはできません。
そのため、公訴が提起されなければ、有罪となることもありません。
つまり、不起訴となれば、前科が付くこともありません。
不起訴処分には、その理由によって、主に、次の種類があります。
①罪とならず
被疑者に責任能力がない、被疑事実が構成要件に該当しない、違法性阻却事由に該当するなど、罪とならない場合。
②嫌疑なし
犯罪を認定する証拠がない場合や、人違いであった場合。
③嫌疑不十分
嫌疑はあるものの、犯罪を立証するには証拠が不十分である場合。
④起訴猶予
犯罪を起こしたことが事実であり、それを立証するだけの十分な証拠もあるが、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、示談の有無によって、公訴を提起するまでもない場合。
不起訴処分となる事件の多くが、④の起訴猶予によるものです。
そのため、容疑を認めている場合には、起訴猶予による不起訴処分獲得を目指すことになります。
傷害事件で不起訴を獲得するためには
傷害事件では、傷害を負った被害者が存在します。
被害者がいる事件における重要な弁護活動のひとつに、被害者との示談交渉があります。
先述したように、被害者との示談が成立しているか否かといった点は、検察官が起訴・不起訴を決める際に考慮される要素のひとつです。
被害者との示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性は高いと言えるでしょう。
被害者との示談、つまり、今回の事件は当事者間で解決したとする合意を成立させることは、加害者・被害者の当事者間で行うことも不可能ではありません。
しかし、罪証隠滅の観点から、捜査機関が加害者側に被害者の連絡先を教えない場合や、損害を被った被害者が加害者との接触を嫌がる場合も珍しくなく、被害者と連絡をとることすらできない場合もあります。
例え、被害者と連絡がとれたとしても、やったやってないの水掛け論になり、交渉が難航することも多く、当事者間での交渉はあまりお勧めできません。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者の連絡先を教えてもよいと言われる被害者も多く、被害者とのコンタクトに成功する場合も多くあります。
また、弁護士は、被害者の気持ちに寄り添いつつ、法律の専門家として、示談のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、当事者両方が納得することの出来る内容での合意に向けて粘り強く交渉を行います。
傷害事件を起こし、被害者との示談交渉にお悩みであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。