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迷惑防止条例違反事件で逮捕

2021-04-01

迷惑防止条例違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県大垣警察署は、岐阜県安八郡輪之内町にある会社の従業員Vさんから、何者かから嫌がらせ行為を受けているとの相談を受けました。
Vさんは、数か月に渡って会社宛てに「Vさんは既婚者と社内不倫をしている。辞めさせたほうがいい。」などといった内容の手紙が送られ続けており、つい先日には手紙に血のようなものが付着しており、怖くなったVさんは警察に相談することにしたのでした。
岐阜県大垣警察署は、県内に住むAさんを迷惑防止条例違反の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

迷惑防止条例

各都道府県は、法律により犯罪とされている行為には該当しないものの、公衆に著しい迷惑をかける暴力的不良行為を取締の対象とすることにより、市民生活の平穏を保持することを目的として、「迷惑防止条例」や「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」といった名称の条例(総称:迷惑防止条例)を定めています。
迷惑防止条例で規定されている違反行為には、ダフ屋行為、ショバ屋行為、景品買い行為、粗暴行為、押売行為、不当客引き行為、かたり行為、行楽地等の危険行為などのほかにも、痴漢行為や盗撮行為、嫌がらせ行為などがあります。
迷惑防止条例違反で検挙されるケースの中でも、痴漢行為や盗撮行為が占める割合は大きいため、迷惑防止条例違反と言えば痴漢事件や盗撮事件を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。

今回は、迷惑防止条例で規定されている違反行為のうち「嫌がらせ行為」について、どのような場合に成立するのか説明します。

岐阜県迷惑防止条例は、その第4条で、「嫌がらせ行為の禁止」と題して、ストーカー規制法で処罰できないつきまとい行為について次のように規定しています。

何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。第5号において「法」という。)第2条第1項に規定するつきまとい等を除き、第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を執ように、又は反復して行つてはならない。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等(法第2条第2項に規定する電子メールの送信等をいう。)をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法で対象となる「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て(1)~(8)の行為を行うことをいい、これらの行為を行う目的が「恋愛感情等」にあることが求められます。
そのため、恋愛感情等がなく(1)~(8)いづれかの行為が執拗・反復して行われた場合には、ストーカー規制法ではなく迷惑防止条例が適用されることになります。

AさんのVさんに対する行為が、恋愛感情等に基づくものではなく、(7)に該当する行為を複数回行ったと考えられたため、迷惑防止条例における違反行為(嫌がらせ行為)の疑いで逮捕されたと考えられます。

迷惑防止条例違反事件で逮捕されたら

迷惑防止条例違反事件で逮捕された場合、初犯であり、被害者との接触のおそれもなく、家族等による監督が期待できると判断されれば、勾留とならずに釈放される可能性はあります。
長期間の身体拘束は、懲戒解雇や退学などといった不利益を生じさせかねませんので、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うのがよいでしょう。
また、迷惑防止条例違反事件では違反行為によって被害を被った被害者がいることが多く、被害者への対応如何が最終的な処分結果に大きく影響することがあります。
被害者への対応についても、できる限り早い段階から弁護士を介して行うのがよいでしょう。

ご家族が迷惑防止条例違反事件で逮捕されてお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にご連絡ください。

ひったくりで逮捕

2021-03-29

ひったくり事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市の路上を歩いていた女性の背後から原動機付自転車で近付き、女性の持っていたカバンを追い抜きざまに掴み、そのまま強引にカバンをとったとして、県内に住むAくん(16歳)とBくん(17歳)は岐阜県岐阜中警察署逮捕されました。
AくんとBくんは、他にも同様のひったくりをしているとみられています。
逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)

ひったくり

物を持ち歩いている歩行者や自転車の前かごに荷物を入れて自転車を運転している人に近づいて、すれ違いざまや追い越し際に荷物を奪って逃げる行為を一般的に「ひったくり」といいます。
ほとんどの場合、ひったくりには「窃盗罪」が適用されますが、犯行態様によっては「強盗罪」が成立することがあります。

窃盗罪

窃盗罪が成立する要件は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
です。

①他人の財物
他人の財物は、「他人の占有する他人の財物」を意味します。
ここでは「占有」という概念がどのような意味を有するのかが問題となります。
「占有」とは、「人が財物を事実上支配し、管理する状態」をいい、物に対する現実の支配だけを意味するという点で民法上の占有とは異なります。
この「占有」という概念は、「占有の事実」と「占有の意思」という2つの要素で構成されています。
「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことを指します。
また、「占有の意思」とは、財物を事実上支配する意欲・意思をいいます。
この2つの要素を総合して占有の有無について判断されます。
ひったくり事件では、被害者が手で荷物を持っていたり、自転車のかごに入れていたりする場合がほとんどであるので、そのような場合、ひったくられた荷物は、被害者が占有する被害者の財物となります。

②不法領得の意思
この要件は条文上明記されていませんが、判例上、窃盗罪の構成要件の1つとされています。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思のことです。

③窃取
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

被害者の隙をついてカバンなどの荷物を奪う「ひったくり」は、上に述べた要件を満たし窃盗罪に当たることが多いです。
しかしながら、その態様如何によっては「強盗罪」となることがあります。

強盗罪

強盗罪が成立する要件は、
1項 ①暴行または脅迫を用いて
   ②他人の財物を
   ③強取したこと
2項 ①暴行または脅迫を用いて
   ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
です。

窃盗罪とは、被害者の占有を侵害するという点で共通しますが、暴行・脅迫を手段とする点で異なります。

①暴行・脅迫
手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のものであることが求められます。
「暴行」は、人に向けられた相手方の反抗を抑圧するにたりる有形力の行使であれば、物に対して加えられたものでも構いません。
被害者の反抗を抑圧するにたりる程度のものであるかどうかは、社会通念により客観的に判断されます。

③強取
「強取」とは、暴行・脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移す行為のことです。

窃盗罪と強盗罪は、相手方の意思に反して財物の占有を相手方から自己・第三者に移す点では同じですが、後者は、相手方の反抗を抑圧するにたりる暴行・脅迫を手段としている点で異なります。
つまり、ひったくりにおいて、窃盗罪・強盗罪どちらの罪が成立するかは、ひったくりの状況が、相手方の反抗を抑圧するにたりる暴行に至っているかどうかによります。

相手方の隙をついて、すれ違いざまや追い抜き際に、持っていたカバンを引っ張って奪うようなひったくりであれば、相手方に対して一定程度接触していますが、それが相手方の反抗を抑圧する程度の暴行であったとは言えず、窃盗罪にとどまることが多いでしょう。
しかし、相手方が財物を奪われまいとして対抗したところ、さらに財物を引っ張り続けるなどの暴行を加えた場合には、その暴行が相手方の反抗を抑圧する程度であったか否かを検討することになり、窃盗罪ではなく強盗罪が適用される可能性があるでしょう。

少年のひったくり事件

少年の場合には、成立する罪名が処分に直結することはありませんが、非行事実のほかに、要保護性について審判で審理され、最終的な処分が決められることになります。
要保護性の意義については争いがありますが、次の3つの要素で構成されているとするのが通説となっています。
①犯罪的危険性
少年の性格、環境に照らして将来再び非行に陥る危険性
②矯正可能性
保護処分により犯罪的危険性を解消できる可能性
③保護相当性
少年の処遇にとって保護処分が最も有効かつ適切な手段であること
これらの要素から構成される要保護性が解消されたと認められれば、審判で社会内処遇の保護観察処分となるでしょう。
そのため、少年事件では、要保護性解消に向けた活動(環境調整)が非常に重要となります。
ひったくり事件であれば、被害者への被害弁償を行うことを通して少年が自分の行為と向き合い内省を深める、家族関係や交友関係を改善するなど、再び過ちを繰り返すことがないよう環境を整える必要があります。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数多くの少年事件を取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

特殊詐欺事件で逮捕されたら

2021-03-25

特殊詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市に住む高齢女性から、キャッシュカードを窃取し、そのキャッシュカードを使ってATMから現金50万円を引き出したとして、岐阜県岐阜羽島警察署は、窃盗の容疑で大学生のAくん(21歳)を逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんとの面会を希望しましたが、警察からはすぐには会えないと言われました。
その後、Aくんの両親は刑事事件に強い弁護士にAくんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

特殊詐欺事件で逮捕されたら

特殊詐欺事件で逮捕された場合、逮捕後に勾留に付され長期の身体拘束となる可能性は非常に高いです。
特殊詐欺は単独ではなく組織的に行われていることがほとんどですので、捜査機関は、被疑者の身柄を確保することで、仲間と口裏合わせをしたり証拠を隠したりすることを防ごうとするからです。
また、特殊詐欺事件で逮捕される被疑者の多くは、逮捕された事件の他にも複数の特殊詐欺事件に関与しており、最初に逮捕された事件についての勾留期限が過ぎたとしても、他の事件について逮捕・勾留されることになり、結果的に何度も逮捕・勾留となり長期にわたって身柄が拘束されるケースが多く見受けられます。
長期の身体拘束に加えて、特殊詐欺事件の場合、勾留とともに接見禁止に付される可能性も高くなっています。
接見禁止となれば、弁護士以外の者との面会や手紙のやり取りなどができなくなります。
これは、共犯者と接触して罪証隠滅を図ることを防ぐことを目的として行われます。
逮捕・勾留されたことにより、一般社会と切り離された空間に閉じ込められている被疑者は身体的にも精神的にも非常に参ってしまうことが多く、そのような環境下で家族にも会えないとなれば、更なるストレスが生じることになるでしょう。

特殊詐欺事件では、被害者が財産的、精神的被害を被っていますので、加害者側はそれについて弁償しなければなりません。
先にも述べたように、特殊詐欺事件で逮捕された者の多くは、逮捕された事件だけでなく、他にも複数の事件に関与しており、その被害額も高額となる場合が少なくありません。
しかしながら、どの程度被害を回復したかという点は、量刑にも大きく影響しますので、被害弁償は重要です。
特殊詐欺事件は、その被害額も大きく、社会問題にもなっており、初犯であっても、裁判で実刑が言い渡される可能性があります。

弁護士に弁護を頼むメリット

厳しい処分が見込まれる特殊詐欺事件において、弁護士は被疑者・被告人の弁護人として次のような弁護活動を行います。

1.接見禁止一部解除

接見禁止に付されると、家族であっても会うことができません。
連日の取調べや留置施設での拘束で、精神的に不安定になっている者も少なくありません。
そのため、弁護士は家族との接見を許可するよう裁判所に申立てを行います。
共犯者との接触を防ぐ目的でなされていることから、接見禁止を解除してもらう対象者が事件には無関係であることや、接見を行う必要性について、客観的な証拠に基づいて説得的に主張し、接見禁止の解除に向けて活動します。

2.保釈

特殊詐欺事件は、捜査段階では身柄解放が難しいことが多いのですが、捜査が終了し起訴された後であれば、保釈制度を利用して釈放となる可能性は比較的高くなっています。
そのため、余罪の有無にもよりますが、弁護士は、起訴後すぐに保釈請求を行い、身柄解放を目指します。

3.被害弁償

特殊詐欺事件において、最終的な処分を考える上で被害弁償は重要なポイントです。
ですので、可能な限り被害弁償を行うことが望ましいです。
ただ、捜査機関が被疑者・被告人やその家族に被害者の連絡先を教えることはありませんので、直接被害弁償を行うことは難しいでしょう。
仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、直接接触すれば、その行為が罪証隠滅と疑われることになりかねますので、直接の接触は控えるべきでしょう。
また、被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いていることが多く、直接連絡をとることを拒まれる傾向にあります。
そのため、被害弁償についても弁護士を通して行うのが一般的となっています。
弁護士限りであれば、捜査機関を通じて連絡先を教えてもよいと回答する被害者の方も多く、被害者との話し合いの場を持ち、謝罪と被害弁償の上、示談を成立させることが期待できます。

4.情状弁護

特殊詐欺事件は、公判請求され裁判を受けることになるケースがほとんどです。
そのため、容疑を認めている場合には、できる限り刑が軽くなるような主張をしていくことになります。
被告人の果たした役割の大きさ(従属性)、被害弁償が済んでいることや被害者の処罰感情がないこと、再犯防止策がしっかりとられていることなど、事案によって情状弁護の内容は少し変わってはきますが、刑が軽減されるように被告人に有利な事情について主張します。

このような弁護活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
特殊詐欺事件でご家族が逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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共同危険行為で逮捕

2021-03-22

共同危険行為逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県各務原市に住むAくん(16歳)は、道路交通法違反(共同危険行為)の容疑で岐阜県各務原警察署逮捕されました。
深夜、Aくんは他の少年らとともにバイクや原付バイク数台を連ねて市内の国道で暴走行為を行い、赤信号を無視して走行するなどして付近の交通に影響を与えた疑いがもたれています。
逮捕後、Aくんの両親は警察に面会を申し出ましたが、しばらくは面会できないと言われ困っています。
(フィクションです)

共同危険行為

道路交通法第68条は、共同危険行為等の禁止について規定しています。

第68条 2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

◇2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者◇

自動車又は原動機付自転車のいずれかの台数が2台以上の場合や、自動車又は原動機付自転車を合わせた台数が2台以上の場合の運転者を指し、現実に自動車又は原動機付自転車を運転している者のことです。

◇道路において◇

ここでいう「道路」というのは、道路交通法第2条1項1号に規定される道路のことを意味します。
すなわち、「道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」と定義付けています。
「道路法第2条1項に規定する道路」とは、一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道をいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の付属物でその道路に附属して設けられているものを含むとしています。
「道路運送法第2条8項に規定する自動車道」とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で、先の道路法による道路以外のものをいいます。
そして、「一般交通の用に供するその他の場所」とは、道路法第2条1項に規定する道路及び道路運送法第2条8項に規定する自動車道を除いた場所において、現実の呉通の有無をとらえてこの法律上の道路とするものをいいます。
事実上道路の体裁をなしてい交通の用に供されている私道や、道路の体裁はなしてはいないけれども、広場、大学の構内の道路、公園内の通路といった、一般交通の用に供され開放され、かつ、一般交通の用に客観的にも使用されている場所を指します。
駐車場というのは、基本的に私有地に当たりますが、不特定多数の人、車両等が交通のために利用している場所であれば、道路の形態を備えていなくとも、「一般交通の用に供するその他の場所」に当たり、道路交通法における「道路」に該当することになります。

◇2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において◇

2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者が、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させる場合、又は並進させる場合において、という要件です。
「連ね」とは、自動車又は原動機付自転車が前の自動車又は原動機付自転車に追従して縦列に同方向に走行している状態を指します。
また、「並進」とは、2台以上の自動車又は原動機付自転車が同一の速度で並んで進行する横の状態を示します。

◇共同して◇

「共同して」とは、2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者が、道路において交通の危険又は迷惑行為を行うという共同の意思をもって、2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ又は並進させ、お互いの行為を利用し合いながら、全体として暴走行為を実行することをいいます。

◇著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為◇

禁止される行為は、「交通の危険を生じさせることとなる行為、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」であり、具体的な危険、迷惑が生じる必要はなく、抽象的な危険、抽象的な迷惑の発生でも構いません。
現実に他の車両や歩行者の通行を故意に妨げ、その通行の事由を奪うなどの行為が発生していなくとも、現場に車両等があれば、当然、交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすこととなる集団暴走行為については、集団暴走行為が行われたことを現認したり、ビデオやカメラ等から立証すれば、その現場に危険に遭った者や迷惑を被った者がいなかったとしても、本条の禁止行為違反となります。

共同危険行為で逮捕されたら

Aくんは、共同危険行為の疑いで逮捕されました。
Aくんは16歳ですので、少年法が適用されることになりますが、捜査段階では刑事訴訟法が準用されるため、成人の刑事事件と同じような流れになります。
逮捕から48時間以内に、証拠や関係書類と共に検察庁に少年の身柄が送られる、若しくは釈放となり、身体的拘束を受けないまま捜査が進むことになります。
検察庁に送致された場合、少年は検察官による取調べを受けます。
検察官は、少年の身柄を受けてから24時間以内に、少年を引き続き拘束する必要があるかどうかを判断します。
拘束の必要があれば、裁判官に対して勾留請求又は勾留に代わる観護措置を請求します。
請求を受けた裁判官は、少年と面談を行った上で、勾留又は勾留に代わる観護措置の要件を満たしているか否かを判断し、勾留するかどうかを決めます。
ここで、裁判官が検察官の請求を却下すれば、少年は釈放されます。
しかし、勾留が決定すれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となります。
勾留に代わる観護措置の場合は、期間は10日間で延長はありません。
10~20日もの間、少年の身柄が拘束されることになれば、当然その間少年は学校や職場に行くことは出来ません。
事件が学校や職場に発覚し、最悪退学や解雇となる可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、逮捕されたらすぐに身柄解放活動に着手することが重要です。
身柄解放活動は、刑事事件・少年事件に強い弁護士に任せましょう。
勾留が決定する前には、検察官、裁判官それぞれに勾留の要件を満たしていない旨を主張し、勾留回避に向けて働きかけます。
勾留が決まってしまったとしても、勾留に対する準抗告を申し立て、勾留を決めた原裁判の取消しを求めることもできます。
申立てが認められると、少年は釈放されることになります。

お子様が共同危険行為逮捕されてお困りであれば、刑事事件・少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

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強制わいせつ事件で逮捕

2021-03-18

強制わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県恵那警察署は、岐阜県恵那市に住むAさんを強制わいせつの容疑で逮捕しました。
ネットで知り合った女性に対して、Aさんは医師でもないのに「乳がんかどうか調べてあげる。」と言って、女性の胸を触るなどのわいせつな行為をしました。
女性は、その後、岐阜県恵那警察署に相談し、今回の事件が発覚しました。
Aさんは、「性的意図はなかった。」と供述しています。
(フィクションです。)

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪は、個人の性的自由に対する罪であり、刑法第176条で次のように規定されています。

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

◇客体◇

男女問わず、強制わいせつ罪の客体となります。

◇行為◇

強制わいせつ罪における行為は、
①13歳以上の者に対しては、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をすることであり、
②13歳未満の者に対しては、手段としての暴行または脅迫は要件となっておらず、単にわいせつな行為をすること、
です。

暴行・脅迫

「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいいます。
「脅迫」は、恐怖心を起こさせる目的で、他人に害悪を告知することです。
判例・通説によれば、暴行または脅迫は、被害者が抵抗すること著しく困難となるような程度のものであることが求められます。
暴行は、殴打や体を押さえつけることのほか、衣服を引き剥ぎ、裸の写真を撮る行為などがそれに当たり、暴行そのものがわいせつ行為であってもよいとされます。

わいせつな行為

「わいせつ」とは、公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪における「わいせつ」とほぼ同じ意味の「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」こととされています。
例えば、指を陰部に挿入する行為、被害者の意思に反して乳房や尻に触れる行為、無理やりキスする行為は、わいせつ行為に当たります。

◇主観的要件◇

強制わいせつ罪が成立するための主観的要件として、故意のほかに、「性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図」を要求し、報復目的で被害者を裸にして写真撮影をした加害者を無罪とした判決(最判昭45・1・29)があります。
しかしながら、強制わいせつ罪において性的意図が必要とした判決に対しては、個人の性的自由の侵害を本質とする強制わいせつ罪において、加害者側の性的意図の有無により犯罪の成立に影響を与えるべきではないという批判もありました。
このような批判もある中で,近時,最高裁判所で、金銭目的で被害児童にわいせつな行為を行い、その様子を撮影するなどした事案において、昭和45年判決は性犯罪に対する当時の社会的理解に大きく依拠したものと考えられ、その後の社会の変化により、今日では、性的意図の存在を,強制わいせつ罪成立のための要件とすることはできないと判断されました(最判平29・11・29)。
ただ、上記の最高裁判決でも,性的意図は強制わいせつ罪が成立するための必須の要件ではないとしただけであり、一切考慮されないとはしていません。
行為の客観的性質や客観的状況からだけでは、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為であるかどうかの判断がつかない場合には、行為のわいせつ性を判断する際に加害者の主観面も考慮して判断せざるを得ないとされています。そして,行為そのものの性質に着目しただけで「わいせつな行為」である、あるいはないと判断できる場合と、それだけでは判断できない場合とがあり、判断できない場合には、行為そのものの性質に加えて加害者の主観面も含めた、行為時の具体的状況等の諸般の事情を総合的に考慮して判断するとされました。
平成29年判決の事案は、被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るが、行為の客観的性質から明らかに強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たり、故意が認められる以上、強制わいせつ罪の成立を認めました。

上記事例では、Aさんは乳がんの診断と称して女性の胸などを触っていますが、Aさんは医師ではありませんし、胸を触るような正当な理由はありません。仮にAさんが診療目的などを主張し,わいせつ目的ではなかったと主張した場合であっても,胸の触り方や,時間,場所などの具体的事情如何では,Aさんの行為の客観的性質から強制わいせつ罪における「わいせつ行為」であると認定され、強制わいせつ罪の成立が認められる可能性があります。

強制わいせつ罪の法定刑は懲役形のみであり、比較的重い罪ですので、強制わいせつの疑いで捜査を受けておられるのであれば、今後の対応などについて弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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飲酒運転で物損事故

2021-03-15

飲酒運転物損事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社まで車で通勤していたAさんは、会社の飲み会の後はタクシーで帰ろうと考えていました。
しかし、Aさんは、飲み会後、タクシー代が惜しくなり、「そんなに酔ってないし大丈夫だろう。」と思い、車で家まで帰ることにしました。
帰宅途中、岐阜県下呂市の道路脇にある電柱にぶつかるという物損事故を起こしてしまいました。
Aさんは、警察に通報し、現場に駆け付けた岐阜県下呂警察署の警察官に事情を聴かれています。
Aさんは正直に飲酒運転を認めていますが、今後どうなるのか不安です。
(フィクションです。)

物損事故と刑事事件

交通事故は、車両を運転する人なら誰にでも起こし得るものです。
交通事故を起こした場合、交通事故の被害者に対する損害賠償の責任を負う民事上の責任、免許停止や取り消しといった処分を受ける行政上の責任、そして交通事故により人を死傷させてしまった場合などは刑事上の責任を負う可能性があります。

交通事故を起こした場合であっても、物損事故にとどまる場合には、通常は刑事責任を問われることはありません。
ただし、最初から物を壊す目的で物損事故を起こした場合には、器物損壊罪に問われる可能性があります。

物損事故自体については刑事責任に問われないとしても、事故の原因が飲酒運転やスピード違反であったり、事故を起こした後に警察に報告しなかったり道路上の危険を防止する措置を講じなかった場合には道路交通法違反という罪が成立することがあります。

飲酒運転

上の事例では、Aさんは飲酒運転の結果、物損事故を起こしています。
Aさんは、事故を起こした後に警察に通報していますので、当て逃げには当たりません。
しかしながら、飲酒運転については道路交通法違反に当たる可能性があります。

道路交通法は、その65条1項において、
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
と規定しており、酒気を帯びて車両等を運転することを全面的に禁止しています。

「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯といわれる状態をいうものであり、顔色や呼気等の外観上認知できる状態にあることをいいます。

道路交通法は、酒気を帯びて車両等を運転することを禁止しているのですが、この禁止に違反した場合、その違反が「酒酔い運転」または政令数値以上の「酒気帯び運転」に当たるときに限り罰則を設けており、政令数値未満の単なる「酒気帯び運転」については、訓示規定にとどめています。

①政令酒気帯び運転

政令で定める一定基準を超えたアルコールを身体に保有して運転する場合が該当します。
つまり、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上検出された状態がこれに当たります。
この酒気帯び運転の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

②酒酔い運転

先の酒気帯び運転とは異なり、酒酔い運転は身体内に保有するアルコール濃度の数値ではなく運転者の客観的状態から判断されます。
アルコールが原因で正常な運転ができないおそれがある状態(=酒に酔った状態)で車両等を運転した場合には、酒酔い運転となります。
酒酔いの認定は、アルコール保有量の科学的検査、飲酒量、身体の状況(言語、歩行、直立能力など)、自動車の運転状況、その他の諸般の事情を総合的に考慮して行われます。
酒酔い運転の法定刑は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、酒気帯び運転よりも重くなっています。

このように、物損事故であっても、飲酒運転が原因である場合には、飲酒運転について刑事責任に問われることになります。
飲酒運転のみの場合、逮捕されることはあっても、その後勾留される可能性は低く、長期の身体拘束のおそれはそう高くないでしょう。
しかしながら、飲酒運転による悲惨な人身事故が多発していることからも、飲酒運転に対する処分も厳しいものになっており、物損事故であっても、起訴される可能性は少なくありません。
ただ、法定刑に罰金刑が含まれるため、酒気帯び運転の場合、初犯であれば略式手続に付される場合もあります。

事案によって見込まれる処分も変わってきますので、飲酒運転物損事故を起こし対応にお困りであれば、一度弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
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レンタカーを横領で逮捕

2021-03-11

レンタカー横領した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県北方警察署は、横領の疑いで岐阜県本巣市に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは、今年の1月に本巣市内のレンタカー店で高級外車を借りました。
Aさんからは、数回契約期間延長を申請する連絡がありましたが、その後Aさんと連絡がとれなくなったため、レンタカー店は北方警察署に被害届を提出しました。
調べに対し、Aさんは、「そのうち返すつもりだった。」と供述しています。
(フィクションです。)

レンタカーを返却せず横領罪?

借りたレンタカーを返却しなかった場合、横領の罪に問われる可能性があります。

横領の罪とは

横領
刑法第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

横領罪は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、その物を領得する行為を内容とする犯罪です。
ここでは1項について説明します。

◇主体◇
横領罪の主体は、「他人の物の占有者」です。

◇客体◇
横領罪の客体は、「自己の占有する他人の物」です。
「占有」というのは、事実上または法律上物に対する支配力を有する状態のことです。
そして、横領罪における「占有」は、物の所有者と行為者との間の委託信任関係に基づくことが必要となります。
一般的に、民法の契約に基づいて委託信任関係が発生しますが、法定代理人や法人の機関としての地位、事務管理、後見に基づく場合にも当該関係が認められます。
この委託信任関係は、事実上のものであればよく、委託者が物の保管を委託する法律上の権限を有しているか否か、受託者が受託する上で法律上の権限を有するか否かは問題となりません。
「他人の物」とは、他人の所有する財物のことをいいます。

レンタカーを借りる際、店側との自動車の賃貸借契約を交わします。
貸渡人である店が、貸受人である客に店の車を「貸す」という内容の契約ですので、借りた車自体の所有権は店にあり、客に移るわけではありません。
しかし、借りた車を支配しているのは客ですので、客が車を占有している状態にあります。
つまり、レンタカー店から借りている車は、「委託信任関係に基づいて自己が占有する他人の物」と言えます。

◇行為◇
横領罪の実行行為は、自己の占有する他人の物を「横領」することです。
横領」の意義については、不法領得の意思を実現する行為とする領得行為説と、委託の趣旨に反した権限を越える行為とする越権行為説との対立がありますが、判例は前者によっています。
横領=不法領得の意思を実現する行為となるのですが、「不法領得の意思」とは、判例によれば、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思のことです。

この点、Aさんは「返すつもりだった。」と弁解していますが、使用窃盗が不可罰とされるように、委託物の一時的な無断使用も不可罰とされると理解することができるでしょう。
しかしながら、短期間使用することの許諾を得て自動車を借り受けた者が、その許諾の限度を超えて8日間にわたり自動車を乗り回した事案について、不法領得の意思を認めた判決(大阪高判昭和46・11・26)や、会社の職員が、その保管する会社所有の機密資料をコピーする目的で一時的に持ち出した事案について、使用後に返還する意思があったとしても、不法領得の意思を認めた判決(東京地判昭和60・2・13)があり、その利用が、権利者が許容しないであろう程度・態様のものである場合には、不法領得の意思が認められる可能性があるでしょう。

横領罪の法定刑は、5年以下の懲役で、罰金刑が設けられておらず、刑法犯のなかでも比較的重い罪となっています。
しかしながら、被害額がそれほど大きくなく、初犯であり、被害者に対する被害弁償ができれば、不起訴処分となる可能性はあります。
不起訴となれば、前科が付くことはありませんし、身柄が拘束されている場合には即釈放となります。
横領の罪に問われて対応にお困りの方は、すぐに弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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準強制性交等事件で否認

2021-03-08

準強制性交等事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさんは、知人のVさんと食事に出かけました。
AさんもVさんは、居酒屋で飲食した後、Aさんの部屋で飲み直すことになりました。
家で飲み始めてしばらくして、Vさんは「眠たい。」と言ってベッドに横になろうとしたため、Aさんがそれを助けようとしてVさんの身体に触ったところ、Aさんはムラムラし始め、Vさんにキスをしました。
Vさんが拒まれなかったため、AさんはVさんは嫌がっていないのだと思い、そのまま行為に及びました。
しかし、翌日、Vさんは岐阜県岐阜南警察署に被害届を提出し、Aさんは準強制性交等の疑いで逮捕されていましました。
(フィクションです)

男女間のトラブルから刑事事件に発展するケースは少なくありません。
知人間で性的関係を持った場合には、一方が同意がなかったとして捜査機関に相談し、強制性交等や準強制性交等事件として立件される可能性もあります。

準強制性交等罪

(準強制わいせつ及び準強制性交等
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

準強制性交等罪は、刑法第178条2項に規定されています。

本罪は、①人の心神喪失・抗拒不能に乗じて、性交等をすること、②人の心神を喪失させ又は抗拒不能の状態に陥らせて、性交等をすること、を処罰の対象とします。

◇心神喪失◇
「心神喪失」とは、精神障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。
強度の精神薄弱、泥酔、熟睡、麻酔状態などが「心神喪失」に当たります。

◇抗拒不能◇
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で心理的・物理的に抵抗が不可能又は著しく困難な状態にあることをいいます。
例えば、共犯関係にない第3者に手足を縛られていたり、暴行脅迫を受けて畏怖している状態、疲労しきっている状態などです。
過去の裁判では、覚醒剤を注射し、その薬理作用により意識障害を起こさせ、被害者が抗拒不能の状態に陥った状態で性交した事件では、抗拒不能ににさせたとしたもの(福岡高判昭54・6・13)があり、医師による適切な医療行為であると誤信させて性交した事件については、錯誤によって行動の自由を失っている状態に陥れるのも抗拒不能にさせたといえるとした判例があります。(大判大15・6・25)

「心神喪失・抗拒不能に乗じ」るとは、既存の状態を利用することであり、泥酔している人に対して性交等をすることや深夜配偶者と誤信させて性交等をすることなどがこれに当たります。
また、「心神喪失・抗拒不能にさせ」るとは、その状態に陥れることで、その方法には麻酔や催眠術、欺罔などがあります。

上の事例のように、飲酒の影響下で性的関係を持つケースは少なくありませんが、相手方が「心神喪失」にあったと認められる程度泥酔していた状況を利用して性交等に及んだ場合には準強制性交等罪が成立する可能性があります。
このような場合に準強制性交等罪が成立するか否かのポイントは、主に、
①被害者が行為時に心神喪失であったかどうか。
②行為者が行為時に被害者が心神喪失の状態にあると思わなかったかどうか。
の2点にあります。

被害者が行為時に心神喪失であったか否かについては、お店でどれぐらい飲酒したのかや行為前の被害者の歩行状態、例えば、Aさん宅に入る前の被害者の歩行の様子が映った防犯カメラの映像などといった行為前後の被害者の客観的状況を考慮して判断されます。
行為者が行為時に被害者が心神喪失の状態にあると思わなかったか否かについては、故意の問題であり、抗拒不能の認識がない場合には故意がかけ犯罪が成立しないことになります。
客観的状況を行為者が認識し得る状況にあったかどうかをもとに、被疑者供述の信用性を判断します。

準強制性交等事件で逮捕されお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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ひき逃げ事件の故意否認

2021-03-04

ひき逃げ事件の故意否認について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県可児警察署は、Aさんを過失運転致傷及び道路交通法違反(救護義務違反)の容疑で逮捕しました。
岐阜県可児郡御嵩町の路上で歩行者と接触し転倒させたにも関わらず、そのまま現場を立ち去ったとの疑いがAさんにかかっているとのことです。
Aさんは、事故を起こしたとの記憶がないため、ひき逃げについても全く覚えがありません。
Aさんは、どう対応したらいいのかと困っています。
(フィクションです。)

ひき逃げとは

いわゆる「ひき逃げ」というのは、交通事故を起こし、人に怪我を負わせたにもかかわらず、何もせずにそのまま現場から立ち去る行為のことです。
ひき逃げ行為は、道路交通法に定められている「救護義務」及び「報告義務」に違反します。

1.救護義務(道路交通法72条1項前段)

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。

交通事故を起こした場合には、負傷者を救護し、被害拡大を防止する措置をとらなければならないことを定めています。

「交通事故」とは、車両等の交通による人の死傷もしくは物の損壊のことを指します。
この「交通事故」が発生した場合には、上のような措置をとる義務が運転者らに課せられるのですが、その義務が発生するには、そもそも「交通事故」が発生していなければなりません。
義務を運転者らに負わせるためには、運転者らが、その車両等の交通によって人を死傷させた、あるいは物を損壊したことについて認識していることが必要となります。
なぜならば、救護義務違反は、「ついうっかり」という「過失」犯ではなく、「わざと」である「故意」犯であるからです。

ここで問題となるのが、その認識の程度です。
これについては、①人又は物件に接触し、若しくはこれを転倒せしめたことのみについての認識で足りるとする見解、と、②人の死傷又は物件の損壊を生ぜしめたことの認識まで必要とするとの見解があります。
2つの見解のうち、②が有力とされており、救護義務違反の罪は故意犯であり、人の死傷又は物件の損壊という点について認識が必要とされるが、その認識は、必ずしも確定的なものである必要まではなく、未必的で足りるとするのが判例となっています。

例えば、進路付近に人か動物かよくわからないけれども何か動く物があることを発見しつつ、その直後に異様なショックを感知したような場合に、人の死傷か物件の損壊のいずれかについての事故の確定的認識はなかったとしても、未必的認識があったと認めたもの(最高裁、昭和47年3月28日)や、車両が他人の車両や物件に接触または衝突したときは、相手方の運転者等が怪我を負っていることまでの認識がなかったとしても、接触・衝突の認識があれば、少なくとも相手方の車両や物件の損壊については未必的にも認識があったと認められ、義務違反を認めたもの(東京高裁、昭和30年1月28日)があります。

認識の程度についての判断は、個々の交通事故について具体的状況に基づいて行われますが、一般的には、交通事故当時の運転者等の身体的・心理的状況、現場の状況、事故発生時の衝撃・音響・叫び声の有無、車両の損壊、事故の態様など客観的事情を総合的に考慮して判断されることになります。
このような客観的事情から、Aさんが接触事故を起こしたこと自体を認識していたとは認められない場合には、救護義務違反は成立しないことになります。

2.報告義務(道路交通法72条1項後段)

この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

交通事故が発生した場合には、事故関係者は事故現場の状況を警察官に報告しなければなりません。
この義務違反についても、救護義務違反と同様に故意犯であるため、そもそも交通事故の認識がなければ成立しません。

Aさんのように歩行者と接触したこと自体気付いていなかった場合には、故意はなくひき逃げには当たらない旨を主張することになります。
取調べでは、自己に不利な供述がとられないよう、早期に弁護士に相談し取調べ対応についてのアドバイスをもらうようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ひき逃げを疑われており対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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少年の恐喝事件

2021-03-01

少年恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県加茂警察署は、知人のVくんに暴行を加えて現金1万円と財布などを脅し取ったとして、Aくん(16歳)とBくん(15歳)を恐喝の疑いで逮捕しました。
二人は容疑を認めているとのことですが、逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、今後どうなるのか不安で仕方ありません。
Aくんの母親は、すぐに対応してくれる弁護士を探すことにしました。
(フィクションです。)

まずは、恐喝罪とはどのような罪であるのかについて説明します。

恐喝罪

恐喝罪は、
①人を恐喝して、財物を交付させる
②人を恐喝して、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる
罪です。

◇客体◇

恐喝罪の客体は、他人の占有する他人の財物と財産上の利益です。

◇行為◇

恐喝罪の行為は、
(a)人を恐喝して財物を交付させること
(b)人を恐喝して財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させること
です。

恐喝」というのは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するにたりない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付または財産上不法の利益を得させるよう要求することです。
ここでいう「脅迫」とは、人を畏怖させるにたりる害悪の告知をいいます。
また、「暴行」とは、人に対する不法な有形力の行使のことです。
恐喝罪に求められる暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を抑圧する程度に達していないレベルのものであり、相手方の反抗を抑圧する程度に達する場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。

恐喝罪の成立には、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の処分行為に基づいて財物を交付し、財物の占有を取得したという、恐喝行為と財物の交付との間には因果関係が必要となります。
不法利益取得の場合も、恐喝行為により相手方を畏怖させて利益を移転させたという因果関係が必要です。

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役となっており、罰金刑はなく刑法犯のなかでも重い罪となっています。

少年の恐喝事件

少年による恐喝事件の多くは、同級生や後輩を脅して金銭を要求するといったいじめから発展したようなケースが多く見受けられます。
また、犯行を一人で行うことはほとんどなく、仲間と共謀して行うことが多く、そのような場合には共犯事件として扱われます。

複数人と共謀して恐喝したのであれば、共犯者ともども逮捕・勾留される可能性は非常に高いでしょう。
少年と言えども、他の仲間と口裏合わせをして責任逃れをしたり、被害者と接触して供述を変えるよう脅したりするおそれがあると考えられ、少年の身柄を拘束して捜査を進める必要があると判断されるからです。
捜査段階での逮捕・勾留、家庭裁判所送致後の観護措置により、少年が長期間身体拘束を余儀なくされる可能性はあります。
しかしながら、事件の内容や事件後の対応によっては、勾留や観護措置を回避することができる場合もありますので、逮捕のおそれがある場合や逮捕された場合には、早期に弁護士に相談するのがよいでしょう。

家庭裁判所に送致された後、審判で最終的な処分が決定することになります。
処分には、保護観察処分や少年院送致などさまざまな種類があります。
どのような処分が少年の更生に適したものであると判断されるかによりますが、非行事実の内容や要保護性の程度に基づいて行われます。
要保護性というのは、簡単に言うと、少年が将来再び非行に陥る危険性があり、保護処分により再非行を防止することが可能であることです。
恐喝事件は決して軽微な犯罪ではありませんが、その後に少年が反省し、被害者にも謝罪や被害弁償などを行うなかで事件と向き合うことができ、再び過ちを犯さないように家庭や交際関係など周囲の環境を整備している場合には、審判で要保護性が解消されたと判断される可能性があり、処分についても社会内処遇となることが期待できるでしょう。

少年事件は成人の刑事事件と異なる点も多いため、少年事件でお困りであれば、少年事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
少年事件を数多く取り扱ってきた経験豊富な弁護士が対応いたします。
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