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強制性交等未遂事件で逮捕
強制性交等未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
深夜、岐阜県郡上市の路上を歩いていた女性Vさんは、突然、見知らぬ男性に声を掛けられ、身体を触られました。
驚いたVさんは、走ってその場から逃げようとしましたが、男性は追いかけてVさんの腕を掴み、傍の空き地に連れて行き、Vさんを押し倒しました。
Vさんは必死に抵抗し、何とか隙をみて男性から逃げました。
そして、Vさんはすぐに110番通報をしました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県郡上警察署の警察官は、現場付近で目撃情報と一致する男性を見かけたため、男性に職務質問をしたところ、Vさんへの行為を認めたため強制性交等未遂の容疑で逮捕しました。
しかし、男性は「性交する気はなかった。」と供述しています。
(フィクションです)
強制性交等未遂罪
強制性交等未遂罪は、強制性交等の実行行為に着手したものの、何らかの要因によって犯罪を成し遂げることができなかった場合に成立する犯罪です。
強制性交等罪は、平成29年7月13日に施行された刑法改正により、それまで規定されていた強姦罪の承継類型として改正施行されました。
強制性交等罪は、
①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下、「性交等」といいます。)をした場合、及び、
②13歳未満の者に対し、性交等をした場合
に成立するものです。
◇犯行の対象◇
刑法改正前の強姦罪では、対象は女性に限定されていましたが、強制性交等罪の犯行対象は、男女を問いません。
◇行為◇
強制性交等罪の実行行為は、対象の年齢によって異なります。
①相手が13歳以上である場合
対象が13歳以上の者である場合、強制性交等罪の実行行為は、「暴行又は脅迫を用いての性交等」です。
ここでいう「暴行・脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達することまで要しません。
この程度に達していたか否かは、被害者の年齢、精神状態、健康状態、犯行の時刻・場所・態様などの諸事情を考慮して客観的に判断されます。
②相手が13歳未満である場合
対象が13歳未満の者である場合、暴行・脅迫を用いることは必要ではなく、「性交等」が実行行為となります。
「性交等」は、「性交」、「肛門性交」、「口腔性交」の総称です。
「性交」とは、膣内に陰茎を入れる行為をいい、「肛門性交」は、肛門内に陰茎を入れる行為、そして「口腔性交」は、口腔内に陰茎を入れる行為のことです。
「性交等」には、行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内、肛門内又は口腔内に入れる行為だけでなく、自己又は第三者の膣内、肛門内又は口腔内に被害者の陰茎を入れる行為も含みます。
実行行為を開始した時期は、①相手が13歳以上である場合には、暴行・脅迫を開始した時期、②相手が13歳未満である場合は、性交等を開始した時期となります。
暴行・脅迫を開始した時が実行の着手時期と認められるためには、性交等を可能にするような客観的な事情でなされる必要があります。
実行の着手が認められたものとして、
・夜間通行中の女性を性交等しようと考え、必死に抵抗する女性をダンプカーの運転席に引きずりこもうとした時。(最決昭45・7・28)
・山林の県道ですれ違った女性を道端の山林に引っ張り込もうとして腰を抱き、逃走しようとするのを押さえつけた時。(仙台高判昭33・8・27)
実行の着手が認められなかったものでは、
・マンションのエントランスホールで女性の背後から抱きつき、腹部を蹴り約20メートル離れた道路の駐車中の車に連れ込もうとしたが、抵抗されて断念した場合。(広島高判平16・3・23)
つまり、暴行・脅迫を開始した時が実行の着手時期と認められるには、夜遅い時間であって第三者の出現可能性が低いこと、山道や密室など第三者の出現可能性が極めて低い場所であること、暴行の程度が強いなど、被害者の抵抗や第三者と出会う可能性が低い状況を作り出すことが必要となります。
強制性交等罪は、膣内・肛門内・口腔内に陰茎を没入した時に当該犯罪が完成するものです。
◇故意◇
強制性交等罪の成立には、故意がなければなりません。
「故意」というのは、罪を犯す意思のことです。
強制性交等罪における故意とは、①相手が13歳以上の場合、性交等の手段としての暴行・脅迫の認識・認容、性交等の認識・認容です。
また、②相手が13歳未満の場合には、被害者が13歳未満であること、性交等の認識・認容が必要となります。
さて、上の事例で、男性は性交する意図はなかったと故意を否認しています。
しかし、深夜に人気のない路上で女性を襲い、必要に追いかけ、空き地に連れ込むといった行為から、性交等の認識・認容が認められる可能性はあるでしょう。
故意が認められないとしても、当該ケースでは、少なくとも強制わいせつ罪には該当するものと考えられます。
強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
起訴され有罪となれば、この範囲で刑罰が決められます。
未遂であれば、減軽の対象となりますが、そもそも法定刑が懲役刑のみと重い罪です。
強制性交等未遂事件でご家族が逮捕されてお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
少年事件:触法少年
触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃加茂市の路上で、帰宅途中の女子児童に声をかけ、わいせつな行為をしたとして、岐阜県加茂警察署は、市内に住むAくん(13歳)を同署に連行しました。
その後、児童相談所で一時保護するとの連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような手続を踏み、如何なる処分が課せられることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)
触法少年とは
触法少年とは、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年のことをいいます。
刑法は、14歳未満の者を処罰しない旨を規定しており、行為時に少年が14歳に達していない場合には、犯罪は成立せず、罪に問われることもありません。
しかしながら、後述するように、家庭裁判所の少年審判に付される可能性はあります。
触法少年の流れ
触法少年は、まずは児童福祉機関(児童相談所)による措置に委ねられます。
被害者からの被害届の提出などによって、警察が刑事事件として捜査を開始し、犯人を特定・発見すると、通常は、被疑者として出頭を要請したり、場合によっては身柄を確保して捜査を進めます。
しかし、触法少年の場合は、刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、処罰されないため、通常の刑事事件のように、警察は、被疑者を取調べたり、逮捕することはできません。
警察は、まずは、事件について調査を行います。
調査の結果、少年の行為が一定の重大な罪に係る刑罰法令に触れるものであると思慮する場合や、家庭裁判所の審判に付するのが相当と思料する場合には、警察は事件を児童相談所長に送致します。
児童相談所に送致されると、今度は、児童相談所による調査が行われます。
その結果、保護者への訓戒や児童福祉施設への入所措置等といった福祉的措置がなされ、事件が終了することもあります。
しかし、児童相談所長は、家庭裁判所の審判に付することが適当である場合や、一定の重大事件の場合には、家庭裁判所に送致しなければなりません。
その場合、犯罪少年とほぼ同様の手続で審理されることになります。
触法少年は逮捕されないと先述しましたが、児童相談所で一時保護という形で身体拘束されることがあります。
一時保護とは、子供の生命身体の安全を確保するため緊急に子供を保護者と分離する必要がある場合など、児童相談所長が必要であると認めるときに、子供を一時保護所に入所させ、あるいは適当な第三者に委託する処分のことです。
重大な触法事件の場合などでは、警察が直ちに児童相談所に少年を通告し、児童相談所長が少年を一時保護した上で、警察の調査が行われることがあります。
この場合、児童相談所の調査も並行して行われることがあります。
一時保護の期間は、2か月以内とされています。
触法事件における付添人の役割
付添人は、家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、審判の手続や処遇の決定が適正に行われるよう裁判所と協力していく役割を担います。
警察官は、触法事件において、必要な調査(触法調査)をすることができますが、少年および保護者は、触法調査に関して付添人を選任することができます。
触法調査は、児童相談所長が少年に対する措置を決めたとき、もしくは、事件を家庭裁判所に送致するときに終了します。
付添人は、触法調査において、少年に対して法的助言を行うとともに、警察による調査が任意・適正に行われるように監視し、触法少年の権利を擁護します。
事件が家庭裁判所に送致された後は、犯罪少年や虞犯少年と同様に、家庭裁判所調査官による調査を経て、審判に付されます。
審判では、非行事実に加えて、要保護性についても審理されますので、要保護性の解消に向けた活動を行うことが重要です。
要保護性というのは、簡単に言うと、少年が将来的に再び非行に走る可能性のことです。
非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致などの重い処分が下される可能性があります。
そこで、少年が再び非行に至る可能性がないと裁判官に認めてもらうために、少年の内外の環境を調整する必要があります。
これを支援することが付添人に期待される重要な役割の一つです。
例えば、付添人は、少年自身が、事件に向き合い、事件に至った原因や解決策を見出すことができるよう支え、少年の保護者や学校・職場と協力して更生に適した周囲の環境を調整します。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
あおり運転で妨害運転罪
あおり運転で妨害運転罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県飛騨市の片道1車線の高速道路を走行中していたトラック運転手のVさんは、前を走っていた車が急に停止したため、慌てて急ブレーキをかけました。
停止した車から男性が降りてきて、Vさんに対して、「なに煽ってんだよ!ふざけんなよ!」と吐き捨てました。
Vさんは、あおり運転をした覚えはなく、男性と口論になったことから110番通報しました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県警察高速隊は、Vさんのドライブレコーダーを確認したところ、あおり運転にあたるような行為は見受けられませんでした。
その後、警察は、高速道路でブレーキをかけて車線をふさいで後続車を停止させたとして、車を運転していた男性を道路交通法違反(妨害運転罪)の疑いで書類送検することにしました。
(フィクションです)
あおり運転の厳罰化
あおり運転とは、一般的に、道路を走行している車両に対して、極端に車間距離を詰めたり、幅寄せしたりといった方法により、嫌がらせをする危険な行為のことを指します。
あおり運転によって重大な交通事故が引き起こされるおそれがあり、捜査機関は、道路交通法や刑法上の暴行罪などを適用しながら取締りを行ってきました。
例えば、安全な車間距離を取らずに前車に著しく接近する行為については、道路交通法上の車間距離不保持が成立します。
しかし、車間距離不保持の刑事罰は、高速道路上においては3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、一般道では5万円以下の罰金と比較的軽くなっていました。
あおり運転に起因する事故で、重大な被害が発生しているものが少なくなく、あおり運転に対しての刑事罰をもっと重くするべきではないかという声を受け、今年の6月30日に施行された改正道路交通法では、新たに「妨害運転罪」が設けられました。
改正道路交通法:妨害運転罪
道路交通法第117条の2の2第11号は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」を、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すとしています。
本条の対象となる行為は、
①通行区分違反:右折や左折などをする場合に、方向別に区分された車線を通らない。
②急ブレーキ禁止違反:不必要に車を急停止させたり、急激な減速をするような急ブレーキをかける。
③車間距離保持違反:前の車との距離を極端に詰める。
④進路変更禁止違反:みだりにその進路を変更する。
⑤追い越し方法違反:追い越し車線ではない通行帯で追い越す。
⑥車両等の灯火違反:ハイビームでの威嚇。
⑦警音器等使用違反:むやみやたらにクラクションを鳴らす。
⑧安全運転義務違反:幅寄せや蛇行運転。。
⑨最低速度違反:高速道路での最低速度より遅い速度での進行。
⑩停車・駐車禁止違反:高速道路での駐停車。
また、道路交通法第117条の2の2第11号の罪を犯し、よって高速道路において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法第117条第6号)
このように、あおり運転自体を行った場合には、新たに創設された妨害運転罪に該当する可能性があります。
上記事例では、男性は、Vさんに煽られたと勘違いしたということですが、勘違いしていたからといって怒りに任せて高速道路上で急ブレーキを踏んで停車していいことにはなりません。
一車線の高速道路での停車は、後続車による衝突事故を発生させかねない非常に危険な行為です。
あおり運転をし刑事事件に発展した場合、事件を穏便に解決するためのひとつの手段として、被害者との示談があげられます。
示談交渉は、一般的に、弁護士を介して行います。
示談交渉を行うためには、まず、相手方の連絡先を入手する必要がありますが、加害者と被害者という関係上、被害者と接触することによって供述を変えるよう迫ったり、被害届の取下げを要求したりするおそれがあると判断され、加害者に直接被害者の連絡先を教えないことも多く、相手方の連絡先すら入手することが不可能なことがあります。
また、相手方が加害者との直接の接触を嫌がることも少なくありません。
その点、弁護士限りであれば、捜査機関や被害者自身が連絡先を教えてもよいとすることも多いため、弁護士を介して行うことにメリットがあると言えるでしょう。
仮に、被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者自身やその家族などの関係者が直接被害者にコンタクトをとることはお勧めできません。
なぜなら、当事者間での交渉は、感情論的になりやすく、やったやってないの水掛け論となり交渉が難航することが多いからです。
弁護士を間に挟むことによって、冷静な交渉を行い、両者が納得できる内容の示談を成立させることにつながります。
また、被害者の連絡先が分かっていたとしても、被害者との話し合いを自ら行うことに躊躇される被疑者の方も少なくありません。
この点でも、弁護士を代理人として示談交渉を進めることのメリットと言えるでしょう。
あおり運転を起こし、対応にお困りでいらっしゃる方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせ・ご予約は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
横領事件で逮捕
横領事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、岐阜県中津川市のレンタカー会社でコンパクトカー1台を1週間借りる契約をしました。
1週間後、レンタカー会社は、Aさんから「急用ができて遠方に来ているので、契約期間の延長をしたい。」との申し出を受け、1週間の延長としました。
しかし、期限が過ぎても何の連絡もないため、レンタカー会社からAさんに連絡を入れるも応答がありません。
返却期限から1か月ほど経ち、レンタカー会社はとうとう岐阜県中津川警察署に相談し、被害届を出しました。
それから数か月経ったある日、Aさんが借りていたコンパクトカーが市内に駐車してあったを同所の職員が発見しました。
署員は、Aさんが車に戻ってきたところを見計らいAさんに話を聞いたところ、容疑を認めたため横領の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
レンタカーを返却せずにいると…
レンタカーを借りたものの、そのレンタカーを返却せずにいた場合、刑事法上の「横領罪」に問われる可能性があります。
横領罪とは
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
◇犯行の主体◇
横領罪の犯行の主体となるのは、「他人の物を占有する者」または「公務所から保管を命ぜられた自己の物の占有者」です。
「他人の物を占有する者」というのは、委託に基づいて他人の物を占有する者のことを指します。
「公務所から保管を命ぜられた自己の物を占有する者」とは、強制執行や滞納処分として差し押さえがなされた場合に、差し押さえられた物を債務者や滞納者に保管させる場合などです。
◇犯行の対象◇
横領罪の客体は、「自己の占有する他人の物」です。
つまり、「物」であること、「占有が委託に基づく」こと、「自己が占有している」こと、そして「それが他人の物」であることが必要となります。
「物」であること
横領罪における「物」は、窃盗罪における「財物」と同義ですが、動産の他に不動産も含まれます。
上記ケースでは、レンタカー(=車)が横領されたとされる客体ですが、車は「物」(=財物)です。
「占有が委託に基づく」こと
自己の占有は、所有者その他の権限者からの委託に基づくことが必要です。
委託関係は、物の保管を内容とする契約、法定代理人や法人の期間としての地位、売買契約の売主としての地位、雇用関係、事務管理、慣習、条理、信義則からも生じ得ます。
レンタカーの使用保管については、レンタカー会社と客との間でレンタカーの賃貸借契約が結ばれているため、上記ケースでは「占有が委託に基づ」いていたと言えるでしょう。
「自己が占有している」こと
横領罪における「占有」は、窃盗罪において、物に対する事実上の支配を意味するのに加えて、法律上の支配も含みます。
法律上の支配とは、例えば、AがB銀行に預金をした場合におけるAの預金に対する支配や、Aが不動産をBに売却したが、登記はA名義で残存していた場合のAの不動産に対する支配などが含まれます。
「他人の物」であること
「他人の物」とは、他人の所有に属する財物のことを意味します。
上記ケースでは、車の賃貸借契約により、Aさんはレンタカー会社が所有する車を事実上支配している状態であるため、「他人の物」を「自己が占有してい」たと言えます。
◇行為◇
横領罪の実行行為は、「横領」です。
「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得することです。
つまり、他人の物を占有する者が、権限なく、その物に対し、所有者でなければできないような処分をする意思(=不法領得の意思)を実現する行為を指します。
例えば、横領に該当する行為としては、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引き出し、貸与、小切手の換金、消費、着服などが挙げられます。
また、他人の物を毀棄、隠匿する意思で処分した場合であっても、所有者でなければできないような処分を行っているのであるから横領に当たるとされます。
一方、一時使用の目的で、他人の物を占有する者がその物を使用した場合、原則として、所有者でなければできないような処分を行っていないため横領には該当しないことになります。
しかし、その利用が、権利者が許容しないであろう程度・態様のものである場合には、不法領得の意思が認められることがあります。
◇主観的要素◇
条文にはありませんが、「不法領得の意思」は判例上認められた要件です。
また、横領罪の成立には、「自己の占有する他人の物を横領することなどの認識・認容」が必要となります。
レンタカーを借りたものの返却せず、自分の物にしてしまおうと思い乗り続けていると、横領罪が成立する可能性があります。
また、最初から返すつもりがなく借りた場合には、「横領罪」ではなく「詐欺罪」に問われる可能性があります。
横領罪は財産犯であるので、被害を回復する必要があります。
横領罪で逮捕された場合には、被害者への被害弁償を行い、示談を成立させ、事件を穏便に解決することを目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
横領事件でご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
偽造商品券使用して逮捕②
偽造商品券を使用して商品等を購入した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃市のスーパーマーケットで、1枚5千円の商品券4枚を渡し、タバコ4カートンを騙し取ったとして、岐阜県関警察署は、県内に住むAさんを偽造有価証券行使、詐欺の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、夫の逮捕に大変ショックを受けました。
そうこうしているうちに、Aさんが勾留されたとの連絡があり、このまま刑務所に入ることになるのではと不安になったAさんの妻は、ネットで刑事事件専門弁護士を探し、急いで連絡を入れました。
(フィクションです)
Aさんは、偽造した商品券を使ってスーパーマーケットでタバコを購入しました。
この場合、Aさんに対して、偽造有価証券行使罪および詐欺罪が成立する可能性があります。
前回は、偽造有価証券行使罪について説明しました。
今回は、詐欺罪について解説します。
(2)詐欺罪
詐欺罪は、刑法246条に次のように規定されています。
246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は以下のようになります。
(1項)①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと。
(2項)①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。
1.1項詐欺
◇客体◇
本罪の客体は、「他人の財物」であり、自然人・法人を含めた他人の占有する他人の動産および不動産です。
◇行為◇
本罪の実行行為は、「人を欺いて財物を交付させる」ことです。
より細かく言えば、①人を欺く行為をして、②それに基づいて相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じる、といった相当因果関係にあることが、本罪の成立に必要となります。
①欺く行為
「欺く」とは、一般人をして財物または財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
欺く方法については、作為・不作為を問いません。
②錯誤
「錯誤」は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればよく、法律行為の要素の錯誤であると、動機の錯誤であるとを問いません。
③処分行為
「財物を交付させる」というのは、相手方の錯誤に基づいて財産的処分行為により財物の占有を取得することを指します。
この処分行為は、財産処分の意思と、財産を処分する事実から成ります。
処分の意思があるというためには、処分行為者がその処分行為の意味を理解している必要があるため、処分する意思をまったく有しないような幼児や高度精神病者などには、財産的処分行為は認められません。
財産を処分する事実については、法律行為だけでなく、事実上財産的損失を生じさせる行為であれば構いません。
④財物の移転
「財物の移転」とは、財物の占有が移転することです。
⑤財産的損害
財産罪である詐欺罪の成立には、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが必要となります。
騙されなければ交付していなかったであろう財物を交付していれば、財産的損害が発生しているものとみなされます。
2.2項詐欺
◇行為◇
本罪の実行行為は、「人を欺いて財産上不法の利益を得る」ことです。
ここでいう「財産上不法の利益を得る」というのは、欺く行為に基づいて、相手方が錯誤に陥り、その結果行われた財産的処分行為によって行為者や第三者が、不法に財産上の利益を取得することを意味します。
さて、Aさんの行為について考えてみましょう。
Aさんは偽造商品券をスーパーマーケットの会計時に提示しており、それを受けた店員は、その商品券が真正なものであると信じ、商品であるタバコをAさんに渡しています。
つまり、Aさんの騙す行為によって、騙された店員が店の商品をAさんに交付し、商品はAさんのものとなっていますので、Aさんの行為は詐欺罪に当たることになります。
Aさんの一連の行為は、偽造有価証券行使罪および詐欺罪の2つの罪が成立することになります。
偽造有価証券行使は詐欺の手段として行われており、この2罪は牽連犯の関係にあります。
この場合、該当する罪のうち最も重い罪の法定刑によって処断されることになりますので、今回の事件では、起訴され有罪となれば、Aさんには3月以上10年以下の懲役が科される可能性があるということになります。
決して軽くはない罪ですので、早期に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、対応するのがいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽造有価証券行使罪や詐欺罪などの刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こして逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
偽造商品券使用して逮捕①
偽造商品券を使用して商品等を購入した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃市のスーパーマーケットで、1枚5千円の偽の商品券4枚を渡し、タバコ4カートンを騙し取ったとして、岐阜県関警察署は、県内に住むAさんを偽造有価証券行使、詐欺の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、夫の逮捕に大変ショックを受けました。
そうこうしているうちに、Aさんが勾留されたとの連絡があり、このまま刑務所に入ることになるのではと不安になったAさんの妻は、ネットで刑事事件専門弁護士を探し、急いで連絡を入れました。
(フィクションです)
Aさんは、偽造した商品券を使ってスーパーマーケットでタバコを購入しました。
この場合、Aさんに対して、偽造有価証券行使罪および詐欺罪が成立する可能性があります。
(1)偽造有価証券行使罪
偽造有価証券行使罪は、刑法163条に次のように規定されています。
163条 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
◇客体◇
偽造有価証券行使罪の客体は、「偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券」です。
「有価証券」というのは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につき、その証券の占有を必要とするもののことです。
その証券が取引上流通性を有すると否とを問いません。
有価証券にあたるものとしては、乗車券、定期券、宝くじ、郵便為替証券などがあります。
商品券も有価証券に含まれます。
「偽造」とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して有価証券を作成することをいいます。
形式上および外観において、一般人が真正な有価証券と誤信する程度のものでなければなりません。
「変造」とは、権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の有価証券の非本質的部分に変更を加えることをいいます。
これについても、一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式を備えている必要があります。
また、「虚偽記入」について、判例は、「既成の有価証券に対すると否とを問わず、有価証券に真実に反する記載をするすべての行為を指すものであって、手形にあっては基本的な振出行為を除いたいわゆる附属的手形行為の偽造等をいうものと解するを相当とする。」としています。(最決昭32・1・17)
◇行為◇
偽造有価証券行使罪の実行行為は、「行使」、「交付」、「輸入」することです。
「行使」とは、偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券を真正または内容の真実なものとして使用することをいいます。
偽造通貨行使罪のように、流通に置くことまで求められません。
そのため、信用を確保するため偽造小切手を真正なものとして第三者に見せる行為は、偽造小切手を真正な小切手として使用する行為に当たります。
また、「交付」は、情を知らない他人に偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券であることの情を明かして、または情を知っている他人にこれを与えることを意味します。
◇主観的要件◇
偽造有価証券交付罪および輸入罪は、「行使の目的」でこなわれることが必要です。
偽造有価証券行使罪の法定刑は、3月以上10年以下の懲役であり、罰金刑が定められていません。
偽造有価証券行使罪で起訴され、有罪となった場合には、上の法定刑の範囲内で刑が決められることになります。
また、偽造商品券を使って商品を購入したケースでは、偽造有価証券行使罪の他に、詐欺罪が成立することになります。
詐欺罪については、次回解説します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が偽造有価証券行使罪や詐欺罪で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
年齢切迫少年と逆送
年齢切迫少年と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県各務原市に住むAくん(19歳)は、アルバイト先のコンビニのトイレにカメラを設置し盗撮したとして、岐阜県各務原警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、すぐに少年事件に強い弁護士に相談の連絡を入れました。
Aくんの家族は、Aくんは翌月20歳の誕生日を迎えるため、逆送される可能性があることを弁護士から聞きました。
(フィクションです)
年齢切迫少年
少年事件の審判の対象となる少年は、20歳に満たない者です。。
少年法は、少年を以下の3種類に分けています。
①犯罪少年
犯罪を犯した少年。
②触法少年
14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年。
③虞犯少年
虞犯事由があって、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年。
いずれに該当する場合でも、家庭裁判所の審判の対象となる少年は、少年審判を受ける時点で20歳未満でなければなりません。
捜査段階でも審判段階でも、20歳の誕生日を迎えた場合は「成人」となり、少年事件の手続に付されることはなくなります。
少年審判を受ける時点で20歳を超えることになる可能性がある少年、つまり、家庭裁判所送致時にまもなく20歳を向かえる少年のことを「年齢切迫少年」といいます。
少年が審判前に20歳に達すれば、成人として刑事手続にのせられることになり、家庭裁判所は年齢超過として検察官に送致しなければなりません。
また、20歳になるまでに審判をすることが可能であるとしても、家庭裁判所送致後20歳の誕生日が間近に迫っており、実質的に調査を行う時間がない場合や、年齢に加えて、事案から起訴が相当であると裁判官が判断した場合には、成人に達する前に逆送されることもあります。
逆送(検察官送致)
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
中間決定とは、終局決定前の中間的な措置としてなされる決定であり、試験観察決定などがあります。
一方、終局決定は、少年の最終的な処分を決する決定のことで、(1)審判不開始、(2)不処分、(3)保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致)、(4)検察官送致(逆送)、(5)都道府県知事又は児童相談所長送致、とがあります。
家庭裁判所は、
①調査あるいは審判の結果、本人が20歳以上であることが判明した時(年齢超過)、および、
②死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分相当を認める時
は、事件を検察官に送致する決定をしなければなりません。
この終局決定を「検察官送致」(「逆送」)決定といいます。
先述のように、年齢切迫少年事件において問題となるのは、①年齢超過による逆送です。
審判時に少年が20歳以上に達している場合、少年法の適用対象ではなくなるので、家庭裁判所は審判をすることも保護処分をすることもできません。
そのため、この場合には、家庭裁判所は事件を検察官に送致しなければなりません。
この場合の逆送を「年齢超過逆送」といいます。
逆送のデメリットとしては、刑事手続に付され、起訴されると、成人と同様に刑事裁判を受けることになり、有罪となれば前科が付くことになることに加え、保護処分を受けられないため、少年が教育的な処遇を受ける機会を得られなくなってしまう点です。
例えば、少年審判では保護観察処分が言い渡される可能性が高いが、刑事手続であれば略式罰金で事件が終了することが見込まれる事件では、短期的に見れば、刑事手続の方が、前科は付くものの、早期に事件を終了させることができるという点にメリットがあるように思えます。
しかし、少年手続に付され、保護観察処分を受けることによって、保護観察期間中に、保護観察官や保護司との面談等を通して、教育的処遇を受ける機会を得ることができ、結果的に、少年の更生に資することになるという側面があります。
どちらが少年にとって良いのかは、事件内容や少年自身の持つ問題や周囲の環境等によっても異なります。
年齢切迫で逆送が見込まれそうな場合には、少年事件に精通する弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
保護責任者遺棄で逮捕
保護責任者遺棄について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県土岐市に住むAさんは、生後8か月の娘が衰弱した状態であることを知りながら放置したとして、岐阜県多治見警察署に保護責任者遺棄の疑いで逮捕されました。
外出さきから帰宅したAさんは、娘が全く動かないことに気が付き、119番通報をしました。
娘は救急車で緊急搬送されましたが、搬送先で死亡が確認されました。
現場に駆け付けた岐阜県多治見警察署の署員は、Aさんから話を聞き、Aさんを署まで連行し、後に逮捕したということです。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、あまりのショックでしばらく頭が真っ白になっていましたが、その後、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探し、Aさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
保護責任者遺棄罪とは
刑法218条は、保護責任者遺棄罪について次のように規定しています。
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
つまり、保護責任者遺棄罪の構成要件は、以下のようになります。
(前段)①保護責任者が
②老年者、幼年者、身体障害者又は病者を
③遺棄したこと
(後段)①保護責任者が
②老年者、幼年者、身体障害者又は病者を
③生存に必要な保護をしなかったこと
◇主体◇
本罪の主体は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」です。
保護する責任があるか否かは、法令の規定に基づく保護義務、契約に基づく保護義務、事務管理に基づく保護義務、条理に基づく保護義務が存在するか否かによります。
事例において、Aさんは生後8か月の娘の母親ですので、民法820条の親権者の子に対する監護義務が存在していますので、本罪の主体となり得ます。
◇客体◇
本罪の客体は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者」であり、老人、幼児、身体器官の不完全な者、身体上の病気のほか精神病にかかっている者、その他広く身体上、精神上の疾患をもつ者です。
◇行為◇
本罪の実行行為は、客体を「遺棄」すること、または、「生存に必要な保護」をしないことです。
「遺棄」とは、客体を従来の場所から生命に危険な他の場所に移転させることをいいます。
移転させられた場所が生命に危険な場所であることが必要です。
「生存に必要な保護」については、客体が生存するめに必要な行為をしないことであり、子供に食事を与えなかったり、病気の人や怪我をした人に必要な治療を受けさせなかったりするなどが該当します。
上の事例では、Aさんが生後8か月の娘が衰弱した状態であることを知りながら放置したというものですが、Aさんは娘を病院に連れて行くでもなく、そのままにしておいたのであり、生存に必要な保護をしていません。
また、本罪の成立には、行為者が、要保護者をその従来の場所から生命に危険な場所に移転すること、または、生存に必要な保護をしないことを認識しており、かつ、自己の要保護者との間に保護責任を基礎づける事実の存在することを認識していることが必要となります。
保護責任者遺棄罪の法定刑は、3月以上5年以下の懲役であり、罰金刑はありません。
また、その結果、人と死傷させてしまった場合には、傷害の罪と比較して重い刑により処断されます。
保護責任者遺棄致傷のときは、3月以上15年以下の懲役に処せられますが、致死のときは、3月以上の有期懲役となります。
保護責任者遺棄で逮捕された場合、逮捕後に勾留される可能性が高いでしょう。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を刑事施設や代用刑事施設に拘禁する旨の裁判官または裁判所の裁判およぼ執行のことです。
裁判官または裁判所は、勾留の要件を満たしているか否かを検討し、勾留を判断します。
被疑者の勾留の要件は、①勾留の理由、および②勾留の必要性である。
①勾留の理由
勾留の理由は、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、(イ)住居不定、罪証隠滅・逃亡のおそれのいずれかがあることをいいます。
②勾留の必要性
勾留の必要性とは、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢や身体の状況等から判断した勾留の相当性のことをいいます。
勾留の要件を満たしていると判断されれば、勾留が決定し、被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
保護責任者遺棄事件では、勾留されるケースが多いのですが、勾留を回避する事由がある場合には、勾留を回避するよう身柄解放活動を弁護士に依頼されるのもよいでしょう。
また、保護責任者遺棄罪の法定刑は罰金がなく、起訴されれば公開の裁判が開かれることになりますので、早期に弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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ご近所トラブルで刑事事件に
ご近所トラブルで刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県恵那市に住むVさんは、庭に動物の糞が投げ込まれるという被害に遭っており、岐阜県恵那警察署に相談していました。
Vさんは、自宅に防犯カメラを設置した数日後、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤が流し込まれるという事件が起きました。
警察に通報し、防犯カメラを確認したところ、近所に住むAさんの姿が映っていました。
警察は、Aさんを建造物損壊の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
近くに住む者同士、仲良くしたいものですが、残念ながら隣人との関係がうまくいかないこともあります。
しかし、ご近所トラブルが行き過ぎると、刑事事件に発展してしまうこともあります。
今回は、上の事例を基に、どのような罪が成立し得るのかについてみていきましょう。
建造物等損壊罪
Aさんの逮捕罪名は建造物等損壊罪です。
被疑事実は、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤を流し込み、玄関ドアを損壊させたことであると考えられます。
建造物等損壊罪は、
①他人の建造物又は艦船を
②損壊した
場合に成立する罪です。
◇他人の建造物・艦船◇
「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根を有し、障壁または柱によって支持され、土地に定着し、少なくともその内部に人の出入りが可能なものをいいます。
これまでの判例は、敷居・鴨居のように建造物の一部を組成し、建造物を損壊しなければ取り外すことができない物を損壊する行為は建造物等損壊罪にあたり(大判大6・3・3)、雨戸や板戸のように損壊することなく自由に取り外すことができる物を損壊する行為は、建造物等損壊罪ではなく器物損壊罪にあたる(大判大8・5・13)と解してきました。
しかし、最決平19・3・20は、建造物に取り付けられた物が、建造物等損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して判断するべきだとする立場をとっています。
その上で、金属バットで叩いてへこまされた玄関ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防音等の重要な役割を果たしていることから、建造物損壊罪の客体に当たるとしています。
このことより、玄関ドアも建造物等損壊罪の客体となり得ると言えます。
「艦船」とは、軍艦および船舶をいいます。
◇損壊◇
「損壊」とは、建造物・艦船の効用を害する一切の行為をいい、物理的な破壊に限りません。
玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込まれたことによって、鍵を差し込むことができなくなります。
鍵を差し込むことができないと、鍵をかけることができず、玄関ドアの防犯という機能を果たさなくなります。
このことから、玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込む行為は、玄関ドアの効用を害する行為であり損壊に当たるでしょう。
以上から、Aさんは建造物等損壊罪の罪に問われ得るわけですが、他にも、正当な理由なくVさん宅に侵入しているため住居侵入罪が成立するものと考えられます。
また、Vさんの敷地内に動物の糞が投げ込まれていた件についても、Aさんが行ったのであれば、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)についても罪責が問われる可能性があります。
Aさんが容疑を認める場合には、被害者への謝罪と被害弁償、そして示談を成立させることが事件を穏便に解決する最も重要な要素となるでしょう。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのが一般的です。
当事者当時の交渉は、感情論的になり易く、難航する可能性が高いからです。
ご近所トラブルから端を発したのであれば尚更でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
数多くの刑事事件・少年事件を取り扱ってきており、示談交渉にも豊富な経験があります。
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少年事件:大麻所持
少年事件(大麻所持)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大学生のAさん(18歳)は、岐阜県大垣市にある公園で深夜数名で集まり騒いでいました。
近隣からの苦情の通報を受けて公園に駆け付けた岐阜県大垣警察署の警察官に、Aさんらは職務質問を受けました。
その際、Aさんらの所持品から乾燥大麻が入ったパケが見つかり、大麻所持の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、すぐに釈放してほしいと少年事件に精通する弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
少年と大麻所持
大麻取締法違反事件で検挙された少年の数は、増加傾向にあるといいます。
大麻は規制薬物ですので、大麻の所持・譲渡・栽培等の行為は犯罪です。
しかしながら、大麻については海外の国や地域において、その使用等が合法とされているため、違法薬物であるとの認識が薄いことや、他の薬物と比べて手に入りやすいこともあり、少年による大麻乱用が増加しているのではないかと指摘されています。
また、大麻は薬物依存の入り口となる「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれており、大麻から始まり、徐々により中毒性の高い薬物へ手を出す傾向もあり、その有害性を軽視することはできません。
大麻取締法は、文字通り大麻を取り締まる法律です。
大麻取締法は、第3条で、「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のために使用してはならない。」と定めています。
この規定に反して、「大麻を、みだりに、所持し」た場合の罰則は、5年以下の懲役です。
ここでいう「所持」というのは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」をいい、大麻について所有権や処分権を有していることは必要とされません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。
営利目的での大麻所持の罰則は、7年以下の懲役または情状により7年以下の懲役および200万円以下の罰金です。
営利の目的は、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされます。
大麻所持で逮捕されたら
14歳以上の少年が大麻所持で逮捕された場合、捜査段階での手続は、おおむね成人の刑事手続と同じです。
逮捕から48時間以内に、少年は釈放されるか、検察庁に証拠や関係書類と共に送致されます。
検察庁に送致されると、少年は担当検察官の取調べを受けます。
そして、少年の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は少年を釈放するか、勾留請求するかを決めます。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を刑事施設に留置して身柄を拘束する旨の裁判官もしくは裁判所の裁判とその執行のことをいいます。
検察官の勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談をした上で、少年を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から10日間の身体拘束を受けることになります。
延長となれば、期間は最大で20日間です。
少年の場合には、検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、「勾留に代わる観護措置」の請求をすることができ、裁判官は、この措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点で勾留と異なります。
①少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留は延長が可能ですが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は認められません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。
長期の身体拘束を強いられることになれば、少年はその期間学校や職場へ行くことができませんので、最悪の場合には退学や懲戒解雇となってしまう可能性があります。
そのような事態は、少年の更生を妨げる結果となりかねませんので、回避できるよう動く必要があります。
短期間で逮捕から勾留まで決定するため、早く対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お子様が大麻所持で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。