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(事案紹介)ライターでティッシュ等に火…マンガ喫茶の店内で放火しようとした疑いで交番に自首した男性を逮捕
(事案紹介)ライターでティッシュ等に火…マンガ喫茶の店内で放火しようとした疑いで交番に自首した男性を逮捕
放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説しています。
このブログでは、漫画喫茶の店内でティッシュなどにライターを用いて放火を使用とした、という報道事例をもとに、放火に関する法律についてその成立などを検討しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、放火など重大事件に対応しています。
【事案の概要】
マンガ喫茶の店内で、ライターを使って放火しようとしたとして60代の男が逮捕されました。
男はマンガ喫茶の個室で、ライターでティッシュなどに火をつけ放火しようとした疑いが持たれています。
火は男性従業員によってすぐに消し止められましたが、個室内のモバイルバッテリーやゴミ箱などが燃えたほか、別の男性従業員が煙を吸って体調不良を訴え病院に搬送されました。
警察によりますと、男は近く交番に自首し、調べに対し容疑を認めているということです。
(10月19日東海テレビニュースで配信された記事を参考に、一部内容を変更しております。)
【放火の罪は非常に重い刑罰が定められている】
放火の罪について、刑法では108条以下に詳細に刑罰が定められていますが、非常に重い刑罰が定められています。
例えば、現に人が住んでいる若しくは人が使用している建物への放火は、現住建造物等放火罪(刑法108条)が適用されますが、刑罰として、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」と定められています。
また、人が使用していない建物への放火に適用される非現住建造物等放火罪(刑法109条)については、その建物が他人所有の場合は「二年以上の有期懲役」(同条1項)、自己の所有であっても「六月以上七年以下の懲役」(同条2項)と定められており、建物以外の放火に適用される建造物等以外放火罪(刑法110条)についても、他人所有であれば「一年以上十年以下の懲役」(同条1項)、自己の所有でも「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」と定められています。
そのため、自己所有建造物等以外放火罪を除く放火の罪については、起訴されれば必ず正式裁判となり、現住建造物等放火罪に至っては、法定減刑事由がなければ必ず実刑判決となってしまいます。
(執行猶予判決は、言い渡された刑罰が3年以下のときにされる場合があります。現住建造物等放火罪は法定刑の下限が5年であるため、未遂の場合や、情状酌量などといった法定減刑事由がなければ、執行猶予判決の対象となりません。)
このように放火の罪の刑罰が重い理由は、放火の罪の保護法益(法によって守られるべき利益のことをいいます)が「公共の安全」、すなわち不特定又は多数人の生命・身体・財産であるからです。
放火行為は、放火した建物のみならず、そこから延焼したりすることで、甚大な被害を生じさせるおそれがあることから、上記のような重い刑罰が定められているのです。
今回の事案は、マンガ喫茶の店内で放火しようとしたとのことですので、店内への放火行為の未遂として現住建造物等放火罪の未遂罪(刑法112条)が適用されると考えられます。
【具体的な弁護活動】
前述したように、放火の罪は非常に重い刑罰が定められ、起訴されれば必ず正式裁判となるため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、刑事事件に強い弁護士による弁護活動が不可欠です。
まず、今回のケースは、店内の備品が焼損しており、従業員の方も体調不良となっているため、焼損した備品および被害者の方への被害弁償を含めた示談交渉を行い、可能であれば宥恕条項付きの示談締結を目指します。
次に、刑事事件の起訴権限を有する検察官に対しては、被害者の方との間で示談が成立した場合は、当然その事実を主張し、今回のケースでは本人が自首をしているとして、本人が反省していることなども含めた主張を行い、今回の事件は不起訴処分(起訴しない)にすべきである旨主張します。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいることや、近くの交番に自首をしており、刑法上の自首(刑法42条1項)が成立すること、情状酌量の余地があること等を主張して、執行猶予判決の獲得を目指します。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
当事務所では、放火などの重大事件の弁護活動の経験も豊富です。
ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
岐阜市において殺人未遂事件で男性が逮捕
岐阜市において殺人未遂事件で男性が逮捕
岐阜市において殺人未遂事件で男性が逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
岐阜市で元交際相手の女性の首を絞め殺害しようとしたとして男が逮捕されました。
殺人未遂の疑いで逮捕されたのは可児郡御嵩町中の男です。
警察によりますと、男性は岐阜市橋本町の路上に駐車した車内で女性の首を絞めた疑いがもたれています。
女性は首にけがを負いましたが、命に別状はないということです。
男性は女性の元交際相手で、警察で動機などを詳しく調べています。
(岐阜放送 「殺人未遂で28歳の男逮捕 岐阜市」(2023/10/6)を引用・参照)。
~裁判員裁判対象事件~
(殺人)
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(未遂罪)
第203条 第199条……の罪の未遂は、罰する。
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
本件で逮捕された被疑者は、元交際相手の被害者の首を絞めた疑いで殺人未遂の容疑がかけられています。
したがって、「人を殺」すという結果が生じていない以上、「これを遂げなかった者」として、刑の任意的な減軽の対象となります(刑法43条本文)。
もっとも、ここで注意すべきなのが、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(通称、裁判員法)2条1項1号です。
同号は、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」を裁判員裁判対象事件と定めており、これはあくまで起訴される犯罪の法定刑が基準となります。
すなわち、本件の被疑者の容疑となっている殺人未遂罪(刑法199条、203条)の法定刑は、あくまで「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」であるということです。
したがって、殺人未遂罪で起訴されてしまうと、原則として、通常の刑事裁判よりも負担の大きい(一般市民が裁判に参加する)裁判員裁判を受けることになります。
~殺人(未遂)事件における刑事弁護活動~
上述のように本件では、被疑者の男は殺人未遂の容疑で逮捕されています。
殺人罪で一つの争点となり得るのが、殺意の有無です。
殺意(すなわち殺人罪を犯す意思)がなければ、殺人罪が成立することはありません(刑法38条参照)。
特に本件のような殺人という結果が生じていない殺人未遂のケースでは、もし殺意が認められなければ傷害罪が成立するにすぎません。
上記の傷害罪(刑法204条)には罰金刑も存在しますから、(実際に罰金刑となるかは別として)殺人罪とは法定刑において余りにも大きな差が存するといえるでしょう。
したがって、弁護士としては起訴前の段階から被害者と示談交渉を行うことで、殺人罪での起訴を避ける可能性を模索するなどの積極的な弁護活動が重要になってくると考えられます。
そして殺人(未遂)罪での起訴を避けることができれば、上述の裁判員法が定める対象事件に当たらなくなるため、通常の刑事裁判を受けるにとどまることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人(未遂)事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
全国に支部を有する弊所には、重大事件も含めた刑事事件に精通する弁護士が多数所属しています。
殺人(未遂)事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。
羽島市で強盗事件で男性が逮捕
羽島市で強盗事件で男性が逮捕
羽島市で強盗事件で男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
岐阜県羽島市のコンビニに男が押し入り、現金が奪われた強盗事件で、警察は、63歳の男を逮捕しました。
警察によりますと、被疑者は、岐阜県羽島市江吉良町のコンビニで女性店員に刃物を突き付け、現金およそ36万円を奪った疑いがもたれています。
防犯カメラの映像などを解析し、被疑者の特定に至りましたが、警察の調べに対し、容疑を否認しているということです。
(名古屋テレビ 「岐阜・羽島市のコンビニ強盗事件で63歳の男を逮捕 防犯カメラの映像解析などで特定も容疑を否認」(2023/5/28)を引用・参照)。
~財産犯の中でも特に重い強盗罪~
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(強盗予備)
第237条 強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。
強盗罪は、窃盗罪(刑法235条)を中心とした財産罪の中でも「5年以上の有期懲役」と最も重く処罰されており、殺人罪などの法定刑の重い犯罪と同じく予備行為まで処罰されていることにその重罪性が表れているといえます。
そして、刑法の謙抑性の観点からすれば、このような重い処罰が正当化されるには、行為自体が違法性が高いものである必要があります。
強盗罪は「他人の財物」を一方的に奪う点では、窃盗罪と変わるところはありません。
強盗罪の重い処罰を基礎付けるのは、その手段として「暴行又は強迫」が用いられることにあります。
本事案に即して言えば、現金を奪う手段として「脅迫」が用いられていますが、これは脅迫罪(刑法222条)にいう「脅迫」が行われるのでは足りません。
その手段としての「脅迫」行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度まで強度のものであって、はじめて強盗罪の重罪性が基礎付けられるほどの違法性が認められるのです。
~否認事件における類型~
本件では逮捕された被疑者は容疑を否認していますが、これはいわゆる犯人性否認に当たるものです。
犯人性否認とは、真犯人は別に存在し犯人と誤認された旨を主張するものです。
当然、冤罪(無実)であることが前提となる主張ですから、弁護士としても最も深刻に捉えるべき事件の一つであることは間違いありません。
このような事件における弁護活動としては、まずアリバイの主張が考えられます。
かかる主張は積極的な証拠が残っているとも限らず、綿密なシミュレーションなどを重ねたケースストーリーの構築が求められることになります。
今回の事件のような場合、防犯カメラの映像が犯人特定の決め手になったと考えられることから、当該映像の科学的鑑定など他の専門家の力を借りることも場合によっては必要になってくるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、否認事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
身に覚えのない強盗事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
【否認事件】大垣市で窃盗の疑いで逮捕
【否認事件】大垣市で窃盗の疑いで逮捕
大垣市で窃盗の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
公園で8歳児のリュックサックを盗んだとして、岐阜県警大垣署は、窃盗の疑いで、男を逮捕した。
逮捕容疑は某日午後2時40分〜同3時10分ごろの間、大垣市内の公園で、市内に住む男児の携帯電話と水筒が入ったリュックサック(計7千円相当)を盗んだ疑い。
署によると、男児が公園で遊んでいる間に置いてあったリュックサックがなくなったことに気付き、母親が署に通報した。
男は容疑を否認している。
(岐阜新聞「公園で8歳のリュックサック盗んだ疑い 岐阜・大垣署逮捕、容疑は否認」(2023/10/13)を引用・参照。)
~窃盗と遺失物等横領~
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
刑法上、財産犯(財産を侵害する犯罪)の中でも領得罪(相手のものを自分のものにしようとする犯罪)は、当該財産の占有の移転を伴わないもの(非移転罪・横領罪)と、それを伴うもの(移転罪・奪取罪)に分かれて規定されています。
窃盗罪(235条)は後者の占有移転罪であるから、これを伴わない(遺失物等)横領罪(第38章参照)とは、被害者に占有があるか否かによってその成否が区別されることになります。
本事案では、事実関係の詳細が必ずしも明らかではありませんが、被疑者である男が被害品を盗もうとした時点において、被害品たる公園に置いてあったリュックサックに被害者である男児(あるいはその母親)の占有が認められる場合には、法定刑の重い窃盗罪が成立する余地があります。
判例・実務上、占有の有無は財物に対する事実的支配が及んでいるか否かによって判断されますが、事実認定上その判断には専門的知識が不可欠であり、刑事弁護士によるアドバイスを仰ぐ必要があると言えるでしょう。
~否認事件における弁護活動~
本事案では、逮捕された被疑者は容疑を否認しています。
否認事件の弁護活動においては、特に冤罪の可能性というものを念頭に置いておかなけれなりません。
冤罪というと無罪という裁判段階(起訴後段階)を思い浮かべがちですが、罪がないのに疑われること自体も冤罪に含むと考えれば、不起訴処分(その中でも「罪とならず」「嫌疑なし」によるもの)による雪冤もありうることになります。
そして、無罪判決の割合がわずか0.1パーセントとも言われていることからすれば、捜査段階(起訴前段階)における上記不起訴処分は、被疑者の物理的・精神的負担の軽減という観点からも積極的に目指していくべき獲得目標と位置付けることができます。
もっとも留意すべきなのが、上記不起訴処分の獲得もまた容易ではないのであり、事件内容を精査するとともに弁護士と被疑者・依頼者とが十分なコミュニーケーションを取ることが重要と言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件のみを専門的に取り扱っている弁護士の所属する法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族等は、24時間/365日受付のフリーダイヤル(通話料無料:0120-631-881)にまずはお電話ください。
【岐阜】警察に対する偽計業務妨害で逮捕
【岐阜】警察に対する偽計業務妨害で逮捕
偽計業務妨害で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
2週間で46回の110番通報をして警察の業務を妨害したとして、岐阜市に住む被疑者Aが逮捕されました。
警察によりますとAは7月25日から8月8日までに46回にわたり110番通報をし、「これから事件を起こしたろか」「今から警察署に殴り込みに行こうと思う」などと告げたり、無言で通話を切るなどして、警察官の業務を妨害した偽計業務妨害の疑いが持たれています。
(CBCテレビ「2週間で46回の110番通報 岐阜市の62歳男を逮捕」(2023/8/19)」を引用・参照。)
~偽計業務妨害罪について~
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
刑法233条は、偽計等を手段として人の業務活動の自由を害する行為を犯罪として罰する趣旨の規定です。
同法234条は、人の意思を制圧にするに足りる勢力を示す「威力」による業務の妨害を保護する規定を置いていますが、暴力的な手段が用いられている点で233条とは異なっています。
本事案では、警察の業務を妨害したにも関わらず、公務執行妨害罪(95条1項)ではなく偽計業務妨害罪が問題とされている点に疑問を持たれた方もいるかもしれません。
まず、公務執行妨害罪 が成立するには、公務員に対する「暴行又は脅迫」が要件となるためこれらの手段が用いられていない場合には同罪は成立しません。
このような帰結から、公務は「暴行又は脅迫」のようなより強力な手段が採られた場合にのみ処罰されるのであって、業務妨害罪の「業務」に公務は含まれないのではないかという問題があります。
判例・通説は、公務を権力的公務と非権力的公務に分けた上で、後者のみ業務妨害罪の「業務」としても保護されるという立場を採用しているといわれています。
そうすると、この立場からは警察の公務は権力的公務である以上、業務妨害罪は成立しないとの結論が導かれそうにも思えます。
この点に関し、本事案のような(虚偽も含む)犯罪予告によって妨害される本来の警察業務には非権力的な公務も含まれるはずであり、かかる公務が妨害されたことをもって「業務」の妨害があったとして業務妨害罪の成立が認められると考えることが可能です。
したがって、本事案でも偽計業務妨害罪が成立すると考えることができるでしょう。
~警察に対する業務妨害事件における弁護活動~
本事案では偽計業務妨害の疑いで被疑者Aは逮捕されるに至っています。
被疑者が逮捕されたケースにおいては、逮捕後勾留されるかどうか、勾留後起訴されるかどうかが弁護上大きなポイントとなってくると思われます。
後者において不起訴を含めた処分を軽くするために重要になってくるのが被害者との示談の締結です。
しかし、本事案のように被害者が警察(警察官)である場合、被害者との示談は困難と考えざるを得ません。
したがって、典型的な私人が被害者である場合とは弁護活動の内容が異なってくるのであり、被害者の特殊性に配慮した弁護活動が必須であるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務妨害事件を含む刑事事件全般を専門として扱っている法律事務所です。
偽計業務妨害事件で逮捕された方のご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。
強盗致傷事件で逮捕
強盗致傷事件で逮捕
強盗致傷事件で逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
岐阜市のガソリンスタンドで起きた強盗致傷事件で、46歳の男Aが逮捕されました。Aは、岐阜市今川のガソリンスタンドで約4500円分のガソリンを給油後、代金を支払わずに逃走し、止めようとした男性店員にケガをさせた疑いが持たれています。
防犯カメラの解析などからAが浮上し、容疑を認めています。
(東海テレビ「スタンドで給油後に代金約4500円分支払わず店員にケガさせ逃走か」(2023/9/11)を引用・参照。)
~強盗致傷罪の成立について~
(事後強盗)
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
(強盗致死傷)
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処……する。
(未遂罪)
第243条 第235条から第236まで、第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は、罰する。
まず、本事案ではAは約4500円分のガソリンを給油し、代金を支払わずに逃走しようとしています。
この時点で、Aは「他人の財物を窃取」しようとしたものとして、少なくとも窃盗未遂罪が成立することになります(刑法235条、243条)。
そして上記の刑法238条は、「窃盗」犯人が「財物」を「取り返されることを防ぎ」又は「逮捕を免れ……るために」、「暴行……をしたとき」は、「強盗として論ずる」と定めていることから、少なくとも窃盗未遂を犯したAが「財物」たるガソリンを「取り返されることを防ぎ」または「逮捕を免れ……るために」、店員Vに「暴行」を加えていることから事後強盗未遂罪が成立すると考えられます(なお、事後強盗罪が既遂に達しているか否かは窃盗が既遂に達しているか否かによって判断されます)。
さらに本事案では逃走する際に店員Vにケガを負わせてしまっていることから、「強盗が、人を負傷させた」といえ、強盗致傷罪(刑法240条前段)が成立しうることになります。
~強盗致傷事件における刑事裁判~
強盗致傷事件は、上記のとおり法定刑として「無期……の懲役」(刑法240条前段)を規定していることから、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」(裁判員法2条1項1号)として、裁判員裁判対象事件となることに注意を要します。
つまり、(事後)強盗罪として起訴されるか(法定刑は「5年以上の有期懲役」)それとも強盗致傷罪として起訴されてしまうかによって、(裁判官のみによる)通常の刑事裁判になるか裁判員裁判になるかという大きな分岐点が存在することになります。
本事案では、強盗致傷罪の成立を争うのは難しいと思われますが、被害者に生じたケガが本当に強盗の際(強盗の機会)に生じたものなのかを争いうるケースにおいては、どちらの罪名で起訴されるかが弁護活動においても重要になると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗致傷事件を含む刑事事件のみを専門にしている法律事務所です。
強盗致傷事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。
【ニュース紹介】名古屋市港区で起きた銃刀法違反事件
【ニュース紹介】名古屋市港区で起きた銃刀法違反事件
今回は、名古屋市港区で起きた銃刀法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
31日午前、名古屋市港区の病院でサバイバルナイフなどナイフ2本を所持したとして52歳の男が逮捕されました。
男の確保に警察官が拳銃を構え、あたりは一時騒然としました。
銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは名古屋市南区の職業不詳・(中略)容疑者(52)です。
警察によりますと、(中略)容疑者は31日午前10時半ごろ、港区の病院でサバイバルナイフなどナイフ2本を所持した疑いが持たれています。
「通院の患者がサバイバルナイフを持っている」と病院の職員から通報があり事件が発覚していて、駆け付けた警察官が1階ロビーで両手にナイフを持つ(中略)容疑者を発見していました。
警察官が「捨てろ」と注意したものの(中略)容疑者が向かってきたため、拳銃を構えて警告し、逮捕に至ったということです。
(中略)容疑者は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(令和5年5月31日 中京テレビNEWS 「病院で“ナイフ所持男”を逮捕 警察官が銃を構えて一時騒然 名古屋・港区」より引用)
【銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)】
取り上げたニュースで逮捕された男性は、銃刀法違反の疑いと書かれていますが、銃刀法違反は略称であり、正式には銃砲刀剣類所持等取締法違反と言います。
ケースで男性が違反した銃刀法違反は以下の条文だと考えられます。
銃砲刀剣類所持等取締法22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない
この条文に違反した場合の罰則は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっています(銃砲刀剣類所持等取締法31条の18第2項第2号)。
業務以外の「正当な理由」での携帯とは、購入した刃物を自宅に持って帰る、または修理のためにお店に持って行くことです。
人に見せるために持ち歩くことは当然、護身用として持っているという場合も「正当な理由」で携帯していることにははなりません。
また、この条文でいう携帯とは、自宅や住居以外の場所で刃物を手に持っている、刃物を身体に帯びる等してすぐに使用できるようにして身辺に置いている、かつその状態が持続することを指しています。
【早期の身柄解放活動】
釈放がされない場合は逮捕後に検察官送致、そして勾留と身体が拘束され、最大で23日間は身体拘束が続くことになります。
それを回避するための手段の1つは弁護士による身柄解放活動で、家族などに身元引受人になってもらう、釈放を求める書面を提出するなどが考えられます。
国選の弁護人は勾留が決定されてから付きますが、私選の弁護人であれば逮捕の段階から依頼することが可能であるため、より早い身柄解放活動活動が行えます。
早期の釈放を目指すのであれば、勾留前の段階で私選の弁護士に身柄解放活動を依頼することがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
当事務所では弁護士が逮捕された方のもとに直接向かう初回接見サービス(有料)の他、初回であれば無料の法律相談などをご利用いただけます。
銃刀法違反となってしまった方、または家族が銃刀法違反で逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
岐阜県大垣市内で18歳未満を連れまわして未成年者略取罪に
岐阜県大垣市内で18歳未満を連れまわして未成年者略取罪に
今回は、岐阜県大垣市にて18歳未満の未成年者を連れまわしたという事例を想定して、未成年者略取罪の成立について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。
【事例】
岐阜県大垣市在住のAさん(30代)は、大垣市内の飲食店で勤務しています。
大垣警察署の警察官は大垣市内の路上で、徒歩で通行していたVさん(10代)に対して、口を塞ぎ車に乗せて連れ去った嫌疑でAさんを逮捕しました。
Aさんの逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、Vさんに対し申し訳ないと思い、Vさんに対する謝罪や賠償などの示談交渉を含めた弁護活動を弁護士に依頼しました。
※事例はフィクションです
【解説】
1 未成年者略取罪とは?
未成年者略取罪とは、「未成年者」を「略取」した場合に成立する犯罪です。
有罪となった場合、3月以上7年以下の懲役に処されます。
未成年者略取罪は、刑法第224条に次のように定められています。
刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
2 未成年者略取罪の成立要件
「未成年者」とは、18歳未満の者を意味します(民法4条)。
「略取」とは、暴行や脅迫行為をして、未成年者を従来の生活環境から離れさせて第三者が事実上支配できる場所に置くことをいいます。
今回の事例では、女性Vさんという「未成年者」を口を塞ぎ車に乗せて連れ去った行為が「略取」に該当し男性Aさんに未成年者略取罪が成立します。
3 「略取」と「誘拐」の違いとは?
「略取」と「誘拐」の違いは「略取」が暴行や脅迫の手段を用いるのに対して、「誘拐」は人を欺いたり誘惑する手段を用いる点に違いがあります。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が未成年者略取罪について検討しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者略取罪は、罰金刑がなく有罪となった場合には懲役刑のみであるという点で、重大な犯罪であるといえます。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
24時間365日受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)
岐阜市内のコンビニで器物損壊して逮捕
岐阜市内のコンビニで器物損壊して逮捕
今回は、岐阜市内のコンビニエンスストアに於てドアガラスを割ったことで器物損壊の嫌疑で逮捕されたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【事例】
岐阜県岐阜市在住のAさんは、岐阜市内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは酒に酔って岐阜市内のコンビニエンスストアの出入口ドアを足蹴りしてドアガラスを割ったことで、岐阜南警察署の警察官によって器物損壊罪で逮捕されました。
Aさんの家族は、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に弁護を依頼しました。
※事例はフィクションです
器物損壊罪とは?
器物損壊罪とは、「他人の物を損壊し、又は傷害した」場合に成立する犯罪です。
有罪となった場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処されることになります。
器物損壊罪は刑法の261条に次のように規定されています。
刑法261条 (器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※「前3条」とは、刑法258条(公用文書毀棄罪)、刑法259条(私用文書毀棄罪)、刑法260条(建造物損壊罪)。
他人の物の損壊・傷害
器物損壊罪の行為は、損壊することまたは傷害することです。
「損壊」の他に「傷害」が明記されているのは本罪の客体にペットなどの動物が含まれているからです。
したがって、傷害とは動物を対象とし、損壊は動物以外のものを対象としていることになります。
今回の逮捕事例では、コンビニのドアを足蹴りしてガラスを割った(=損壊させた)ことで器物損壊罪が成立し、逮捕に至っています。
事務所紹介
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が器物損壊罪について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
器物損壊罪では、弁護士に間に入ってもらい、被害者に被害弁償を行って示談を成立させておくことが重要となります。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
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(ニュース紹介)学校内での盗撮と少年事件の刑事手続について
(ニュース紹介)学校内での盗撮と少年事件の刑事手続について
学校内での盗撮事件がどのような罪に当たるか、また、少年事件の手続きはどのように進んでいくか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。
【事案の概要】
近年、全国の中学校、高校などでは、eラーニングといって、インターネットを通じて学習を行う機会が増加しています。
その一環として、生徒に対して学習用のタブレット端末を配布する学校がありますが、この学習用タブレット端末を用いた少年事件も度々報じられています。
デジタル端末のトラブル相談に応じる団体によれば、学習用タブレット端末が1人1台ずつ配布されて以降、学校内の盗撮関連の相談は約2割増えているとのことでした。
(2022年11月30日東海テレビ配信のニュースを参考に、一部内容を変更しております。)
【どのような犯罪に問われるのか?】
これまで、盗撮事件については各都道府県の迷惑防止条例により処罰されていました。
しかし、令和5年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(通称:性的姿態撮影等処罰法)が施行されたことにより、施行以降の事件は、全国一律でこの法律によって処罰されることになりました。
各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮行為は非常習であれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習的な盗撮行為であれば「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっているところが多いですが、性的姿態撮影等処罰法では「3年以下の拘禁刑(現在は懲役刑)又は300万円以下の罰金」と従来に比べかなり重く処罰されることになります。
なお、令和5年7月13日以前の事件については従来通り各都道府県の迷惑防止条例により処罰されることになります。
さらに、性的姿態撮影等処罰法が対象としている盗撮行為は「性的姿態等」、すなわち性器が映っているものや下着姿を撮影したものなどですので、例えば衣服越しの臀部などを盗撮したようなケースでは、従来通り迷惑防止条例が適用されることになります。
今回の事案は、性的姿態撮影等処罰法施行前のものですので、迷惑防止条例が適用されますが、女子生徒の着替えを盗撮したというケースですので、今後は性的姿態撮影等処罰法が適用されるでしょう。
【少年事件はどのような刑事手続きを経るのか?】
今回の事案は、少年による事件であるため、少年法に基づき手続きが進められます。
少年事件の場合、犯罪の疑いがあると判断されたものはすべて家庭裁判所に送られ(全件送致主義といわれます)、家庭裁判所で審判を開くか否かの調査を受けることになります。
調査のあと、少年審判を行う必要がないと判断された場合は、そこで事件は終了します(審判不開始決定)。
審判が開かれた場合、その後の処遇としては、不処分決定、保護処分、検察官送致(逆送といわれます)があります。
不処分決定は、犯罪の事実がないか、犯罪の事実はあるが。
保護処分は、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことをいい、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3つがあります。
保護観察の場合は、保護司の監督の下、更生のために家庭内で行われる処分ですが、少年院送致と児童自立支援施設等送致は、それぞれの施設に少年を預ける処分となります。
検察官送致(逆送)とは、様々な事情を考慮して、保護処分ではなく刑事処分が妥当であると家庭裁判所が判断した場合に、その事件が家庭裁判所から検察官に送り返されることをいい、成人と同じ刑事裁判手続を経ることになります。
(なお逆送される事件は、殺人事件など身体・生命に関わるものがほとんどですので、今回の事案のような盗撮事件では、逆送される可能性は低いです。)
【少年事件における弁護活動とは?】
少年事件における弁護活動は以下のようになります。
まず、審判不開始決定あるいは、審判が開かれた場合でも不処分決定を得るために、弁護士を通じて、家庭裁判所に対して、本人が非行事実を否認しているような場合には非行事実が存在しないことを主張し、非行事実を認めている場合には、事件が軽微で少年の現在の性格や環境に照らして再び非行を行う危険性がないことなどを主張していきます。
もっとも、事件の軽微性や再度非行を行う危険性がないことを主張する場合には、少年本人の反省は当然のこと、更生のための少年の環境調整を行うことが不可欠です。
また、被害者の保護も図られなければなりませんから、被害者への被害弁償や示談締結も弁護士により行われます。
今回の事案であれば、弁護士を通じて被害者の方への被害弁償を行い、宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談締結を目指します。
そして、家庭裁判所に対しては、少年本人が反省していることはもちろん、被害者の方との間では前述の宥恕条項付きの示談が成立していることや、今後は学習用タブレット端末のデータ管理は両親が行うなどして、更生のための環境調整を行い、再犯防止に努めることを主張し、審判不開始もしくは不処分決定にすべきであることを主張します。
少年事件の弁護活動については、少年事件・刑事事件に強い弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。