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業務上横領罪と窃盗罪の違いとは?
業務上横領罪と窃盗罪の違いとは?
業務上横領罪と窃盗罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県岐阜市茜部菱野にある大手スーパーVの店員Aさんは、店員歴30年というキャリアを持ち、役職はないものの、商品の販売をするかたわら商品の保管管理を任されていました。
ある日、商品の仕分け作業中、Aさんはつい出来心でその商品を横領しました。
Aさんは数日後Vの店長Xさんに呼び出され、「君が商品を横領した様子が防犯カメラに写っていた。近日中に岐阜県南警察署に被害届を出しに行く。」と言われました。
Aさんは、大変なことをしてしまったと思い、刑事事件を取り扱っている弁護士に、今後について相談に行きました。
そこでAさんは、自分の行為が該当し得る犯罪として、業務上横領罪と窃盗罪を挙げられ、そのうち業務上横領罪が成立するであろうという話をされました。
(フィクションです)
【業務上横領罪】
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。(刑法第253条)
①意義
業務上横領罪は、業務上自己が占有している他人の物を横領することによって成立する犯罪です。
②主体
業務上横領罪の主体は業務上の占有者であり、業務とは人が社会生活上の地位に基づき継続的に従事する事務(仕事)のことで、経理担当者や集金人の金銭の保管占有、倉庫営業者の荷物の保管占有などがあります。
業務上の占有とは、自己の生活維持のための本来の仕事である必要はなく、業務に付随する他人の物の保管・占有のことです。
③性格として
業務上横領罪では、業務上ではない横領罪に比べて背任性が強いので、単純な横領罪に刑を加重しています。
さらに、業務上横領罪の成立には委託信任関係を必要としており、業務者・占有者という二重の身分が必要である身分犯です。
また、その身分がない共犯も共犯者となりますが、この場合の共犯者には単純横領罪を適用します。
【窃盗罪】
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役に処する。(刑法第235条)
①意義
窃盗罪は、他人の占有する財物を不法に領得する意思を持って占有者の意思によらないで、摂取することで成立する財産犯です。
②客体
窃盗罪の客体は他人の占有する財物で、占有とは支配意思をもって財物を事実上自己の支配下におく状態といいます。
また財物とは物理的に管理の可能なものとしており、無体物(電気など)でも特定の人が管理している限りは財物とみなし、金銭的交換価値のみならず、主観的使用価値のあるものも保護に値します。
例えば会社の機密資料や、死亡した親族の写真などです。
そして、禁制品(所持が禁止されているもの)であっても窃盗罪の客体である「財物」とみなされます。
③行為
窃取すること、他人の占有する財物をその占有者の意思によらないで奪取することで、すなわち、他人の占有を侵害し、事実上自己または第三者の占有に移すことが窃盗罪の実行行為に当たる行為です。
着手時期は他人の占有を侵害する行為の開始や、それに密接に関連する行為を開始した時点とされています。
既遂時期は目的物を自己または第三者の支配に移した時点です。
不法領得の意志とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って、これを利用または処分する意思のことです。
窃盗罪が成立するためには不法領得の意志が必要で、単に捨てる、若しくは隠すという意思で占有権を移した場合には窃盗罪は成立しません。
【刑事事件例について】
窃盗罪と横領罪の違いについては、客体が自己の占有か他人の占有であるかによります。
事件例の場合は、商品の保管を委託された者(Aさん)がその処理過程において管理する商品を領得した場合、それが窃盗罪になるか横領罪になるかについては、その商品の占有が権が委託者と受任者のいずれかによって判断されます。
占有とは上記のとおり、支配意思をもって財物を事実上自己の支配下におく状態をいうものですが、Aさんは商品を自己の支配下に置き保管管理しているのですから所有権は受任者のAさんにあると思われます。
また、商品の保管管理が業務にあたるかどうかについてはAさんはVさんから商品の保管管理も任されていることから、商品の保管管理は業務上の占有となりAさんには業務上横領罪が成立するのです。
【Aさんに対する弁護活動】
Aさんは商品を実際に横領しており、またその様子も防犯カメラに写っていました。
よって、弁護士を通じてVさんへの被害弁償と示談交渉を行うのが良いと思われます。
Vさんは被害届を出すと言っていますが、その前にVさんに対して被害を弁償して示談を成立することができれば、被害届をださないかもしれません。
そうなれば警察が介入することなく、事件を解決することができます。
また、被害届をだされたとしても、被害金額が大きくなく、前科が無ければ被害の弁償と示談の成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことができます。
ですので、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に事件解決を依頼するのが良いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の示談交渉を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身やご家族が業務上横領罪に問われてお困りの方、示談交渉をご希望の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
通貨偽造事件で自首したい
通貨偽造事件で自首したい
通貨偽造事件で自首したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県岐阜市美江寺町に住む会社員のAさんは、一万円札を200枚カラーコピーし、恋人のBさんの両親に結婚を認めてもらうための結納金として使おうと考えました。
ところがBさんの両親を訪問する前日、泥棒に入られ、この偽札を何者かがAさん宅から持ち出して競馬場ですべて使い果たし、「ニセ札出回る!」という見出しで新聞報道されました。
Aさんは通貨偽造罪で逮捕されるのは時間の問題だと思い、岐阜県岐阜中警察署に自首しようと考えています。
そこでAさんは、自首の前に弁護士に自首について相談しておくことにしました。
(フィクションです)
【通貨偽造罪・偽造通貨行使等罪】
通貨偽造罪・偽造通貨行使等罪について、どのような犯罪なのか詳しく見ていきましょう。
・行使の目的で、通用する貨幣、紙幣、又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。(刑法第148条1項)
・偽造または変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。(刑法第148条2項)
1通貨偽造罪
①偽造とは
通貨偽造罪における偽造とは、通貨の発行権者でない者が、真正通貨の外観を有するものを新しく制作することで、一般人に真貨と誤認させる程度で構わず、カラーコピーなど材料や方法は問いません。
②変造とは
真正通貨に加工・変更を加えて真貨の外観を呈するものを作り出すこと(偽造にあたらないもの)で、真正通貨を材料とすることが条件です。
一般人に真貨と誤認させる程度でかまわず、変造にかかる偽貨に該当する真貨が存在することは必要としません。
また価額を変更して、その価額通貨の外観を有するものとした場合は、通貨偽造罪が成立します。
③行使の目的
偽造、変造は「行使の目的」を必要とし、「行使の目的」とは、偽造、変造にかかる通貨を真正の通貨として流通させようとすることです。
なお目的の実現は必要ありません。
④客体
日本国内で通用する、貨幣、紙幣、銀行券(これらを総称して通貨という)であり、「通用する」とは法律による強制通用力を有する状態のことです。
⑤保護法益
個人の財産ではなく、通貨に対する公共の信用並びに通貨取引の安全でありますが、通貨に対する現実の信用喪失や具体的危険性は必要ありません。
2偽造通貨行使罪
①行使の目的が必要
偽造通貨行使罪の成立に必要な「行使の目的」とは、偽造、変造された通貨を、真正な通貨として流通に置く意思のことで、「見せるための金」としての使用は行使にあたりませんし、行使の対象も自販機に対する使用など人には限りません。
「行使」とは事情を知らない第三者に譲渡することで、「交付」とは、偽造(変造)された通貨であることを知った者に譲渡することです。
この際に有償・無償は問いません。
②既遂時期
偽造通貨行使罪が既遂になる時点は、偽貨を真貨のように装って、他人に手交した時点であり、手交した時点で流通に置いたことになります。
なお、相手に怪しまれて返却された場合も既遂となります。
【自首とは】
「自首」とはどのような行為のことでしょうか?
1自首の要件
①罪を犯した者が、②捜査機関に発覚する前に、③自首したときは、③その刑を減軽することができる ことです。
2「捜査機関に発覚する前」の意義
おおよその人相、年齢、身長、着衣等が分かっているだけでは「発覚」しているとはいえず、容貌、体格その他の特徴によって犯人が明確に特定されている場合は、発覚しているといえます。
その場合の特定については、確定的に断定するまでは必要ではありません。
【刑事事件例について】
Aさんが結納金として使うことを目的に、一万円札をカラーコピーして偽札を作った行為は偽造にあたり、また社会通念上結納金は手渡すものであることから、行使の目的に該当し、通貨偽造罪にあたると思われます。
しかし、盗難により真正な通貨として流通した事実については本件盗難事案において結果発生の可能性は認識できるものではなかったため、偽造通貨行使等罪にはあたらないものと思われます。
また、警察は偽札を作った者について把握していないと思われるので、Aさんがこの時点で警察署に行き事情を話せば自首が成立する可能性があります。
【弁護士の活動】
弁護士は警察に自首した後にある取り調べ対応についてのアドバイスや、自首の際に警察署への付き添い活動もしています。
警察署へ自首しようとしている方は、警察に行く前にぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の取り調べ対応のアドバイスをしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が通貨偽造罪や通貨偽造行使等罪で自首をしたい、または逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
家族が逮捕された理由を知りたいなら
家族が逮捕された理由を知りたいなら
家族が逮捕された理由を知りたいときについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Bさんは,妻のAさんとともに,岐阜県岐阜市内で暮らしていました。
ある日,岐阜県岐阜警察署の警察官から,Aさんが逮捕されたことを電話で聞かされました。
Bさんは,まさかAさんが逮捕されるとは夢にも思わず,Aさんが逮捕された理由が知りたいと思い,刑事事件や弁護士について急いで調べています。
(刑事事件例はフィクションです。)
【家族が逮捕された理由を知りたいなら】
家族が逮捕された理由を知りたいと思った場合,どうすればよいのでしょうか。
まずは,逮捕されてしまった方のご家族が直接留置施設に出向いて,刑事事件の真相や逮捕された理由を聞きたいと考えると思います。
しかし,逮捕されてすぐの時点では(勾留がされるまでの間は),たとえ逮捕されてしまった方のご家族であったとしても,面会をすることができません。
その理由は,刑事訴訟法80条・刑事訴訟法207条では,「勾留されている」被疑者「は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる」とされているからです。
下線部のように,逮捕に引き続きなされる勾留がされているときに限り,例えば逮捕されている方のご家族による面会といった一般面会が許されています。
それでは,家族が逮捕された理由を知りたいと思っても,逮捕されてすぐの時点では,何もすることができないのかというとそういうわけではありません。
ここで重要になるのが弁護士による接見です。
既に見た刑事訴訟法80条・刑事訴訟法207条では,勾留されている被疑者は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができるとされていますが,「第39条第1項に規定する者以外の者」という例外があり,この例外が弁護士です。
つまり,弁護士であれば,逮捕されてすぐの時点で,逮捕されてしまっている方に直接会って,刑事事件の真相や逮捕された理由を代わりに聞くということができるのです。
【弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を頼む】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,初回接見(弁護士による面会)サービスを,24時間,土日祝日もお電話にて受け付けており,即日・迅速な対応が可能な体制を整えています。
待機中の弁護士がいれば,電話口で事情をお伺いした直後に相談・接見・同行サービスを受けていただくことも可能であり,時間との闘いといわれる刑事事件において,スピード感のある初回接見サービスを提供しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
家族が逮捕された理由を知りたいなら,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
フリーダイヤルは,0120-631-881です。
今すぐお電話ください。
岐阜県岐阜市の詐欺事件・強盗致傷事件
岐阜県岐阜市の詐欺事件・強盗致傷事件
岐阜県岐阜市の詐欺事件・強盗致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、岐阜県岐阜市のホテルに宿泊し、チェックアウトする際、お金を持っていないことに気づきました。
Aさんは、ホテルスタッフ(Vさん)に「午後には戻るから、そのときに支払う」と嘘をつき、そのままホテルに戻りませんでした。
数分後、ホテルスタッフ(Vさん)が追いかけてきたため、Aさんは殴る蹴るなど暴行を加えて逃げました(Vさんは怪我を負いました)。
後日、岐阜県岐阜警察署の捜査により、Aさんによる詐欺事件・強盗致傷事件の犯行が発覚しました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【詐欺罪(詐欺利得罪)とは】
刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「前項の方法により」、すなわち「人を欺いて」、「財産上不法の利益を得」た場合、詐欺利得罪が成立します。
詐欺利得罪のいう「財産上不法の利益」とは、不法に財産上の利益(財産以外の財産的利益)を得ることをいいます。
この詐欺利得罪の財産上の利益には、債務の免除を受けることや支払いの猶予を受けることなどが含まれます。
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに「午後には戻るから、そのときに支払う」と嘘をつき(欺く行為)、Vさんを勘違い(錯誤)に陥らせ、支払いを猶予してもらっています(処分行為・詐取)。
よって、Aさんは「人を欺いて」、「財産上不法の利益を得」たとして、詐欺利得罪が成立すると考えられます。
【強盗致傷罪とは】
刑法240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「前項の方法により」、すなわち「暴行又は脅迫を用いて」、「財産上不法の利益を得」た場合、強盗利得罪の犯人となります。
そして、強盗利得罪の犯人(「強盗」)が「人を負傷させた」場合、強盗致傷罪が成立します。
刑事事件例では、AさんはVさんに暴行を加えることで、宿泊代についての代金請求債務や損害賠償請求債務などを免れています。
よって、Aさんは強盗利得罪の犯人となります。
そして、強盗利得罪の犯人であるAさんによる暴行行為によって、Vさんは負傷しているため、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられます。
【詐欺利得罪と強盗致傷罪の関係とは】
このように、刑事事件例では、詐欺利得罪と強盗致傷罪が成立すると考えられます。
この詐欺利得罪と強盗致傷罪の関係については、重い強盗致傷罪という一つの罪としてまとめて評価されます(包括一罪)。
詐欺事件に続いて、強盗致傷事件という重大事件を起こしてしまった場合、最悪の場合、「無期又は6年以上の懲役」という重い刑事罰が科されてしまう可能性があります。
こういった重い刑事罰を回避するためには、刑事弁護士をつけて、示談をまとめたり、裁判所の法廷で裁判官に対して更生可能性があることを訴えかけたりする必要があります。
これらの行為は、刑事弁護士でなければなすことのできない重要な刑事弁護活動です。
重い刑事罰を回避したいなら、刑事事件に強い刑事弁護士をつけることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
岐阜県岐阜市の詐欺事件・強盗致傷事件で刑事弁護士を選任することをお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
強盗利得事件(2項強盗事件)
強盗利得事件(2項強盗事件)
強盗利得事件(2項強盗事件)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所か解説します。
【刑事事件例】
岐阜県大垣市に住むAさんは、同市内に住むVさん宅に侵入後、Vさんが寝ている間にタンスの中から財物を見つけました。
そこで、Aさんは、Vさんに反抗抑圧に足りる暴行を加え、暗証番号を聞き出しました。
Aさんはその場を立ち去りましたが、Vさんはその後すぐに支払停止措置を取りました。
後日、Aさんは、岐阜県大垣警察署の警察官により、強盗利得罪(2項強盗罪)の容疑で逮捕されてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【強盗利得事件(2項強盗事件)って何?】
刑法236条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する(1項)。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする(2項)。
強盗利得罪(2項強盗罪)は、刑法236条2項に規定されています。
強盗利得罪(2項強盗罪)の成立要件は、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」ことです。
具体的に、強盗利得罪(2項強盗罪)の「前項の方法により」とは、「暴行又は脅迫を用いて」と置き換えることができます。
また、強盗利得罪(2項強盗罪)の「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」とは、「財産上の利益を不法に移転させる」ことと言い換えることができます。
よって、強盗利得罪(2項強盗罪)の成立要件は、暴行又は脅迫を用いて、財産上の利益を不法に移転させたことになります。
刑事事件例では、Aさんは暴行又は脅迫を用いて、ATMを通して預貯金口座から預貯金の払戻しを受け得る地位という財産上の利益を不法に得たといえます。
よって、Aさんには強盗利得罪(2項強盗罪)が成立すると考えられます。
【支払停止措置が取られているけど?】
刑事事件例では、Aさんが立ち去った後、Vさんはその後すぐに支払停止措置を取りました。
このVさんの事後的な行為は、強盗利得罪(2項強盗罪)の成立に影響を及ぼすのでしょうか。
この点、Aさんが暗証番号を聞き出した時点で、ATMを通して預貯金口座から預貯金の払戻しを受け得る地位という財産上の利益を不法に得たといえます。
あくまで、Vさんの行為は強盗利得罪(2項強盗罪)が成立した後の、事後的な行為に過ぎないと考えられています。
よって、Aさんには、依然として強盗利得罪(2項強盗罪)が成立すると考えられます。
【強盗利得事件(2項強盗事件)を起こしてしまったら】
強盗利得事件(2項強盗事件)を起こしてしまった場合、強盗利得罪(2項強盗罪)の刑事罰は、刑法236条2項の規定上、「同項と同様とする」とされていますので、「5年以上の有期懲役」が科される可能性があります。
5年以上の有期懲役という強盗利得罪(2項強盗罪)の刑事罰は、刑法で規定されている犯罪の中でも重大な犯罪といえるほど重いものとなっています。
強盗利得事件(2項強盗事件)を起こしてしまったら、重い刑事罰を回避するために刑事弁護士を雇うことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗利得事件(2項強盗事件)を起こしてしまった場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
岐阜県海津市の事後強盗事件
岐阜県海津市の事後強盗事件
岐阜県海津市の事後強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県海津市に住むAさんは、同市内に住むVさん宅に侵入した後、Vさんが寝ている間にタンスの中から財布を奪いました。
すると、Vさんが目を覚ましたので、殴る蹴るなとの暴行を複数回加えました。
その後、Aさんは持ち帰った財布からお金を引き抜き、借金の返済に充てました。
後日、Aさんは、住居侵入罪と事後強盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【事後強盗罪って何?】
刑事事件例をお読みになった方の多くは、住居侵入罪が成立することについては、直感的にも納得できると思います。
一方、刑事事件例では、事後強盗罪という聞き慣れない犯罪が成立すると考えられます。
それでは、事後強盗罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
刑法238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪は、①窃盗が、②財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、③逮捕を免れ、又は④罪跡を隠滅するために、⑤暴行又は脅迫をした」ときに成立します。
事後強盗罪の条文は、①が主体について、②から④までが目的について、⑤が手段について規定しています。
特に、⑤の手段たる「暴行又は脅迫」については、明文にはないものの、事後強盗事件の被害者の方の犯行を抑圧するに足りる「暴行又は脅迫」でなければならないと考えられています。
【事後強盗罪の刑事罰って何?】
事後強盗罪は、刑法238条の規定上、「強盗として論ずる」とされています。
この場合、強盗罪(刑法236条)の刑事罰である「5年以上の有期懲役」刑が科されることになります。
事後強盗事件を起こした被疑者の方は、当初は窃盗の目的だったのでしょう。
しかし、「財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたとき」は、窃盗罪ではなく、事後強盗罪として、強盗と同じ重さの刑事罰が科されてしまうのです。
事後強盗事件を起こした被疑者の方は、自分の刑事罰が大変重いものに変わってしまって、大きな精神的ショックを受けているというようなことが考えられるでしょう。
こういった場合、なるべく早く刑事弁護士を選任して、事後強盗事件を起こした被疑者の方を刑事事件に関する専門的な知識と経験から、精神的も弁護技術的にもサポートすることがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
岐阜県海津市の事後強盗事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
岐阜県羽島市の殺人事件
岐阜県羽島市の殺人事件
岐阜県羽島市の殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、岐阜県羽島市において、Vさんを殺そうと重い、Vさんの頭部を角材で数回殴打して、Vさんを瀕死の重傷に陥らせ、付近の資材置き場に放置しました。
その後、何者かがVさんの頭部を角材で殴打し、Vさんは死亡しました。
Vさんの死因は、Aさんに殴打された際、脳内出血が生じたことにあったといいます。
後日、Aさんは岐阜県羽島警察署の警察官により殺人罪の容疑で逮捕され、Aさんの家族にもAさんの逮捕が告げられました。
(刑事事件例は最高裁判所決定平成2年11月20大阪南港事件を参考に作成したフィクションです。)
【殺人罪について】
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
殺人罪は、人の生命を侵害する行為を行い、その結果として、人の死亡が生じた場合に成立します。
殺人罪を犯した場合の刑事罰は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」です。
【殺人罪の因果関係について】
今述べたように、殺人罪は、人の生命を侵害する行為を行い、その結果として、人の死亡が生じた場合に成立します。
すなわち、殺人罪が成立するためには、人の生命を侵害する行為と人の死亡との間に因果関係があることが必要です。
ここで、刑事事件例では、Aさんによる殺人行為の後、何者かによる殴打行為が介在し、Vさんの死亡という結果が生じています。
このように、殺人行為後に介在事情がある場合、Aさんによる殺人行為とVさんの死亡との間に因果関係があるのでしょうか。
もし、因果関係がないという場合にはAさんには殺人罪は成立せず、因果関係があるという場合にはAさんには殺人罪は成立することになりますので、問題となります。
最高裁判所決定平成2年11月20(大阪南港事件)では、「犯人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、仮にその後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、犯人の暴行と被害者の死亡との間に因果関係を肯定することができ」ると判示されました。
この判例に照らして考えると、当初の殺人事件の被疑者の方(刑事事件例ではAさん)の行為により、殺人の結果についての決定的な原因が作り出された場合、その後に起きた介在事情である何者かによる行為は、単に殺人事件の被害者の方(刑事事件例ではVさん)の死期を早めただけにすぎないといえます。
よって、結局は、当初の殺人事件の被疑者の方(刑事事件例ではAさん)の行為の危険性が、殺人事件の被害者の方(刑事事件例ではVさん)の死亡として現実となったといえます。
よって、Aさんによる殺意のある殴打行為(殺人行為)と、Vさんの死亡という結果の間には因果関係があったといえることになります。
よって、Aさんには殺人罪が成立すると考えられます。
【殺人事件の刑事弁護について】
殺人罪は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という非常に重い刑事罰が科される重大犯罪です。
殺人事件を起こしてしまった場合の刑事裁判は、まさに殺人事件の被疑者の方の人生がかかっているといえます。
しかし、全国的に見ても殺人事件の件数は少なく、殺人事件のような人の生命が問題となった刑事事件を取り扱ったことのある経験豊富な刑事弁護士も必ずしも多いとはいえません。
そこで、殺人事件の被疑者の方の人生がかかった刑事弁護を依頼する場合には、その刑事弁護士に殺人事件のような人の生命が問題となった刑事事件を取り扱ったことのあるかどうか、豊富な知識と経験があるかどうかなどをよく吟味して、刑事弁護士と信頼関係を築くことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
岐阜県羽島市の殺人事件の刑事弁護士でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
発覚前の窃盗未遂事件
発覚前の窃盗未遂事件
発覚前の窃盗未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
生活に困窮していたAさんは、岐阜県各務原市のコンビニ店V店に窃盗目的で侵入しました。
Aさんは、コンビニのレジの中に入り、現金があるとみてレジに手を掛けたところ、コンビニの裏口の方から物音がしたため、慌てて何も取らずに逃げ出しました。
まだ刑事事件が発覚していないようですが、Aさんは、自分の行為が犯罪になるのではないかと心配しています。
(刑事事件例はフィクションです。)
【建造物侵入罪の成立について】
刑法130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、…人の看守する…建造物…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
Aさんが窃盗の目的でV店に立ち入った行為は、正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入したものといえます。
よって、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗未遂罪の成立について】
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法243条(窃盗未遂罪)
第235条…の罪の未遂は、罰する。
窃盗未遂罪は、他人の財物に対する事実上の支配を侵すにつき密接な行為をしたものの、他人の占有を侵害して財物を自己の占有に移すに至らなかった場合に成立します。
大審院判決昭和9年10月19日では、侵入窃盗事件に関して、窃盗の目的で侵入した後、金品物色のためにタンスに近寄ったときに、他人の財物に対する事実上の支配を侵すにつき密接な行為があったと判断しています。
例えば、この金品物色のためにタンスに近寄った後、結局金品を無断で持ち去るに至らなかった場合、窃盗未遂罪が成立すると考えられます。
刑事事件例についても、Aさんはカウンターに入り、レジに手を掛けていますので、他人の財物に対する事実上の支配を侵すにつき密接な行為があったと考えられます。
この後、Aさんは、結局現金を持ち去るに至らなかったため、窃盗未遂罪が成立すると考えられます。
【窃盗未遂事件の解決のために】
刑事事件例では建造物侵入罪と窃盗未遂罪が成立すると考えられます。
そして、コンビニ店V店の看守体制が厳格であれば、V店側から建造物侵入罪と窃盗未遂罪の被害届を出され、そのまま建造物侵入罪・窃盗未遂罪で逮捕されてしまったり、建造物侵入罪・窃盗未遂罪の容疑で捜査を受けたりする可能性があります。
確かにV店側が建造物侵入罪・窃盗未遂罪の被害届を出さない、平たく言えば建造物侵入事件・窃盗未遂事件がバレない可能性もないとは言い切れませんが、建造物侵入罪・窃盗未遂罪で逮捕されたり捜査を開始されたりしてしまった場合に被る不利益を考えれば、早急に刑事弁護士を付ける、少なくとも刑事弁護士に法律相談をすることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗未遂事件を含む刑事事件に詳しい刑事弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
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振り込め詐欺用の銀行口座の詐欺事件
振り込め詐欺用の銀行口座の詐欺事件
振り込め詐欺用の銀行口座の詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、インターネット上で「銀行のキャッシュカードと預金通帳を郵送すれば、即日30万円がもらえる」との広告を目にしました。
Aさんは、借金に苦しんでいたため、「多少危ないことをしてでも金策をしなければならない」と思い、何らかの法律違反になるとは思ったものの、V銀行で自己名義の銀行口座を開設し、キャッシュカードや預金通帳を受け取りました。
その後、Aさんは、キャッシュカードや預金通帳を郵送し、30万円を受け取りました。
しかし、後日、自分が開設した銀行口座が振り込め詐欺に使われたことを知りました。
Aさんは、「とんでもないことをしてしまった」と急いで刑事弁護士を探しています。
(刑事事件例はフィクションです。)
【詐欺罪が成立します】
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の「人を欺いて」とは、取引の相手方(詐欺事件の被害者の方)が真実を知っていれば財産的処分行為を行わないような重要な事実を偽って、取引の相手方を錯誤に陥らせることをいいます。
刑事事件例では、V銀行は、第三者に譲渡する目的で銀行口座を開設しようとしていることを知っていれば、その要求には応じなかったと考えられます。
とすれば、Aさんが銀行口座を譲渡することを隠して銀行口座の開設を申し込んだことは、詐欺罪の「欺く行為」に当たります。
刑事事件の詐欺事件の被害品は、キャッシュカードや預金通帳そのものであると考えられます。
そして、キャッシュカードや預金通帳を受け取ったことは、詐欺罪の「財物を交付させた」という要件に当たります。
よって、Aさんには詐欺罪が成立すると考えられます。
【犯罪収益移転防止法違反になります】
犯罪収益移転防止法28条1項
他人になりすまして特定事業者…との間における預貯金契約…に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
犯罪収益移転防止法28条2項
相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
犯罪収益移転防止法28条の規定は長文となっていますが、書かれていることを簡潔に記せば、以下の通りとなります。
犯罪収益移転防止法28条1項
他人になりすまして口座を利用する目的で預金通帳等を譲り受けた者には、犯罪収益移転防止法違反の罪が成立する。
犯罪収益移転防止法28条2項
他人になりすまして口座を利用する目的を知りながら、預金通帳等を譲り渡した者には、犯罪収益移転防止法違反の罪が成立する。
通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡した者には、犯罪収益移転防止法違反の罪が成立する。
犯罪収益移転防止法28条1項は預金通帳等を譲り受ける者について、犯罪収益移転防止法28条2項は預金通帳等を譲り渡す者についての規定です。
さらに、犯罪収益移転防止法28条2項前段は、他人になりすまして口座を利用する目的を知っていた場合について、犯罪収益移転防止法28条2項後段は、他人になりすまして口座を利用する目的を知らなかった場合についての規定です。
刑事事件例のようなケースでは、犯罪収益移転防止法28条2項違反となり、犯罪収益移転防止法違反の罪が成立すると考えられます。
振り込め詐欺用の銀行口座の詐欺事件を起こした場合、詐欺罪や犯罪収益移転防止法違反の罪が成立します。
気軽な気持ちでやってしまったとしても、重大な犯罪になってしまうのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする刑事弁護士が所属する法律事務所です。
刑事事件の専門家たる刑事弁護士が、初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
振り込め詐欺用の銀行口座の詐欺事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
住居侵入・窃盗事件(複数の犯罪事件)
住居侵入・窃盗事件(複数の犯罪事件)
住居侵入・窃盗事件(複数の犯罪事件)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県可児市に住むAさんは、金策に困っていたことから、致し方ないと思い、友人のVさんから何とかしてお金を盗み取ることを考えました。
そこで、Aさんは、財布を盗む目的で、Vさん宅に赴き、「遊びに来た」と告げ、Vさん宅に上がりました。
そして、Vさんが目を離している隙に、置いてあったVさんの財物を無断で持ち去りました。
後日、Aさんは、Vさんの財布からキャッシュカードを抜き取り、銀行で現金を下ろしました。
数週間後、Aさんは岐阜県可児警察署の警察官により逮捕されてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【住居侵入罪は成立しますか?】
刑事事件例では、住居侵入罪が成立するかという疑問についてお答えします。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪の成立要件は、「正当な理由がないのに、人の住居」「に侵入」することです。
この住居侵入罪の成立要件である「侵入」とは、住居権者の意思に反する態様の立入りのことをいいます。
これは、住居侵入罪によって保護される利益が、誰に住居に立ち入らせ、滞在を許すかを決める住居(住居権)にあると考えられているからです。
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに対して「遊びに来た」と虚偽の事実を伝えています。
仮にVさんが真実、つまりAさんが窃盗をしに来たと知っていたら、VさんはAさんの立入りを許さなかったはずです。
とすれば、一見するとAさんはVさんの立入りをゆるしたかのように見えますが、このVさんの許可は無効となると考えられます。
よって、Aさんの立入りは、住居権者たるVさんの意思に反する態様の立入りとして、住居侵入罪の「侵入」に当たると考えられます。
その他、Aさんの侵入に「正当な理由」はなかったと考えられますので、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪は成立しますか?】
刑事事件例では、窃盗罪が成立するかという疑問についてお答えします。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の成立要件は、「他人の財物を窃取」することです。
窃盗罪の「窃取」とは、他人の占有(事実上支配することをいいます。)する財物を、その占有者の意思に反して自己の占有に移転させる行為をいいます。
まず、AさんがVさん宅からVさんの財布を無断で持ち去った行為については、窃盗罪の「窃取」といえ、窃盗罪が成立するでしょう。
次に、AさんがVさんの財布に入っていたキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出した行為については、銀行の現金に対する占有を侵害する行為であるとして窃盗罪の「窃取」に当たるといえます。
とすると、このAさんの行為にも窃盗罪が成立すると考えられます。
以上、Aさんの2つの行為は、社会的に見て、別個独立した行為・犯罪であると評価されます。
すなわち、Aさんには2つの窃盗罪が成立するのです。
【複数の犯罪が成立する場合、どうすればいいですか?】
刑事事件例の住居侵入罪、窃盗罪、窃盗罪というように、複数の犯罪が成立する場合、どうすればいいかという疑問についてお答えします。
複数の犯罪が成立した場合、複数の犯罪の被害の分だけ示談をするという方法が考えられます。
例えば、Vさんの自宅に立ち入った行為についての住居侵入事件、Vさんの財布を無断で持ち去った行為についての窃盗事件では、それぞれに被害が生じていると考えられます。
仮に示談交渉をすることになった場合、住居侵入事件と窃盗事件の示談交渉は、まとめて行われる(交渉の窓口としては一つになる)と考えられますが、それぞれの被害を考慮して、示談条件や被害弁償金額が決定されると考えられます。
複数の犯罪が成立した場合、その示談交渉は比較的長引くことも予想されるので、示談をスピード解決することのできる刑事事件に強い刑事弁護士に任せることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入・窃盗事件(複数の犯罪事件)についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。