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恐喝事件の共犯事件
恐喝事件の共犯事件
恐喝事件の共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Bさんは、お金を奪おうと考え、岐阜県関市にある公園において、同市内に住むVさんに反抗を抑圧するに至らない暴行を加えました。
その際、Vさんは全治2週間の怪我をしました。
Bさんは「すぐに金を取りに戻るから、大人しく待っておけ」と告げ、その場でお金を受け取りませんでした。
その後、Bさんは友人であるAさんに事情を話し、Bさんの代わりにお金を受け取ってもらう約束をしました。
Aさんは、お金に目が眩み、お金を取りに行き、受領しました。
後日、Aさんは自身の過ちに気が付きました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【Aさんは何罪になるか】
刑事事件例のAさんのように、共犯者(Bさん)が暴行を加え傷害を負わせた(傷害罪が成立します)後、途中からBさんの犯罪(恐喝罪)に加担した場合、Aさんは何罪となるのでしょうか。
刑法60条(共同正犯)
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法60条の規定では、犯罪の一部を実行したに過ぎない者も、ある種の連帯責任として、その犯罪の全責任を負うとされています。
刑法60条の「すべて正犯とする」とは、他の共犯者(刑事事件例ではBさん)の分担部分についても責任を負わせられるという意味です。
この連帯責任を負う理由については、共犯者間で相互に利用補充し合って犯罪を実現したからであるとされています。
ここで刑事事件例のAさんのように、他の共犯者(刑事事件例ではBさん)が犯罪行為(刑事事件例では傷害罪と恐喝罪)を開始した後からその犯罪行為に加わった場合、その者は自分が加わる前になされた犯罪行為(刑事事件例では傷害罪と恐喝罪)についても連帯責任を負うのでしょうか。
この点、後行者(刑事事件例ではAさん)が、先行者(刑事事件例ではBさん)の行為や結果を積極的に自分の犯罪遂行の手段として利用した場合、共犯者間で相互に利用補充し合って犯罪を実現したといえます。
よって、先行者の行為や結果を積極的に自分の犯罪遂行の手段として利用した限度で、その者は自分が加わる前になされた犯罪行為についても連帯責任を負うと考えられています。
刑事事件例でいえば、Aさんは、先行者であるBさんの暴行行為を利用補充したといえます。
一方、Aさんは、傷害の結果までも利用補充したとはいえません。
よって、Aさんは、恐喝罪の限度で連帯責任を負う(共同正犯が成立する)ことになります。
【恐喝罪の共犯(共同正犯)事件を起こしたら】
恐喝罪の共犯(共同正犯)事件を起こした場合、他の共犯者の分担部分についても責任を負わせられるので、結局のところ恐喝罪の全責任を負うことになります。
すなわち、恐喝罪の刑事罰である「10年以下の懲役」に処されることになります(刑法249条1項)。
Aさんの気持ちとして、お金欲しさにBさんの犯罪にちょっとだけ加担しただけだと認識している可能性がありますが、恐喝罪として「10年以下の懲役」の重い刑事罰が科せれる可能性があるので、十分注意する必要があります。
恐喝事件の共犯事件を起こし、重い刑事罰が科せれることが不安な場合は、なるべく早く刑事弁護士に相談し、不安を少しでも解消することが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
恐喝事件の共犯でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
技術社員の業務上横領事件
技術社員の業務上横領事件
技術社員の業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県瑞浪市にあるV会社の技術社員であるAさんは、V会社の重要機密である新技術αに関する機密資料を保管する立場にありました。
Aさんはライバル社の社員であるBさんに説得され、自分自身も金に目が眩み、V会社の機密を不正入手した上、情報漏洩をし、その対価に高額な金銭を貰うことにしました。
Aさんは、V会社から機密資料を持ち出し、自宅でコピーをし、機密資料を元に戻し、コピーはBさんに渡しました。
後日、V会社内でAさんが業務上横領行為をしたという情報が出回ってしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【業務上横領罪について】
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪の成立要件は、以下の通りです。
①業務上
②自己の占有する
③他人の物を
④横領する
以下、業務上横領罪の成立要件を細かく解説します。
業務上横領罪の①「業務上」とは、社会生活上の地位に基づき反復・継続して行われる業務のうち、財物を委託を受けて保管することを内容とする職業もしくは職務のことをいいます。
業務上横領罪の②「自己の占有する」とは、自分が事実上または法律上支配することをいいます。
業務上横領罪の③「他人の物」とは、所有者その他の権限者からの委託に基づいている他人の物のことをいいます。
業務上横領罪の④「横領」とは、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、所有者その他の権限者でなければできないような処分をすることをいいます。
【情報漏洩について】
刑事事件例では、Aさんは情報を技術社員として預かっており、業務上横領罪の「業務上」という要件や「他人の物」という要件を満たします。
また、刑事事件例のように情報の保管責任者が情報を持ち出した場合、情報の占有は情報の保管責任者にあったといえます。
よって、業務上横領罪の「自己の占有する」の要件を満たします。
さらに、情報漏洩目的で情報を持ち出すことは、委託関係を裏切ったような、所有者その他の権限者でなければできない行為であるといえます。
よって、業務上横領罪の「横領」に当たると考えられます。
以上より、Aさんには業務上横領罪が成立すると考えられます。
【業務上横領事件の早期解決について】
業務上横領事件を早期に解決するためにはどうすればよいでしょうか。
業務上横領事件の早期解決の一つの手段としては、正式に謝罪をしたり、会社の損害を埋めたりする示談があります。
ここで、技術社員の業務上横領事件が発覚してしまった場合、技術社員の方は会社から解雇されてしまっているかもしれません。
その場合、技術社員の方が会社の担当者(法務部員など)の方と連絡をとるのが難しい可能性もあります。
こういうとき、刑事弁護士は、技術社員の方の代理人となって、会社担当者の方と話をして、業務上横領事件が早期に解決できないか、話をつけることができないかと示談交渉をしていきます。
もし示談が成功した場合、業務上横領事件の被害届の提出や告訴の前であれば、そのまま警察が介入することなく業務上横領事件が解決することになるでしょう。
業務上横領事件の被害届の提出や告訴の後であれば、被害届を取り下げてもらったり、告訴を取り消してもらったりすることで、業務上横領事件の円満解決を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件に強い刑事弁護士が、初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
技術社員の業務上横領事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
窃盗罪の幇助事件
窃盗罪の幇助事件
窃盗罪の幇助事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、Bさんから万引き事件(窃盗事件)を起こそうとしていると打ち明けられたため、万引きに使いやすい特殊なトートバッグを渡しました。
Bさんは、これで確実に万引き(窃盗)ができると安心して、岐阜県恵那市にあるV店に向かいました。
しかし、BさんはAさんから貰ったトートバッグは使わず、ポケットに商品を入れるという方法で万引き(窃盗)をしました。
その後、Aさんは、Bさんの万引き(窃盗)行為が発覚してしまい、Bさんが岐阜県恵那警察署で取り調べを受けたことを知りました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【窃盗罪の幇助犯とは】
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法62条
正犯を幇助した者は従犯とする。
刑法62条の「幇助」とは、犯罪行為(刑事事件例では窃盗行為)そのもの以外の行為で主犯(正犯)者の犯罪行為(刑事事件例では窃盗行為)を容易にすることをいいます。
刑事事件例では、AさんはBさんに特殊なトートバッグを渡し、その結果、Bさんが万引き(窃盗)に及んでいます。
しかし、刑事事件例では、Bさんは、万引き(窃盗)行為にあたり、Aさんが渡した特殊なトートバッグを使っていません。
この場合も、Aさんは、Bさんを「幇助した」といえるのでしょうか。
この点、幇助犯のような共犯が処罰される理由は、主犯(正犯)を通じて、間接的に法益侵害(またはその危険)を発生させた点にあるとされています。
このように、幇助犯な間接的な法益侵害を内容とすることに対応して、主犯(正犯)行為と幇助行為との間には、主犯(正犯)行為を物理的に促進するのみに限らず、心理的に促進する関係があればよいとされています。
刑事事件例では、Bさんは、Aさんから特殊なトートバッグを貰ったことで、「これで確実に万引き(窃盗)ができる」と安心しており、心理的に万引き(窃盗)行為を促進したといえます。
よって、Aさんには窃盗罪の幇助犯が成立すると考えられます。
【窃盗罪の幇助犯になりそうな場合】
窃盗罪の幇助犯になりそうな場合は、刑事弁護士に早めに相談しましょう。
刑事弁護士を早めに選任することができれば、仮に警察や検察による取調べが行われたときに適切な受け答えができるよう準備をしたり、万が一窃盗罪の幇助犯で逮捕されてしまったときに備えて刑事事件についての説明を受け、事前に身柄解放のための準備をしたりすることができます。
刑事弁護士は、必ずしも何らかの刑事犯罪の容疑者になっていない段階であっても、法律相談や顧問契約という形で利用することができます。
あらかじめ万全の対策を取る手段として、刑事弁護士を選任することはとても有効かつ重要といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件に強い刑事弁護士が、万引き事件(窃盗事件)を含む刑事事件について、初回無料法律相談などを行なっています。
窃盗罪の幇助事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
政治家への名誉毀損事件
政治家への名誉毀損事件
政治家への名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、インターネット上で、岐阜県本巣市の市長が反社会的勢力と結びついているとの記事を見つけ、確実な証拠こそなかったものの、本当に市長が裏社会の人物であると誤信し、自身のブログにて、「岐阜県本巣市長に暴力団との関係?」とのタイトルで記事を投稿しました。
後日、Aさんは、岐阜県本巣警察署の警察官により、名誉毀損罪の容疑で呼出しを受けたといいます。
(刑事事件例はフィクションです。)
【名誉毀損罪とは】
刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪の成立要件は、①公然と②事実を摘示し、③人の名誉を毀損したことです。
名誉毀損罪の成立要件①である「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。
名誉毀損罪の成立要件②である「事実を摘示」することとは、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実の摘示することをいいます。
名誉毀損罪の成立要件③である「人の名誉を毀損」することとは、名誉毀損事件の被害者の方の外部的名誉を侵害する危険があることをいいます。
以上の名誉毀損罪の成立要件を満たせば、その者には名誉毀損罪が成立することになります。
【政治家への名誉毀損罪も成立するのか】
刑法230条の2
1項:前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
3項:前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
刑法230条の2第1項では、①摘示された名誉毀損的事実が公共の利害に関するものであること、②摘示の目的がもっぱら公益を図るものであること、③事実の真実性が証明できたことを要件として、名誉毀損罪として処罰しないことを定めています。
そして、刑法230条の2第3項では、公務員の候補者に関する事実について、①②の要件を満たしたものとして扱っています。
つまり、残りの③の要件を満たせば、名誉毀損罪として処罰されないことを定めています。
刑事事件例でも、この刑法230条の2第2項の定めが適用されるかと思われますが、そもそもAさんが摘示した事実は虚偽の事実でした。
とすれば、③の要件を満たすことはありません。
しかし、Aさんは摘示した事実は真実であると誤信しています。
このAさんの事情は名誉毀損罪の成立に何らかの影響を及ぼすのでしょうか。
この点、Aさんが摘示した事実が存在すると信じた根拠は、確実な資料によるものとはいえず、証明可能な程度に真実であったとは認められません。
このような場合、Aさんの誤信は名誉毀損罪の成立には何らの影響を及ばさないと考えられています。
よって、結局は、Aさんには名誉毀損罪が成立することになると考えられます。
以上より、Aさんには名誉毀損罪が成立すると考えられます。
【政治家への名誉毀損事件を起こしたら】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件に強い刑事弁護士が、名誉毀損事件を含む刑事事件の初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
政治家への名誉毀損事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
岐阜県山県市の名誉毀損事件
岐阜県山県市の名誉毀損事件
岐阜県山県市の名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、ニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」のコメント欄に、岐阜県山県市の市議について事実無根の内容を投稿して中傷したとして、岐阜県山県警察署の警察官により名誉毀損(きそん)の罪で取調べを受けました。
本件名誉毀損事件は、Aさんが、コメント欄に「こいつを批判したら、暴力団構成員を差し向けられそうになって、なんでこんな奴が市議してるんだろうと怒りを覚えた」などと虚偽の文章を投稿し、名誉を傷つけたことで起こったといいます。
Aさんはコメント欄に記載したことは全くの嘘であることを認識していました。
Vさんは投稿を受け、岐阜県山県警察署に刑事告訴したといいます。
(2021年8月23日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【名誉毀損罪について】
刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
刑法230条1項に規定された名誉毀損罪の成立要件は、「公然と事実を摘し、人の名誉を毀損した」ということです。
これらの名誉毀損罪の成立要件を満たした場合、その者には名誉毀損罪が成立します。
刑法230条の2
1項 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
3項 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
刑法230条の2では、「公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には」、公然と摘示した「事実」が「真実であることの証明があ」れば、名誉毀損罪は成立しないことを規定しています。
しかし、刑事事件例では、Aさんが公然と摘示した事実は、「こいつを批判したら、暴力団構成員を差し向けられそうになって、なんでこんな奴が市議してるんだろうと怒りを覚えた」などの全くの虚偽の事実であり、Aさんはコメント欄に記載したことは全くの嘘であることを認識していました。
よって、刑事事件例では、刑法230条の2の規定の適用はなく、Aさんには名誉毀損罪が成立すると考えられます。
【名誉毀損事件についての特徴】
インターネット上での誹謗中傷事件(名誉毀損事件)は、被害者の方が刑罰を求める際には、匿名の投稿者を特定する手続きが必要となり、高額な費用がかかります。
ときには情報開示請求のために弁護士を雇ったために、高額な弁護士費用がかかったこともあると考えられます。
刑事事件例の名誉毀損事件の被害者の方であるVさんも、自らについての虚偽の内容を投稿した人物の特定に長い年月と労力がかかったと思われます。
このように強い処罰感情を持つ名誉毀損事件の被害者の方に対して、名誉毀損事件の被疑者の方が刑事弁護士を雇うことなく、直接的に示談を進めたり、告訴を取り下げてもらおうとしたりすることは、名誉毀損事件の被害者の方の処罰感情を逆撫でたり、示談書の締結により思ってもみなかった法的効果が生じてしまったりするなど、大きなリスクがともないます。
そこで、刑事事件に強い、特に名誉毀損事件を取り扱ったことのある刑事弁護士を雇って、名誉毀損事件の被害者の方との交渉の間に入ってもらうことが必要です。
刑事弁護士は法律の専門家として、名誉毀損事件の被疑者の方に対しても丁寧に示談の法的効果を説明したり、名誉毀損事件の被害者の方の処罰感情を考慮して円滑に話をまとめたりすることができると考えられます。
名誉毀損事件でお困りの場合は、刑事事件に強い刑事弁護士を雇うことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
岐阜県山県市の名誉毀損事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
アタッシュケースの窃盗事件
アタッシュケースの窃盗事件
アタッシュケースの窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、岐阜県関市に住んでいるBさんから、アッシュケースを預かってほしいと言われました。
AさんはBさんに中身は何か尋ねると、Bさんから「金属類だ」と言われました。
アタッシュケースは鍵で施錠されていました。
数日後、Aさんは、Bさんから預かった金属類を換金して自分のものにしてしまおうと考え、アタッシュケースの鍵を何とかこじ開け、売り払いました。
後日、Aさんは、Bさんから「岐阜県関警察署に刑事告訴する」と言われてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【窃盗罪と横領罪について】
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、他人が事実上支配(占有)する財物を、他人の意思に反して、自己の事実上の支配(占有)に移すことをいいます。
刑法252条1項(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
横領罪は、他人からの委託に基づいて自己が事実上または法律上支配(占有)する他人の物を、委託の任務に背いて、物の所有者でなければできない処分をすることをいいます。
以上の窃盗罪と横領罪の違いは、「誰」が物を事実上支配(占有)しているのかという点によって決まります。
すなわち、「他人」が物を事実上支配(占有)していれば窃盗罪が成立する可能性が高く、「自分」が物を事実上支配(占有)していれば横領罪が成立する可能性が高いといえることになります。
【封緘物の占有について】
封緘物(ふうかんぶつ)とは、財物を封印・施錠した物のことをいいます。
刑事事件例のアタッシュケースは封緘物に含まれることになります。
すでに述べた通り、窃盗罪と横領罪の違いは、「誰」が物を事実上支配(占有)しているのかという点によって決まりますが、預けられたアタッシュケースは誰が事実上支配(占有)していることになるのでしょうか。
刑事事件例では、Aさんはアタッシュケースの保管を委託されているため、Aさんがアタッシュケース全体を事実上支配(占有)しているといえます。
とすると、アタッシュケース全体を自己の物にしてしまうと、Aさんには横領罪が成立すると考えられます。
一方、アタッシュケースは施錠されており、中身を披見することができないため、アタッシュケースの中身はVさんが事実上支配(占有)しているといえます。
とすると、アタッシュケースの中身を自己の物にしてしまうと、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
このように、自己の物にする対象が、アタッシュケース全体なのか、それともアタッシュケースの中身なのかによって、横領罪が成立するのか窃盗罪が成立するのかが決まるというのは少し不可思議な結論ですが、アタッシュケースの中身を自己の物にする意思があるのが通常であり、結局は窃盗罪が成立すると考えられています。
すでに見た通り、窃盗罪はその法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であり、長期刑に注目すれば横領罪よりも重い刑事罰が科せれることになっています。
知人から預けられたものを売っただけだと安易に考えない方がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪や横領罪のような財産罪に強い刑事弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスを担当します。
アタッシュケースの窃盗事件についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
窃盗罪か器物損壊罪か
窃盗罪か器物損壊罪か
窃盗罪か器物損壊罪かについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、日頃から抱いていたVさんに対する恨みを晴らすために、岐阜県美濃市内のVさん宅に侵入し、Vさん宅にあった骨董品を持ち出し、人気の少ない路地裏にてハンマーで粉々に壊しました。
後日、Aさんは岐阜県美濃警察署の警察官により逮捕されました。
Aさんは、自分は何罪になるのか、今後刑事事件を解決するためにはどうすればよいのかが分からず悩んでいます。
(刑事事件例はフィクションです。)
【窃盗罪と器物損壊罪の関係とは】
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法261条(器物損壊罪)
…他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪は、器物損壊罪と比較して、はるかに重い刑事罰が定められています。
この趣旨は、窃盗行為によって、不法に経済的利益を取得することの誘惑(誘引)が強いことから、厳罰を科すことで、窃盗行為を禁じる点にあります。
とすると、窃盗罪と器物損壊罪を区別することがポイントとなります。
この窃盗罪と器物損壊罪の区別は、行為者の意思(主観的超過傾向)の有無によってなされます。
すなわち、不法領得の意思(所有者として振る舞い、物を経済的用法によって利用する意思)がある場合、窃盗罪が成立すると考えられています。
これに対して、不法領得の意思(物の所有者として振る舞い、物を経済的用法によって利用する意思)がない場合、器物損壊罪が成立すると考えられています。
不法領得の意思のうち、特に「物を経済的用法によって利用する意思」という部分が、窃盗罪と器物損壊罪を区別するための箇所です。
刑事事件例では、Aさんは器物損壊の意図しか持っていないため、不法領得の意思がなく、窃盗罪は成立せず、器物損壊罪が成立すると考えられます。
【器物損壊事件の解決のために】
刑事事件例のような器物損壊事件を解決するために、どうすればよいのでしょうか。
器物損壊事件で処分を下す検察官や、判決を下す裁判官は、器物損壊事件の被疑者・被告人の方が、今後正しく更生できるかどうかを見ています。
今後、同じような器物損壊事件を起こさないために、器物損壊事件の被疑者・被告人の方自身がどう思っているのか、更生のための環境は整っているのか、身元引受人はいるのかということを、検察官による取調べや裁判官による質問により確認されます。
その1つの要素として、被害弁償をしたのかどうか、示談を締結したのかどうかという点も重要となります。
これは、ある種事後的な更生の現れである被害弁償や示談をしようと、被疑者・被告人自身が思ったのかどうかが分かるからです。
このように器物損壊事件の解決のためには、器物損壊事件の被疑者・被告人の方が、今後正しく更生できるということを示していく必要があるのです。
刑事弁護士は器物損壊事件の解決のため、その手助けをしていきます。
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塾講師による強制わいせつ事件
塾講師による強制わいせつ事件
塾講師による強制わいせつ事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件】
Aさんは、岐阜県郡上市の学習塾で講師を務めていました。
Aさんは中学生(14歳)のVさんに対して、約半年にわたって授業中に身体を触れる、スカートの中に手を入れるなどのわいせつな行為を行いました。
Vさんは両親に強制わいせつ事件の被害を告白し、Vさんの両親は岐阜県郡上警察署に強制わいせつ事件の被害届を提出しました。
その結果、Aさんは岐阜県郡上警察署の警察官により、強制わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(2021年8月30日に琉球新報に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【強制わいせつ罪について】
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑事事件例では、Aさんは、14歳のVさんに対して、身体を触れる、スカートの中に手を入れるなどのわいせつな行為を行っています。
強制わいせつ罪の「わいせつな行為」とは、被害者の方の性的羞恥心を害する行為をいうと考えられていますが、Aさんによる行為は強制わいせつ罪の「わいせつな行為」にあたるといえるでしょう。
また、強制わいせつ罪では、「暴行又は脅迫を用い」ることを成立要件としていますが、刑事事件例ではわいせつな行為自体が強制わいせつ罪の「暴行又は脅迫」に当たると考えられるでしょう。
【強制わいせつ事件を解決したい場合】
強制わいせつ事件を解決したい場合、刑事弁護士をつけることをおすすめします。
強制わいせつ事件において刑事弁護士をつけた場合、刑事弁護士が強制わいせつ事件の被害者の方(又はその両親)と連絡を取って、何とか示談をして穏便に話をまとめることができないかと、示談交渉をすることができます。
刑事事件例のような塾講師による強制わいせつ事件では、確かに、強制わいせつ事件の被害者の方のご両親は強制わいせつ事件の被疑者の方を信頼して学習塾に通わせていたと思われるため、処罰感情が強かったり被疑者の方に強い怒りを感じている可能性もあります。
しかし、それゆえに、示談交渉において、相当の被害弁償はもちろん、接触禁止条項や、接触禁止条項に違反した場合の違約金条項など、強制わいせつ事件の被害者の方の意向に沿った示談を締結することができる可能性もあります。
また、刑事弁護士が強制わいせつ罪の被疑者の方と被害者の方の間に入ることで、両者の話合いを円滑に進めることができるという効果もあります。
示談締結は刑事処分や刑事裁判にとても大きな意味・効果のある行為です。
示談交渉に強い刑事弁護士に相談することをお勧めします。
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塾講師による強制わいせつ事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
宗教的行為による傷害致死事件
宗教的行為による傷害致死事件
宗教的行為による傷害致死事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
自身が組織した宗教団体の教祖であるAさんは、Vさんの母親(Bさん)に助言を頼まれて、精神疾患のあるVさんの治療のために、「線香護摩」による加持祈祷を行うようBさんに指示しました。
Aさんは、加持祈祷行為はVさんが火傷を負う可能性があると認識していました。
一方,Bさんは十年来の信者であり、Aさんに病気を治す力があると信じていました。
Bさんは,Aさんの指示にしたがって、Vさん宅(岐阜県下呂市)において、BさんはVさんに「線香護摩」による加持祈祷を行いました。
BさんはもがくVさんを無理に燃えさかる護摩壇の近くに引き据えて線香の火にあたらせ、数時間後Vさんは急性心臓麻痺によって死亡しました。
Aさんは加持祈祷行為は正当な医療行為であると信じていました。
(刑事事件例は最高裁判決昭和38年5月15日を参考に作成したフィクションです。)
【Aさんに傷害致死罪は成立するのか】
AさんはBさんを通じてVさんに危険な加持祈祷行為を行った結果、Vさんは急性心臓麻痺によって死亡しています。
Aさんは、加持祈祷行為はVさんが火傷を負う可能性があると認識したので、殺意はなかったとして殺人罪は成立しないとしても、傷害致死罪が成立する可能性があります。
しかし、AさんはBさんに「線香護摩」による加持祈祷を行うように指示したのみで、自ら直接危険な加持祈祷行為を行ったわけではありません。
このように自ら犯罪(傷害致死罪)を実行するのではなく、他人を利用して犯罪(傷害致死罪)に当たる行為を行った場合であっても、犯罪(傷害致死罪)が成立するのでしょうか。
この点、自ら犯罪(傷害致死罪)を実行しなくても、自らの犯罪(傷害致死罪)として実現する意思で、利用される者(刑事事件例ではBさん)の行為を支配して意のままに操ったといえる場合、利用した者(刑事事件例ではAさん)が犯罪(傷害致死罪)を犯したといえると考えられています。
【宗教的行為によっても犯罪となるか】
Aさんは刑事事件例のような加持祈祷行為は正当な医療行為であると信じていましたが、それでも傷害致死罪が成立するのでしょうか。
この点、Aさんは危険な加持祈祷行為を行うという事実自体は正しく認識せており、ただ加持祈祷を行うことが医療行為に当たるという評価のみを誤っています。
とすれば、一般人なら違法であると分かる事実(危険な加持祈祷行為を行うという事実)の認識があるのにもかかわらず、あえてその危険な加持祈祷行為を行ったといえます。
そのため、傷害致死罪を犯す意思(刑法38条1項)はあったと評価されます。
以上により、Aさんには傷害致死罪が成立すると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事弁護士は、宗教的行為による傷害致死事件のような複雑な刑事事件にも強く、またご依頼者の方には刑事事件について分かりやすく説明することが可能です。
宗教的行為による傷害致死事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
強盗事件の幇助犯
強盗事件の幇助犯
強盗罪の幇助犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、先輩のBさんに呼び出され、Bさんに岐阜県高山市内にあるVさん宅に車で運転するように指示されました。
Aさんは、当初何のために呼び出されたのかさっぱり理解できていませんでしたが、車内でのBさんとの会話でBさんがVさん宅で強盗を行おうとしていることを知りました。
Aさんは、Bさんは気性が荒く、「加担したくない」と伝えると何をされるか分からないと考え、渋々車を運転しました。
その後、BさんはVさん宅で強盗事件を起こし、その帰りの運転をAさんがしました。
後日、Bさんは岐阜県警察高山警察署の警察官により強盗罪の容疑で逮捕され、Aさんもそれを手伝ったとして逮捕されてしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【強盗罪の幇助犯とは】
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
刑法60条1項
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法60条1項では、「2人以上共同して犯罪を実行した」場合、すべて「正犯」として扱われます。
すなわち、他の共犯者が行った行為についても、連帯責任を負わされます。
なお、刑法60条1項の「正犯」とは、自ら犯罪の実行行為を行う者をいいます。
刑法60条1項では、共犯(厳密には、共同正犯です。以下、同じです。)者間においていわば連帯責任を負わせることを定めていることから、共犯(共同正犯)であるというための成立要件は具体的には、①共犯(共同正犯)者間で意思の連絡があること、②犯罪行為(刑事事例でいえば強盗行為)を共同していることが必要であるとされています。
刑法63条
従犯の刑は正犯の刑を減軽する。
刑法63条の「従犯」とは、幇助犯ともいい、犯罪の実行行為以外の行為で正犯(自ら犯罪の実行行為を行う者)の実行行為を容易にさせることをいいます。
すでに述べた共犯(共同正犯)が認められない場合であったとしても、幇助犯の成立が認められる可能性があります。
平たくいえば、幇助犯は、共犯(共同正犯)の下位互換といえます。
【刑事事件例では】
刑事事件例のように、強盗事件の主犯者(正犯)の方との意思の連絡がなく、また、犯罪行為の重要部分を担当したという事情もありません。
とすれば、Aさんは自らのために強盗罪を犯したとはいえないと考えられます。
とすれば、強盗罪のいわば主犯格(共同正犯)としてではなく、強盗事件の主犯者(正犯)の強盗行為を容易にしたものとして、強盗罪の幇助犯が成立すると考えられます。
共犯(共同正犯)の下位互換である幇助犯が成立しそうであるといえるのです。
【強盗罪の幇助事件を解決するためには】
強盗罪の幇助事件を解決するために行われる示談では、強盗事件の主犯者(正犯)と協力して被害弁償金を決定することも考えられます。
そもそも強盗事件の主犯者(正犯)と一緒に示談交渉をするのが良いのか、強盗事件の主犯者(正犯)と一緒に示談交渉をするとして、実際にどの割合で責任を分担するのかといったことは、実際の刑事事件(強盗事件)の経緯や態様、支払能力、被害者の方の意向などを考慮して決定されると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗罪のような重大犯罪に詳しい弁護士が、初回無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
強盗罪の幇助犯についてご心配の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。